2019年12月号
特集
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佐川グローバルロジスティクス 「新事業所」――宅配便ハブ+24時間倉庫で異次元サービス
手軽にアウトソーシング
SGホールディングスの経営計画「Xフロンティアプロジェクト」の核となる施設が2020年2月に誕生する。
東京都江東区新砂の佐川急便東京本社隣接地約7万4千平米の延べ床約17万平米の国内最大級の物流施設を建設した。
佐川急便が宅配便の中継センターとして利用するほか、3PLの佐川グローバルロジスティクス(SGL)、引っ越し・大型貨物輸送のSGムービング、国際物流のSGHグローバル・ジャパンの事業会社4社が入居して、20年後半にかけて段階的に拠点を稼働させる。
グループ各社の機能を統合して新たな付加価値サービスを作り上げる。
SGLは同施設の3階のフロアにEC事業者向けプラットフォームセンター(新事業所)を立ち上げる。
延べ床9200坪のフロアにロボット倉庫「AutoStore」、ギークプラスのピッキングロボット「EVE」、ClearPath Robotics(カナダ)のAGV「OTTO」、伊CMC社の自動梱包装置「CartonWrap(カートンラップ)」などの最新設備を導入する。
最大200万点の荷物を保管して1カ月当たり90万点を入出荷する。
新事業所は中小EC事業者やスタートアップ、EC事業に乗り出して間もない荷主など、不特定多数を対象に、規格化したフルフィルメントサービスを、従量課金制で提供する。
料金は荷物一つ当たりの入出荷料が52円、保管料は1日当たり1・1円。
出荷量は問わず一律で設定している。
SGLの森下琴康社長は「これまでは1日当たりの荷物が100個、200個といった小規模の荷主にとって、3PLサービスは非常に敷居が高かった。
そのため一定の規模になるまで荷主はオフィスの一室や小さな倉庫を借りて自分で作業するしかなかった。
そうしたお客さまに商売に徹してもらうため、手軽にアウトソーシングできる仕組みを作った」という。
荷主とのインターフェースコストを抑制して、作業効率を維持するため、サービスを規格化して徹底的にオペレーションを自動化した。
出荷指示はEDI。
ファクスやメール、電話は原則として受け付けない。
荷物も自動化設備で取り扱えるサイズに制限した。
それでもサービスレベルは最高水準だ。
とりわけリードタイムは大手EC事業者の専用拠点も凌ぐスピード配達を実現する。
同事業所は同じ施設の1階・2階にある佐川急便の「関東中継センター」と連結される。
深夜に受けたオーダーでも、すぐにピッキング・梱包してコンベヤーに乗せれば中継センターを出発する早朝便に乗せられる。
関東全域に午前中に届く。
佐川急便は全国24カ所に宅配便の「ハブセンター」を設置している。
そのうち幹線便の中継機能を備えた拠点だけを「中継センター」と呼んでいる。
関東中継センターは同社最大規模となり、全国に直送便を走らせる。
中部や関西など他のブロック向けもリードタイムが半日短くなる。
中国の自動化技術に注目 森下社長は「今のところ当社は人手不足には悩まされてはいない。
実際、この3年間で社員数を2千人も増やしている。
しかし、庫内スタッフがどのお客さまの荷物かということを意識する必要のない仕組みにしないとプラットフォームは運用できない。
最新の物流テクノロジーによってそれが可能になった」という。
SGLは全国76カ所に「佐川流通センター」(SRC)を展開している。
主に宅配便のユーザーを対象とした汎用拠点だが、通常は荷主3〜4社が専用拠点として同じ施設に入居するかたち。
同じフロアでも荷主ごとにスペースを明確に区分して、保管棚やネステナーなど必要な設備をそれぞれ導入している。
運用も荷主の要望に合わせて組み立てている。
それに対して新事業所は、入荷したパレット積み貨物をAGV「OTTO」がロボット倉庫の「AutoStore」もしくはピッキングロボット「EVE」用の保管棚に格納し、その後の出庫からピッキング、仕分け、梱包、出荷に至るまで、荷主は違っても全く同じ作業で処理できる。
