2022年3月号
特集
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中継輸送ネットワークの設計・構築・運用
中継輸送の三つの課題
まずは現状を報告する。
物流の2024年問題に伴い、従来の長距離トラック輸送を中継輸送に移し替えるネットワークの再編が急ピッチで進んでいる。
当社EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EY)においても荷主企業や物流企業などから中継拠点ネットワークの整備・運営に関するコンサルティングを依頼されることが増えている。
具体的なテーマは大きく次の三つに分類される。
・拠点の確保 全国規模で中小運送会社を組織化しているA社は、拠点の確保という物理的な課題に直面している。
同社は全国に中継拠点を配置して中小の運送会社が施設をシェアリングするネットワークの整備に乗り出している。
24年4月まで残された時間は限られており、各地に必要な施設を手当てしてオペレーションを設計している余裕はないことから、中継拠点として利用できる施設を既に所有するプレーヤーとの協業とM&Aによって必要なアセットを確保する方針だ。
しかし、中継拠点に求められるスペックは使用するトラックの車種や中継方式によって大きく異なる。
中継方式は、ドライバーが中継拠点で車両を乗り換える「①ドライバー交替方式」、トレーラー(シャーシ)を交換する「②トレーラー交換方式」、荷物だけを交換する「③貨物積み替え方式」の三つに分類される(図1)。
このうち「①ドライバー交替方式」の中継拠点は、設備やスペース上の制約は少ないものの、トラックの運転席はドライバーにとって居住空間でもあるため、車両を他人と共有することには抵抗がある。
複数の事業者が連携する場合には労務管理や保険適用の問題も発生する。
一方、「②トレーラー交換方式」の中継拠点には、トレーラーヘッド(トラクターヘッド)とトレーラー(シャーシ)を交換するための十分な敷地が必要だ。
また「③貨物積み替え方式」の中継拠点は、屋内の借り置きスペースが必要になるのに加え、倉庫やバースを24時間使用できなければならない。
これらの条件を満たす施設を中継拠点が必要なエリアにそれぞれ確保するため、われわれEYも協力してネットワークの設計を詳細まで落とし込み、全国でパートナー開拓を加速させているところである。
・貨物のバランシング 二つ目は長距離トラック輸送を中継輸送スキームに変更した後の貨物のバランシングに関する問題である。
大手メーカーの物流子会社B社は24年を待たずに、東京─大阪間の長距離トラック輸送を中継輸送に切り替えた。
中間地点の静岡に中継拠点を新設して、双方から到着した荷物を積み替える方式を採用した。
それまで帰り荷の積載率が低かったこともあり、トータル輸送コストを50%近く削減することに成功した。
中継輸送の実施に先立ち、ITを活用して荷動きを可視化、貨物量の偏在を解消する荷物を戦略的に獲得して、東京─静岡間、静岡─大阪間の貨物輸送量を上手くバランスさせたことが大きかった。
このような成功事例がある一方、東京─東北間、大阪─中国・九州間などの中継輸送においては、貨物量のバランスを取ることが難しく、中継輸送によるコスト効果が十分に生み出せずに投資回収に課題を抱えているケースも見られる。
・オープン化 三つ目は中継拠点のオープン化である。
大手流通企業のC社は、実運送を委託している運送会社の既存施設を中継拠点としてオープン化する構想を進めている。
IT企業やテクノロジー企業も巻き込んで情報プラットフォームを構築、トレーラーヘッドとシャーシのマッチングや車両の偏在をコントロールして最適化する。
この取り組みではリソースの偏在の解消に寄与するベースカーゴを有する大手荷主の取り込みが焦点となっている。
物流業界の六つのメガトレンド このオープン化の事例のように物流会社以外の異業種プレーヤーが、貨物や車両などの物流アセット情報を握ることになると、これまで荷主企業の配車計画や輸送管理を担ってきた既存の物流会社や3PLはビジネスを侵食されることになる。
中継輸送ネットワークの構築に向けた動きを、24年問題対策という目の前の問題として受けとめているだけでは、物流企業は足元をすくわれる恐れがある。
物流現場の世界的な人手不足、気候変動などの社会的課題に対する取り組みが、これから本格化する。
24年問題もその一貫と位置付けて物流業界の大きな環境変化と向き合っていく必要がある。
われわれEYのロジスティクスチームでは、政治・経済・社会・テクノロジーにおけるグローバルなメガトレンドが物流業界に与える影響を、①Connected、②Autonomous/Automation、③Sharing、④Electric/Environment、⑤Optimization、⑥New Playersの六つに整理している。
