2021年3月号
特集
特集
ヒト ・モノ ・カネ ・情報・ノウハウの共同化
◦ヒト──多能工化が前提
「ヒトの共同化」と言われても何のことか、ピンと来ない読者は多いかもしれない。
しかし、労働力は今も最大の物流リソースだ。
人件費はトータル物流コストの半分以上を占める最大の費用項目だ。
しかも、ヒトの共同化は他のリソースと比べて比較的着手しやすい。
社内、親会社と物流子会社などのグループ内、あるいは荷主と物流パートナー間などの“身内”で調整できるからだ。
ただし、多能工化、マルチプレイヤーの育成がその前提となることに留意が必要だ。
◦モノ──サービスを組み立てる 「モノの共同化」には大きく「倉庫」と「輸配送」の二つがある。
専用倉庫から汎用倉庫への移行は最もシンプルな共同化である。
倉庫を提供する側はマルチテナント型にすることで売り上げをリスクヘッジできる。
一方、借りる側は費用を流動化できる。
ただし、汎用倉庫は階層やエレベーター・自動搬送機の使用制限などによって使い勝手や作業生産性などが大きく違ってくる。
賃料とのバランスを念頭に置いて物件をよく精査することが不可欠だ。
一方、「輸配送」はさらに「輸送(一次輸送)」と「配送(二次輸送)」に分けられる。
輸送の共同化としては、路線便=特積みによる混載サービスが従来から普及している。
共同物流の一形態といえる。
一方、配送の共同化は宅配便の他に、文字通りの共同配送サービスが広く行われている。
共同配送サービスは大きく、①複数荷主の商品を同一の納品先に届ける「ベンダー型共配」と、②複数荷主の商品を同一のエリア(配送ルート)の複数の納品先に届ける「エリア型共配」の二つに分けられる。
また昨今はトヨタ自動車や三菱食品、コープこうべなどの大手企業を中心に、自社配送ルートの戻りを利用して仕入先を集荷に回り、商品を調達する動きが活発になっている。
調達物流をミルクラン輸送によって内製化するわけである。
これも仕入先がそれぞれ仕立てていた納品を共同化する共同物流の一つといえるだろう(図1)。
物流会社の視点で共同配送を成立させるポイントを挙げると以下の通りである。
・ 荷主4~5社を集めて車両1台を仕立てるのではなく、1社で積載率70~80%の物量がある荷主をベースにして、その使用車両に少量荷主を積み合わせる。
・ 荷主の営業担当と共に納品先を回って納品時間の調整を行う。
・ 同じく荷主の営業と共に納品先を回り、立ち合い、置き配、鍵預かり納品などの納品方法の調整を行う。
・ 少なくとも半年に1回以上のスパンで定期的に配送ルートを抜本的に見直す。
物量や出荷傾向の変化に対応するためである。
・ 納品先別に納品方法や注意事項を明記した「納品カルテ」を作成してその情報を常に更新する。
スポットで傭車したドライバーでも納品できるようにするためである。
◦カネ──誰が何を所有するか 「カネ」の共同化として、「①倉庫」「②購買」「③成功報酬」にそれぞれ触れておく。
「①倉庫」に関わるプレーヤーを「荷主」「大手物流会社」「中小物流会社」「地主」の四つに分類、倉庫に関わるリソースを「マテハン」「建物」「土地」の三つに区分したときに、どのプレーヤーがどのリソースを資産として所有するのか、その一般的な役割分担は図2の通りである。
「地主」は土地もしくは土地と建物を提供する。
「中小物流会社」は土地は賃借して、多大なコストがかからない規模であれば建物は自分で建てる。
マテハンは自社で手配するのが大半である。
資本力がないため地主との強固な関係づくりが不可欠である。
「大手物流会社」は土地、建物、マテハン全てを自分で手配する。
ただし、条件を満たす用地が購入できない場合や契約期間の短い案件の拠点については土地を賃借する場合もある。
また最近は物流不動産企業による開発競争が激しく物流用地が高騰しているため、大手であっても建物まで賃貸するケースが増えている。
