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●ICタグに関して現状では一個当たりの値段が高いこ
ともあり積極的に検討といった状況にはない。 しかし
当社の商品の性格上、一個の単価が一円のレベルにな
るならば商品に添付する時代になると考えている。 そ
こに行くのにどのくらいの時間が必要になるかが現時
点の関心事。 またICタグが実用化された時に当社と
しての活用方法や対応について研究しておく必要があ
り、個別に担当レベルで研究会等に参加し情報収集に
努めている。
将来的に考えると、商品の状況が見える環境を作る
ことは必要だと思うし、場合によるとCRMを考える
には単にハウスカードではなく、ICタグが必要にな
るとも思う。 ただしその場合でも、個人のプライバシ
ーと情報開示の問題は残る。 情報の高度活用を考えた
場合、まず見える環境が必要であるため、いずれは必
ず実用化される仕組みと考える。
(日用雑貨品メーカー)
●商品供給面で、顧客からの信頼度向上に役立ち顧客満
足度向上に貢献する大変有効な手段であると考える。
(家電メーカー)
●ほとんど普及しない。 ?ICタグ自体の価格低下、?
消費者の安全・安心に対する訴求度合い、?サプライ
チェーン全体でのインフラ投資(サプライチェーン上
の一部でも導入できなければ全く意味が無い)、これに
?インフラ整備のための補助金支出の四つが同時達成
できれば普及するだろう。 それも現行のバーコードシ
ステムを凌ぐだけのメリット(効果)が打ち出せるこ
とが前提。 サプライチェーン上には大企業もあれば中
小零細企業もあり、消費者の安全・安心を満たすため
には、全ての流通経路において、ICタグが機能する
物流マン100人はこう考える
本誌緊急調査「ICタグと、どう向き合うか」
日本のロジスティクスの実務家たちは現在のブームをどの
ように受け止め、ICタグと、どう向き合おうとしているのか。
それを探るため、本誌はこのたび電子メールによるアンケー
ト調査を行った。 260人にメールを送付し、118人から回答
を得た。 その結果を報告する。
第4部
27 MAY 2004
インフラが構築されてはじめて意味をなす。 サプライ
チェーンのどこかでスルーされてしまうと、物流と情
報流が合致せず、結果として信頼性に欠け、「使えない」
となってしまうだろう。
(食品メーカー)
●生産分野での活用を検討中。 物流分野での検討はして
いないが、二〇年後を想定すれば、ICタグの普及は
確定した未来だと思う。 特に検討を要することもなく
導入する時期が二〇年以内にくるはずである。
(精密機械メーカー)
●ICタグに複雑な情報を持たせる必要がない。 ?商品
の受発注会社、?メーカーまたは卸業者、?物流会社
(商品の配達会社)の三者が運用方法を決めれば、物流
効率アップ、スピードアップのための実用化自体はす
ぐにでも可能だが。
(コンピュータメーカー)
●各企業・業界が情報不足。
(外資系食品メーカー)
●情報量が増える程度ではバーコードに対する優位性を
訴求できない。 トレーサビリティ取得についても現行
のバーコードによる履歴管理を構築しており、それで
支障を感じていないため、新規投資を全て自前で行っ
てまで導入することは考えにくい。
(食品メーカー)
●?タグのコストが高くつく(使い捨てが多くなる予定)。
?タグシステム間の互換性、基準化が必要(ハード、
ソフト面の)。 ?ミスリード時のリカバリー、物の最終
的認識のための、目視ラベルの貼付が必要となるので
は?
