2020年11月号
特集
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関通 EC物流センターのドミナント展開で波動に対応
EC物流事業の急拡大で株式上場
関通は近畿圏や首都圏で総計4万2千坪超の物流センターを配置し、主にEC物流の支援サービスを展開している。
EC市場の成長と歩調を合わせるように2010年代に急成長した。
19年2月に楽天と資本業務提携。
20年3月に東証マザーズに上場した。
同社の創業は1983年。
個人営業の軽トラックからスタートし、当初は主に印刷物の運送を行っていた。
86年の法人化後は、運送業に加えて保管業務を本格的に開始。
印刷物の封入や差し込みといった物流加工も手がけるようになった。
その後、取り扱い貨物の幅を広げ、96年には物流加工サービスを主業とする株式会社へと組織変更した。
EC物流に参入するきっかけとなったのは1999年から2000年頃にかけて参加した楽天のカンファレンスだったという。
ネットショップとの情報交換を通してEC事業者が物流に課題を抱えていることが分かった。
そこで接点を持ったスポーツウェアを取り扱うネットショップの物流受託が関通のEC物流の出発点となった。
年を追うごとに取り扱いは増えていった。
2011年には本格的なEC物流センターを開設。
その後も拠点数を増やしていった。
現在は売上高約73億円(20年2月期決算)のうち9割以上をEC・通販物流支援サービスが占めている。
EC事業者や通販事業者などから商品の入庫から在庫管理、出庫といった配送センター業務を受託して代行する。
業種別の売上高構成はアパレル30%、医薬・化粧品約23%、雑貨15%、食品11%、美容9%などとなっており、幅広い商品を取り扱っている。
年間出荷数は約790万個に上る。
EC・通販物流支援サービスの周辺事業として自社開発の倉庫管理システム「クラウドトーマス」やチェックリストシステム「アニー」など、ソフトウエアの販売・利用サービス、受注管理業務代行サービス、物流コンサルティングなども展開している。
同社のEC物流サービスにおける特徴の一つが拠点展開だ。
ドミナント戦略を採用し、東大阪エリアなどでは1千坪から3千坪の拠点を集中的に配置。
各拠点の繁閑に応じて庫内スタッフを移動させることで波動に対応している。
そのために庫内スタッフを自社化している。
10年頃までは派遣スタッフが半分近くを占めていた。
波動対応が容易になるというメリットはあったものの、当日初めて現場に入る人も多いため、自社スタッフとは作業レベルに差があった。
庫内作業のノウハウ蓄積が難しいという課題もあった。
そこで派遣スタッフを減らし、自社スタッフ比率を高めるよう方針を切り替えた。
現在は庫内スタッフの99%が自社スタッフに切り替わっている。
並行して作業の標準化と庫内スタッフの多能工化も進めた。
これによって他のセンターに初めて応援に行く場合でも一定以上の生産性を発揮できるようになった。
現場発の改善活動にも力を入れている。
例えば梱包作業は通常、ピッカーが荷物を梱包場所まで搬送して、梱包スタッフに引き渡すという運用をすることが多い。
従来は同社もそうしていた。
しかし、現在はフロアに小規模な梱包作業場所を点在させて、ピッキングした荷物を同じスタッフがそのまま梱包している。
その後、集荷時間もしくは特定数量がたまったら、まとめて出荷場所に搬送する。
同社の達城利元物流企画本部本部長は「メーカー物流であれば梱包作業にある程度の広さが必要になるが、EC物流は一回にピッキングする商品点数が少ない。
現場から改善提案が上がり、今の方法を実際に試してみたところ、生産性が向上した。
それを他の拠点に水平展開した。
他にもボトムアップの改善事例が無数にある」という。
今年から協働型ロボットの活用にも本格的に乗り出した。
主力拠点の関西主管センターなどでシリウスロボティクス社の協働型ピッキング作業支援ロボットのSyrius(シリウス)を導入、7月から本格運用を始めている。
関西主管センターでは、拠点内に約500坪の区画を設定して30台のシリウスを稼働させている。
商品サイズがそれほど大きくない雑貨やアパレル品などが対象。
シリウスとWMSを連携させることによって庫内スタッフの歩行距離は導入前と比べて10分の1程度に減少した。
作業負荷が大幅に低減され、生産性も上がった。
現時点では具体的な追加計画は固まっていないが、導入区画と台数を拡大する方向で検討しているという。
inVia Robotics(インビア)社のAGVの導入も進める。
こちらはゲート・アソート・システム(GAS)と組み合わせて運用する計画で、やはり関西主管センターでの運用を予定している。
同社にとって関西主管センターはロボットを始めとする先端物流技術の能力を評価して最適な運用を開発するR&D拠点としての役割を果たしている。
同センターで有効性が確認されたシステムを他拠点に展開していく。
