2020年11月号
特集
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西濃運輸 「LCC宅配」でBtoC市場に再び切り込む
路線+倉庫の複合施設を11カ所新設
──セイノーホールディングスの中期経営計画(2020年4月〜23年3月)では、ビジョンとして「『第2次総合物流商社』から『付加価値創造型物流商社』への進化」が掲げられています。
その意味をどう受けとめていますか。
「『総合物流商社』というコンセプトは、1983年に当時の田口利夫社長(故人)が打ち出したもので、『輸送・情報・販売』という三つの柱を掲げていました。
それに『金融・ロジスティクス・国際』の三つを加えたものが前中計で掲げた『第2次総合物流商社』です。
これは私としては総合物流企業として今では当たり前ことで、当社はむしろ他社をキャッチアップしなければならないという認識です」 「新中計の『付加価値創造型物流商社』というのは、自分たちのこともより前に、まずはお客さまの繁栄に貢献するという考え方が全てのスタートになっています。
当社に相談してもらえれば、どんな機能でも請け負いますという世界を作りたい。
それによってお客さまの利便性と生産性の向上に貢献する。
そのためにグループ全体に横串を差してワンストップでサービスを完結する。
当社のリソースでカバーできない部分は、業種業態の壁も越えて他社と連携してニーズに応える。
それがグループとしての方向性ですが、西濃運輸社長という私の立ち場では『特積みのセイノーからロジのセイノーへ』という方針が新中計のカギだと受けとめています」 ──ロジスティクス事業は従来からやってきました。
「いや、お客さまに求められたらやるというだけで、積極的な展開はしてきませんでした。
リソースとしても一時保管的な倉庫しかありませんでした。
そのため業務委託を依頼されても自分たちの手に余るものは外注に回していた。
2016年に東京・江東区に新設した『ロジ・トランス新木場』が、当社のロジ事業の本格的なスタートになりました。
延べ床約2万2千坪の複合型施設で、路線便ターミナルとしての機能の他に、DC機能、TC機能、国際物流と国内物流の接点となる『マージ機能』などを備えています。
現中計では同様の施設を全国11カ所に総額647億円を投じて建設する計画です」 ──しかし、物流危機以降、トラック輸送事業は運賃の値上がりで収益性が改善しています。
それに対して、3PL市場の成長は鈍化しています。
「ロジ・トランスは通常の営業倉庫と違って“足”を持つ施設ですから競争力があります。
実際、建てれば埋まる。
一方、輸送事業はいずれ頭打ちになります。
高齢化が進み人口が減少する環境では、国内貨物輸送量は間違いなく減っていく。
値上げもいつまでも続きません。
実際、足元では荷動きが悪化したことで、安い運賃で荷物を集めようとする会社が出て来ている。
当社は絶対にやりませんが、昔から散々繰り返してきたことが残念ながらまた起きている」 ──特積みの成長はもはや期待できませんか。
「特積みは貸切と宅配の中間のロットですから、貸切の積載率が下がるとそれが特積みに流れてくる。
最近は共配が崩れて荷物が特積みに回るといった現象も起きています。
一方で小型化、小口化した荷物は宅配に抜けていく。
過去には、特積みで運んでいた荷物が増えて車建てに切り替わるといったこともありました。
つまり、その時の環境によって輸送ロットは常に変化するわけですが、中ロット輸送の需要がなくなることはない。
ただし、ある程度の物量を確保できないとモードとして成り立たなくなってしまいます。
そのため今後は特積み業界の共同化がさらに加速していきます」 ──競合同士の共同化が上手く機能しますか。
「非効率なところを意地をはって自分でやろうとすれば持ち出しになりますからね。
当社はそれぞれが得意な分野で強みを持ち寄ってお客さまに最善・最高の価値を提供する『OPP(オープン・パブリック・プラットフォーム)』というコンセプトを掲げています。
その一環で福山通運さんとは13年から共同化に取り組んできましたが、年を追うごとに規模が拡大しています。
同じことを路線業界全体に広げていきたい」 幹線+ギグワーカーの新モデル ──BtoC貨物が急増しています。
西濃運輸は事実上、切り捨ててきた領域です。
「あらためて取り組むべき時期を迎えています。
ただし、特積みの輸送商品の一つとして宅配便をもう一度攻めるということはしません。
