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佐高信
経済評論家
53 SEPTEMBER 2004
『週刊ダイヤモンド』が八月七日号で同誌ら
しい「創価学会の経済力」の解剖をしている。
総資産は一〇兆円とか。 これは東京電力の約
一四兆円には及ばないが、九兆円のソニーや
九兆六〇〇〇億円の日立製作所を凌ぐ規模だ
という。
一九九五年十一月七日、当時、創価学会の
資産や税金問題を追求していた自民党代議士
の熊代昭彦は、
「最大の宗教団体であります創価学会さんは
一〇兆円の資産と毎年二〇〇〇億円ないし三
〇〇〇億円の特別財務、それがすべて無税扱
いである。 そして、それを元手にする収益事
業が実質二〇%弱の軽減税率‥‥」
と、その矛盾と不気味さを指摘した。
財務とは学会員による寄付であり、たった
四日間で三五五億円を集めたこともある。
興味深いのは創価大学の今年の卒業生の就
職率が九六%であること。 就職先にも一流企
業がズラリと並んでいる。
トップは三井住友銀行の八人。
「特定の団体、学校に対して特別な扱いはし
ていない。 人物本位で採用した結果にすぎない」
これが同行の説明である。
但し、個別企業でなく言うと、トップは教
員を含む公務員で、およそ一〇〇〇人の就職
希望者の、ほぼ一割である。 とりわけ、学校
に学会は進出しているということだろうか。
三井住友銀行に次いで、五人を採用しているのが伊藤園や近畿日本ツーリスト、そして
ワタミフードサービスなどである。
りそな銀行が三人、東京三菱銀行は二人。
『ダイヤモンド』によれば、過去五年間で五
人以上の卒業生を採用した年が三回ある伊藤
園は、全国の学会施設に飲料の自販機を設置
している。 伊藤園の役員は、これに、
「創価学会だけでなく、立正佼成会や霊友会
とも等距離外交をしている」
と反論している。
ところで、集められた「巨額マネー」はど
う運用されているのか?
「四大銀行グループで預金総額一兆円超!
頭取もひれ伏す資金力」という見出しの章は、
正月の仕事始めに、三菱信託銀行の社長がま
ず創価学会を訪れるという記事から始まる。
監督官庁である金融庁より先に、学会に年賀
に行くのが習慣なのである。
四大銀行のなかでも、圧倒的に東京三菱銀
行との関係が深い。 いま、UFJをめぐって、
東京三菱と三井住友が綱引きをしているが、
学会の意向を無視できないのではないか。
粗利益率が五〇%以上という墓苑事業にも
さまざまなウラがあり、「やっかいな仕事も請
け負う三井住友建設」と書かれている。
「マスメディア支配」では、学会ウォッチャ
ーの乙骨正生の次のコメントだけを紹介して
おこう。
「新聞の委託印刷だけでなく、広告の出稿、
紙面や番組の買い取りなどで少なく見積もっ
ても数十億円をマスコミにつぎ込んでいる。
その?威光〞の前に多くのメディアが文字ど
おり?カネ縛り〞に遭っている」
外務省には推定三〇〇人前後の学会員が働
いており、「大鳳会」という組織を持っている
ことは知る人ぞ知る事実だが、学会を巡る奇
怪なおカネの事件も忘れがたい。
たとえば、一九八九年六月、横浜市内のゴ
ミ処理場で現金一億七五〇〇万円の入った金
庫が発見された時は、三日後に、池田大作の
?金庫番〞と呼ばれた中西治雄が名乗り出た。
また、九一年に発覚した「ルノアール疑惑」
は三菱商事が間に入って差額が一四億七五〇
〇万円も生じ、その行方が注目されたが、真
相は藪の中である。 同じく九一年には、東京
国税局が墓苑事業の税務調査に入り、二九億
五〇〇〇万円の所得の申告漏れが明らかにな
ったが、これもウヤムヤのまま。
謎だらけのこの学会に挑んだ記事が少ない
というのはまことにおかしい。
創価学会が動かす奇怪な巨額マネー
この謎に挑むメディアが少ない理由
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