2021年3月号
特集
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日本型倉庫の要件定義が進み3PLの利用拡大
荷役作業付の利用が半数まで増加
──soucoの現在の稼働状況は。
「プラットフォームの登録企業数は2021年1月末時点で1800社を超えました。
空き倉庫の登録数もこの1年で約2倍になり、900近くまで増えました。
間もなく1千軒を突破できそうです。
ようやくしっかりとトランザクションが立てられるようになって、マーケットを作れてきたという手応えを感じています」 ──コロナ禍はどう影響していますか。
「一つはコロナで伸びた需要に対してスペースが足りないという話、もうひとつは出荷が止まって在庫の置き場がないという、双方の理由から利用が拡大しています。
一方で物流不動産市場が過熱しているため、先行して物流施設を押さえたテナントから『当面はスペースが空いているので』という相談も増えています」 ──soucoに登録された物件の料金の決め方や料金水準を教えて下さい。
「契約の種類として、スペースだけ利用する場合の賃貸借契約と、荷役作業込みの寄託契約の二つがあるのですが、いずれも貸し主が決めた単価に当社の所定の手数料(10%〜15%)を上乗せした料金になります。
そのため物件によって多少バラツキはありますが全体としては当社の手数料を含めた料金で、そのエリアの相場並みです」 ──賃借する期間や使い方の傾向は。
「契約期間としてはやはりワンシーズン、3カ月から5カ月が多い。
賃貸借契約と寄託契約の比率は成約ベースで今のところ半々です。
ただし、需要としては荷役付きのほうが多い。
soucoはスペース貸しからサービスを開始したので、物流不動産会社が貸し主で3PLが借りる、というイメージを持たれていたのですが、現在は3PLが貸し主としても積極的に利用してくれるようになってきました。
その場合は、ほぼ寄託契約です」 ──寄託契約の場合の荷姿は、パレット、ロールボックス、木枠木箱を対象としています。
ケース単位やピース単位の出荷は取り扱わないのですか。
「将来的にはケース物流のマッチングも可能だと考えていますが、当面はパレット物流を対象にします。
寄託契約のマッチングには、貸し主と借り主、双方の調整が必要です。
スペースがあっても人繰りやフォークリフトの処理能力が足りない場合には、われわれから貸し主に増員を提案したり、人材会社を紹介したりしています。
そのため賃貸借契約であればお申し込みから最短3日で利用を開始できるのですが、寄託契約の場合は業務開始までに3週間程度もらっています。
短期の融通ですからそれ以上はかけたくない。
個別に業務要件を定義している時間的余裕はありません」 ──市場規模をどう見積もっていますか。
「営業倉庫の国内市場が約2兆円で、自社倉庫はその倍といわれていますから計6兆円、そのうち少なくとも30%、約1兆8000億円のマーケットにどう使ってもらうかというところです」 ──サービスを運営して初めて分かったこと、新たに見えてきたことはありますか。
「倉庫のマッチングに必要な要件がだんだんと見えてきました。
物流会社のホームページで営業倉庫に関する問い合わせフォームを見てもらえば分かるのですが、どこもフリーテキスト(自由記述形式)でまったくフォーマット化されていません。
詳細は営業マンが連絡を入れてヒアリングしているわけです。
それをわれわれは分かりやすく入力フォームに整理する必要がありました。
現在、荷主向けには最大49項目、倉庫を提供する事業者向けには最大101項目の入力フォームを設定しています。
多く埋めてもらうほどマッチングの精度は高くなる」 ──海外のオンデマンド倉庫のフォームを日本に持ち込むわけにはいかなかったのですか。
「そもそも海外の物流は日本よりずっと規格化されているので入力フォームの項目数が少ないんです。
日本はパレット一つとっても多くの種類があり、荷姿もさまざまです。
われわれはそれを選択式で選べるように設計しています。
soucoのフォームを使ってもらえば、寄託を受ける側の物流企業は初見で業務内容を判断できる」 「これは見方を変えると、現在の日本の営業倉庫事業は荷主の業務要件を定義すること自体が付加価値の高い仕事になっているということです。
荷主に何をどの順番で尋ねたら良いのか、営業マン個人の引き出しに入っていて属人化している。
それをわれわれは整理していることになる」 ──営業倉庫事業の変革にもつながりそうです。
