ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年9号
やらまいか
引退後の過ごし方

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2004 68 ゴルフはいつもぶっつけ本番 最近、社長を辞めた後の過ごし方を考え始 めるようになっている。
経営の第一線から退 くのはもう少し先になりそうだが、いまから準 備だけはしておきたい。
世の中には引退した 途端、やりがいを失って老け込んでしまう人 が少なくない。
そうならないようにするために も仕事以外の趣味をいくつか見つけておいた ほうがいい。
そういうオレもどちらかといえば、仕事人間 だ。
運送屋の仕事を始めてから、かれこれ四 〇年以上経つが、これまで何よりも優先して きたのは仕事だった。
以前にも説明したが、会 社は多額の借金を抱えていたから、仕事を最 優先するのは当然なのかもしれない。
しかしそ の分、趣味を楽しむような時間をほとんど持 てなかった。
それでも最近では少し余裕が出てきたので、 趣味に時間を費やせるようになってきている。
ここ数年、ハマっているのはゴルフだ。
オレは 借金を完済するまで、二〇年近くゴルフを自 粛してきた。
しかし借金がなくなり再開してか らは月一〜二回のペースで近所のコースに通 うようにしている。
ゴルフはたくさん歩くから 健康にもいい。
コースにはお客さんや会社の仲間といくこ とが多い。
スコアはだいたい九〇〜一〇〇の あいだ。
?楽しいゴルフ〞というレベルだ。
オ レは普段から打ちっ放し(練習場)には行か ない。
面倒臭いし、平日は仕事が忙しくて練 習する時間がないからだ。
毎回、ぶっつけ本 番でコンペに臨んでいる。
それにしてはまずまずのスコアだろう? し かし、そう思っているから練習場に出掛けな いのかもしれない。
仲間には「きちんと練習す ればもっとスコアを縮められるのに」とアドバ イスされるが、これからもコースのみでやっていくつもりだ。
最近はすっかりご無沙汰しているが、若い 頃に好きだった麻雀もボケ防止にはいいかも しれない。
麻雀は指先や頭を使うからな。
麻 雀を奨励している老人ホームもあるという。
た だし、タバコの煙が充満した狭い部屋の中で 雀卓を囲んだり、徹夜するのは健康に良くな い。
中国の人たちのように、青空の下で楽し んだほうがいい。
昔はほとんどの男性が麻雀を打てた。
しか し、いまの若い人たちには色々な遊びがあるた め、麻雀のルールを知らない連中も少なくな いそうだ。
麻雀をやりたくてもメンツを揃える 第18回「 引 退 後 の 過 ご し 方 」 社長業を引退したら海外旅行を楽しむつもりだ。
行きたい 国は山ほどある。
寺院など伝統的な建造物を見学するのもい いが、オレはどちらかというと自然と接するほうが楽しい。
とくに滝を眺めるのが好きだ。
世界各国の滝をめぐる旅を計 画している。
大須賀正孝ハマキョウレックス社長 ――ハマキョウ流・運送屋繁盛記 69 SEPTEMBER 2004 のに苦労する可能性がある。
麻雀は冷静な人ほど強いと言われている。
こ れに対して、オレはどちらかといえば、カーッ となりやすいタイプだ。
本当は麻雀に向いてい ない。
カーッとなれば、血圧が上がる。
いくら ボケ防止に役立っても、頭に血がのぼって倒 れてしまったら元も子もない。
麻雀もほどほど においたほうがよさそうだ。
駆け足での旅行はもうイヤ ゴルフや麻雀以外の趣味と言えば、海外旅 行だ。
これまでも二月や一〇月の比較的仕事 が暇な時期に休みをもらって世界各国を旅し てきた。
休みの期間が短いため、どうしても行 き先は近場のアジアが中心となってしまうが、 アフリカや北欧といった遠方にも出向いたこ ともある。