社内では『LCC(ロー・コスト・キャリア)宅配』と呼んでいますが、それをグループ会社で展開していきます。
具体的にはセイノーHD子会社のココネットと、大手通販のフェリシモさんとのジョイントベンチャーでLOCCO(ロッコ)を立ち上げて、置き配サービス『OCCO(オッコ)』を4月に開始しました」 「ロッコが集荷した荷物を配達エリア別にロールボックス単位にまとめて西濃運輸が幹線輸送、配達員の自宅に担当エリアの荷物を届ける。
配達員は自転車で自宅周辺を置き配して回るというスキームです。
そのラストワンマイルを担ってもらうため、8月末にポスティング広告のリビングプロシードをグループ化しました。
同社は主婦層を中心とする全国約1万人の配布員と業務委託契約を結んでいます。
空いている時間に働く、いわゆる“ギグワーカー”たちです」 「この置き配サービスを本格的に開始するのに先立ち昨年末に都内で実験したところ、利便性が向上し、既存の大手宅配便より低料金で配達できることを確認できました。
出荷人からは、オッコが対象エリアを拡大していくのであれば、それに合わせて使っていきたいというお話をいただいています」 ──ココネットは従来、ネットスーパーの配達を請け負ってきました。
「その事業も現在、全国20都道府県に広がっています。
そこでは『スパイダーデリバリー』と呼ぶ狭商圏の宅配シェアリングプラットフォームの構築に取り組んでいます。
ネットスーパーの配達には軽自動車を使用しますが、1社で貸し切ってもなかなかペイさせるのが難しい。
そこで同じエリアの配達を複数の荷主から請け負い、1個いくらの個建て料金で運ぶ。
そのネットワークをクモの巣のように張り巡らそうというコンセプトです」 ──当面の西濃運輸の舵取りでは何を重視しますか。
「今年4月の緊急事態宣言と同時に社長に就任してこの半年、コロナ対応に追われてきました。
やれることは全てやったつもりです。
今期の黒字も何とか見えてきました。
今後コロナが収束してもDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに徹底的に進めて本社や間接人員を可能な限りスリム化していきます。
人手でやってきた業務をシステム化して、間接業務をテレワークにして集約する。
各店所で1・7人分の仕事にそれぞれ2人投入していたのを3店所分まとめれば、合計6人を5人にできる。
そうやって浮いた人材をロジ事業や国際事業に投入する。
現場を支え、強くしていくことが私の役割だと考えています」
その意味をどう受けとめていますか。
「『総合物流商社』というコンセプトは、1983年に当時の田口利夫社長(故人)が打ち出したもので、『輸送・情報・販売』という三つの柱を掲げていました。
それに『金融・ロジスティクス・国際』の三つを加えたものが前中計で掲げた『第2次総合物流商社』です。
これは私としては総合物流企業として今では当たり前ことで、当社はむしろ他社をキャッチアップしなければならないという認識です」 「新中計の『付加価値創造型物流商社』というのは、自分たちのこともより前に、まずはお客さまの繁栄に貢献するという考え方が全てのスタートになっています。
当社に相談してもらえれば、どんな機能でも請け負いますという世界を作りたい。
それによってお客さまの利便性と生産性の向上に貢献する。
そのためにグループ全体に横串を差してワンストップでサービスを完結する。
当社のリソースでカバーできない部分は、業種業態の壁も越えて他社と連携してニーズに応える。
それがグループとしての方向性ですが、西濃運輸社長という私の立ち場では『特積みのセイノーからロジのセイノーへ』という方針が新中計のカギだと受けとめています」 ──ロジスティクス事業は従来からやってきました。
「いや、お客さまに求められたらやるというだけで、積極的な展開はしてきませんでした。
リソースとしても一時保管的な倉庫しかありませんでした。
そのため業務委託を依頼されても自分たちの手に余るものは外注に回していた。
2016年に東京・江東区に新設した『ロジ・トランス新木場』が、当社のロジ事業の本格的なスタートになりました。
延べ床約2万2千坪の複合型施設で、路線便ターミナルとしての機能の他に、DC機能、TC機能、国際物流と国内物流の接点となる『マージ機能』などを備えています。
現中計では同様の施設を全国11カ所に総額647億円を投じて建設する計画です」 ──しかし、物流危機以降、トラック輸送事業は運賃の値上がりで収益性が改善しています。
それに対して、3PL市場の成長は鈍化しています。
