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2021年1月号
特集

丸和運輸機関 産直システムで食品スーパーの調達を支援

鉄道用コンテナでコールドチェーン  丸和運輸機関は食品スーパー向け3PLサービスを事業の柱の一つとしている。
2020年3月期の売上高983億円のうち394億円を同事業が占めている。
同社が食品スーパー向けに作り込んだ「AZ─COM 7PL」と呼ぶソリューションを武器に着実に顧客数を増やしている。
 AZ─COM 7PLは物流コスト削減や効率化だけでなく、食品スーパーの商流にまで踏み込んで、次の七つの付加価値を提供しようというもの。
①コアビジネスへの集中、②物流利益の拡大(プロフィットセンター化)、③商流利益の創生(バリューチェーン確立)、④集客力向上(生鮮の魅力度アップ)、⑤店舗オペレーションの改善、⑥人手不足への対応、⑦物流品質の向上(温度・鮮度管理の徹底)。
 その目玉の一つが青果物を中心とする農産物の産地直送システムだ。
丸和が各地の有力な生産者と提携、食品スーパーのバイヤーに産直の仕入先として紹介する。
収穫した農産物を定温一貫輸送(コールドチェーン)で丸和が運営する食品スーパーの専用センターまで直送、店別に仕分けて各店舗に納品する。
 卸売市場を通さないことで、食品スーパーは農産物の仕入れコストを2割前後削減する。
リードタイムも1日短縮する。
コールドチェーンの徹底により鮮度も上がる。
在庫の陳腐化による廃棄ロスや見切り売りも減る。
 丸和は産直の商取引には介入しない。
しかし、幹線輸送の運賃収入に加え、センターの通過額が増えるため売り上げが増える。
何より他の3PLや食品スーパーのセンター運営を請け負う食品卸と差別化できる。
 丸和の3PL食品物流統括本部食品営業部の脇田覚課長は「生産者は実入りのことだけでなく、消費地とつながることを欲している。
消費者のニーズを商品作りに生かしたいと考えている。
当社がその期待に応えることで、食品スーパーと生産者の双方に喜んでもらえる。
当社はビジネスを伸ばすことができる。
『三方よし』だ」と自負している。
 同社は2013年に食品スーパー向けの3PLを新たなドメインと位置付け、翌14年の株式公開で得た資金をはじめ経営リソースをそこに集中投下してきた。
各地の有力スーパーをターゲットにリストアップ、営業チームが全国を提案して回った。
その商談からスーパーのバイヤーが、青果物の仕入れに苦労しているという声を耳にするようになった。
 チェーンストアや外食産業による市場外流通の拡大によって卸売市場の経由率は今や56・5%(2018年)まで低下している。
東京・大田市場など中央卸売市場に商品が集中する一方、地方卸売市場は十分な品揃えができなくなっている。
 食品スーパーは青果物の主要品目を欠品させるわけにはいかない。
地元の地方市場で調達できない場合は遠方の卸売市場からでも取り寄せる必要がある。
リードタイムが長くなり、鮮度が落ちてしまう。
物流費も割高になる。
地方卸売市場の弱体化は食品スーパーにとって深刻な課題だった。
 丸和の創業者の和佐見勝社長はもともと青果卸の出身で、業績の悪化していた食品スーパーの経営再建に当たった経験もある。
青果物の流通には土地勘があった。
そこで食品スーパーに代わって、丸和が各地の生産者を回って産地とのパイプを作り、コールドチェーンで店舗まで納品する、商流と物流を組み合わせた新たな仕入れチャネルの開発に乗り出した。
 通常の生産者から食品スーパーまでの農産物の流れは次の通り。
生産者が収穫した青果物を地域のJA(農業協同組合)が集荷して、全農(全国農業協同組合連合会)もしくは産地卸売業者が、卸売市場で競りにかける。
それを仲卸が買い付けて、小売りのバイヤーに販売する。
 それに対して丸和の産直サービスには、次の二つのパターンがある。
産地の生産者もしくは生産法人から直接食品スーパーの専用物流センターに運ぶパターン、もうひとつが産地を取りまとめているJAもしくは産地業者から調達するパターンだ。
 脇田課長は「現状では産地業者から調達するパターンがメーンとなっている。
生産者から直接調達すれば流通経路は最も短くなるけれど、生産量には限りがあり、不作の場合には安定した調達が難しくなる。
試行錯誤の末に、現在のスキームに辿り着いた」という。
 産地から消費地への輸送は多くは長距離だ。
トラックだとドライバー2人が同乗して交替で運転するツーマン運行が基本になる。
それだけ輸送費が高くつく。
そこで丸和は幹線輸送に鉄道を利用している。
グループ会社の丸和通運が独自に開発したディーゼルエンジンを搭載した12ftクールコンテナを使って、ハイレベルなコールドチェーンを実現している。
 クールコンテナは20℃からマイナス25℃までの温度を0・5℃単位で設定できる。
プラスマイナス2℃の誤差しか生じない。
断熱性を備えているため輸送中にエンジントラブルなどの不具合が生じても一定時間は温度を保てる。
現在100基余りを運用しており、今後は大幅に導入数を増やしていく計画だ。
「産地リレー」に向けて開発を進める  食品スーパーにとって青果物は最も重要な戦略商品だ。
生鮮3品の中でも売り上げ構成比と販売点数が一番大きく、その品質と価格はスーパーの評価と業績を決定的に左右する。
産直で新鮮で割安な青果物を仕入れることができれば何よりの武器になる。
地域のライバル店にはない商品が店頭に並ぶことで差別化もできる。
 しかし、「バイヤーには品目ごとに産地を開発している時間がない。
たとえ良い商品を見つけても物流を手当てできない。
そこでわれわれがバイヤーを対象に1泊2日の産地ツアーを開催して、実際に産地を見て生産者とも直接話をしてもらっている。
毎回、多くのバイヤーが参加してくれている」と丸和の食品営業部の小田原芳夫副部長はいう。
 現在は北海道(トマト・トウモロコシ・ブロッコリー・土モノ)、山形(スナップエンドウ・そら豆・ゴーヤ)、長野(リンゴ・レタス・ブドウ・アスパラ)、鹿児島(サクランボ・スイカ・ラフランス)の四つの産地で、それぞれ複数の産地業者や生産法人と提携している。
 新たな産地の開発には継続的に取り組んでおり、今年度中に10数地域まで拡大する見通しだ。
当面の目標は全国50地域。
季節の移り変わりと共に産地を移していく「産地リレー」によって、主要な品目が1年365日にわたり途切れることなく調達できる体制を目指している。

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