(食品メーカー)
●ほとんど普及しない。 米国のようなニーズが日本には
ない。
(外資系食品メーカー)
●従来は不可能と思われていたことが可能となる。 ただ
しコストがいかに安価になるか、周辺の整備、使用周
波数等が整うかが問題。
(自動車メーカー)
●サプライチェーン全体にまたがった付加価値サービス
の大幅な向上を期待する。 現状では、読み取り性能・
精度、費用負担の考え方(サプライチェーンに関わる
業界全体での費用分担が可能か?)など、まだまだ課
題は多い。 しかしそれも普及が進むにつれ少しずつ解
決されてくるものと考えている。
(コンピュータメーカー)
●期待することとしては、複数単位処理、データ有効活
用(ABC・ABM)、伝票レス等々による?物流生産
性の向上。 ?トレーサビリティ。 ?物流のみならず、
生産から回収に至るまでの経路把握→物流のみならず、
マーケティング・品質保持面での活用。 現状評価とし
ては、?九〇〇MHzであれば部分的に活用可能な印
象あり。 ただし周波数の活用許可が前提。 ?金属を通
さないという電波特性は大きな障害要因。 ?価格的に
はタグの単価がまだまだ高い。
(家電メーカー)
●物流現場での検収作業の正確性・効率性を求めれば活
用の余地あり。 またトレーサビリティの情報を多く持
てる点からも用途はあると思う。 しかし物流情報だけ
ならば、二次元バーコードで十分。 メーカーとしては
卸・小売りがどのような対応をするかで活用するかど
うか、つまり投資するかどうかが決まると思う。
(食品メーカー)
●今以上に性能が向上することを期待している。 液体は
いけるが、レトルト製品(アルミ等)は機能しないのが現
状。 価格が下がることが重要。 五〜一〇円程度になら
ないと普及しないと考える。
(食品メーカー)
●製品単価の安い食品に、使い捨てのワンウエイのタグ
を付けるのは不可能。 したがって当社ではカートンに
二次元コードをジェットプリンターで印字し、それを
出荷時にハンディターミナルで読み込んで、出荷先を
検索できるようにしている。 現在貼り付けられている
ラベルに二次元コードを付加するなどの工夫が必要。
(食品メーカー)
●導入にあたっては、企業の経営課題に対してどのよう
なインパクトがあるかという観点で利用目的を明確に
する必要がある。 物流分野においては、物流プロセス
と業務プロセスの変革と連動して実施しないと効果的
ではない。 また一企業単独のものではなく、メーカー、
卸、小売りのサプライチェーン全体に寄与するもので
ないと効果的ではない。 サプライチェーン内でその構
築、運用のコスト負担配分の取り決めが必要になる。
(アパレル)
●スクランブルのあるスマートカード用ICチップのよ
うに、ある程度の暗号化されたセキュリティのかかる
ICタグができればIDとして普及の可能性があると
思う。
(食品メーカー)
●クリアすべき項目は?規格統一、?セキュリティ、?
コスト。 .
懸念としてはアメリカでの動向、大手販売店
等の導入に向けた動きなどが挙げられる。 その他とし
てバーコードにとって代わるかに注目している。
(精密機械メーカー) ●日本でのICタグの標準仕様が早く決定し、流通され
ることを期待する。 業界ごとに仕様が標準化されるこ
とが導入の大前提。
(小売チェーン)
●利用形態は多岐にわたる。 標準化等の業界ルールも同
時に推進すべき。
(アパレル卸)
●規格の統一が最優先、インフラ整備のイニシアティブ
を誰が取るかが問題。 (食品スーパー)
●現状では、活用に関しての効果が漠然としている。 し
かし、データの活用如何では、より有効な、配送品質
向上の一助、また新たな配送サービスを生み出す可能
性を秘めていると考える。
(通販)
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とを目的として試験研究をしている。
(産業機械メーカー系)
●課題はプライバシー問題に対する技術的解決と社会的
保障。 一括読み取り可能なレベルのアンテナ開発。 低
価格化。 一定の環境下での周波数枠規制緩和。
(家電メーカー系)
●ICタグの単価・読み取り方法・読み取り精度・個人
情報管理などバーコード同様の普及までには時間がか
かると思う。 登録できるデータ量に関しては非常に魅
力的。 物流企業としては、上流工程でのICタグ取り
付けが望ましいが、荷主・顧客がどの程度対応してく
れるのか。 またこのときに規格の統一が図れるのかな
ど、解決しなければならない問題もたくさんある。
(自動車メーカー系)
●普及の第一は何をおいてもコスト。 カートン単位の貼
付としても、小売各社へのメーカー・問屋からの納品
