2021年4月号
特集
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NTTロジスコ&ラクスル 最適な輸送手段を選定するシステムを共同開発
配車の実行系と計画系業務を改革
NTTロジスコとスタートアップのラクスルがタッグを組み、配車関連業務のDXを進めている。
NTTロジスコはNTTグループ系の物流会社で2019年度の売上高は420億円。
全国に29の拠点を配置して3PLなどを展開している。
ラクスルは物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を運用している。
軽貨物を中心とするマッチングサービスの「ハコベルカーゴ」を15年12月に開始したのに続き、19年2月には一般貨物を主な対象に自社・協力会社の配車管理と求貨求車を行える「ハコベルコネクト」をローンチした。
NTTロジスコは各物流拠点での配車関連業務に課題を感じていた。
同社の全国の拠点では出荷の依頼がくると配車担当者が商品の組み合わせや大きさ、重量、納品先のリードタイムなどを考慮して、最適な輸送手段を選んできた。
複数の制約がある荷物をチャーター、宅配、路線のどの車両に割り振るかといった判断は配車担当者の属人的なスキルに頼っていた。
そのため、担当者が休んだり、あるいは退社したりすれば業務に支障を来す恐れがあった。
しかし、業務を標準化するのは難しかった。
協力運送会社とのやり取りには手間がかかっていた。
条件に合う協力運送会社に、電話やメール、FAXなどで車両の手配を依頼して配送指示書を送付する。
1社目で手配できない場合は、2社目、3社目と車両を確保できるまで複数の協力会社に連絡する必要があった。
また、チャーター便の請求は多くの場合、紙の請求書でのやり取りのため、データ化する打ち込み作業が発生する。
しかも、請求書が届くのは月初などの特定期間に集中する。
チャーターの利用が多い物流拠点ではとりわけ業務負荷が大きかった。
これらの課題の解決に向けて配車関連業務のデジタル化に着手した。
当初は全社統一の輸送管理システムを新たに構築することも検討した。
しかし、それによってNTTロジスコ側では業務が標準化されても、協力会社の取引先は必ずしもNTTロジスコだけではない。
NTTロジスコの独自システムが協力会社の負担になってしまう恐れがあった。
NTTロジスコのサービス本部サービス開発部の小板橋典通主査は「チャーター便を共通で管理するプラットフォームを当社が独自に作ってしまうと汎用性がなくなってしまう。
それよりもオープンなプラットフォームに乗る方が短期間で課題を解決できると判断した」と語る。
ラクスルの「ハコベルコネクト」を選んだ。
自社・協力会社の配車管理と求貨求車サービスをウェブ上で一体的に運用して配車依頼から納品までの情報や請求を一元管理できる。
ラクスルの鈴木裕之ハコベル事業本部ソリューション事業部長は「軽貨物と異なり、一般貨物ではスポットの求車は業務全体のごく一部。
ハコベルコネクトは配車業務全般に利用できるプラットフォームになっている」という。
NTTロジスコは20年6月、まず平和島、千葉、長野の3拠点を対象にハコベルコネクトを導入した。
平和島物流センターは主にICT関連のネットワーク機器などを扱っている。
時間指定が大半な上、養生などにも高い水準が求められる。
千葉物流センターは通販向けが主体で、チャーター便の件数が非常に多い。
長野物流センターは主にアパレル系。
こちらは店舗配送を検証する狙いだった。
他のセンターへの横展開を念頭に置いて条件の厳しい拠点をあえて選んだ。
結果は良好。
NTTロジスコのICT事業本部第一ICTサービス部の光永和樹主査は「ハコベルコネクトを導入した初期3拠点の配車担当者は全員が『コネクトはいい』と話している。
それが当社における導入効果の全てを物語っている」という。
ハコベルコネクトを通じて協力会社への配車手配を行うことで、配車業務全体が可視化された。
作業ステータスの共有や手配漏れの防止が実現した。
請求処理も格段に楽になった。
メールや電話、FAXでのやり取りが大幅に減ったことでNTTロジスコと協力運送会社側の双方の業務工数が大幅に軽減された。
20年6月に3拠点で開始したハコベルコネクトの導入は20年末には全国の拠点で完了。
現在は追加のデータ連携の仕組みなどを含めて運用方法を練り上げている。
属人的な業務ノウハウをシステム化 アナログ管理と並ぶ、もうひとつの課題だった属人化された配車計画業務についても、NTTロジスコはラクスルと協力して解決を図っている。
NTTロジスコの小板橋主査は「配車関連業務における課題のうち、実行系の部分はハコベルコネクトで解決のめどが立った。
続いて計画系システムの開発に共同で取り組んだ」と話す。
それが「輸配送計画自動化システム」だ。
通常の輸配送計画の立案では、まず配車担当者が出荷指示書を確認して品名などから荷物全体のボリュームを判断する。
