2019年12月号
特集
特集
「協働ロボット『AMR』が次の主役に躍り出る」
荷主から3PLにユーザー層が拡大
──物流ロボット市場の当面の展開をどう見ますか。
「われわれの『Butler(バトラー)』や『Geek+』など、これまでは『GTP(Goods To Person)』型のロボットが中心となって市場が拡大してきました。
それに対して新たに伸びてきたのが協働型の『AMR(Autonomous Mobile Robot:自律移動ロボット)』です。
以前にもお話しましたが、Kiva型の供給をアマゾンに打ち切られたクワイエット(Quiet Logistics)の創業者のブルース・ウェルティが、打倒アマゾンのためにローカス(Locus Robotics)を立ち上げて開発したロボットがそれです」 「われわれGROUNDも日本の物流現場にマッチする協働型ロボットを提供するために、中国のロボット会社のHIT ROBOT GROUP(HRG)とAMRを共同開発しました。
第1号クライアントとして既にダイアモンドヘッド社と導入契約を締結しています。
2019年11月中にも納品してインテグレーションに入る予定です。
『SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:センサーで周囲の環境を把握して地図を自動生成する技術)』を搭載したAMRの導入は日本初となります」 ──Kiva型はAMRに駆逐されるのでしょうか。
「そうはなりません。
需要が比較的安定していて、つまり波動が比較的小さくて大量に出荷されるアイテムの処理には、やはりGTPが適している。
モノを人まで運ぶという意味では『AutoStore』やスタッカークレーン式の自動倉庫も広義のGTPに数えられると思いますが、そうした設備は処理能力が高いために投資金額が大きくても費用対効果が出る。
しかし、波動が大きかったりロングテール品など需要予測の難しいアイテムまでGTPで扱おうとすると、たくさんのBIN(容器)が必要になり、クレーンの稼働が大きく上下にぶれたりといった、無駄や無理が生じる。
そこは従来なら人手でやるところでしたが、そこにAMRが出て来た。
つまりGTPとAMRは棲み分けることになります」 ──GTPとAMRを投資金額や費用対効果で比較するとどうなりますか。
「GTPを本格的に導入すれば5億円〜10億円といったレベルの投資になります。
自動倉庫に近い。
その代わり人手の作業に比べて生産性は4〜5倍になる。
一方、AMRはせいぜい倍です。
その代わりに導入のハードルはずっと低い。
既存の施設にそのまま導入できて、費用もリーズナブルです」 ──物流の自動化で先行したアマゾンは今のところAMRを使っていません。
「Kivaを買収して取り込んだことが、今になって彼らの制約になっているとみています。
彼らは大量導入によってロボットのコストダウンを追求してきた。
そのやり方で市場をリードし続けてきたわけですが、ふと気が付くとAMRや自動運転など新しい技術が普及し始めていた。
2019年に入ってアマゾンがKivaの買収から7年ぶりに物流ロボティクス企業の買収を再開したのは、危機感の表れだと私は受け止めています。
つまりアマゾンはAMRの価値を十分に分かっている」 ──従来型の自動倉庫やマテハン設備は今や陳腐化したのでしょうか。
「組み合わせ次第で使い道はあるでしょう。
ただし、レガシータイプの自動倉庫とロボットの最大の違いはソフトウエアです。
例えばAutoStoreは、どのBINに何を保管するか、売れ行きに合わせて常に最適化する頭脳を持っています。
そのためパフォーマンスが優れている。
それでいて従来型の自動倉庫よりは安い。
しかもスマートフォンと同様にソフトウエアがワイヤレスでアップデートされる。
既存のマテハン設備にはない特徴です」 ──AMRの登場はロボット市場にどのような変化をもたらしますか。
「一つは3PLにユーザー層が拡大します。
われわれがバトラーを日本市場に紹介した時には、3PLの引き合いはほぼゼロでした。
しかし、今回のAMRには3PLの方が先に反応しました。
われわれは2020年中に数百台規模を納品する見込みなのですが、そのお客さまのほとんどが3PLです。
AMRはGTPと比べて初期投資を抑えられる。
案件単位で投資を評価しても採算が合う。
しかも、汎用性、モビリティー性に優れている。
そのため3PLから人手不足に対応する手段として期待されている」 ──3PLの自動化武装が進むことで、物流業のビジネスモデルや競争条件も変わってきそうです。