以下に物流業界に起こる六つのメガトレンドの観点から24年問題を紐解いていく(図2)。
①Connected モノの動き/状態の可視化 現在、サプライチェーン全体のさまざまなデータ連携を活用したソリューションコンセプトの検討が各業界において進んでいる(図3)。
物流業においても紙媒体中心の運送管理のペーパーレス化に取り組み、運行関連情報を可視化し、複数のプレーヤーが参加する情報基盤の構築が必要である。
共同配送や中継輸送など、物流業界のさまざまなプレーヤーが参画する取り組みは従来から実現しているが、その多くは、手作業・紙媒体中心のアナログ運用だ。
中継輸送を効率的に運用するには複数の輸送会社の運行状況、ドライバーの稼働状況などを可視化して、情報をつなぐ必要がある。
世界に目を向ければ、米ウォルマートがブロックチェーン技術を活用して、複数の運送会社を束ねるプラットフォームを提供するといった事例が既にある。
②Autonomous/Automation 物流作業の自動化・高度化 労働力不足という社会的背景から産業界全体でオペレーションの自動化が推進されている。
物流業界においても倉庫作業員やドライバーなどの人員の確保が今後より困難になることが見込まれる。
庫内作業や輸配送の自動化は避けては通れない。
さまざまな物流ロボットを組み合わせることで、複合的な作業の自動化が実現し、物流全体がシームレスにつながる。
中継地点での積み下ろしや積込作業においても自動化・省人化が必要である。
現在、大手宅配業者においては、配送車両への荷物の積み込み順序を自動算出するために、複雑な演算処理を構築したり、多様な荷物の形状を自動認識する実証実験が進められている。
量子コンピューターを活用した積込順序の自動化、先進ロボットの活用に取り組んでいる総合商社もある。
③Sharing シェアリングの進展 倉庫設備などのハードおよびWMSなどのソフトはいずれも物流インフラとして不特定多数の企業・個人によって共有される。
例えば日立物流は中小の運送会社向けに交通事故ゼロを目的とした安全運行管理ソリューション(SSCV:Smart & Safety Connected Vehicle)を開発して、業界プラットフォーム化に動いている。
中継拠点の建物や設備、人/車両の可視化、ドライバー/トラック/荷物のマッチングプラットフォームへの投資も、個社では負担が大きいことから、業界でシェアリングするスキームを構築する必要がある。
その際のポイントは、中立的な立場での旗振り役の存在、複数運送会社の運航状況の可視化、中継地点の標準オペレーションの設計、そして車両・パレット・台車などのハードの規格統一である。
④Electric/Environment 環境負荷の軽減 カーボンニュートラルに向けて、グリーン物流への取り組みが加速する。
具体例にはトラックのEV・FCV化、サーキュラーエコノミー対応などである。
貨物自動車(トラック)から排出されるCO2は、運輸部門全体の36・8%を占めている(2019年度)。
物流企業のカーボンニュートラル対応は社会的に必要不可欠である。
従来のハブ&スポーク型の物流ネットワークから、インターネット型の中継輸送に転換することで、全体の走行距離の大幅な削減を期待できる(図4)。
長距離運行がなくなり、輸送中の休憩時間のアイドリングが削減される効果もかなり大きい。
環境負荷軽減に加えて、サプライチェーンの強靭化にも貢献する可能性がある。
⑤Optimization サプライチェーンの複雑化 ハブ&スポーク型からインターネット型に転換することで輸送の結節点は無数に増えて分散する。
中継輸送ネットワークにおいても発送元から納品先までをピアtoピアでつなぐためルートが多様化する。
IoTなどのテクノロジーを利用してモノや車両の動きを可視化することが必須になる。
輸送モード(モビリティ)も多様化して選択肢が増え、サプライチェーンは否応なく複雑化する。
ネットワークを最適化するプラットフォーマーの重要性が増す。
既に大手流通企業においてはECシフトに伴い、マッチングプレーヤーと協業して、ラストワンマイルにおいてピアtoピアの配送網を構築する動きが活発化している。
近い将来には自動運転車が幹線輸送に実装される。
そのため中継拠点は長期的には以下の用途にも対応する必要がある。
・ 多種多様なモビリティのネットワーク拠点としての用途(さまざまなモードへの切り替え拠点として機能する) ・ 自動運転・隊列走行を活用したネットワーク拠点としての用途(ドライバーの中継拠点の役割はいずれ自動運転の貨物の積み替え拠点に変容する) ⑥New Players 新規参入事業者の出現 昨今、物流事業者以外の異業種が物流市場に参入する動きが著しい。