今までに訪問した国はどのくらいだ ろうか。
結構な数になっているはずだ。
旅行中は仕事のことをいっさい忘れるよう にしている。
オレから会社には連絡を入れない。
会社の連中には本当に困ったときだけホテル に電話をするように、と伝えてある。
頻繁に 連絡を入れてしまうと留守中の仕事を任せた 意味がなくなってしまうからな。
オレがいない と会社が動かないようではダメだ。
これまではだいたい年に二回くらいのペース で海外旅行を続けてきた。
しかし最近では仕 事が忙しいためスケジュール調整がうまくいか ず、海外に行く機会が減ってきている。
年に 一度あればいいほうだ。
最後は二〇〇三年一 〇月のニュージーランド旅行。
以降、プライ ベートでは海外に出掛けていない。
過去の旅行はいずれも駆け足だった。
仕事 に縛られることなく、ゆっくりと海外を旅して みたい。
それが引退後の夢だ。
この先一〇年 も社長をやっていたら、年を取って体が動か なくなる。
なるべく早く後進に道を譲って海 外旅行を楽しみたい。
そうしないと、どこにも 行けなくなってしまう。
海外旅行に出掛ける一番の目的は見聞を広 めることだ。
世界には知らない文化や習慣が たくさんある。
日本の常識は世界の常識では ないことに気づかされる。
先進国だけではなく、 後進国からも学ぶべき点は多い。
旅行を通じ てその後の人生に役立つような発見をするこ とも少なくない。
滝と会社経営の共通点 海外旅行ツアーの定番である寺院など歴史 的な建造物の見学も嫌いではない。
しかしそ れ以上にオレは大自然の中に身を置くのが好 きだ。
最近の旅行でとくに印象に残っている のはアフリカのサファリツアー。
ライオンやキ リンといった野生動物を自分の目で観察する ことができた。
とても興奮した。
滝を眺めるのもいい。
オレは小学校の遠足 で初めて滝を見て以来、すっかりその魅力に 取り憑かれている。
お坊さんが修行に使うよ うな水量の少ない滝から、一度呑み込まれた ら二度と浮き上がってくることができないであ ろう大きな滝まで、どんな種類の滝も好きだ。
引退後には世界各地の有名な滝をめぐる旅に 出掛けようと計画している。
最低でも北米のナイアガラ、南米のイグア ス、アフリカのビクトリアの世界三大瀑布は 制覇したい。
このうちナイアガラには足を運ん だ。
残りの二つはいつになる分からないが、体 力のあるうちに訪問したいと思っている。
うち の女房はビクトリアの滝に興味があるらしい。
一緒に連れていってやるつもりだ。
どんなに大きな滝でも最初はたった一滴の 水からスタートしている。
その一滴の水が集ま って小川になり、さらに小川がいくつか合流 して大きな川になる。
そしてその川が高い場 所から流れ落ちているのが滝だ。
途中で岩などに邪魔されたりして流れの向 小学校の遠足で初めて滝を見て以来、すっかりその魅力 に取り憑かれてしまった 界がある。
添乗員付きの旅行で数週間程度、現 地に滞在するくらいがちょうどいい。
住めば都という言葉の通り、オレは浜松が 気に入っている。
死ぬまで浜松で暮らしてい きたいと思っている。
浜松には知り合いが多 いから、悪いことができない。
「あの人は昨日 あそこで飲んでいた」といった情報があっとい う間に拡がってしまう。
浜松は昔からそういう 土地だった。
だからといって閉鎖的なわけでは なく、外部からやってきた人も温かく迎え入 れてくれる。
人口約六〇万人の小さな都市だが、住み心 地は最高だ。
年間を通して気候が温暖なのが いい。
冬でも氷が張らない。
レジャーにも適している。
浜松には中心地 から車で三〇分以内に海や山、そして温泉が ある。
三〇分以内で行けるゴルフコースは約 一〇カ所。