SGLは約20人が所属するLE(ロジスティクスエンジニアリング)課というエンジニアリング部隊を常設している。
同部門のスタッフを中心にオペレーションの設計と自動化設備の選定に当たった。
森下社長自身、何度も中国に足を運んだ。
中国の人件費は上がっているとはいえ、日本と比べれば3分の1の水準にすぎない。
それなのになぜ自動化・機械化が急速に進んでいるのか。
自分の目で確かめたかった。
「中国のEC事業者が物流の自動化に積極的なのは、一つは圧倒的な量を短時間で捌かなければならないからだが、それと同時に中国には欧米のメーカーと比べて低価格でそれなりの機能を備えた機械がたくさん市場に出回っていることが大きい。
しかも、ものすごい勢いスピードで進化している。
われわれもそれを使わない手はないと判断した」という。
新事業所は20年2月を運用を開始し、主な自働化設備は4月から段階を踏んで稼働させていく計画だ。
1日当たり7500件・1万6千件を出荷する場合で、従来型のマニュアル作業であれば80人の庫内作業員を必要とするところを40人で運営できるという。
新事業所の投資額は非公表。
しかし、コスト削減効果だけで投資を吸収できると試算している。
「われわれが使えそうな中国の自動化設備はEVEだけではない。
既に他の設備の導入も視野に入れている」と森下社長はさらに自動化投資を進める考えだ。
囲み記事 「営業力に自信があるからリスクをとれる」 佐川グローバルロジスティクス 森下琴康 社長 ──今回のEC事業者向けプラットフォームセンターでは大規模な自動化設備を先行投資で実施することになります。
3PL業界では過去に例がありません。
「確かに大規模な投資になります。
普通の物流会社なら二の足を踏んでしまうところかもしれません。
しかし、われわれSGホールディングスグループは日本一営業力のある物流会社だと思っています。
全国のセールスドライバーに加えて、GOALに所属する営業専任担当者を200人以上抱えている。
設備を遊ばせてしまうことなどあり得ないという自信があります。
しかも、当社は全国に足回りを持っています。
他のEC物流サービスとは明確に差別化した提案ができます」 ──社内のスタッフや営業には、この事業についてどう伝えているのですか。
「もう〝坪売りはやめよう〟と話をしています。
既存のお客さまがSRCから出て行ってスペースが空く。
それでは家賃が入らないからと営業に行く。
それが私は嫌いなんです。
そうした仕事であれば専門の倉庫会社がいくらでもある。
われわれは不動産会社ではなく物流サービスを売る会社です」 「荷主に言われた通りにやるだけなら3PLという仕事には面白味がありません。
それは現場も同じです。
顧客の事業に合わせて必要になるものを先読みして提案していく。
そこに醍醐味がある。
当社はトップと現場が近い。
これほど近い会社は他にないと思います。
そのため目の前の数字を追うだけでない提案を認める社風があります」 「『スマート・インポート』にしてもそうです。
アジアの生産地で検品、店舗別仕分け、値札や送り状の貼付まで安価に済ませて、現地のSGグループの拠点でフルコンテナに仕立て、日本で佐川急便のネットワークに乗せて納品する。
国内倉庫を経由しないことで、トータルコストの削減とリードタイムを短縮するというソリューションですが、国内の物流の仕事が減ってしまう話ですから、普通であればわれわれからお客さまに提案するようなことはしない。
しかし、そうしたやり方が当社では歓迎される。
今回の稟議も一発で通りました」 ──今後の展開は? 「B2Bを対象としたプラットフォームセンターを考えています。
スマート・インポートを導入した荷主は国内在庫が減るため国内に必要な倉庫スペースも小さくなります。
ユーザーの多くはアパレルや雑貨など扱う荷主で、商業施設や量販店のセンターなど納品先は重複しています。