ただし、作業の完全機械化を目指すのではなく、協働型での導入を今後も進めていくという。
物流センターをショールームに 関西主管センターの稼働は17年、続く18年には「東京第一物流センター」、今年は「東京主管センター」および「東京第三物流センター」と拠点を相次いで設置している。
来年は関西主管センターと同じ尼崎市内に関西新物流センターを開設する計画だ。
達城本部長は「このところ毎年1〜2カ所のペースで新センターを開設している。
荷主が決まってから拠点を手当てするのではなく、先行投資で拠点を用意している。
ECは市場の伸びが著しい。
新しい仕事の相談を受けても、拠点に空きがないと、スピード感を欠いた対応になってしまう。
それでも営業活動は非常に順調で、開設したらすぐに埋まっている」と話す。
新規顧客の営業方法はウェブマーケティングやセミナー経由、もしくは紹介が中心だ。
新規営業部の達城太貴課長は「自社サイトを活用したウェブマーケティングでは作成部門を内製化している。
会社の方針をダイレクトに反映できる点が強み」という。
問い合わせ対応と並ぶ営業プロセスとして重視しているのが倉庫見学だ。
「10年ほど前から『倉庫のショールーム化』を明確に意識している。
商談時には自社倉庫の見学を必ず提案する。
倉庫見学会も頻繁に行っている」と達城本部長。
そのため現場の照明を増やし、整理整頓を徹底している。
スタッフには現場見学に来たお客さまに挨拶をきちんとするよう促している。
「荷主が物流現場を見学する際に特に注意して見ている点は大きく二つ、現場スタッフの働きぶりと、現場が綺麗で明るいかどうか。
実際、ご契約いただいたお客さまに後で当社を選んだ理由を尋ねると、倉庫現場とスタッフが明るいことだと皆さんおっしゃる。
倉庫を見学してくださった場合の成約率はかなり高い」と達城本部長はいう。
当面は自社開発したソフトウエアの販売とEC物流の対象商品拡大に注力する。
同社のWMS「クラウドトーマス」は既に60社以上、チェックシステム「アニー」も240社以上が導入している。
その拡販を進める。
EC物流では冷凍食品ECに本格的に進出する。
東大阪市の主管センター1階で冷凍冷蔵倉庫の拡張工事を行い、9月から運用を開始している。
達城本部長は「巣ごもり需要の高まりなどで、冷凍冷蔵食品のECは相当盛り上がってきている。
しかし、冷凍食品をピース単位でハンドリングできる物流会社は限られる。
冷凍食品ECは商品の種類が比較的少ないため、物流の仕組みとしてはシンプル。
そこで常温拠点でのオペレーションを基本にして、冷凍冷蔵品のピース出荷に対応した新たな仕組みを構築する」と意欲を示している。
EC市場の成長と歩調を合わせるように2010年代に急成長した。
19年2月に楽天と資本業務提携。
20年3月に東証マザーズに上場した。
同社の創業は1983年。
個人営業の軽トラックからスタートし、当初は主に印刷物の運送を行っていた。
86年の法人化後は、運送業に加えて保管業務を本格的に開始。
印刷物の封入や差し込みといった物流加工も手がけるようになった。
その後、取り扱い貨物の幅を広げ、96年には物流加工サービスを主業とする株式会社へと組織変更した。
EC物流に参入するきっかけとなったのは1999年から2000年頃にかけて参加した楽天のカンファレンスだったという。
ネットショップとの情報交換を通してEC事業者が物流に課題を抱えていることが分かった。
そこで接点を持ったスポーツウェアを取り扱うネットショップの物流受託が関通のEC物流の出発点となった。
年を追うごとに取り扱いは増えていった。
2011年には本格的なEC物流センターを開設。
その後も拠点数を増やしていった。
現在は売上高約73億円(20年2月期決算)のうち9割以上をEC・通販物流支援サービスが占めている。
EC事業者や通販事業者などから商品の入庫から在庫管理、出庫といった配送センター業務を受託して代行する。
業種別の売上高構成はアパレル30%、医薬・化粧品約23%、雑貨15%、食品11%、美容9%などとなっており、幅広い商品を取り扱っている。
年間出荷数は約790万個に上る。
EC・通販物流支援サービスの周辺事業として自社開発の倉庫管理システム「クラウドトーマス」やチェックリストシステム「アニー」など、ソフトウエアの販売・利用サービス、受注管理業務代行サービス、物流コンサルティングなども展開している。
同社のEC物流サービスにおける特徴の一つが拠点展開だ。
ドミナント戦略を採用し、東大阪エリアなどでは1千坪から3千坪の拠点を集中的に配置。
各拠点の繁閑に応じて庫内スタッフを移動させることで波動に対応している。
そのために庫内スタッフを自社化している。
10年頃までは派遣スタッフが半分近くを占めていた。
波動対応が容易になるというメリットはあったものの、当日初めて現場に入る人も多いため、自社スタッフとは作業レベルに差があった。
庫内作業のノウハウ蓄積が難しいという課題もあった。