パレットの必要枚数などを推測した後、明日着や明後日着などの条件を確認して、最もコストがかからず、かつ手配が可能な手法を選ぶ。
小型の荷物であっても数が多ければ宅配便と路線便のどちらがいいのか、あるいはチャーター便なのか、配車担当者によって判断は異なってくる。
決まったルールやマニュアルがあるわけでもない。
従来は配車担当者各人が最適と考える計画を立案するしかなかった。
その属人的なノウハウをシステムに落とし込む必要があった。
ソフトウエアの開発に当たって、ラクスルはNTTロジスコにヒアリングを行った。
助手が必要な配送や朝9時着といったピンポイントの時間指定には必ずチャーター便を使うなど、配車担当者が保有するノウハウが多数あった。
そこから荷主別に協力運送会社を使い分ける際のベストプラクティスを抽出、アルゴリズムを組み立てさまざまな条件下の輸配送計画を自動で立案できるシステムを構築した。
21年1月、NTTロジスコの20年8月の出荷実績データを用いてシステムの実証実験を行った。
どの場所にいくらで運んだという実績と、全く同じ条件でシステムが立案した輸配送計画を比較した。
NTTロジスコの小板橋主査は「そのまま使えそうな結果がかなり出ていた」という。
例えば、3カ所の輸送先に対して3台のトラックを走らせていたケースでは、輸配送計画自動化システムは1台のトラックを午前、午後、夕方で回る計画を立案した。
あるいはチャーターではなく路線便を使うといった計画を立て、輸配送コストを25%削減した。
計画業務の自動化によって輸配送計画に関わる事務作業の所要時間も約75%削減された。
「輸配送計画自動化システム」は輸送先の住所、納品日、希望がある場合は納品時間、荷物の大きさと重量を入力すると、最も安く、手配可能な案を算出する。
路線、宅配、チャーターといった輸配送手段の振り分けも割り出す。
NTTロジスコは今後、同システムを受託している物流業務単位で運用していく計画だ。
まずはチャーター便の利用が多く、しかも時間指定や精細な荷扱いなどが要求されるBtoBの法人向け納品での活用を構想している。
一方、ラクスルは同システムをハコベルコネクトの追加機能として展開していく考えだ。
「今後はハコベルコネクトを通じて同システムを幅広いユーザーに展開していきたい。
その過程では現時点では組み込まれていない制約条件も出てくるはずだ。
それを取り込んでアルゴリズムを改善して利便性と汎用性を継続的に高めていきたい。
物流業界にはデジタル化されていない知見がまだまだ埋もれている。
それをシステム化する取り組みを続けていく」とラクスルの鈴木部長は意欲を見せている。
NTTロジスコはNTTグループ系の物流会社で2019年度の売上高は420億円。
全国に29の拠点を配置して3PLなどを展開している。
ラクスルは物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を運用している。
軽貨物を中心とするマッチングサービスの「ハコベルカーゴ」を15年12月に開始したのに続き、19年2月には一般貨物を主な対象に自社・協力会社の配車管理と求貨求車を行える「ハコベルコネクト」をローンチした。
NTTロジスコは各物流拠点での配車関連業務に課題を感じていた。
同社の全国の拠点では出荷の依頼がくると配車担当者が商品の組み合わせや大きさ、重量、納品先のリードタイムなどを考慮して、最適な輸送手段を選んできた。
複数の制約がある荷物をチャーター、宅配、路線のどの車両に割り振るかといった判断は配車担当者の属人的なスキルに頼っていた。
そのため、担当者が休んだり、あるいは退社したりすれば業務に支障を来す恐れがあった。
しかし、業務を標準化するのは難しかった。
協力運送会社とのやり取りには手間がかかっていた。
条件に合う協力運送会社に、電話やメール、FAXなどで車両の手配を依頼して配送指示書を送付する。
1社目で手配できない場合は、2社目、3社目と車両を確保できるまで複数の協力会社に連絡する必要があった。
また、チャーター便の請求は多くの場合、紙の請求書でのやり取りのため、データ化する打ち込み作業が発生する。
しかも、請求書が届くのは月初などの特定期間に集中する。
チャーターの利用が多い物流拠点ではとりわけ業務負荷が大きかった。
これらの課題の解決に向けて配車関連業務のデジタル化に着手した。
当初は全社統一の輸送管理システムを新たに構築することも検討した。
しかし、それによってNTTロジスコ側では業務が標準化されても、協力会社の取引先は必ずしもNTTロジスコだけではない。
NTTロジスコの独自システムが協力会社の負担になってしまう恐れがあった。
NTTロジスコのサービス本部サービス開発部の小板橋典通主査は「チャーター便を共通で管理するプラットフォームを当社が独自に作ってしまうと汎用性がなくなってしまう。
それよりもオープンなプラットフォームに乗る方が短期間で課題を解決できると判断した」と語る。
