ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年10号
ケース
サミット――現場管理

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

OCTOBER 2004 26 異色のスーパーマーケット 首都圏で七十数店舗を展開する食品スーパ ーマーケット(SM)、サミットは変わった企 業である。
SMチェーンの多くがオーナー経 営なのに対し、同社は住友商事の一〇〇%子 会社だ。
その生い立ちもあって一九六三年の 設立時には米国の大手流通業者との業務提携 を引っさげて新規参入したが、わずか一年で 提携を解消。
その後は試行錯誤を繰り返しな がら独自のノウハウを蓄積してきた。
オーナー経営と?ドンブリ勘定〞が目立つ SM業界にあって、いち早く数値データに基 づく管理を導入し、全国的にみても先進的な SMとして知られるようになった。
二〇〇三 年三月期の売上高は一六〇六億円(前期比 九・九%増)。
近年の出店増による先行投資 負担で経常利益の伸び率こそ鈍化しているが、 売り上げは右肩上がりで伸びている。
同社には?中興の祖〞ともいうべき存在が いる。
東京都世田谷区に一号店を出店してか ら七年後の一九七〇年に、赤字を垂れ流して いたサミットに住商から出向してきた荒井伸 也氏である。
安土敏というペンネームで『小 説スーパーマーケット』という著作もある荒 井氏は、それから三〇年余りをサミットで過 ごし社長と会長を務めた。
この辺りの話については荒井氏が自ら月刊 誌で連載中の「サミットストア物語」に譲る が、氏の考え方が現在のサミットの?背骨〞 LSPで培った“科学的”な現場管理 店舗支援に徹する物流もサミット流 日本の食品スーパーのなかで異色の存在 だ。
住友商事の100%子会社としてスター トした生い立ちも特殊なら、欧米流の合理 性に徹底的にこだわってきた点も小売業界 では珍しい。
LSP(レイバー・スケジュー リング・プログラム)という管理手法を駆 使して店舗運営を効率化し、これを支える 物流にも理詰めの工夫を凝らしている。
サミット ――現場管理 27 OCTOBER 2004 になっていることから、最低限の背景は紹介 しておく必要があるだろう。
住商時代に人事部に所属していた荒井氏は、 欧米流のマネジメント理論に傾倒し社員研修 に精を出していた。
ところが商社の仕事には マネジメント理論に欠かせない?標準化〞の 考え方がなじまず、深い挫折を味わった。
この体験を通じて荒井氏は、「マネジメン ト理論を必要とするような仕事を総合商社マンにさせるためには、特別な教育が必要であ る」(日経BP社刊『日経食品マーケット』 より)ことを逆説的に学んだ。
SM事業をそ の典型的な分野と確信した荒井氏は、自ら希 望して三三歳のときにサミットに出向。
以降、 定年まで親会社に戻らないという異端の商社 マン人生を過ごした。
日本の食品スーパーの多くは鮮魚店や八百 屋から業態変換したオーナー企業だ。
当時の 一般的なSM経営者の意識は、欧米流のマネ ジメント理論とは縁遠いものだったが、荒井 氏の目には違うものが映った。
スーパーの店 内の商品移動は「物流」だし、生鮮食品を加 工したり売場を形づくる作業は「製造技術」 そのもの。
SMの経営にこそマネジメント理 論が欠かせないと考えた。
そのような職場に 住商は総合商社流の手法を持ち込んで失敗し ていたのだから、荒井氏にとっては持論を試 すまさに絶好の舞台だった。
もっとも実際にサミットに飛び込んでみる と、欧米流の経営理論をそのまま適用できる ほど甘い状況ではなかったようだ。
SMの主力商品である生鮮品は極めてロー カル色が強い。
日常的に鮮魚を食べる文化は 日本独特のものだし、精肉の加工方法ひとつ とっても肉食文化の長い欧米と日本とでは大 きく異なる。
なによりも日本の食品スーパー で生鮮品を扱う人々の多くは?職人〞で、作 業の標準化が当たり前の欧米流とは対極の行 動原理で動いていた。
結局、ほとんど手探り で仕組みを作り上げる必要があった。
現場を?科学的〞に管理する 日本では、メーカーなどに比べて小売業を 低く位置づける傾向がいまだに根強い。
だが 六〇年代の米国のSMは、日本の小売業と比 べて圧倒的に進んでいたばかりか、製造業を 含む多くの産業のなかでも先進的とされてい た。
トヨタ自動車の「かんばん方式」が、米 国のSMの仕組みをヒントに考案されたと言 えば分かりやすいだろうか。
そのSMが、日本で最近に至るまで前近代 的な産業のまま温存されてきた最大の理由は、 行政による保護の影響だ。
過去の日本では中 小零細小売業を守る力が強く働いた。
「流通 革命」という仰々しい旗印の下でダイエーや 西友などの大型店が台頭する一方で、彼らの 急成長は社会問題になった。
結果として大型 店の出店は厳しく規制され、ただでさえ欧米 の後塵を拝していた日本の流通は、効率化の 歩みをさらに遅らせてしまった(本誌四四ペ ージ「進化のゆくえ」参照)。
もちろん、米国市場の現地視察などを通じ て、日本の小売業者が欧米流を取り込む動き は当時から活発だった。
