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2021年11月号
特集

大和ハウス工業 花王とイオンを結ぶ物流自動化スキームを牽引

「物流DX推進グループ」を新設  大和ハウス工業は今年7月1日、物流DX推進グループを新設した。
大手3PLから同社に転じた菅野寿威建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室物流DX推進グループ長がその陣頭指揮をとる。
「3PLは個別企業の要望に応えて最適な物流を作り込み、それを運営していくというビジネスだ。
それに対してわれわれは、これまで世の中になかったスキームを企画してそれを形にしていくことを役割としている」という。
 従来から同社は、WMSのフレームワークス、ロボティクスのGROUND、クラウドソリューションのHacobu、フルフィルメントのアッカ・インターナショナルなどの有力な物流テクノロジー企業を、子会社のダイワロジテックを持ち株会社としてグループ化、顧客企業とつなぐことで物流デジタル化を支援してきた。
大和ハウス工業本体でもマルチテナント型物流施設「DPL」の開発部門が中心となってテナント企業の自動化や効率化の相談に応じてきた。
 しかし、フレームワークスの秋葉淳一社長は、「倉庫周りのコストは企業のトータル物流コストの2割を占めるにすぎない。
お客さまが本当に求めているのは残りの8割まで含めた全体の効率化だ。
その期待に応えていくことが大和ハウスグループの中長期的なビジョンだ。
物流DX推進グループにはその旗振り役が期待されている」という。
 その初仕事が既に始まっている。
大和ハウス工業、イオングローバルSCM、花王、日立物流、豊田自動織機の5社は9月、共同実証事業を開始した。
AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用してセンターの入出荷作業を自動化する。
ロジスティクスの自動化で最後に残された工程にチャレンジする。
 庫内のオペレーションは技術的には既に成熟している。
ボトルネックは荷物の「出」と「入り」にある。
現状は納品トラックの荷積み・荷降ろしを人手に頼っているために所用時間が分からず、荷物の発着時間を事前に確定できない。
計画にバッファを持たせる必要が生じている。
それだけ物流リソースの稼働率を下げている。
 荷積み・荷降ろしを自動フォークで無人化すれば、事前に計画を確定できる。
その情報を共通の情報システム基盤を通じてサプライチェーンのパートナー間で共有することでバッファは不要になる。
ドライバーが納品の順番を待つこともなくなる。
入出庫の自動化は現場の人手不足や人件費削減以上の意味を持つ。
 実証事業は、花王の工場・ロジスティクスセンターから、イオングローバルSCMが香川県坂出市に構える大規模物流施設「イオン四国ロジスティクスセンター」への納品が対象だ。
大和ハウスが共通システムを開発、日立物流がオペレーション、豊田自動織機がAI自動フォークの技術を提供する。
 今年9月から23年度までの2年半にまたがる取り組みが計画されている。
今年度は共通システムの開発と並行してトラックの自動積み降ろし技術の確立を目指す。
屋外と屋内を行き来する自動フォークの制御や、パレット上の荷物を自動認識するロボットビジョン、センサー類のチューニングに取り組む。
 続く22年度は、車両の荷台部分を脱着できる「スワップボディコンテナ」の活用、パレタイジング/デパレタイジングロボットの導入および自動運転フォークとの連携に取り組み、運用のレベルアップを図る。
そして23年度はスキームの改良と対象の拡大を進める。
各社がそれぞれ実証事業で確立した技術、ノウハウの普及を図る。
発荷主・着荷主・輸送業者を結ぶ  同事業は経済産業省資源エネルギー庁の公募事業「令和3年度 AI・IoTなどを活用した更なる輸送効率化推進事業」に採択された。
所定の補助金が交付される。
そのための条件の一つが、発荷主と輸送事業者、そして着荷主の3者以上が参加して共通システムによる情報連携をとることだった。
 フレームワークスの秋葉社長は物流DX推進グループの設立前から同事業の立ち上げに奔走してきた。
「この取り組みに社会的なインパクトを持たせるために、それぞれの分野でナンバーワンの企業を個別に口説いて参加を求めた。
座組みにはこだわった」という。
 今回の発荷主の花王は従来から協働型ロボットやAIの活用を進めている。
着荷主のイオンは英ネットスーパーのオカド(OKADO)と提携を結び、23年に最先端の自動化センターを千葉に稼働させる計画だ。
輸送事業者の日立物流は医薬品向け汎用センター「富山Ⅳ期物流センター」で無人フォークリフトの実運用に踏み切っている。
 各社はいずれも大和ハウスの物流施設を利用するテナント企業であり、それぞれが積極的に物流DXを進めてきた。
しかし、これまでは個別企業の取り組みだった。
その各社に対して大和ハウスは、製・販・物の先進企業をつなぎ全体を最適化するスキームを提案、共同事業として着地させた。
 秋葉社長は「物流情報プラットフォームを作ろうとか、紙伝票を止めて全て電子化しよう、あるいはRFIDを導入しようという話は、ずっと前から言われている。
少しずつ理解も広まっている。
しかし、本格的に普及しているとは言い難い。
その理由は、誰がどれだけコストを負担するのか、受益者は誰か、その整理が難しいからだ」という。
 物流の脱炭素化をその壁を突破する武器にする。
「サプライチェーンのCO2排出量を減らすため、それぞれができることをやりましょう──そのアプローチであれば企業は動きやすい。
経営者が嫌とは言えない取り組みになる」と秋葉社長。
大和ハウスの物流DX推進グループと連動して新たな提案を次々に打ち出していく考えだ。

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