そこで当社が納品先周辺にプラットフォームセンターを立ち上げ、荷主の国内在庫を集約して、貸し切りトラックで共同納品する。
コストを大きく下げられます」
東京都江東区新砂の佐川急便東京本社隣接地約7万4千平米の延べ床約17万平米の国内最大級の物流施設を建設した。
佐川急便が宅配便の中継センターとして利用するほか、3PLの佐川グローバルロジスティクス(SGL)、引っ越し・大型貨物輸送のSGムービング、国際物流のSGHグローバル・ジャパンの事業会社4社が入居して、20年後半にかけて段階的に拠点を稼働させる。
グループ各社の機能を統合して新たな付加価値サービスを作り上げる。
SGLは同施設の3階のフロアにEC事業者向けプラットフォームセンター(新事業所)を立ち上げる。
延べ床9200坪のフロアにロボット倉庫「AutoStore」、ギークプラスのピッキングロボット「EVE」、ClearPath Robotics(カナダ)のAGV「OTTO」、伊CMC社の自動梱包装置「CartonWrap(カートンラップ)」などの最新設備を導入する。
最大200万点の荷物を保管して1カ月当たり90万点を入出荷する。
新事業所は中小EC事業者やスタートアップ、EC事業に乗り出して間もない荷主など、不特定多数を対象に、規格化したフルフィルメントサービスを、従量課金制で提供する。
料金は荷物一つ当たりの入出荷料が52円、保管料は1日当たり1・1円。
出荷量は問わず一律で設定している。
SGLの森下琴康社長は「これまでは1日当たりの荷物が100個、200個といった小規模の荷主にとって、3PLサービスは非常に敷居が高かった。
そのため一定の規模になるまで荷主はオフィスの一室や小さな倉庫を借りて自分で作業するしかなかった。
そうしたお客さまに商売に徹してもらうため、手軽にアウトソーシングできる仕組みを作った」という。
荷主とのインターフェースコストを抑制して、作業効率を維持するため、サービスを規格化して徹底的にオペレーションを自動化した。
出荷指示はEDI。
ファクスやメール、電話は原則として受け付けない。
荷物も自動化設備で取り扱えるサイズに制限した。
それでもサービスレベルは最高水準だ。
とりわけリードタイムは大手EC事業者の専用拠点も凌ぐスピード配達を実現する。
同事業所は同じ施設の1階・2階にある佐川急便の「関東中継センター」と連結される。
深夜に受けたオーダーでも、すぐにピッキング・梱包してコンベヤーに乗せれば中継センターを出発する早朝便に乗せられる。
関東全域に午前中に届く。
佐川急便は全国24カ所に宅配便の「ハブセンター」を設置している。
そのうち幹線便の中継機能を備えた拠点だけを「中継センター」と呼んでいる。
関東中継センターは同社最大規模となり、全国に直送便を走らせる。
中部や関西など他のブロック向けもリードタイムが半日短くなる。
中国の自動化技術に注目 森下社長は「今のところ当社は人手不足には悩まされてはいない。
実際、この3年間で社員数を2千人も増やしている。
しかし、庫内スタッフがどのお客さまの荷物かということを意識する必要のない仕組みにしないとプラットフォームは運用できない。
最新の物流テクノロジーによってそれが可能になった」という。
SGLは全国76カ所に「佐川流通センター」(SRC)を展開している。
主に宅配便のユーザーを対象とした汎用拠点だが、通常は荷主3〜4社が専用拠点として同じ施設に入居するかたち。
同じフロアでも荷主ごとにスペースを明確に区分して、保管棚やネステナーなど必要な設備をそれぞれ導入している。
運用も荷主の要望に合わせて組み立てている。
それに対して新事業所は、入荷したパレット積み貨物をAGV「OTTO」がロボット倉庫の「AutoStore」もしくはピッキングロボット「EVE」用の保管棚に格納し、その後の出庫からピッキング、仕分け、梱包、出荷に至るまで、荷主は違っても全く同じ作業で処理できる。