ラクスルの「ハコベルコネクト」を選んだ。
自社・協力会社の配車管理と求貨求車サービスをウェブ上で一体的に運用して配車依頼から納品までの情報や請求を一元管理できる。
ラクスルの鈴木裕之ハコベル事業本部ソリューション事業部長は「軽貨物と異なり、一般貨物ではスポットの求車は業務全体のごく一部。
ハコベルコネクトは配車業務全般に利用できるプラットフォームになっている」という。
NTTロジスコは20年6月、まず平和島、千葉、長野の3拠点を対象にハコベルコネクトを導入した。
平和島物流センターは主にICT関連のネットワーク機器などを扱っている。
時間指定が大半な上、養生などにも高い水準が求められる。
千葉物流センターは通販向けが主体で、チャーター便の件数が非常に多い。
長野物流センターは主にアパレル系。
こちらは店舗配送を検証する狙いだった。
他のセンターへの横展開を念頭に置いて条件の厳しい拠点をあえて選んだ。
結果は良好。
NTTロジスコのICT事業本部第一ICTサービス部の光永和樹主査は「ハコベルコネクトを導入した初期3拠点の配車担当者は全員が『コネクトはいい』と話している。
それが当社における導入効果の全てを物語っている」という。
ハコベルコネクトを通じて協力会社への配車手配を行うことで、配車業務全体が可視化された。
作業ステータスの共有や手配漏れの防止が実現した。
請求処理も格段に楽になった。
メールや電話、FAXでのやり取りが大幅に減ったことでNTTロジスコと協力運送会社側の双方の業務工数が大幅に軽減された。
20年6月に3拠点で開始したハコベルコネクトの導入は20年末には全国の拠点で完了。
現在は追加のデータ連携の仕組みなどを含めて運用方法を練り上げている。
属人的な業務ノウハウをシステム化 アナログ管理と並ぶ、もうひとつの課題だった属人化された配車計画業務についても、NTTロジスコはラクスルと協力して解決を図っている。
NTTロジスコの小板橋主査は「配車関連業務における課題のうち、実行系の部分はハコベルコネクトで解決のめどが立った。
続いて計画系システムの開発に共同で取り組んだ」と話す。
それが「輸配送計画自動化システム」だ。
通常の輸配送計画の立案では、まず配車担当者が出荷指示書を確認して品名などから荷物全体のボリュームを判断する。
パレットの必要枚数などを推測した後、明日着や明後日着などの条件を確認して、最もコストがかからず、かつ手配が可能な手法を選ぶ。
小型の荷物であっても数が多ければ宅配便と路線便のどちらがいいのか、あるいはチャーター便なのか、配車担当者によって判断は異なってくる。
決まったルールやマニュアルがあるわけでもない。
従来は配車担当者各人が最適と考える計画を立案するしかなかった。
その属人的なノウハウをシステムに落とし込む必要があった。
ソフトウエアの開発に当たって、ラクスルはNTTロジスコにヒアリングを行った。
助手が必要な配送や朝9時着といったピンポイントの時間指定には必ずチャーター便を使うなど、配車担当者が保有するノウハウが多数あった。
そこから荷主別に協力運送会社を使い分ける際のベストプラクティスを抽出、アルゴリズムを組み立てさまざまな条件下の輸配送計画を自動で立案できるシステムを構築した。
21年1月、NTTロジスコの20年8月の出荷実績データを用いてシステムの実証実験を行った。
どの場所にいくらで運んだという実績と、全く同じ条件でシステムが立案した輸配送計画を比較した。
NTTロジスコの小板橋主査は「そのまま使えそうな結果がかなり出ていた」という。
例えば、3カ所の輸送先に対して3台のトラックを走らせていたケースでは、輸配送計画自動化システムは1台のトラックを午前、午後、夕方で回る計画を立案した。
あるいはチャーターではなく路線便を使うといった計画を立て、輸配送コストを25%削減した。
計画業務の自動化によって輸配送計画に関わる事務作業の所要時間も約75%削減された。
「輸配送計画自動化システム」は輸送先の住所、納品日、希望がある場合は納品時間、荷物の大きさと重量を入力すると、最も安く、手配可能な案を算出する。
路線、宅配、チャーターといった輸配送手段の振り分けも割り出す。
NTTロジスコは今後、同システムを受託している物流業務単位で運用していく計画だ。
まずはチャーター便の利用が多く、しかも時間指定や精細な荷扱いなどが要求されるBtoBの法人向け納品での活用を構想している。
一方、ラクスルは同システムをハコベルコネクトの追加機能として展開していく考えだ。
「今後はハコベルコネクトを通じて同システムを幅広いユーザーに展開していきたい。
その過程では現時点では組み込まれていない制約条件も出てくるはずだ。
それを取り込んでアルゴリズムを改善して利便性と汎用性を継続的に高めていきたい。
物流業界にはデジタル化されていない知見がまだまだ埋もれている。
それをシステム化する取り組みを続けていく」とラクスルの鈴木部長は意欲を見せている。