はダンボールが主流であることを考えると、使い捨て
にならざるを得ない。 一枚三〜五円程度になれば一気
に普及するのではないか。 結局はメーカー、問屋のコ
スト負担となるので低コストでの普及が何より必要で
ある。 また、セキュリティについても考慮する必要が
ある。 原価・売価情報が記録されると、使用後のデー
タ消去も必須となる。
(小売業系)
●タグ自体の単価はかなり早い段階で実用的なものにな
ると思われる。 しかしながら、書き込み/読み取り装
置および必要なソフトウェアに一定のコストがかかる
とすると、現状バーコードシステムの償却時期が導入
時期となる。 さらに標準化に手間取ると、普及時期の
遅延につながると思われる。
(総合物流)
●入荷検品・出荷・棚卸業務等の大幅な工数減が見込ま
れる。
(日用雑貨卸)
●物流分野だけでなく、小売流通分野やメーカーのアフ
ターサービスにも活用が期待できる。 データの読み取
りの精度や、簡便なシステムが構築されると、普及の
スピードは加速度的に速まると思われる。 (家電販社)
●安価なICチップを要望。 リード&ライトの設備投資
を政府が援助すること。 また電波法の改正による利用
電波の増強とスキャニング距離の延長を望む。
(家電販社)
●技術先行型で、タグがあるから何に使おうか?ではな
く、あくまで戦略ありきで、そのツールとしてタグの
利用があり得る。 生産、流通、顧客にわたるグローバ
ルなSCMの視点に立ち、時間短縮や効率を追求する
ツールとして活用することは考えられるが、現時点で
はまだ具体的には不明確。
(専門商社)
●量産価格の改善、ICタグを使ってのITアプリケー
ションの各社展開に期待したい。
(外資系アパレル)
●食品のトレーサビリティ等、緊急性のある分野から導
入されると考える。
(自動車部品メーカー系)
●タグそのものの単価が高いことはもちろん、どこでタ
グを添付するのかという業際やインフラ投資の問題、
バーコードとは違い「非接触」であるというアドバン
テージはあるものの、読み取り率・情報更新率などが
まだ低いという問題がある。 昨今のトラックに関する
規制や、さらなる交通渋滞、また消費者の要求・企業
のサービス向上による商品の高回転率化などに伴い、
センターでの作業は今まで以上に時間を切り詰めてい
かねばならない。 それら作業性、また付加価値は必要
であるが、単価・収受料金に反映できない現状を考え
ると、正直まだまだバーコードに分があるように思う。
ただしタグ添付後の作業や応用について考えると、
物流を大きく変える力を持った技術であるとは思う。 弊社でもタグを活用したトレースが可能なビジネスモ
デルを考えていきたい。 国も色々取り組んではいるが、
もっと社会インフラ化に向けた動きができないものか。
物流業者発信でタグのシステム構築をするのは時期尚
早では?
という声も社内ではよく聞く。
(食品メーカー系)
●履歴管理を含め、ICタグは普及するものと思う。 J
ANコード、ITFコードに対し、リアルタイムの情
報伝達が可能で、情報量が大きく利便性もあって、将
来の需要が見込まれる。 業界のみならず、日本、世界
共通のコード体系の確立が望まれる。 当社の場合、何
に採り入れるかにもよるが、貨物量が膨大であり、仮
にパレット単位としても、かなりのコストとなる。 コ
スト面でさらに安価になることを期待する。 現状では
興味をもって研究はしているが、何に導入するかは模
索中。
(食品メーカー系)
●間違いなく一〇〇%読み取れることが実現できれば、
例えば、検品作業に大きく貢献する。 箱に入ったまま
での検品も可能となり、物流に大きな革命をもたらす
のではないか。 しかし、一方で「プライバシー」につ
いてきちんとした対応をとっておかないと、消費者か
らの大きな反発を受けてしまう恐れが十分にある。 価
格面でも、もっと安くする施策あるいは技術が必要で
あろう。 物流面では大きな可能性を秘めており、どう
うまく使っていくか知恵と工夫が必要であると考える。
(家電メーカー系)
●バーコードと同様の用途では、高価なICタグの魅力
はない。 ICタグならではの用途を顧客に提供するこ
29 MAY 2004
●用途に対する期待は大きく、議論も熟成してきている。
今後は個人情報保護を含む秘匿情報の管理に関する法
整備や運用ガイドライン等が必要。
(宅配会社)
●今話題のトレーザビリティにおいて重要なカギになる。
ただし、セットするデータ項目の標準化が必要であり、
発行側独自で先行しても物流分野でのデータ活用が進
まないと思う。
(特積み運送)
●検品作業の合理化が図れる。
(人材派遣)
●現状での問題点は?読み込みの精度、?価格の二点だ
が、どちらも二〜三年の内に解決すると思われる。 四