「3PLの装置産業化が現実に進んできました。
物流業のグランドデザインが大きく変わることになります。
ロボットを導入した物流現場は、データ解析を基に運用のチューニングを重ねてパフォーマンスを上げていくという競争になります。
3PLに求められるスキルも変わります」 “すごい倉庫”に人は気付かない ──近未来の倉庫の姿をどうイメージしますか。
「従来型の倉庫の延長線上に“すごい倉庫”があるわけではなく、倉庫の在り方自体がまったく違ったものになると考えています。
サーバーを据付型で置く必要がなくなり、AMRのようなモビリティー性の高いロボットが普及してくると、時間的にも金額的にも、物流施設のセットアップが簡単にできるようになる。
閉鎖した商業施設やビル、学校でも何でもいいのですが、遊休施設を活用して新しいサプライチェーンを柔軟に立ち上げることができるようになる。
ダークウェアハウスはその走りといえるでしょう。
建物を外から見ただけでは分からない。
ひっそりとした存在だけれども、中ではAMRが動いていてシェアリングも行われている」 ──そこでGROUNDはどのような役割を果たす考えですか。
「端的には『Intelligent EYE(IE)』と名付けたダッシュボード、可視化アプリケーションを広く普及させていきたい。
今の倉庫には既にWMSとWCS(倉庫制御システム)が入っています。
ロボットを導入するとRCS(ロボット制御システム)がそこに加わる。
一方でGROUNDはロボットの普及と並行して、在庫やリソースの配置を最適化する計画系システム『DyAS』を提供しています。
IEはこれらの全てのシステムをつないで一元管理するゲートウェイの役割を果たします」 「例えばDyASの分析結果を、WMSに提供して在庫の保管ロケーションを最適化することで、動線が最適化されてそれまで10時間かかっていた作業が7時間でできるようになる。
WMSとRCSを一元管理して在庫の配置を見直すことで、ロボットのパフォーマンスを上げるといったこともできる。
さらにはロボットを一つの拠点に固定的に割り当てるのではなく複数の拠点や荷主をつないでシェアすればいっそうパフォーマンスは上がる。
つまりIEは『LaaS(Logistics as a Service:ラース)』モデルをシェアリングで回していく基盤になるわけです」
「われわれの『Butler(バトラー)』や『Geek+』など、これまでは『GTP(Goods To Person)』型のロボットが中心となって市場が拡大してきました。
それに対して新たに伸びてきたのが協働型の『AMR(Autonomous Mobile Robot:自律移動ロボット)』です。
以前にもお話しましたが、Kiva型の供給をアマゾンに打ち切られたクワイエット(Quiet Logistics)の創業者のブルース・ウェルティが、打倒アマゾンのためにローカス(Locus Robotics)を立ち上げて開発したロボットがそれです」 「われわれGROUNDも日本の物流現場にマッチする協働型ロボットを提供するために、中国のロボット会社のHIT ROBOT GROUP(HRG)とAMRを共同開発しました。
第1号クライアントとして既にダイアモンドヘッド社と導入契約を締結しています。
2019年11月中にも納品してインテグレーションに入る予定です。
『SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:センサーで周囲の環境を把握して地図を自動生成する技術)』を搭載したAMRの導入は日本初となります」 ──Kiva型はAMRに駆逐されるのでしょうか。
「そうはなりません。
需要が比較的安定していて、つまり波動が比較的小さくて大量に出荷されるアイテムの処理には、やはりGTPが適している。
モノを人まで運ぶという意味では『AutoStore』やスタッカークレーン式の自動倉庫も広義のGTPに数えられると思いますが、そうした設備は処理能力が高いために投資金額が大きくても費用対効果が出る。
しかし、波動が大きかったりロングテール品など需要予測の難しいアイテムまでGTPで扱おうとすると、たくさんのBIN(容器)が必要になり、クレーンの稼働が大きく上下にぶれたりといった、無駄や無理が生じる。
そこは従来なら人手でやるところでしたが、そこにAMRが出て来た。
つまりGTPとAMRは棲み分けることになります」 ──GTPとAMRを投資金額や費用対効果で比較するとどうなりますか。
