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73 MAY 2004
世界最大の物流企業である米国U
PSの一〇〇%出資子会社で、国際
エクスプレス輸送を手掛ける「UPS
ジャパン」が四月一日、営業を開始
した。 それに伴い三月下旬、UPS
本体の国際部門責任者であるデイビ
ッド・アブニーUPSインターナショ
ナル社長、アジア太平洋地区を統括
するケネス・A・トロックUPSアジ
ア太平洋地区社長が来日。 ジェーム
ス・R・オーウェンスUPSジャパン
社長らとともに記者会見に臨んだ。
UPSはヤマト運輸との合弁会社
「UPSヤマトエクスプレス」のヤマ
ト側の保有株式をすべて買い取るかた
ちで完全子会社化、「UPSジャパン」
を発足させた。 今回、三氏は?ヤマト
運輸と合弁事業を解消したのはなぜ
か、?日本郵政公社とのアライアンス
(戦略的提携)の可能性はあるのか、
?今後の日本での拠点計画――など
について説明したが、奥歯に物がはさ
まっているような回答も少なくなかっ
た。 会見での記者団とのやり取りは以
下の通り。
――ヤマトと合弁を解消した理由は?
オーウェンス氏
「(合弁解消は)自然
の成り行きだと言える。 ヤマトが構築
している輸送システムは、当社がやろ
うとしている国際輸送サービスにはマ
ッチしない面があった」
――システムがマッチしないというの
は、具体的にはどのような部分か?
オーウェンス氏
「当社とヤマトとでは
フォーカスしているビジネスが違って
いたというのが正しい表現。 ヤマトは
日本国内での宅配便事業がメーン。 こ
れに対してUPSは国際輸送に力を
注いでいる」
アブニー氏
「付け加えさせてほしい。
当社はヤマトとの関係にとても満足し
ている。 今回、方向性の違いから合
弁は解消したものの、今後も業務契
約というかたちでパートナーとしての
関係は維持できると見ている」
――郵政公社との業務提携の可能性
は?
オーウェンス氏
「郵政公社の民営化は
物流業界の成長につながる。 とてもい
いことだ。 当社は常にビジネスを伸ばすことを考えているし、お客さんに提
供するサービスのポートフォリオを拡
げていく機会があれば、それをきちん
と捉えていきたいと考えていることは
確かだ」
アブニー氏
「しかし誤解のないように
言っておくが、郵政公社と何か具体
的な話し合いを行っている事実はない。
当社はどんな相手でも何も決まってい
ない段階では公表しないというスタン
スだ。 郵政公社だけではない。 現在の
ところ日本の民間企業との提携は検
討していない」
――UPSは日本でUPSジャパンの
ほかに、鈴与と合弁で立ち上げた一般
航空貨物を扱う会社や、ロジスティク
スに特化した会社を用意している。 こ
れらを一本化していく予定は?
トロック氏
「ない。 いまの形態でお客
さんにはとても満足してもらっている。
エクスプレス、一般、ロジスティクス
という三つの異なる会社を持つことで、
当社は日本のお客さんにシームレスな
サプライチェーンソリューションを提
供できている」
――UPSジャパンの今後の日本での
拠点計画は?
オーウェンス氏
「現在、国内十一都
市に営業拠点を置いている。 これに今
年は新たに六都市を加える。 このうち
すでに宇都宮と前橋の二カ所が決ま
っている。 そのほかの地区については
発表がもう少し先になりそう。 いずれ
にせよ今後は街中でブラウンカー(U
PSの集配車)を目撃する機会がも
っと増えるだろう」
――来年には中部国際空港が開港す
る。 羽田空港の機能も拡充される。 成
田空港以外への進出は?
トロック氏
「日本は世界中でもっとも
規制の多い国なのでは? 現段階で当社は成田と関西国際空港の二カ所
しか利用を許可されていない。 中部と
羽田には是非進出したいのだが、それ
には日本政府による規制緩和が不可
欠だ。 中部地区は関東、関西に次い
で経済が発展している。 トヨタ自動車
やスズキなど有力企業が多い。 中部か
らも航空機を飛ばせるようになれば、
当社はもちろん、お客さんにとっても
大きなメリットがあるはずだ」
「ヤマトとはフォーカスが違っていた」
日本法人発足で米UPS幹部が会見
会見に臨む米UPS幹部。 左からオーウェンス
氏、アブニー氏、トロック氏
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