「荷主企業」は物流業務をアウトソーシングする場合には、物流企業と地主が役割を分担して、土地、建物、マテハンのハード全般を手配する。
一方、物流センターを自社運営している荷主企業はアセット型が多い。
物流に関わる「②購買」の共同化、共同購買は、コンビニ本部や物流会社の協同組合などで従来から幅広く実施されている。
車両を通常価格の約半額で調達しているケースも見られる。
協同組合による燃料の共同購買も常套手段である。
「③成功報酬」、ゲインシェアリングもコスト改善の成果として生まれたカネを荷主企業と物流会社で分け合う共同化の一つに数えられるだろう。
それぞれの取り分としては50:50という比率をよく耳にする。
また、期間は2年としているところが多い。
1年目はコスト改善に力を入れ、2年目からはリバウンド(値上げ)を回避して改善効果を定着させることに目的を置いている。
◦情報──システム整備が不可欠 SCMは情報システムの連携によってデータを共有してサプライチェーン全体の最適化を実現することを理想としている。
しかし、現実に原料の調達から生産、販売、回収までの全てをシステム連携できている企業は一握りである。
そもそもデータ化されていないプロセス、システム化されていない部署(部門)があったり、システム化されていてもデータ連携、データ交換ができないシステムになっているためである。
サプライチェーンの情報共有を実現するには次のシステムは最低限整備しておく必要がある。
①基幹システム、②生産管理システム、③販売管理システム、④受注システム、⑤輸出入(貿易)管理システム、⑥在庫管理システム、⑦倉庫管理システム(WMS)、⑧配送管理システム(TMS)、⑨財務管理システムなどである。
◦ノウハウ──レベル別に方法がある 「ノウハウ」も共同化できる。
その最もドラスチックな方法として、業務提携、資本提携、M&Aが挙げられる。
そこまでは至らないレベルでも、技術提案、出向の受け入れ、人事異動などによってノウハウを移植したり共有したりできる。
実務においても定期的な連絡会議や朝礼・昼礼などは情報共有の手段である。
しかし、労働力は今も最大の物流リソースだ。
人件費はトータル物流コストの半分以上を占める最大の費用項目だ。
しかも、ヒトの共同化は他のリソースと比べて比較的着手しやすい。
社内、親会社と物流子会社などのグループ内、あるいは荷主と物流パートナー間などの“身内”で調整できるからだ。
ただし、多能工化、マルチプレイヤーの育成がその前提となることに留意が必要だ。
◦モノ──サービスを組み立てる 「モノの共同化」には大きく「倉庫」と「輸配送」の二つがある。
専用倉庫から汎用倉庫への移行は最もシンプルな共同化である。
倉庫を提供する側はマルチテナント型にすることで売り上げをリスクヘッジできる。
一方、借りる側は費用を流動化できる。
ただし、汎用倉庫は階層やエレベーター・自動搬送機の使用制限などによって使い勝手や作業生産性などが大きく違ってくる。
賃料とのバランスを念頭に置いて物件をよく精査することが不可欠だ。
一方、「輸配送」はさらに「輸送(一次輸送)」と「配送(二次輸送)」に分けられる。
輸送の共同化としては、路線便=特積みによる混載サービスが従来から普及している。
共同物流の一形態といえる。
一方、配送の共同化は宅配便の他に、文字通りの共同配送サービスが広く行われている。
共同配送サービスは大きく、①複数荷主の商品を同一の納品先に届ける「ベンダー型共配」と、②複数荷主の商品を同一のエリア(配送ルート)の複数の納品先に届ける「エリア型共配」の二つに分けられる。
また昨今はトヨタ自動車や三菱食品、コープこうべなどの大手企業を中心に、自社配送ルートの戻りを利用して仕入先を集荷に回り、商品を調達する動きが活発になっている。
調達物流をミルクラン輸送によって内製化するわけである。
これも仕入先がそれぞれ仕立てていた納品を共同化する共同物流の一つといえるだろう(図1)。
