{literal} {/literal}

2021年3月号
特集

スターフェスティバル 「スタロジ」 食品配達のドライバーと車両をシェアリング

1時間4400円で軽貨物チャーター  日本最大級の法人・団体向けフードデリバリー事業を展開するスターフェスティバルが物流事業を拡大している。
同社は約860店舗の飲食店の9300種類以上の宅配弁当をインターネットサイト「ごちクル」で販売するほか、社食向けの日替わり弁当やケータリングなどのサービスを提供している。
 併せて、飲食店がEC事業に参入するのを支援するため、弁当の商品開発から注文受付、決済、配達まで、製造工程を除く全ての業務をスターフェスティバルがサポートする「スタートデリバリー」を運営している。
 同社の創業者の岸田祐介社長は、楽天の社員として出前専門のECモール「楽天デリバリー」事業の立ち上げを経験した後に独立、2009年3月にEC専業の宅配弁当店「南青山惣助」を開店。
その3カ月後にスターフェスティバルを創業した。
 13年にそのサービス網を全国47都道府県に拡大した。
14年にはアスクルとの協業を発表した。
現在、同社の株主にはアスクルをはじめ、セイノーホールディングス、学校給食・企業食堂を運営するシダックス、キッコーマン、JR東日本などの大手企業が名を連ねている。
 スターフェスティバルは20年1月、子会社のOMOTENASHIを新設して飲食店情報サイトのぐるなびから法人向けフードデリバリー事業を継承した。
これによってフードデリバリー事業の年間取扱高は100億円以上に拡大した。
現在、2500店舗以上の約2万5千種類のデリバリー商品を取り扱う。
他に楽天とも協業している。
「楽天デリバリー」の受注管理オペレーションなど一部の業務を受託している。
 その一方で18年10月に新事業「スタロジ」を開始した。
東京23区内と対象エリアの同一市内に3850円で納品する。
あるいは軽貨物チャーターを1時間4400円で貸し出す。
同社がフードデリバリー事業で運用している軽貨物車両の非稼働時間または空きスペースをマッチングして配送するため、相場よりも運賃が割安に抑えられている。
 車両の荷台の大きさは幅130センチ、高さ120センチ、奥行き180センチ。
取り扱う荷物は1個当たり最大重量20キログラム。
食品配送用の軽貨物に積載するため大型荷物の家具・家電や、瓦礫、臭気を発するものなどは基本的に配送できない。
 一方で普段から弁当のような温度管理が必要な荷物を運んでおり、配送に用いられる軽貨物車両には冷却機能を持つコンプレッサーが搭載されていることから、冷蔵品の配送も受け付けている。
 東京23区から開始して、神奈川県、千葉県、埼玉県の一部地域、大阪市に対象エリアを拡大してきた。
現在、首都圏では1日当たり約200台の車両が稼働している。
スタート以来、同事業の売り上げは増え続け、スターフェスティバルが展開する総事業の1割程度を占めるまで成長した。
 最も取り扱いが多いのはやはり食品関係の荷物という。
卸売事業者などの荷主が飲食店に食肉や農産物、飲料などを供給する際に利用している。
大型トラックと異なり、小回りがきいて機動力がある点が強みになっている。
 スタロジを始める前まで、同社のフードデリバリー事業は輸送効率に悩まされていた。
配達はランチ前の時間帯に集中するため、1台あたり2~3軒分の弁当しか載せられない。
荷台のスペースが大きく空いていた。
稼働率にも課題があった。
注文は配達日の前日に締め切られて確定する。
しかし、車両の手配はそれより前に済ませなければならない。
当日、足りない分は軽貨物車両を緊急手配、あるいは社員が自分でクルマを出して配送していた。
 次第に車両の確保が難しくなったことから、4時間限定の軽貨物チャーターを一定の台数、固定で確保することで業務を安定させた。
しかし、車両を4時間貸し切っても、実際に稼働するのは1日平均2・5時間程度。
残りの1・5時間は遊ばせていた。
車両の積載率、稼働率を向上するため、他の荷物を一緒に配送しようという社内提案からスタロジが生まれた。
冷凍・冷蔵軽車両をリース  共同配送を狙ってスタートしたが、実際にサービスを展開していくうちに混載よりもチャーター便としての利用ニーズのほうが大きいことが分かってきたという。
 スターフェスティバルの弁当の配達量は、昼間が8割、夜間が2割という割合だ。
昼食の配達は8~10時に注文の弁当を集荷して10時半~11時半に目的地に届ける。
そこに混載するには、集荷や配達予定時間が重ならない荷物を選ばなくてはならない。
 それをシステム化しようとすれば容積や重量などの荷物のデータ、集荷情報、納品情報をデジタル化して、マッチングしなければならない。
かなりハードルが高い。
そのため現在は弁当の配送車両に、他の荷主1社だけを割り当て混載している。
 配送管理は容積や重量ベースではなく時間ベースで行っている。
同社の池上隆宣スタロジ事業部長は「荷室内の空間を100%埋めようとは考えていない。
現段階では容積と重量を踏まえて高積載率で運ぶこともよりも、お客さまに短時間の輸送サービスを提供することの方がニーズが大きいからだ」と説明する。
 スタロジの利用方法は次の通り。
配送依頼者は配達日2日前18時までに、ウェブサイトのフォームに必要事項を入力、もしくは電話で直接連絡して配達を依頼する。
注文が確定すると注文確定メールが届く。
続いて配送当日の集荷時間の2時間前までにドライバー個人の情報が依頼者に届く。
配達完了後、翌月5営業日以内に依頼者に請求書が送付される。
請求書の到着月末までに指定口座に振り込みを済ませる。
 最短1時間からのチャーターが可能。
配送会社が1時間のスポット配送のために営業活動を行い、荷主と運送契約書を取り交わしていたら割に合わない。
スターフェスティバルがその機能を代行して、短時間で終わる輸送ニーズとマッチングすることで、配送会社の稼働率を向上している。
 スターフェスティバルは20年1月にJA三井リースと資本業務提携契約を締結、11月に合弁でスタロジリースを新設した。
配送パートナーに既存車両よりも温度管理能力が高い冷凍冷蔵対応の軽貨物車両をリースする。
数年内に2千台程度の導入を見込んでいる。
 池上部長は「配送パートナーにもっと儲けてもらいたい」と言う。
弁当の配達は午前中がメーン。
それだけではなかなか生計は立てられない。
しかし、午後は仕事が少ない。
 そこでスターフェスティバルが積極的に荷主に支払いコストの削減を提案して、さまざまな荷主から配送業務を引き受け、配送パートナーの業務が最適化されるように荷物を組み合わせることで稼働率を高める。
配送パートナーの経理や採用業務といったバックオフィス業務などの付帯業務をスターフェスティバルが肩代わりする。
 池上部長は「当社は基本的にIT企業。
配送パートナーやドライバーが現状よりも良い環境で仕事が受けられるようにシステム的または人的にサポートする。
荷主、配送パートナー、われわれが三方良しになる仕組みを目指す」と言う。

月刊ロジスティクス・ビジネス

購読のお申し込みはこちらから