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2020年3月号
特集

SBSグループ Interview SBSホールディングス 鎌田正彦 社長 読売新聞グループとBtoC配送網を構築

約200カ所の新聞販売店で宅配 ──2019年12月期はEC向けが伸びて2ケタの増収増益でした。
 「僕らは今、倉庫をバンバン作っています。
『野田』(千葉県野田市)に8万坪のセンターを建設している他、先日は『横浜金沢』(横浜市金沢区)でも1万6千坪を着工し、千葉県富里市に1万5千坪、名古屋に2万坪の土地を購入しました。
現時点の計画だけでも今後4〜5年で16万坪〜18万坪を建設することになります。
そのほとんどがeコマースのお客さまです」  「さらに言えばSBSグループは今、借り物を含めて50万坪を運用していますが、これを100万坪にすることを目指しています。
それもほとんどをeコマースの需要で埋めることになる。
EC専業だけでなく、これからは店舗小売業やメーカーもECに進出せざるを得なくなる。
BtoBのECも伸びている。
当社の成長の原動力は3PL事業ですが、ECのお客さまは皆、配送問題に悩みを抱えている。
そのため3PLと配送を組み合わせたトータルでお客さまのニーズに応えています」 ──元々、SBSグループは1987年に軽トラックを使った当日配送ベンチャー、関東即配として出発しました。
その事業が現在はグループのSBS即配サポートに引き継がれています。
そして2年ほど前から、SBSロジコム(旧:東急ロジスティック)とSBSフレック(旧・雪印物流)でも同じ事業を開始しました。
この流れをどう理解すればよいですか。
 「関東即配は30年以上にわたってBtoBの商業貨物をやってきました。
現在は1都3県で約1千台を運用しています。
一方で2018年5月にSBSグループ入りした、SBSリコーロジスティクス(旧リコーロジスティクス)は、大塚商会のオフィス通販『たのめーる』の配達を請け負っています。
この二つを組み合わせて全国の8割くらいの商圏をカバーするBtoB配送網を構築したい、という考えが一つあります」  「もう一方のBtoCは、BtoBとは特性が大きく違います。
配達密度が高くないと成り立たない上、再配達がある。
規模的にも即配サポートとリコーロジの合わせて2千台くらいでは少し足りない。
危機感がありました。
それもあって実は2年ほど前から、読売新聞グループと新聞販売店を活用した宅配の研究をずっと進めていました」  「現在、読売新聞東京本社とSBSの共同事業としてトライアル的に中野や杉並など都内の一部の新聞販売店でEC貨物を配達をしているのですが、これが非常に精度が高い。
クレームがない。
そこで今年7月から対象エリアを東京23区全域に拡大します。
その先も当面1都3県まで広げることで合意しています」 ──どのようなスキームなのですか。
 「EC事業者のセンターからSBSが集荷した荷物を新聞の印刷所に届けます。
印刷所から新聞販売店には1日2回、朝刊と夕刊のトラックが出ているので、そこに載せて都内約200カ所の販売店に横持ちする。
販売店では朝刊の配達が終わった8時頃からEC貨物の配達を始める。
午後も夕刊配達後の17時から21時に届ける。
早朝の時間配達指定も今年11月頃から始める計画です」 ──SBS即配サポートはアマゾンジャパンのデリバリープロバイダを務めています。
それとは統合しないのですか。
 「現在1800台近く投入していますが、デリバリープロバイダはアマゾンさんの事業をお手伝いする立場ですから、勝手に別の荷物を載せるわけにはいきません。
それでもヤマト運輸からわれわれに配達が移ったことで品質が悪くなれば、お客さまに迷惑をかけてしまうのでこれまで懸命に品質を上げる努力を続けてきました。
その結果、今では胸を張れる品質を実現しています」 宅配市場の独占が崩れる先 ──主導権を持てない事業になぜそこまでして入り込むのですか。
 「頼まれた仕事は断らないのが当社の文化ですから。
それとやはり勉強したかったんです。
日本のEC化率はまだ7%足らずです。
これが20%近くまで伸びてもおかしくない。
150兆円の小売り市場の20%がEC化されたら2兆円以上の宅配ニーズが新たに生まれます。
ヤマトと佐川を合わせたくらいのボリュームが今から積み上がる。
それを今の宅配大手3社だけでカバーすることになるとは思えません。
さまざまなタイプのプレーヤーがラストワンマイルに参入して市場が重層化してくるはずです。
宅配市場の寡占が崩れます」  「しかも、これからは置き配が普及していきます。
置き配が50%を超える可能性さえあると考えています。
対面ではないので誰でも配達できる。
われわれがBtoBにとどまっている理由はなくなります。
置き配した荷物の写真を配達員がスマホで撮って、データベースに上げるシステムを既に開発しました。
そうした仕組みがあれば、どんな運送会社でも参入できます。
SBSである必要さえない」  「そこでこれから各地に運送会社のネットワークを作っていきます。
この3月には日本政策投資銀行と共同で地域運送会社の事業継承や人手不足を解消するための投資ファンドを立ち上げます。
ドライバーを育てるために自動車教習所も買収しました。
事故や危険運転を回避するトラック用の運転支援装置も現在、開発しています」 ──そこまで大きく経営の舵を切ったきっかけは何だったのですか。
 「宅配クライシスの問題に取り組んだことでいろいろなことが見えてきました。
宅配大手は『ドライバーが疲弊して人がいない、もうこれ以上は運べない』と言って値上げに動いた。
しかし、EC事業者は大手宅配から溢れ出した荷物をその後もさばいている。
人も用意できている。
ということは雇用形態を上手く整備すれば人はいるわけです」  「実際、今も当社の軽トラックの独立開業者の募集には多くの応募があります。
軽トラの開業支援は一昔前、独立開業者にローンを組ませて高額な車両を売りつけた業者がいて、すっかりイメージが悪くなってしまいましたが、当社の場合は新車を貸与する。
保証人も要らない。
仕事を覚えるまできちっと教育研修する。
仕事は途切れることなく提供する。
燃料も安く買える。
辞めたくなったら車はわれわれが引き取る、と働きやすい環境を用意しているので、脱サラして開業する人がたくさん集まる」  「先日も長崎の造船所で働いていた27歳の若者が、ウチの応募を見て上京してクルマを借りてドライバーになった。
造船所の周りの仲間も呼んで今では立派な会社になっている。
そうやって月に2千万、3千万円売り上げる人がたくさん生まれています。
一方で正社員として安定した暮らしがしたいとか、短時間だけ働きたいという人もいる。
いろんな働き方があるわけです。
それを考えていくのがわれわれの仕事ではないかと思います」

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