「実際、当初は事業会社から『当社のフォーマットじゃないと契約できないよ』と突っぱねられていたものが、最近では『soucoの入力フォームを当社の営業マンのヒアリングツールに使いたい』とまで言われるようになりました」 トヨタL&Fと業務提携 ──昨年9月にDHLサプライチェーン出身で物流業界の経験が豊富なティエンテック・ティオ氏をsoucoのCOOとして招聘しました。
「ようやく日本でも倉庫マッチングの仕組みとサービスの存在が認識されるようになってはきましたが、これからマーケットを成長させていくには、さらに踏み込んだ提案が必要だと考えています。
需要変動に応じて足りないときに使うというだけでなく、例えば不動在庫をメーンのDCではなく坪単価の安い倉庫に移して必要に応じて引き出すようにしたり、あるいは納品先に近い場所に在庫を置いて輸送費と合わせたトータルコストを削減したり、中継拠点を置いて長距離輸送を回避したりといったソリューションを、われわれから仕掛けていくことでsoucoの利用シーンは大きく広がっていきます。
ティオ氏のような3PLのスペシャリストの知見をそこで生かしたい」 ──自動マッチングの世界からは離れていきます。
「現状はユーザーに対してフェイス・トゥ・フェイスで向き合っています。
そうやってユーザーとの関係性を深めていくことで、われわれの仕組みを使って解決し得る課題がまだまだあることが分かってきました。
そうした課題に対してソリューションを提示して、それで本当に効果が得られることを分かってもらえたら、ツールとして自然と定着していくはずです」 ──昨年2月に商工中金と「ビジネスマッチング契約」を結びました。
資料によると商工中金は貸出先は約3割が「運輸・郵便業」で、全国の運送会社や倉庫会社、約1万2千社に融資している。
「商工中金さんは、地方経済や地域産業の再興を目的とする『本業支援一体型の金融サービス』を展開しています。
その一環で当社と協業していただくことになりました。
商工中金に口座を持つ物流事業者にsoucoに登録するように働きかけてもらい、マッチングが成立したら当社から商工中金にフィーを支払います。
他の地銀とも同様の提携をいくつか結んでいます」 ──同12月には豊田自動織機とも提携した。
「豊田自動織機さんは物流ソリューションを提供しているわけですが、自動化機器やマテハンへの投資は倉庫の稼働率が高くないと回収が難しい。
その一方、庫内の改善が進んで生産性が高まるとスペースに空きが出てきます。
その両面からsoucoがバッファ機能を提供します。
業務の標準化、規格化が進んだ倉庫は融通性も向上します。
それがまたsoucoのネットワークの拡大につながるという好循環を狙っています」
「プラットフォームの登録企業数は2021年1月末時点で1800社を超えました。
空き倉庫の登録数もこの1年で約2倍になり、900近くまで増えました。
間もなく1千軒を突破できそうです。
ようやくしっかりとトランザクションが立てられるようになって、マーケットを作れてきたという手応えを感じています」 ──コロナ禍はどう影響していますか。
「一つはコロナで伸びた需要に対してスペースが足りないという話、もうひとつは出荷が止まって在庫の置き場がないという、双方の理由から利用が拡大しています。
一方で物流不動産市場が過熱しているため、先行して物流施設を押さえたテナントから『当面はスペースが空いているので』という相談も増えています」 ──soucoに登録された物件の料金の決め方や料金水準を教えて下さい。
「契約の種類として、スペースだけ利用する場合の賃貸借契約と、荷役作業込みの寄託契約の二つがあるのですが、いずれも貸し主が決めた単価に当社の所定の手数料(10%〜15%)を上乗せした料金になります。
そのため物件によって多少バラツキはありますが全体としては当社の手数料を含めた料金で、そのエリアの相場並みです」 ──賃借する期間や使い方の傾向は。
「契約期間としてはやはりワンシーズン、3カ月から5カ月が多い。
賃貸借契約と寄託契約の比率は成約ベースで今のところ半々です。
ただし、需要としては荷役付きのほうが多い。
soucoはスペース貸しからサービスを開始したので、物流不動産会社が貸し主で3PLが借りる、というイメージを持たれていたのですが、現在は3PLが貸し主としても積極的に利用してくれるようになってきました。
その場合は、ほぼ寄託契約です」 ──寄託契約の場合の荷姿は、パレット、ロールボックス、木枠木箱を対象としています。
ケース単位やピース単位の出荷は取り扱わないのですか。
「将来的にはケース物流のマッチングも可能だと考えていますが、当面はパレット物流を対象にします。
寄託契約のマッチングには、貸し主と借り主、双方の調整が必要です。
スペースがあっても人繰りやフォークリフトの処理能力が足りない場合には、われわれから貸し主に増員を提案したり、人材会社を紹介したりしています。