〜五年の間には一般的に普及するだろう。 牽引役とな
る大手企業の使用実例や、各種プロジェクトが成果を
上げれば、一挙に進むと考えられる。 国土交通省や経
済産業省等の行政のバックアップも重要。 具体的な使
用例としては、RMA(Return Material
Authorization:
返品物の識別)や貸し出し品等の循環
型物流分野での応用が期待できる。 (航空フォワーダー)
●ICタグは個別商品単位でのモノと情報の管理が必要
とされ、かつ当該情報が実際に活用可能な業種や業態
あるいはサプライチェーンでは、間違いなく導入が進
んでいくように思う。 ただし物流分野全体を俯瞰する
と、そうした個別商品単位でのSCMが本当に必要と
されるチャネル/チェーンは、実際はそれほど多くな
い。 結論としては、偏りがあるものの、わが国では全
体としてはあまり普及しないと思う。
(倉庫会社)
●ほとんど普及しない。 理由は宅配の場合、荷物の滞留
時間が少ないわりにコストが高いから。 まず専用ハー
ドが必要で、導入コストが高い。 ランニングコストと
してもICタグの単価が高い。 規格の統一等で省庁の
意見を一本化してほしい。 またICタグから発する電
波の届く距離を、数センチから数メートルに長くして
ほしい。
(宅配会社)
●ICタグの値段が一円以下になることが普及へのキー
と考える。 現在の一〇〇円弱ではマーケットは受け入
れないと思う。
(国際インテグレーター)
●米国では一昨年のイラク戦争時にICタグを活用したと聞いている。 イラク戦争の米軍のロジスティクスに、
ウォルマートが協力したとか。 いずれにしても、湾岸
戦争と比較して飛躍的に生産性がアップしたと聞いて
いる。 現在の問題はセキュリティとコストだと思う。
普及に関してもこのあたりがキーポイントになりそう。
(特積み運送)
●世界標準仕様の確定がカギ。
(物流ベンチャー)
●タグが高価であるため、繰り返し使用できることが条
件。 しかし、それもバーコードで十分。
(特積み運送)
●コストの問題は別にして、ICタグには情報貯蔵量の
増加により、すべての貨物の情報が瞬時にして取れる
という優位性がある。 通関も貨物がセンサーを通過時
に済んでしまう時代がくるかもしれないし、倉庫での
事務処理がペーパレス化し格段に軽減されるかもしれ
ない。 また、ものによっては誤配、ピックミス等々も
撲滅されるであろう。 次にトレースへの応用では、貨
物の現在位置を即時に知ることができるようになる。
ただし、例えば倉庫であれば、基本の業務が機械頼み
でマニュアルワークを忘れてしまった人間が、なにか
故障があり自分で履歴を追わなければならなくなった
ときに、どうするのだろうか。
(航空フォワーダー)
●物流専門業者というよりはメーカー主導となると思わ
れる。
(特積み運送)
●ICタグの読み取り精度が向上し、コストダウンが進
んだ時点で、飛躍的に普及するのではないか。 ICタ
グの普及により、トレーサビリティ、リードタイム短
縮、仕分け・荷役の効率化等、荷主の要求する物流サ
ービスレベルは、さらに高度化すると考えられる。 従
って、当社もICタグ物流を早期に導入することによ
り、差別化を図りたい。
(港湾運送)
●アパレル、マーケットリサーチを必要とする分野から
普及していくと思われる。 課題は読み取り認識ハード
の価格と質がついてくるかどうか。
●タグよりもリーダーの精度をどこまで高めることがで
きるのかが今後の課題。 また、物流的にはあくまで二
次元バーコードからの置き換えであり、一次元バーコ
ードとは併用になると考える。
●最大の問題は使用周波数の国際統一、商品の生産、流
通がグローバル化している状況で利用地域が限定され
るのでは意味が無い。
●メリット、デメリット、読取精度などのリスク等の議
論は尽くされたと思う。 情報のフォーマットなどの標
準化を先行させないと、後々混乱が起きるのではない
か。 通い箱などクローズされたシステムの中での物流局面への応用はすぐにでもできる。
●ICタグは、在庫マネジメントでの活用に期待したい。
それでこそ元が取れるのではないか。
●メーカー・卸・強力な小売りが一斉に導入することが
条件であり、日本の商流ではまだまだ無理があると感
じている。 ICタグは活用方法によっては便利で画期
的なものであるが、どの領域で活用するのか、規模に
よってかなり変動する。 また、タグそのものには大手
メーカーが参入しているが、肝心のアプリケーション
レベルでは、ノーアイデアの場合が多いので普及には
まだまだ時間がかかるのでは。
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