中継輸送ネットワークの構築をビジネス機会と捉える新規参入プレーヤーが物流産業の変革をリードする可能性がある。
中継拠点における経路選択やトラック・貨物をマッチングするプラットフォームを提供するプレーヤーとして、具体的には総合商社、IoTテクノロジーベンダーの参入が想定される。
中継地点における積み込み・荷下ろし、引継ぎトラックまでの搬送などの自動化には、既存のマテハンメーカーの他にロボティクス企業が参入している。
さらに中継輸送ネットワーク構築に伴う車両のリースや新たな保険を提供するために金融機関や保険会社、リース会社が動いている。
その一方で海外では、商用車メーカーのダイムラーやデジタルフォワーダーのFLEXPORTが、荷主や物流事業者向けの金融サービスを開始して事業領域を拡大している。
中継輸送のその先を見据える 物流企業はこれらの異業種プレーヤーの台頭による脅威に対応していかなければならない。
先進技術は物流業界を再編に導く。
直近では、輸送関連を管理していた3PLや元請け運送会社が中継輸送のマッチングプラットフォーマーに取って代わられる可能性が浮上している。
プラットフォーマーが輸送管理業務をデジタル化して自動化すれば3PLや元請けは不要になり、荷主と実運送会社がダイレクトにつながる。
さらに近い将来、自動運転・隊列走行のネットワークや自動化オペレーションが普及すれば労働集約型の物流企業は淘汰される。
自動運転車が普及すれば、ドライバーを抱える運送会社は排除され、物流ロボットが普及すれば、庫内作業員を抱える営業倉庫事業者は不要になる。
物流企業の当面の対応策は、異業種のプレーヤーの真価を見極め、脅威ともなり得る相手とはむしろ協業して、車両の動態管理、シェアリングなどのプラットフォームを構築して、将来につながる布石を打つことである。
中継輸送ネットワークの構築はその好機となる。
そして長期的には、データの可視化だけでは解決できない機能を物流企業のナレッジとして蓄積して競争優位を発揮することである。
荷主業界の物流ニーズに応じたオペレーションを構築して、荷主の課題を解決できるプレーヤーであり続けることで、物流企業はサプライチェーンの主導権を握ることになる。
決して非現実的な未来ではない。
われわれはそれを有力なシナリオと位置付けて、ビジョンを共有する物流企業と伴走していく考えだ。
物流の2024年問題に伴い、従来の長距離トラック輸送を中継輸送に移し替えるネットワークの再編が急ピッチで進んでいる。
当社EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EY)においても荷主企業や物流企業などから中継拠点ネットワークの整備・運営に関するコンサルティングを依頼されることが増えている。
具体的なテーマは大きく次の三つに分類される。
・拠点の確保 全国規模で中小運送会社を組織化しているA社は、拠点の確保という物理的な課題に直面している。
同社は全国に中継拠点を配置して中小の運送会社が施設をシェアリングするネットワークの整備に乗り出している。
24年4月まで残された時間は限られており、各地に必要な施設を手当てしてオペレーションを設計している余裕はないことから、中継拠点として利用できる施設を既に所有するプレーヤーとの協業とM&Aによって必要なアセットを確保する方針だ。
しかし、中継拠点に求められるスペックは使用するトラックの車種や中継方式によって大きく異なる。
中継方式は、ドライバーが中継拠点で車両を乗り換える「①ドライバー交替方式」、トレーラー(シャーシ)を交換する「②トレーラー交換方式」、荷物だけを交換する「③貨物積み替え方式」の三つに分類される(図1)。
このうち「①ドライバー交替方式」の中継拠点は、設備やスペース上の制約は少ないものの、トラックの運転席はドライバーにとって居住空間でもあるため、車両を他人と共有することには抵抗がある。
複数の事業者が連携する場合には労務管理や保険適用の問題も発生する。
一方、「②トレーラー交換方式」の中継拠点には、トレーラーヘッド(トラクターヘッド)とトレーラー(シャーシ)を交換するための十分な敷地が必要だ。
また「③貨物積み替え方式」の中継拠点は、屋内の借り置きスペースが必要になるのに加え、倉庫やバースを24時間使用できなければならない。
これらの条件を満たす施設を中継拠点が必要なエリアにそれぞれ確保するため、われわれEYも協力してネットワークの設計を詳細まで落とし込み、全国でパートナー開拓を加速させているところである。
・貨物のバランシング 二つ目は長距離トラック輸送を中継輸送スキームに変更した後の貨物のバランシングに関する問題である。