SGLは約20人が所属するLE(ロジスティクスエンジニアリング)課というエンジニアリング部隊を常設している。
同部門のスタッフを中心にオペレーションの設計と自動化設備の選定に当たった。
森下社長自身、何度も中国に足を運んだ。
中国の人件費は上がっているとはいえ、日本と比べれば3分の1の水準にすぎない。
それなのになぜ自動化・機械化が急速に進んでいるのか。
自分の目で確かめたかった。
「中国のEC事業者が物流の自動化に積極的なのは、一つは圧倒的な量を短時間で捌かなければならないからだが、それと同時に中国には欧米のメーカーと比べて低価格でそれなりの機能を備えた機械がたくさん市場に出回っていることが大きい。
しかも、ものすごい勢いスピードで進化している。
われわれもそれを使わない手はないと判断した」という。
新事業所は20年2月を運用を開始し、主な自働化設備は4月から段階を踏んで稼働させていく計画だ。
1日当たり7500件・1万6千件を出荷する場合で、従来型のマニュアル作業であれば80人の庫内作業員を必要とするところを40人で運営できるという。
新事業所の投資額は非公表。
しかし、コスト削減効果だけで投資を吸収できると試算している。
「われわれが使えそうな中国の自動化設備はEVEだけではない。
既に他の設備の導入も視野に入れている」と森下社長はさらに自動化投資を進める考えだ。
囲み記事 「営業力に自信があるからリスクをとれる」 佐川グローバルロジスティクス 森下琴康 社長 ──今回のEC事業者向けプラットフォームセンターでは大規模な自動化設備を先行投資で実施することになります。
3PL業界では過去に例がありません。
「確かに大規模な投資になります。
普通の物流会社なら二の足を踏んでしまうところかもしれません。
しかし、われわれSGホールディングスグループは日本一営業力のある物流会社だと思っています。
全国のセールスドライバーに加えて、GOALに所属する営業専任担当者を200人以上抱えている。
設備を遊ばせてしまうことなどあり得ないという自信があります。
しかも、当社は全国に足回りを持っています。
他のEC物流サービスとは明確に差別化した提案ができます」 ──社内のスタッフや営業には、この事業についてどう伝えているのですか。
「もう〝坪売りはやめよう〟と話をしています。
既存のお客さまがSRCから出て行ってスペースが空く。
それでは家賃が入らないからと営業に行く。
それが私は嫌いなんです。
そうした仕事であれば専門の倉庫会社がいくらでもある。
われわれは不動産会社ではなく物流サービスを売る会社です」 「荷主に言われた通りにやるだけなら3PLという仕事には面白味がありません。
それは現場も同じです。
顧客の事業に合わせて必要になるものを先読みして提案していく。
そこに醍醐味がある。
当社はトップと現場が近い。
これほど近い会社は他にないと思います。
そのため目の前の数字を追うだけでない提案を認める社風があります」 「『スマート・インポート』にしてもそうです。
アジアの生産地で検品、店舗別仕分け、値札や送り状の貼付まで安価に済ませて、現地のSGグループの拠点でフルコンテナに仕立て、日本で佐川急便のネットワークに乗せて納品する。
国内倉庫を経由しないことで、トータルコストの削減とリードタイムを短縮するというソリューションですが、国内の物流の仕事が減ってしまう話ですから、普通であればわれわれからお客さまに提案するようなことはしない。
しかし、そうしたやり方が当社では歓迎される。
今回の稟議も一発で通りました」 ──今後の展開は? 「B2Bを対象としたプラットフォームセンターを考えています。
スマート・インポートを導入した荷主は国内在庫が減るため国内に必要な倉庫スペースも小さくなります。
ユーザーの多くはアパレルや雑貨など扱う荷主で、商業施設や量販店のセンターなど納品先は重複しています。
そこで当社が納品先周辺にプラットフォームセンターを立ち上げ、荷主の国内在庫を集約して、貸し切りトラックで共同納品する。
コストを大きく下げられます」
