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2022年7月号
特集

SBSロジコム アナログとデジタルを組み合わせて効率化

各種自動化機器を現場でカスタマイズ  SBSロジコムの「印西物流センター」は同社最大規模の汎用拠点だ。
千葉県印西市の「グッドマンビジネスパークイースト」の2万6500坪を使用して、ファッションブランド、コスメ、文具、ペット用品、ECなど荷主約20社の3PL業務を受託運営している。
1社当たりの受託面積は10坪未満から約5千坪まで幅広い。
 荷主数が多く業種も多様であるため、レイアウト変更の頻度も高い。
その際に軽量棚や作業台はある程度動かせても、有線でネットワークや電源に接続しているプリンターは移動が難しい。
LANケーブルやコンセントの配置に沿った位置にしか置けないため、場所によって庫内スタッフが作業場所から離れた場所まで歩いてプリンターから出力された帳票類を取りに行く必要があった。
 同センターはワンフロアが5千坪近い広さなので、そうした移動が生産性向上のネックにもなっていた。
そこで無線接続したプリンターと中型の携行式バッテリーを組み合わせて移動可能なキャスター台車に載せた「シャトルプリンター」を導入した。
これによって有線のLANケーブルやコンセントの配置にとらわれず、どこでも帳票類を出力できるようになった。
速やかな引っ越しが可能となり、レイアウトの自由度が大きく高まった。
 同センターではデジタルとアナログを組み合わせることで効率化を図っている。
出荷検品工程では、ペット用品荷主の区画で2021年に「レジ検品システム」を4台導入した。
入荷検品やピッキング、出荷検品にはハンディを使っているが、スタッフによって作業速度に差が出るという課題があった。
 特に大型商品などは片手に荷物、片手にハンディを持ってスキャンするため、女性スタッフには負荷が高い。
小物も複数商品を机に並べて連続スキャンするには習熟が必要だ。
レジタイプの検品台を導入することで、両手で商品を持って通すだけで迅速にスキャンができるようになった。
動作の迷いがなくなり、正確性も増した。
 狩野寛臣第二営業本部ビジネスサービス第一営業部次長は「ハンディ検品の習熟には時間がかかる。
しかし、レジ検品システムなら誰でもすぐに使える。
導入によって庫内スタッフの生産性が全体平均で2割以上も向上した」と話す。
今夏には他の区画にも、庫内スタッフから使い勝手に関する意見を聞いて発光箇所の低減や高さ調整機能などを追加した改良型を導入していく計画だ。
 出荷検品や梱包作業の様子を常時動画保存する「梱包台映像連動システム」も運用している。
出荷した梱包箱に商品が入っていなかったなどのトラブル対策や顧客対応のエビデンス、庫内スタッフ教育などを目的に開発した。
EC荷主のほか、BtoBでも納品先に応じて複数の梱包ルールが定められている荷主の現場で運用している。
ペット用品荷主の現場ではレジ検品システムと組み合わせた運用も行っている。
 ピッキング工程でも複数の自動化機器を運用している。
その一つがピッキングと同時に重量検品が可能な「重量検品カート」だ。
0・01グラムの誤差まで検知できる。
導入によって荷姿間違えのミスが格段に減少した。
 最大6オーダーの同時ピッキングに対応する「マルチ・ピッキング・カート」も開発した。
ウエアラブル端末と6輪カートを組み合わせた機器で、ピッキング時にはカート下部に配置されたどのケースに商品を入れるかをLEDライトの照射で誘導する。
こちらは試験導入にとどまったが、複数種類の機器を現場に投入している。
 狩野次長は「印西物流センターでは現場で使用する各種機器の評価を必ず行うようにしている。
現場での運用を通じていい点と悪い点の両方を洗い出す。
その上で、さまざまな改修要望を出す。
拠点内で可能な改修なら自前でも実施する。
単純に入れて終わりではなく、きちんとした評価を行わないと作業の生産性は上がらないし、使いにくい状態のままでは庫内スタッフからも不満が募ってしまう」と言う。
 21年秋に運用を開始した「販促品発注管理システム」は顧客からの業務依頼を基に開発したシステムだ。
販促品の受発注データとWMSを自動連携させて、小売店、営業、倉庫の各担当者がリアルタイムで在庫や発注状況を把握できるようにした。
 メーカー荷主から、小売店向けの販促品受注のコールセンター業務をやってほしいという要望を受けたことがきっかけだった。
メールやFAX、電話で注文を受けて、データ化して集約するという業務だった。
しかし、同じことをセンターで行うだけでは生産性は変わらない。
 そこで、小売店、営業、倉庫担当者がそれぞれ端末で販促品のリアルタイムの在庫と発注状況を確認して、受注から発送まで処理できる仕組みを提案。
これをサービスに落とし込んだ。
管理担当者や営業担当者の事務負担削減を実現した。
同システムは販促品だけでなく、企業の制服や備品、書類などさまざまな管理に応用できるため、今後はパッケージ化したサービスとして他の荷主に提供することも計画している。
複数荷主業務を統一ハンディで標準化  複数荷主間のオペレーションを標準化する取り組みも進めている。
複数の荷主向けの業務を同じハンディとシステムを用いて処理する。
EC荷主で運用していた仕組みからスタートし、BtoB荷主の現場へと導入を拡大していった。
 対象区画では、庫内スタッフが異なる荷主の現場に移動してオペレーションを行う際に、ハンディのログイン画面で荷主を切り替える。
入荷検品、ピッキング、出荷検品、梱包作業といったオペレーションを、同じツールで同じ手順で処理できる。
 印西物流センターは基本的に自社雇用スタッフで運営している。
この「統一ハンディ」によって庫内スタッフを機動的に配置転換することが可能になった。
 「昨日はA荷主の現場で今日はB荷主の現場、あるいは午前と午後で違う区画に移動してもらうこともできる。
徐々に進めてきた統一ハンディを用いた複数荷主におけるオペレーションの標準化は21年末には一定程度の完了を果たした」と狩野次長は語る。
 統一ハンディとオペレーション標準化を活用した新たな仕組みの整備も本格的に始まろうとしている。
複数の中小規模EC荷主を対象とする物流サービスの提供だ。
現時点では10坪程度の小規模EC荷主数十社の区画を統一ハンディを用いたオペレーションで運用することを想定している。
 現状では荷主ごとに庫内スタッフは端末からログインし直す形となっているが、改良によってシームレスに取り扱えるような仕組みの整備を進める計画だ。
一方、規模の大きなEC荷主については連携データの複雑さなどの面から標準的なパッケージには収まらない可能性が高いため、こちらは個別での運用を行うことで幅広いEC荷主からの受託を拡大していく。

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