「ロジ・トランスは通常の営業倉庫と違って“足”を持つ施設ですから競争力があります。
実際、建てれば埋まる。
一方、輸送事業はいずれ頭打ちになります。
高齢化が進み人口が減少する環境では、国内貨物輸送量は間違いなく減っていく。
値上げもいつまでも続きません。
実際、足元では荷動きが悪化したことで、安い運賃で荷物を集めようとする会社が出て来ている。
当社は絶対にやりませんが、昔から散々繰り返してきたことが残念ながらまた起きている」 ──特積みの成長はもはや期待できませんか。
「特積みは貸切と宅配の中間のロットですから、貸切の積載率が下がるとそれが特積みに流れてくる。
最近は共配が崩れて荷物が特積みに回るといった現象も起きています。
一方で小型化、小口化した荷物は宅配に抜けていく。
過去には、特積みで運んでいた荷物が増えて車建てに切り替わるといったこともありました。
つまり、その時の環境によって輸送ロットは常に変化するわけですが、中ロット輸送の需要がなくなることはない。
ただし、ある程度の物量を確保できないとモードとして成り立たなくなってしまいます。
そのため今後は特積み業界の共同化がさらに加速していきます」 ──競合同士の共同化が上手く機能しますか。
「非効率なところを意地をはって自分でやろうとすれば持ち出しになりますからね。
当社はそれぞれが得意な分野で強みを持ち寄ってお客さまに最善・最高の価値を提供する『OPP(オープン・パブリック・プラットフォーム)』というコンセプトを掲げています。
その一環で福山通運さんとは13年から共同化に取り組んできましたが、年を追うごとに規模が拡大しています。
同じことを路線業界全体に広げていきたい」 幹線+ギグワーカーの新モデル ──BtoC貨物が急増しています。
西濃運輸は事実上、切り捨ててきた領域です。
「あらためて取り組むべき時期を迎えています。
ただし、特積みの輸送商品の一つとして宅配便をもう一度攻めるということはしません。
社内では『LCC(ロー・コスト・キャリア)宅配』と呼んでいますが、それをグループ会社で展開していきます。
具体的にはセイノーHD子会社のココネットと、大手通販のフェリシモさんとのジョイントベンチャーでLOCCO(ロッコ)を立ち上げて、置き配サービス『OCCO(オッコ)』を4月に開始しました」 「ロッコが集荷した荷物を配達エリア別にロールボックス単位にまとめて西濃運輸が幹線輸送、配達員の自宅に担当エリアの荷物を届ける。
配達員は自転車で自宅周辺を置き配して回るというスキームです。
そのラストワンマイルを担ってもらうため、8月末にポスティング広告のリビングプロシードをグループ化しました。
同社は主婦層を中心とする全国約1万人の配布員と業務委託契約を結んでいます。
空いている時間に働く、いわゆる“ギグワーカー”たちです」 「この置き配サービスを本格的に開始するのに先立ち昨年末に都内で実験したところ、利便性が向上し、既存の大手宅配便より低料金で配達できることを確認できました。
出荷人からは、オッコが対象エリアを拡大していくのであれば、それに合わせて使っていきたいというお話をいただいています」 ──ココネットは従来、ネットスーパーの配達を請け負ってきました。
「その事業も現在、全国20都道府県に広がっています。
そこでは『スパイダーデリバリー』と呼ぶ狭商圏の宅配シェアリングプラットフォームの構築に取り組んでいます。
ネットスーパーの配達には軽自動車を使用しますが、1社で貸し切ってもなかなかペイさせるのが難しい。
そこで同じエリアの配達を複数の荷主から請け負い、1個いくらの個建て料金で運ぶ。
そのネットワークをクモの巣のように張り巡らそうというコンセプトです」 ──当面の西濃運輸の舵取りでは何を重視しますか。
「今年4月の緊急事態宣言と同時に社長に就任してこの半年、コロナ対応に追われてきました。
やれることは全てやったつもりです。
今期の黒字も何とか見えてきました。
今後コロナが収束してもDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに徹底的に進めて本社や間接人員を可能な限りスリム化していきます。
人手でやってきた業務をシステム化して、間接業務をテレワークにして集約する。
各店所で1・7人分の仕事にそれぞれ2人投入していたのを3店所分まとめれば、合計6人を5人にできる。
そうやって浮いた人材をロジ事業や国際事業に投入する。
現場を支え、強くしていくことが私の役割だと考えています」
