2021年3月号
特集
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コロナ禍で加速する同業種共配 事務機器業界「動脈物流共同化」始まる
主要メーカーが足並みをそろえる
事務機器の業界団体、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)が「動脈物流共同化活動」をスタートした。
2018年にメーカー9社(キヤノン、リコー、富士ゼロックス、コニカミノルタ、セイコーエプソン、京セラドキュメントソリューション、東芝テック、シャープ、理想科学工業)とその販売会社、計15社でワーキンググループ(WG)を組織して共同化の検討を進めてきた。
今年、同WGを常設の委員会に格上げして、業務用複合機・プリンターのエリア共配の実証実験を行う。
実証実験で有効性を確認できたら、その後、対象エリアを全国に広げていく。
WGのメンバーには事務機器業界の主要企業のほとんどが名を連ねている。
業界全体が相乗りする物流プラットフォームに成長する可能性がある。
JBMIAはこれまでも20年以上にわたり「静脈物流委員会」を組織・運営してきた。
家電リサイクル法が制定された1998年に「静脈物流プロジェクト委員会」を設立。
その翌年には使用済みの複写機・複合機を回収・リサイクルする「回収機交換システム」を構築した。
業務用の複写機・複合機は使用済み製品の下取りが商慣習として定着している。
リプレースの場合には他社製品を下取りすることもよくある。
しかし回収した他社製品の処理施設を特定して、受け入れを申請する後処理にはかなりの手間が掛かっていた。
ハンドリングや輸送効率も悪かった。
そこで各社が回収した他社製品を集約する「交換センター」を設置、そこで製造元メーカーに引き渡すようにした。
引き渡し後は交換センターから混載の定期便で各社指定の処理施設に持ち込む。
各社の回収拠点から交換センターまでの輸送ロットがまとまらないエリアでは、ミルクランで集荷に回る仕組みも整備した。
1999年に首都圏で運用を開始、それから2年余りで対象エリアを全国に拡大した。
現在は全国の主要10都市に交換センターを設置し、32都市に回収デポを置いて年間約8万台以上を取り扱っている。
交換センターおよび回収デポの運営と輸送業務は日本通運とSBSリコーロジスティクスに委託している。
静脈物流委員会には現在もメーカーおよび販売会社12社(エプソン販売、キヤノンマーケティングジャパン、京セラドキュメントソリューションズ、コニカミノルタジャパン、シャープマーケティングジャパン、東芝テック、パナソニック、富士ゼロックス、村田機械、リコージャパン、デュプロ、理想科学工業)が参加して定期的に会合を開催して仕組みの高度化を図っている。
同委員会の継続的な取り組みは、経済産業省、国土交通省、日本ロジスティクスシステム協会、日本物流団体連合会が主催する2016年度「グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」で「グリーン物流パートナーシップ会議特別賞」を受賞した。
しかし、静脈物流と違って動脈物流は、納品のリードタイムやサービス品質が販売活動に影響する顧客サービスだ。
静脈物流では長期にわたってライバルとの協力関係を維持してきたが、動脈物流はこれまで対象外だった。
ところが、物流危機が発生、慢性的なドライバー不足が意識されるようになり、運べないリスクが顕在化したことで風向きが変わった。
さらに政府主導の「ホワイト物流」推進運動も背中を押した。
JBMIAの橋爪弘業務執行理事常務理事は「複合機・プリンターは市場規模としてはかなり大きいが、コモディティ化が進んで製品の機能や物流サービスに大きな差はなくなっている。
またSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は今や業界共通の課題。
これまでの『共に競う』に代わって『共に創る』領域が広がり、物流はその一つと認識されるようになった」と説明する。
動脈物流共同化活動WGでは、共同配送の実現に向けたコンセプトを次の五つに整理している。
・ 『競争』から『共創』の精神の下、持続可能な社会の実現に貢献し、『運べないリスク』を解決する。