大手メーカーの物流子会社B社は24年を待たずに、東京─大阪間の長距離トラック輸送を中継輸送に切り替えた。
中間地点の静岡に中継拠点を新設して、双方から到着した荷物を積み替える方式を採用した。
それまで帰り荷の積載率が低かったこともあり、トータル輸送コストを50%近く削減することに成功した。
中継輸送の実施に先立ち、ITを活用して荷動きを可視化、貨物量の偏在を解消する荷物を戦略的に獲得して、東京─静岡間、静岡─大阪間の貨物輸送量を上手くバランスさせたことが大きかった。
このような成功事例がある一方、東京─東北間、大阪─中国・九州間などの中継輸送においては、貨物量のバランスを取ることが難しく、中継輸送によるコスト効果が十分に生み出せずに投資回収に課題を抱えているケースも見られる。
・オープン化 三つ目は中継拠点のオープン化である。
大手流通企業のC社は、実運送を委託している運送会社の既存施設を中継拠点としてオープン化する構想を進めている。
IT企業やテクノロジー企業も巻き込んで情報プラットフォームを構築、トレーラーヘッドとシャーシのマッチングや車両の偏在をコントロールして最適化する。
この取り組みではリソースの偏在の解消に寄与するベースカーゴを有する大手荷主の取り込みが焦点となっている。
物流業界の六つのメガトレンド このオープン化の事例のように物流会社以外の異業種プレーヤーが、貨物や車両などの物流アセット情報を握ることになると、これまで荷主企業の配車計画や輸送管理を担ってきた既存の物流会社や3PLはビジネスを侵食されることになる。
中継輸送ネットワークの構築に向けた動きを、24年問題対策という目の前の問題として受けとめているだけでは、物流企業は足元をすくわれる恐れがある。
物流現場の世界的な人手不足、気候変動などの社会的課題に対する取り組みが、これから本格化する。
24年問題もその一貫と位置付けて物流業界の大きな環境変化と向き合っていく必要がある。
われわれEYのロジスティクスチームでは、政治・経済・社会・テクノロジーにおけるグローバルなメガトレンドが物流業界に与える影響を、①Connected、②Autonomous/Automation、③Sharing、④Electric/Environment、⑤Optimization、⑥New Playersの六つに整理している。
以下に物流業界に起こる六つのメガトレンドの観点から24年問題を紐解いていく(図2)。
①Connected モノの動き/状態の可視化 現在、サプライチェーン全体のさまざまなデータ連携を活用したソリューションコンセプトの検討が各業界において進んでいる(図3)。
物流業においても紙媒体中心の運送管理のペーパーレス化に取り組み、運行関連情報を可視化し、複数のプレーヤーが参加する情報基盤の構築が必要である。
共同配送や中継輸送など、物流業界のさまざまなプレーヤーが参画する取り組みは従来から実現しているが、その多くは、手作業・紙媒体中心のアナログ運用だ。
中継輸送を効率的に運用するには複数の輸送会社の運行状況、ドライバーの稼働状況などを可視化して、情報をつなぐ必要がある。
世界に目を向ければ、米ウォルマートがブロックチェーン技術を活用して、複数の運送会社を束ねるプラットフォームを提供するといった事例が既にある。
②Autonomous/Automation 物流作業の自動化・高度化 労働力不足という社会的背景から産業界全体でオペレーションの自動化が推進されている。
物流業界においても倉庫作業員やドライバーなどの人員の確保が今後より困難になることが見込まれる。
庫内作業や輸配送の自動化は避けては通れない。
さまざまな物流ロボットを組み合わせることで、複合的な作業の自動化が実現し、物流全体がシームレスにつながる。
中継地点での積み下ろしや積込作業においても自動化・省人化が必要である。
現在、大手宅配業者においては、配送車両への荷物の積み込み順序を自動算出するために、複雑な演算処理を構築したり、多様な荷物の形状を自動認識する実証実験が進められている。
量子コンピューターを活用した積込順序の自動化、先進ロボットの活用に取り組んでいる総合商社もある。
③Sharing シェアリングの進展 倉庫設備などのハードおよびWMSなどのソフトはいずれも物流インフラとして不特定多数の企業・個人によって共有される。
例えば日立物流は中小の運送会社向けに交通事故ゼロを目的とした安全運行管理ソリューション(SSCV:Smart & Safety Connected Vehicle)を開発して、業界プラットフォーム化に動いている。