「GTPを本格的に導入すれば5億円〜10億円といったレベルの投資になります。
自動倉庫に近い。
その代わり人手の作業に比べて生産性は4〜5倍になる。
一方、AMRはせいぜい倍です。
その代わりに導入のハードルはずっと低い。
既存の施設にそのまま導入できて、費用もリーズナブルです」 ──物流の自動化で先行したアマゾンは今のところAMRを使っていません。
「Kivaを買収して取り込んだことが、今になって彼らの制約になっているとみています。
彼らは大量導入によってロボットのコストダウンを追求してきた。
そのやり方で市場をリードし続けてきたわけですが、ふと気が付くとAMRや自動運転など新しい技術が普及し始めていた。
2019年に入ってアマゾンがKivaの買収から7年ぶりに物流ロボティクス企業の買収を再開したのは、危機感の表れだと私は受け止めています。
つまりアマゾンはAMRの価値を十分に分かっている」 ──従来型の自動倉庫やマテハン設備は今や陳腐化したのでしょうか。
「組み合わせ次第で使い道はあるでしょう。
ただし、レガシータイプの自動倉庫とロボットの最大の違いはソフトウエアです。
例えばAutoStoreは、どのBINに何を保管するか、売れ行きに合わせて常に最適化する頭脳を持っています。
そのためパフォーマンスが優れている。
それでいて従来型の自動倉庫よりは安い。
しかもスマートフォンと同様にソフトウエアがワイヤレスでアップデートされる。
既存のマテハン設備にはない特徴です」 ──AMRの登場はロボット市場にどのような変化をもたらしますか。
「一つは3PLにユーザー層が拡大します。
われわれがバトラーを日本市場に紹介した時には、3PLの引き合いはほぼゼロでした。
しかし、今回のAMRには3PLの方が先に反応しました。
われわれは2020年中に数百台規模を納品する見込みなのですが、そのお客さまのほとんどが3PLです。
AMRはGTPと比べて初期投資を抑えられる。
案件単位で投資を評価しても採算が合う。
しかも、汎用性、モビリティー性に優れている。
そのため3PLから人手不足に対応する手段として期待されている」 ──3PLの自動化武装が進むことで、物流業のビジネスモデルや競争条件も変わってきそうです。
「3PLの装置産業化が現実に進んできました。
物流業のグランドデザインが大きく変わることになります。
ロボットを導入した物流現場は、データ解析を基に運用のチューニングを重ねてパフォーマンスを上げていくという競争になります。
3PLに求められるスキルも変わります」 “すごい倉庫”に人は気付かない ──近未来の倉庫の姿をどうイメージしますか。
「従来型の倉庫の延長線上に“すごい倉庫”があるわけではなく、倉庫の在り方自体がまったく違ったものになると考えています。
サーバーを据付型で置く必要がなくなり、AMRのようなモビリティー性の高いロボットが普及してくると、時間的にも金額的にも、物流施設のセットアップが簡単にできるようになる。
閉鎖した商業施設やビル、学校でも何でもいいのですが、遊休施設を活用して新しいサプライチェーンを柔軟に立ち上げることができるようになる。
ダークウェアハウスはその走りといえるでしょう。
建物を外から見ただけでは分からない。
ひっそりとした存在だけれども、中ではAMRが動いていてシェアリングも行われている」 ──そこでGROUNDはどのような役割を果たす考えですか。
「端的には『Intelligent EYE(IE)』と名付けたダッシュボード、可視化アプリケーションを広く普及させていきたい。
今の倉庫には既にWMSとWCS(倉庫制御システム)が入っています。
ロボットを導入するとRCS(ロボット制御システム)がそこに加わる。
一方でGROUNDはロボットの普及と並行して、在庫やリソースの配置を最適化する計画系システム『DyAS』を提供しています。
IEはこれらの全てのシステムをつないで一元管理するゲートウェイの役割を果たします」 「例えばDyASの分析結果を、WMSに提供して在庫の保管ロケーションを最適化することで、動線が最適化されてそれまで10時間かかっていた作業が7時間でできるようになる。
WMSとRCSを一元管理して在庫の配置を見直すことで、ロボットのパフォーマンスを上げるといったこともできる。
さらにはロボットを一つの拠点に固定的に割り当てるのではなく複数の拠点や荷主をつないでシェアすればいっそうパフォーマンスは上がる。
つまりIEは『LaaS(Logistics as a Service:ラース)』モデルをシェアリングで回していく基盤になるわけです」
