2020年3月号
特集
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T.M.G Interview 椿本孝幸 社長 アマゾンジャパンと共に成長していきたい
宅配会社の下請けからBtoCにシフト
──弊誌2019年2月号の物流企業番付《令和2年版》で総合ランキング第1位になりました。
2017年2月期に17億円足らずだった単独売上高が18年に34億円、19年は84億円と倍々ゲームで伸びている。
当期利益も急拡大しています。
「今期(2020年2月期)の売上高は145億円を見込んでいます。
その大部分がアマゾンの仕事です。
私は1982年に中古の軽トラックを購入して“一人親方”を始めた時から今までずっと宅配をやってきました。
元は宅配会社の下請けがメーンでしたが、2011年からアマゾンの配達を請け負うようになりました。
普通の宅配便と通販の配達ではまったく勝手が違うので当初3年くらいはかなり苦しみました」 「1日800個くらいを配るところから始まったのですが、そのうち半分近くが不在で返ってくる。
それが次の日、また次の日と積み上がっていく。
システムも当社の手作りで稼働当初はいろいろ不具合も起きます。
コールセンターの電話は鳴りっぱなしでパニック状態でした。
それでもネット通販は伸びるという確信があったので何とか持ちこたえて、5年を過ぎた頃から経営資源をアマゾンの仕事にシフトしていきました。
今では1日15万個程度を配達しています」 ──とりわけヤマト運輸がアマゾンの当日配達から撤退した2017年以降、猛烈な勢いで各地に拠点を立ち上げています。
「2018年に16拠点、19年には26拠点を立ち上げました。
アマゾンに付いていこうと覚悟を決めて、やれる限り徹底的にやりました」 ──進出エリアはどのように判断しているのですか。
「西日本に集中しています。
関東でもトライしたことがあるのですが、やはり地の利がないと難しい。
この事業はドライバーの確保が重要なのですが、人の集め方は地域によって違います。
当社は従来から近畿圏だけでなく広島や九州にも営業所を置いていたので西日本には土地勘がある」 ──九州や中国にも地元の業者はいます。
そこをなぜ大阪のT.M.G.に任せたのでしょう。
「長年の実績と、これまでわれわれが苦労してきたことを理解してくれているからだと思います。
実際アマゾンが新しいエリアで配送を始める時には、まずわれわれに打診してくれる。
われわれもそれに極力応えてきました」 ──新しい拠点を立ち上げる時にどうやってドライバーを集めているのですか。
「実はそれほど困っていません。
いくら人手不足、ドライバー不足といっても、集まる会社には集まる、集まらない会社には全く集まらないというのが実態だと思います。
もちろん人を集めるために継続的にTVコマーシャルを打ったり、配達車両を目立つようにペイントしたり、利益のうちかなりを宣伝広告に割いて認知度を上げる工夫はしています。
昨年末には当社仕様の車両をドライバーに無償で貸与する取り組みも始めました」 「が、やはり、アマゾンの配達の仕事は昔ながらの運送業のイメージとは違って、最先端の仕事と受け止められている、そして実際に働きやすいことが大きいと思います。
ドライバーの働き方改革にしても、アマゾンは行政が動く前から週休2日と週60時間以内労働をわれわれに推奨していました。
それを受けて当社も昨年、全ての業務委託先に対して時間制限を設けました」 ──労働時間を制限するとドライバーは稼ぎが減ってしまう。
「それでも皆辞めないで続けてくれています。
昔と違って今は、月70万円、80万円もらうためにがむしゃらに働くより、手取りはそこそこでも休みがあって安定した仕事を選ぶ人が多い。
もともとこの業界の働き方は正社員の勤務に合っていませんでした。
しかし、やればやっただけもらえるという歩合制ではなく、時間制でドライバーが働くようになると、正社員にも合うようになってきます。
そのため当社としても今後は正社員ドライバーを採用していくことを考えています」 「昨年11月に一般貨物運送の許可を取得して4トン車を購入しました。
ラストワンマイルの配達から拠点の川上の幹線輸送に事業を拡大します。
これまではアマゾンのセンターから来るトラックが、われわれのどの拠点にいつ到着するのか分からなかった。
交通渋滞などで遅れても待っているしかありませんでした。
自分で幹線輸送を運行することで、それが見えるようになります。
積み込みの仕方も変わってきます」 「軽トラックでは運べない大型貨物を2トン車で配達する仕事も始めます。