・ 物流品質・コンプライアンスに留意し、共同物流により効率化を図り、コストの上昇を抑制する。
・ 納品基準の標準化・納品波動の平準化を推進し、お客さまへの適切なサービスと安定した配送サービスを実現する。
・ 行政の政策と連動し、社会的課題の解決を図る。
・ 賛同できる企業からスタートし、いつでも参加を可能とする。
具体的には、納品エリアの協力物流会社の既存施設に各社の製品を集約、そこで積み合わせて複数の納品先を回るというスキームが想定されている。
各社は顧客に約束した納品日の前日までに配送拠点に製品を持ち込む。
当日は各納品先で各社のサービスマンが指定時間に待ち構えて機器を受け取り設置する(図)。
現在、各社は首都圏などから出荷した製品を現地の協力運送会社の倉庫を経由して専用便で納品している。
閑散期には配送1回につき納品先は1カ所だけということが多く積載率が良くない。
しかし、複写機・複合機の輸送にはエアサスペンションと昇降リフトを備えたパワーゲート車を使用するため、月末や期末の繁忙期には車両の奪い合いになることもある。
これを共同化すれば1回の配送で5〜6カ所に納品することもできるとみている。
各社が対象エリアにそれぞれ構えている中拠拠点も不要になり、総使用車両台数を3分の1から5分の1に削減できる可能性もあると期待している。
繁忙期の車両不足も大幅に軽減される。
現在、WGでは北海道から九州までの商圏を精査して、実証実験の対象エリアを検討している。
まずは、共同化のメリットを出しやすい小都市や過疎地など物量が比較的少ないエリアを想定している。
複数箇所が候補に上がっている。
各地の物流パートナーはこれから選定する。
動脈物流共同化活動のWGは業界最大手のキヤノンが取りまとめ役を務めている。
一般に同業種の物流共同化はこれまで、大手ほど消極的になる傾向があった。
とりわけ最大手は参加を渋ることがよくあった。
もともと物量があるため他社と比べて共同化のメリットが薄い。
共同化すればライバルに塩を送ることになるからだ。
しかし、JBMIAの橋爪常務理事は「むしろ、今は大手ほど共同化に積極的という印象だ。
多くのモノを運んでいるところほど、物流で競争するのは苦しいと考えるようになってきているのだろう。
今回の取り組みも大手が意欲的にリードしてくれている」と言う。
2018年にメーカー9社(キヤノン、リコー、富士ゼロックス、コニカミノルタ、セイコーエプソン、京セラドキュメントソリューション、東芝テック、シャープ、理想科学工業)とその販売会社、計15社でワーキンググループ(WG)を組織して共同化の検討を進めてきた。
今年、同WGを常設の委員会に格上げして、業務用複合機・プリンターのエリア共配の実証実験を行う。
実証実験で有効性を確認できたら、その後、対象エリアを全国に広げていく。
WGのメンバーには事務機器業界の主要企業のほとんどが名を連ねている。
業界全体が相乗りする物流プラットフォームに成長する可能性がある。
JBMIAはこれまでも20年以上にわたり「静脈物流委員会」を組織・運営してきた。
家電リサイクル法が制定された1998年に「静脈物流プロジェクト委員会」を設立。
その翌年には使用済みの複写機・複合機を回収・リサイクルする「回収機交換システム」を構築した。
業務用の複写機・複合機は使用済み製品の下取りが商慣習として定着している。
リプレースの場合には他社製品を下取りすることもよくある。
しかし回収した他社製品の処理施設を特定して、受け入れを申請する後処理にはかなりの手間が掛かっていた。
ハンドリングや輸送効率も悪かった。
そこで各社が回収した他社製品を集約する「交換センター」を設置、そこで製造元メーカーに引き渡すようにした。
引き渡し後は交換センターから混載の定期便で各社指定の処理施設に持ち込む。
各社の回収拠点から交換センターまでの輸送ロットがまとまらないエリアでは、ミルクランで集荷に回る仕組みも整備した。
1999年に首都圏で運用を開始、それから2年余りで対象エリアを全国に拡大した。
現在は全国の主要10都市に交換センターを設置し、32都市に回収デポを置いて年間約8万台以上を取り扱っている。
交換センターおよび回収デポの運営と輸送業務は日本通運とSBSリコーロジスティクスに委託している。