物流会社の視点で共同配送を成立させるポイントを挙げると以下の通りである。
・ 荷主4~5社を集めて車両1台を仕立てるのではなく、1社で積載率70~80%の物量がある荷主をベースにして、その使用車両に少量荷主を積み合わせる。
・ 荷主の営業担当と共に納品先を回って納品時間の調整を行う。
・ 同じく荷主の営業と共に納品先を回り、立ち合い、置き配、鍵預かり納品などの納品方法の調整を行う。
・ 少なくとも半年に1回以上のスパンで定期的に配送ルートを抜本的に見直す。
物量や出荷傾向の変化に対応するためである。
・ 納品先別に納品方法や注意事項を明記した「納品カルテ」を作成してその情報を常に更新する。
スポットで傭車したドライバーでも納品できるようにするためである。
◦カネ──誰が何を所有するか 「カネ」の共同化として、「①倉庫」「②購買」「③成功報酬」にそれぞれ触れておく。
「①倉庫」に関わるプレーヤーを「荷主」「大手物流会社」「中小物流会社」「地主」の四つに分類、倉庫に関わるリソースを「マテハン」「建物」「土地」の三つに区分したときに、どのプレーヤーがどのリソースを資産として所有するのか、その一般的な役割分担は図2の通りである。
「地主」は土地もしくは土地と建物を提供する。
「中小物流会社」は土地は賃借して、多大なコストがかからない規模であれば建物は自分で建てる。
マテハンは自社で手配するのが大半である。
資本力がないため地主との強固な関係づくりが不可欠である。
「大手物流会社」は土地、建物、マテハン全てを自分で手配する。
ただし、条件を満たす用地が購入できない場合や契約期間の短い案件の拠点については土地を賃借する場合もある。
また最近は物流不動産企業による開発競争が激しく物流用地が高騰しているため、大手であっても建物まで賃貸するケースが増えている。
「荷主企業」は物流業務をアウトソーシングする場合には、物流企業と地主が役割を分担して、土地、建物、マテハンのハード全般を手配する。
一方、物流センターを自社運営している荷主企業はアセット型が多い。
物流に関わる「②購買」の共同化、共同購買は、コンビニ本部や物流会社の協同組合などで従来から幅広く実施されている。
車両を通常価格の約半額で調達しているケースも見られる。
協同組合による燃料の共同購買も常套手段である。
「③成功報酬」、ゲインシェアリングもコスト改善の成果として生まれたカネを荷主企業と物流会社で分け合う共同化の一つに数えられるだろう。
それぞれの取り分としては50:50という比率をよく耳にする。
また、期間は2年としているところが多い。
1年目はコスト改善に力を入れ、2年目からはリバウンド(値上げ)を回避して改善効果を定着させることに目的を置いている。
◦情報──システム整備が不可欠 SCMは情報システムの連携によってデータを共有してサプライチェーン全体の最適化を実現することを理想としている。
しかし、現実に原料の調達から生産、販売、回収までの全てをシステム連携できている企業は一握りである。
そもそもデータ化されていないプロセス、システム化されていない部署(部門)があったり、システム化されていてもデータ連携、データ交換ができないシステムになっているためである。
サプライチェーンの情報共有を実現するには次のシステムは最低限整備しておく必要がある。
①基幹システム、②生産管理システム、③販売管理システム、④受注システム、⑤輸出入(貿易)管理システム、⑥在庫管理システム、⑦倉庫管理システム(WMS)、⑧配送管理システム(TMS)、⑨財務管理システムなどである。
◦ノウハウ──レベル別に方法がある 「ノウハウ」も共同化できる。
その最もドラスチックな方法として、業務提携、資本提携、M&Aが挙げられる。
そこまでは至らないレベルでも、技術提案、出向の受け入れ、人事異動などによってノウハウを移植したり共有したりできる。
実務においても定期的な連絡会議や朝礼・昼礼などは情報共有の手段である。