そのため賃貸借契約であればお申し込みから最短3日で利用を開始できるのですが、寄託契約の場合は業務開始までに3週間程度もらっています。
短期の融通ですからそれ以上はかけたくない。
個別に業務要件を定義している時間的余裕はありません」 ──市場規模をどう見積もっていますか。
「営業倉庫の国内市場が約2兆円で、自社倉庫はその倍といわれていますから計6兆円、そのうち少なくとも30%、約1兆8000億円のマーケットにどう使ってもらうかというところです」 ──サービスを運営して初めて分かったこと、新たに見えてきたことはありますか。
「倉庫のマッチングに必要な要件がだんだんと見えてきました。
物流会社のホームページで営業倉庫に関する問い合わせフォームを見てもらえば分かるのですが、どこもフリーテキスト(自由記述形式)でまったくフォーマット化されていません。
詳細は営業マンが連絡を入れてヒアリングしているわけです。
それをわれわれは分かりやすく入力フォームに整理する必要がありました。
現在、荷主向けには最大49項目、倉庫を提供する事業者向けには最大101項目の入力フォームを設定しています。
多く埋めてもらうほどマッチングの精度は高くなる」 ──海外のオンデマンド倉庫のフォームを日本に持ち込むわけにはいかなかったのですか。
「そもそも海外の物流は日本よりずっと規格化されているので入力フォームの項目数が少ないんです。
日本はパレット一つとっても多くの種類があり、荷姿もさまざまです。
われわれはそれを選択式で選べるように設計しています。
soucoのフォームを使ってもらえば、寄託を受ける側の物流企業は初見で業務内容を判断できる」 「これは見方を変えると、現在の日本の営業倉庫事業は荷主の業務要件を定義すること自体が付加価値の高い仕事になっているということです。
荷主に何をどの順番で尋ねたら良いのか、営業マン個人の引き出しに入っていて属人化している。
それをわれわれは整理していることになる」 ──営業倉庫事業の変革にもつながりそうです。
「実際、当初は事業会社から『当社のフォーマットじゃないと契約できないよ』と突っぱねられていたものが、最近では『soucoの入力フォームを当社の営業マンのヒアリングツールに使いたい』とまで言われるようになりました」 トヨタL&Fと業務提携 ──昨年9月にDHLサプライチェーン出身で物流業界の経験が豊富なティエンテック・ティオ氏をsoucoのCOOとして招聘しました。
「ようやく日本でも倉庫マッチングの仕組みとサービスの存在が認識されるようになってはきましたが、これからマーケットを成長させていくには、さらに踏み込んだ提案が必要だと考えています。
需要変動に応じて足りないときに使うというだけでなく、例えば不動在庫をメーンのDCではなく坪単価の安い倉庫に移して必要に応じて引き出すようにしたり、あるいは納品先に近い場所に在庫を置いて輸送費と合わせたトータルコストを削減したり、中継拠点を置いて長距離輸送を回避したりといったソリューションを、われわれから仕掛けていくことでsoucoの利用シーンは大きく広がっていきます。
ティオ氏のような3PLのスペシャリストの知見をそこで生かしたい」 ──自動マッチングの世界からは離れていきます。
「現状はユーザーに対してフェイス・トゥ・フェイスで向き合っています。
そうやってユーザーとの関係性を深めていくことで、われわれの仕組みを使って解決し得る課題がまだまだあることが分かってきました。
そうした課題に対してソリューションを提示して、それで本当に効果が得られることを分かってもらえたら、ツールとして自然と定着していくはずです」 ──昨年2月に商工中金と「ビジネスマッチング契約」を結びました。
資料によると商工中金は貸出先は約3割が「運輸・郵便業」で、全国の運送会社や倉庫会社、約1万2千社に融資している。
「商工中金さんは、地方経済や地域産業の再興を目的とする『本業支援一体型の金融サービス』を展開しています。
その一環で当社と協業していただくことになりました。
商工中金に口座を持つ物流事業者にsoucoに登録するように働きかけてもらい、マッチングが成立したら当社から商工中金にフィーを支払います。
他の地銀とも同様の提携をいくつか結んでいます」 ──同12月には豊田自動織機とも提携した。
「豊田自動織機さんは物流ソリューションを提供しているわけですが、自動化機器やマテハンへの投資は倉庫の稼働率が高くないと回収が難しい。
その一方、庫内の改善が進んで生産性が高まるとスペースに空きが出てきます。
その両面からsoucoがバッファ機能を提供します。
業務の標準化、規格化が進んだ倉庫は融通性も向上します。
それがまたsoucoのネットワークの拡大につながるという好循環を狙っています」