今年中に幹線輸送用の4トン車100台、大型貨物用に2トン車40台の導入を目指しています。
ただし、軽と違って大きなトラックのドライバーを集めるのがなかなか容易ではありません。
昔ながらの運送業の泥臭いイメージが染みついているからだと思います」 アマゾンが一番ドライバーに優しい ──アマゾンが直接雇用のドライバーで運用する『アマゾンフレックス』のエリアを拡大しています。
デリバリープロバイダにとって脅威にはなりませんか。
「まったく心配していません。
実際、当社が拠点を置いている都市でアマゾンフレックスを開始する場合でも、アマゾンは配送エリアが重複しないように明確に棲み分けてくれます。
あるいは、われわれのドライバーがアマゾンのセンターで働きます。
それでカバーし切れないところにアマゾンフレックスが入る」 ──T.M.G.のラストワンマイルの配送網を、アマゾン専用便ではなく、独自ブランドのBtoC宅配便として他の荷主に解放することもできるはずです。
「考えていません。
それよりも当社が受けた仕事をアマゾンのネットワークに流すことで、アマゾンの物量を増やしていきたい。
ヤマト運輸が総量規制に踏み切って以降、さまざまなオファーを受けるようになりました。
泣いているお客さまがたくさんいる。
われわれとしても何とかしてあげたい。
しかし、当社がカバーしているのは西日本だけです。
できるエリアだけ受けるということではお客さまの問題は解決しません。
そこで自分たちにはできない荷物を、われわれからアマゾンに流したい。
そのためにアマゾンにはわれわれには手を出せない領域にどんどん手を広げてほしい」 ──アマゾンに大手宅配会社のような全国規模の物流会社になってほしいということですか。
「アマゾンは既に物流会社だと私は考えています。
日本の北から南まで全国インフラもほとんど出来上がっていて、拠点間をおびただしい数の幹線輸送で結んでいる。
その姿は巨大な物流会社以外の何者でもありません。
そのサービスが既存の物流会社よりも早くて安いということであれば、荷主がどちらを選ぶのかは明らかです」 「しかも、アマゾンはドライバーに一番優しい。
これまでいろいろな運送会社と付き合って、今はアマゾンの内部に入ってやっているのでよく分かる。
他の大手が下請けに、“荷物を取りに行け! 残すな!”とやっているところを、アマゾンは“ドライバーに配って労ってほしい”と繁忙期になればドリンクを差し入れる。
ドライバーがどっちの仕事を選ぶのかもまた明らかです。
そんなアマゾンと一緒にわれわれは成長していきたい」
2017年2月期に17億円足らずだった単独売上高が18年に34億円、19年は84億円と倍々ゲームで伸びている。
当期利益も急拡大しています。
「今期(2020年2月期)の売上高は145億円を見込んでいます。
その大部分がアマゾンの仕事です。
私は1982年に中古の軽トラックを購入して“一人親方”を始めた時から今までずっと宅配をやってきました。
元は宅配会社の下請けがメーンでしたが、2011年からアマゾンの配達を請け負うようになりました。
普通の宅配便と通販の配達ではまったく勝手が違うので当初3年くらいはかなり苦しみました」 「1日800個くらいを配るところから始まったのですが、そのうち半分近くが不在で返ってくる。
それが次の日、また次の日と積み上がっていく。
システムも当社の手作りで稼働当初はいろいろ不具合も起きます。
コールセンターの電話は鳴りっぱなしでパニック状態でした。
それでもネット通販は伸びるという確信があったので何とか持ちこたえて、5年を過ぎた頃から経営資源をアマゾンの仕事にシフトしていきました。
今では1日15万個程度を配達しています」 ──とりわけヤマト運輸がアマゾンの当日配達から撤退した2017年以降、猛烈な勢いで各地に拠点を立ち上げています。
「2018年に16拠点、19年には26拠点を立ち上げました。
アマゾンに付いていこうと覚悟を決めて、やれる限り徹底的にやりました」 ──進出エリアはどのように判断しているのですか。
「西日本に集中しています。
関東でもトライしたことがあるのですが、やはり地の利がないと難しい。
この事業はドライバーの確保が重要なのですが、人の集め方は地域によって違います。
当社は従来から近畿圏だけでなく広島や九州にも営業所を置いていたので西日本には土地勘がある」 ──九州や中国にも地元の業者はいます。
そこをなぜ大阪のT.M.G.に任せたのでしょう。
「長年の実績と、これまでわれわれが苦労してきたことを理解してくれているからだと思います。
実際アマゾンが新しいエリアで配送を始める時には、まずわれわれに打診してくれる。