そこで派遣スタッフを減らし、自社スタッフ比率を高めるよう方針を切り替えた。
現在は庫内スタッフの99%が自社スタッフに切り替わっている。
並行して作業の標準化と庫内スタッフの多能工化も進めた。
これによって他のセンターに初めて応援に行く場合でも一定以上の生産性を発揮できるようになった。
現場発の改善活動にも力を入れている。
例えば梱包作業は通常、ピッカーが荷物を梱包場所まで搬送して、梱包スタッフに引き渡すという運用をすることが多い。
従来は同社もそうしていた。
しかし、現在はフロアに小規模な梱包作業場所を点在させて、ピッキングした荷物を同じスタッフがそのまま梱包している。
その後、集荷時間もしくは特定数量がたまったら、まとめて出荷場所に搬送する。
同社の達城利元物流企画本部本部長は「メーカー物流であれば梱包作業にある程度の広さが必要になるが、EC物流は一回にピッキングする商品点数が少ない。
現場から改善提案が上がり、今の方法を実際に試してみたところ、生産性が向上した。
それを他の拠点に水平展開した。
他にもボトムアップの改善事例が無数にある」という。
今年から協働型ロボットの活用にも本格的に乗り出した。
主力拠点の関西主管センターなどでシリウスロボティクス社の協働型ピッキング作業支援ロボットのSyrius(シリウス)を導入、7月から本格運用を始めている。
関西主管センターでは、拠点内に約500坪の区画を設定して30台のシリウスを稼働させている。
商品サイズがそれほど大きくない雑貨やアパレル品などが対象。
シリウスとWMSを連携させることによって庫内スタッフの歩行距離は導入前と比べて10分の1程度に減少した。
作業負荷が大幅に低減され、生産性も上がった。
現時点では具体的な追加計画は固まっていないが、導入区画と台数を拡大する方向で検討しているという。
inVia Robotics(インビア)社のAGVの導入も進める。
こちらはゲート・アソート・システム(GAS)と組み合わせて運用する計画で、やはり関西主管センターでの運用を予定している。
同社にとって関西主管センターはロボットを始めとする先端物流技術の能力を評価して最適な運用を開発するR&D拠点としての役割を果たしている。
同センターで有効性が確認されたシステムを他拠点に展開していく。
ただし、作業の完全機械化を目指すのではなく、協働型での導入を今後も進めていくという。
物流センターをショールームに 関西主管センターの稼働は17年、続く18年には「東京第一物流センター」、今年は「東京主管センター」および「東京第三物流センター」と拠点を相次いで設置している。
来年は関西主管センターと同じ尼崎市内に関西新物流センターを開設する計画だ。
達城本部長は「このところ毎年1〜2カ所のペースで新センターを開設している。
荷主が決まってから拠点を手当てするのではなく、先行投資で拠点を用意している。
ECは市場の伸びが著しい。
新しい仕事の相談を受けても、拠点に空きがないと、スピード感を欠いた対応になってしまう。
それでも営業活動は非常に順調で、開設したらすぐに埋まっている」と話す。
新規顧客の営業方法はウェブマーケティングやセミナー経由、もしくは紹介が中心だ。
新規営業部の達城太貴課長は「自社サイトを活用したウェブマーケティングでは作成部門を内製化している。
会社の方針をダイレクトに反映できる点が強み」という。
問い合わせ対応と並ぶ営業プロセスとして重視しているのが倉庫見学だ。
「10年ほど前から『倉庫のショールーム化』を明確に意識している。
商談時には自社倉庫の見学を必ず提案する。
倉庫見学会も頻繁に行っている」と達城本部長。
そのため現場の照明を増やし、整理整頓を徹底している。
スタッフには現場見学に来たお客さまに挨拶をきちんとするよう促している。
「荷主が物流現場を見学する際に特に注意して見ている点は大きく二つ、現場スタッフの働きぶりと、現場が綺麗で明るいかどうか。
実際、ご契約いただいたお客さまに後で当社を選んだ理由を尋ねると、倉庫現場とスタッフが明るいことだと皆さんおっしゃる。
倉庫を見学してくださった場合の成約率はかなり高い」と達城本部長はいう。
当面は自社開発したソフトウエアの販売とEC物流の対象商品拡大に注力する。
同社のWMS「クラウドトーマス」は既に60社以上、チェックシステム「アニー」も240社以上が導入している。
その拡販を進める。
EC物流では冷凍食品ECに本格的に進出する。
東大阪市の主管センター1階で冷凍冷蔵倉庫の拡張工事を行い、9月から運用を開始している。
達城本部長は「巣ごもり需要の高まりなどで、冷凍冷蔵食品のECは相当盛り上がってきている。
しかし、冷凍食品をピース単位でハンドリングできる物流会社は限られる。
冷凍食品ECは商品の種類が比較的少ないため、物流の仕組みとしてはシンプル。
そこで常温拠点でのオペレーションを基本にして、冷凍冷蔵品のピース出荷に対応した新たな仕組みを構築する」と意欲を示している。