中継拠点の建物や設備、人/車両の可視化、ドライバー/トラック/荷物のマッチングプラットフォームへの投資も、個社では負担が大きいことから、業界でシェアリングするスキームを構築する必要がある。
その際のポイントは、中立的な立場での旗振り役の存在、複数運送会社の運航状況の可視化、中継地点の標準オペレーションの設計、そして車両・パレット・台車などのハードの規格統一である。
④Electric/Environment 環境負荷の軽減 カーボンニュートラルに向けて、グリーン物流への取り組みが加速する。
具体例にはトラックのEV・FCV化、サーキュラーエコノミー対応などである。
貨物自動車(トラック)から排出されるCO2は、運輸部門全体の36・8%を占めている(2019年度)。
物流企業のカーボンニュートラル対応は社会的に必要不可欠である。
従来のハブ&スポーク型の物流ネットワークから、インターネット型の中継輸送に転換することで、全体の走行距離の大幅な削減を期待できる(図4)。
長距離運行がなくなり、輸送中の休憩時間のアイドリングが削減される効果もかなり大きい。
環境負荷軽減に加えて、サプライチェーンの強靭化にも貢献する可能性がある。
⑤Optimization サプライチェーンの複雑化 ハブ&スポーク型からインターネット型に転換することで輸送の結節点は無数に増えて分散する。
中継輸送ネットワークにおいても発送元から納品先までをピアtoピアでつなぐためルートが多様化する。
IoTなどのテクノロジーを利用してモノや車両の動きを可視化することが必須になる。
輸送モード(モビリティ)も多様化して選択肢が増え、サプライチェーンは否応なく複雑化する。
ネットワークを最適化するプラットフォーマーの重要性が増す。
既に大手流通企業においてはECシフトに伴い、マッチングプレーヤーと協業して、ラストワンマイルにおいてピアtoピアの配送網を構築する動きが活発化している。
近い将来には自動運転車が幹線輸送に実装される。
そのため中継拠点は長期的には以下の用途にも対応する必要がある。
・ 多種多様なモビリティのネットワーク拠点としての用途(さまざまなモードへの切り替え拠点として機能する) ・ 自動運転・隊列走行を活用したネットワーク拠点としての用途(ドライバーの中継拠点の役割はいずれ自動運転の貨物の積み替え拠点に変容する) ⑥New Players 新規参入事業者の出現 昨今、物流事業者以外の異業種が物流市場に参入する動きが著しい。
中継輸送ネットワークの構築をビジネス機会と捉える新規参入プレーヤーが物流産業の変革をリードする可能性がある。
中継拠点における経路選択やトラック・貨物をマッチングするプラットフォームを提供するプレーヤーとして、具体的には総合商社、IoTテクノロジーベンダーの参入が想定される。
中継地点における積み込み・荷下ろし、引継ぎトラックまでの搬送などの自動化には、既存のマテハンメーカーの他にロボティクス企業が参入している。
さらに中継輸送ネットワーク構築に伴う車両のリースや新たな保険を提供するために金融機関や保険会社、リース会社が動いている。
その一方で海外では、商用車メーカーのダイムラーやデジタルフォワーダーのFLEXPORTが、荷主や物流事業者向けの金融サービスを開始して事業領域を拡大している。
中継輸送のその先を見据える 物流企業はこれらの異業種プレーヤーの台頭による脅威に対応していかなければならない。
先進技術は物流業界を再編に導く。
直近では、輸送関連を管理していた3PLや元請け運送会社が中継輸送のマッチングプラットフォーマーに取って代わられる可能性が浮上している。
プラットフォーマーが輸送管理業務をデジタル化して自動化すれば3PLや元請けは不要になり、荷主と実運送会社がダイレクトにつながる。
さらに近い将来、自動運転・隊列走行のネットワークや自動化オペレーションが普及すれば労働集約型の物流企業は淘汰される。
自動運転車が普及すれば、ドライバーを抱える運送会社は排除され、物流ロボットが普及すれば、庫内作業員を抱える営業倉庫事業者は不要になる。
物流企業の当面の対応策は、異業種のプレーヤーの真価を見極め、脅威ともなり得る相手とはむしろ協業して、車両の動態管理、シェアリングなどのプラットフォームを構築して、将来につながる布石を打つことである。
中継輸送ネットワークの構築はその好機となる。
そして長期的には、データの可視化だけでは解決できない機能を物流企業のナレッジとして蓄積して競争優位を発揮することである。
荷主業界の物流ニーズに応じたオペレーションを構築して、荷主の課題を解決できるプレーヤーであり続けることで、物流企業はサプライチェーンの主導権を握ることになる。
決して非現実的な未来ではない。
われわれはそれを有力なシナリオと位置付けて、ビジョンを共有する物流企業と伴走していく考えだ。