われわれもそれに極力応えてきました」 ──新しい拠点を立ち上げる時にどうやってドライバーを集めているのですか。
「実はそれほど困っていません。
いくら人手不足、ドライバー不足といっても、集まる会社には集まる、集まらない会社には全く集まらないというのが実態だと思います。
もちろん人を集めるために継続的にTVコマーシャルを打ったり、配達車両を目立つようにペイントしたり、利益のうちかなりを宣伝広告に割いて認知度を上げる工夫はしています。
昨年末には当社仕様の車両をドライバーに無償で貸与する取り組みも始めました」 「が、やはり、アマゾンの配達の仕事は昔ながらの運送業のイメージとは違って、最先端の仕事と受け止められている、そして実際に働きやすいことが大きいと思います。
ドライバーの働き方改革にしても、アマゾンは行政が動く前から週休2日と週60時間以内労働をわれわれに推奨していました。
それを受けて当社も昨年、全ての業務委託先に対して時間制限を設けました」 ──労働時間を制限するとドライバーは稼ぎが減ってしまう。
「それでも皆辞めないで続けてくれています。
昔と違って今は、月70万円、80万円もらうためにがむしゃらに働くより、手取りはそこそこでも休みがあって安定した仕事を選ぶ人が多い。
もともとこの業界の働き方は正社員の勤務に合っていませんでした。
しかし、やればやっただけもらえるという歩合制ではなく、時間制でドライバーが働くようになると、正社員にも合うようになってきます。
そのため当社としても今後は正社員ドライバーを採用していくことを考えています」 「昨年11月に一般貨物運送の許可を取得して4トン車を購入しました。
ラストワンマイルの配達から拠点の川上の幹線輸送に事業を拡大します。
これまではアマゾンのセンターから来るトラックが、われわれのどの拠点にいつ到着するのか分からなかった。
交通渋滞などで遅れても待っているしかありませんでした。
自分で幹線輸送を運行することで、それが見えるようになります。
積み込みの仕方も変わってきます」 「軽トラックでは運べない大型貨物を2トン車で配達する仕事も始めます。
今年中に幹線輸送用の4トン車100台、大型貨物用に2トン車40台の導入を目指しています。
ただし、軽と違って大きなトラックのドライバーを集めるのがなかなか容易ではありません。
昔ながらの運送業の泥臭いイメージが染みついているからだと思います」 アマゾンが一番ドライバーに優しい ──アマゾンが直接雇用のドライバーで運用する『アマゾンフレックス』のエリアを拡大しています。
デリバリープロバイダにとって脅威にはなりませんか。
「まったく心配していません。
実際、当社が拠点を置いている都市でアマゾンフレックスを開始する場合でも、アマゾンは配送エリアが重複しないように明確に棲み分けてくれます。
あるいは、われわれのドライバーがアマゾンのセンターで働きます。
それでカバーし切れないところにアマゾンフレックスが入る」 ──T.M.G.のラストワンマイルの配送網を、アマゾン専用便ではなく、独自ブランドのBtoC宅配便として他の荷主に解放することもできるはずです。
「考えていません。
それよりも当社が受けた仕事をアマゾンのネットワークに流すことで、アマゾンの物量を増やしていきたい。
ヤマト運輸が総量規制に踏み切って以降、さまざまなオファーを受けるようになりました。
泣いているお客さまがたくさんいる。
われわれとしても何とかしてあげたい。
しかし、当社がカバーしているのは西日本だけです。
できるエリアだけ受けるということではお客さまの問題は解決しません。
そこで自分たちにはできない荷物を、われわれからアマゾンに流したい。
そのためにアマゾンにはわれわれには手を出せない領域にどんどん手を広げてほしい」 ──アマゾンに大手宅配会社のような全国規模の物流会社になってほしいということですか。
「アマゾンは既に物流会社だと私は考えています。
日本の北から南まで全国インフラもほとんど出来上がっていて、拠点間をおびただしい数の幹線輸送で結んでいる。
その姿は巨大な物流会社以外の何者でもありません。
そのサービスが既存の物流会社よりも早くて安いということであれば、荷主がどちらを選ぶのかは明らかです」 「しかも、アマゾンはドライバーに一番優しい。
これまでいろいろな運送会社と付き合って、今はアマゾンの内部に入ってやっているのでよく分かる。
他の大手が下請けに、“荷物を取りに行け! 残すな!”とやっているところを、アマゾンは“ドライバーに配って労ってほしい”と繁忙期になればドリンクを差し入れる。
ドライバーがどっちの仕事を選ぶのかもまた明らかです。
そんなアマゾンと一緒にわれわれは成長していきたい」