しかも関東に比べ、プレー費も格 段に安い。
こんな便利な場所はほかにないん じゃないか? きっと浜松を離れることはない だろう。
(以下、次号に続く) SEPTEMBER 2004 70 きが変わってしまい、小川が集まらないと大き な川にはならない。
川の規模が小さければ、滝 も大きなものにはならない。
ナイアガラの滝が ダイナミックなのは水が途中で遮断されずにス ムーズに流れているからだ。
滝は会社の経営によく似ている。
会社は一 人で立ち上がるが、仕事が軌道に乗ると徐々 に社員の数が増えていく。
小川が何本も合流 して大きな川になるのと同じだ。
社員全員が 同じ方向を目指していれば、きちんと合流し て最後にはナイアガラのような大きな滝になる ことができる。
しかしバラバラだと水量が足ら ず、滝としての迫力が欠けてしまう。
滝の魅力は色々な場所から集まってきた水 が力を合わせて美しい流れを形作っている点 だ。
会社も同じように社員のみんなが協力す ればいい経営ができる。
和が乱れれば、滝(経 営)は曲がった方向に進む。
いい滝は水がき れいだ。
会社経営も同じで、たとえ流れが真 っ直ぐでも、陰で道理に反することをしていれ ば、必ず水は濁ってくるはずだ。
危険なスポットを一人で歩く 海外旅行も数をこなしていくと、誰もが訪 れるような観光スポットに飽きてくる。
そこで 最近は観光客が滅多に足を踏み入れないよう な場所を歩くようにしている。
危険だとされて いる場所も少なくないから、女房は一緒に歩 くのを嫌がっているが、オレは全然平気だ。
ど んどん奥地へと入っていきたくなる。
一般の市民たちが暮らしているような場所 を訪ねる。
所詮、観光スポットからはその国 の本当の姿というのは見えてこない。
訪問し た国の文化や習慣に接するためには多少の危 険が伴っても現地の人たちが普通に暮らして いるエリアへと潜入していくべきだ。
危険なエリアでも堂々と歩けばいい。
襲わ れるかもしれないという不安な表情で歩いてい ると、かえって狙われてしまう。
オレはいつも 反対に襲ってやるつもりで歩いている。
だから 襲われない。
オレは強面だから、現地の人た ちのほうがむしろオレのことを恐れているかも しれないな。
カネを持ち歩かないのも危険な目に遭わな いようにするための手段の一つとして有効だ。
オレはズボンのポケットに最低限必要な小銭 だけを入れて歩いている。
これに対して、日本 人の観光客は高級バックやカメラをぶら下げ て歩いているから襲われる。
現地の悪い連中 は金目のモノを持っていないヤツを狙ったりは しない。
カネのなさそうな汚い格好をして歩い ていれば、彼らは絶対に近寄ってこないはずだ。
浜松に骨を埋める 海外に出掛けるのは大好きだが、永住を考 えたことはない。
言葉がネックになっている。
もし英語が?バリバリ〞だったら永住するの も悪くないが、恥ずかしながらオレはまったく 英語ができない。
食事など生活全般のことを 考えると、語学なしで海外で暮らすのには限 おおすか・まさたか 一九四一年静岡県 浜北市生まれ。
五六年北浜中卒、ヤマハ 発動機入社。
青果仲介業などを経て、七 一年に浜松協同運送を設立。
九二年に現 社名の「ハマキョウレックス」に商号変 更した。
二〇〇三年三月に東証一部上場。
主要顧客はイトーヨーカ堂、平和堂、フ ァミリーマートなど。
流通の川下分野の 物流に強い。
大須賀氏は現在、静岡県ト ラック協会副会長、中堅トラック企業の 全国ネットワーク組織であるJTPロジ スティックスの社長も務めている。
ちな みにタイトルの「やらまいか」とは遠州 弁で「やってやろうぜ」という意味。

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