静脈物流委員会には現在もメーカーおよび販売会社12社(エプソン販売、キヤノンマーケティングジャパン、京セラドキュメントソリューションズ、コニカミノルタジャパン、シャープマーケティングジャパン、東芝テック、パナソニック、富士ゼロックス、村田機械、リコージャパン、デュプロ、理想科学工業)が参加して定期的に会合を開催して仕組みの高度化を図っている。
同委員会の継続的な取り組みは、経済産業省、国土交通省、日本ロジスティクスシステム協会、日本物流団体連合会が主催する2016年度「グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」で「グリーン物流パートナーシップ会議特別賞」を受賞した。
しかし、静脈物流と違って動脈物流は、納品のリードタイムやサービス品質が販売活動に影響する顧客サービスだ。
静脈物流では長期にわたってライバルとの協力関係を維持してきたが、動脈物流はこれまで対象外だった。
ところが、物流危機が発生、慢性的なドライバー不足が意識されるようになり、運べないリスクが顕在化したことで風向きが変わった。
さらに政府主導の「ホワイト物流」推進運動も背中を押した。
JBMIAの橋爪弘業務執行理事常務理事は「複合機・プリンターは市場規模としてはかなり大きいが、コモディティ化が進んで製品の機能や物流サービスに大きな差はなくなっている。
またSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は今や業界共通の課題。
これまでの『共に競う』に代わって『共に創る』領域が広がり、物流はその一つと認識されるようになった」と説明する。
動脈物流共同化活動WGでは、共同配送の実現に向けたコンセプトを次の五つに整理している。
・ 『競争』から『共創』の精神の下、持続可能な社会の実現に貢献し、『運べないリスク』を解決する。
・ 物流品質・コンプライアンスに留意し、共同物流により効率化を図り、コストの上昇を抑制する。
・ 納品基準の標準化・納品波動の平準化を推進し、お客さまへの適切なサービスと安定した配送サービスを実現する。
・ 行政の政策と連動し、社会的課題の解決を図る。
・ 賛同できる企業からスタートし、いつでも参加を可能とする。
具体的には、納品エリアの協力物流会社の既存施設に各社の製品を集約、そこで積み合わせて複数の納品先を回るというスキームが想定されている。
各社は顧客に約束した納品日の前日までに配送拠点に製品を持ち込む。
当日は各納品先で各社のサービスマンが指定時間に待ち構えて機器を受け取り設置する(図)。
現在、各社は首都圏などから出荷した製品を現地の協力運送会社の倉庫を経由して専用便で納品している。
閑散期には配送1回につき納品先は1カ所だけということが多く積載率が良くない。
しかし、複写機・複合機の輸送にはエアサスペンションと昇降リフトを備えたパワーゲート車を使用するため、月末や期末の繁忙期には車両の奪い合いになることもある。
これを共同化すれば1回の配送で5〜6カ所に納品することもできるとみている。
各社が対象エリアにそれぞれ構えている中拠拠点も不要になり、総使用車両台数を3分の1から5分の1に削減できる可能性もあると期待している。
繁忙期の車両不足も大幅に軽減される。
現在、WGでは北海道から九州までの商圏を精査して、実証実験の対象エリアを検討している。
まずは、共同化のメリットを出しやすい小都市や過疎地など物量が比較的少ないエリアを想定している。
複数箇所が候補に上がっている。
各地の物流パートナーはこれから選定する。
動脈物流共同化活動のWGは業界最大手のキヤノンが取りまとめ役を務めている。
一般に同業種の物流共同化はこれまで、大手ほど消極的になる傾向があった。
とりわけ最大手は参加を渋ることがよくあった。
もともと物量があるため他社と比べて共同化のメリットが薄い。
共同化すればライバルに塩を送ることになるからだ。
しかし、JBMIAの橋爪常務理事は「むしろ、今は大手ほど共同化に積極的という印象だ。
多くのモノを運んでいるところほど、物流で競争するのは苦しいと考えるようになってきているのだろう。
今回の取り組みも大手が意欲的にリードしてくれている」と言う。