だが、その多くは表 層的な模倣に過ぎず、小売業という産業その ものを近代化したとは言い難い。
ある卸売業 者の重鎮の「かつての日本の流通には、競合 はあったが競争はなかった」という言葉がそ ■部門別売上構成比 家庭用品 6% その他 2% 99年 3月 00年 3月 01年 3月 02年 3月 03年 3月 04年 3月 図1 サミットの事業概要 その他 食品 51% 生鮮食品 41% 売上高 1606億円(前期比9.9%増) 経常利益 35億円(前期比2.2%増) 当期利益 17億円(前期比6.9%増) 従業員数 4695人※正社員1400人  本社所在地 東京都杉並区 株主 住友商事100% 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 40 35 30 25 20 15 10 5 0 《経常利益》 《売上高》 (億円) 売上高 経常利益 (億円) の雰囲気を的確に評している。
こうした時代 にあって、欧米流のマネジメント理論でサミ ットの経営を立て直そうとした荒井氏の姿勢 は、本質的に異色だったはずだ。
いずれにしてもサミットは、七〇年代に入 ると数値データに基づく経営を徹底し、それ なりの成果を上げはじめた。
発足以来、赤字 経営を続けていたのが七二年には初めて年間 黒字に浮上。
その後も、コンピューターを使 った会計システムを導入したり、レジの近代 化や、「オール日本スーパーマーケット協会」 への加盟による商品調達力の強化などの施策 を進め、成長軌道に乗ることができた。
そして、八四年に「LSP」(レイバー・ スケジューリング・プログラム=作業割当計 画)という考え方を本格導入したことが、サ ミットにとって大きな転機となった。
小売業の現場は労働集約産業の最たるもの だ。
パートタイマーやアルバイトをいかに効 率よく使うで生産性が左右される。
にもかか わらず従来は、サミットの現場管理も担当者 の経験と勘に頼る部分が大きかった。
それが LSPの導入によって?科学的な管理〞へと様変わりした。
この考え方をオペレーション の基本に据えたことが、今日のサミットの土 台を築いたといっても過言ではない。
作業の標準化が不可欠のLSP LSPは七〇年代から八〇年代の米国で、 スーパーマーケットの店舗管理を効率化する 手法として発達した。
多数のパート社員やア ルバイトなどを使う現場で、データに基づく 労務管理を実施し、人件費支出を適正化する ための手法として生み出された。
日本では八 〇年頃に西友が導入し、その後はサミットを はじめとする食品スーパーの間に広まった。
物流現場でも活用されている。
大手食品卸 の菱食は、八〇年代後半に提携先の米フレミ ングからLSPを学んで物流現場に導入した。
また、花王も、九〇年代半ばに物流センター の機能を自動化機器中心から人手中心へと回 帰させるなかで、物流の現場管理を効率化す るために導入している。
LSPでは「人時(にんじ=マン・アワ ー)」という単位が管理の基本になる。
これ は「仕事量」と「作業者の人数」を関連づけ た概念で、たとえば「六人時」は、六人の作 業者が一時間働く仕事量でもあり、三人が二 時間働く仕事量でもある。
ある仕事をこなす ための計画を作るときには、その仕事を完了 するために?何人時〞が必要なのかというと ころからスタートして、全体の作業スケジュ ールや要員配置を考えていく。
こう書くと何やら複雑な管理手法に感じる かもしれないが、実際にはどこの現場でもや っている労務管理を徹底的に定量化している だけの話だ。
LSPでは、従来は現場リーダ ーの勘や個人技に頼っていた管理業務を数値 化し、理詰めで最適化していく。
サミットの 店舗サポート部の高橋千次マネジャーは、L SPの具体的な使い方をこう説明する。
「当社では一〇時の開店時に一〇〇%の品 揃えをするという?あるべき売場〞の姿がは っきりしている。
このため、例えばある日の 鮮魚売場で、開店までに刺身を何パック作る 必要があるといったことが明確に分かる。
一 人の作業者が一時間に何パックの刺身を作れ るのかは、あらかじめ標準作業を測定してあ るため、実際の作業に何人が何時から何時ま で携わる必要があるのかが計算できる。
こう いう分析を必要な作業について全部やり、そ OCTOBER 2004 28 サミットの高橋千次店舗サポー ト部マネージャー <センター概要> 所在地:川崎区田辺新田(日本アクセス敷 地内)、敷地:約16000平米、倉庫面積: 約8000平米(1F通過スペース2600平米、 2F在庫スペース5400平米)、主要取扱商 品:和洋デイリー、惣菜、酒、加工食品、 たばこ、菓子、家庭用品ほか サミットの川崎物流センター 29 OCTOBER 2004 れに基づいて人員を配置していく」 刺身のパックひとつとっても、実際に作る には、切る、盛りつけるといったさまざな工 程がある。
LSPを導入しようとしたら、そ うした作業の一つひとつを?標準化〞し、そ こから標準的な作業時間を割り出す必要があ る。
言い換えれば、効率的な標準作業を体系 化できない現場にはLSPも導入できない。
そして、たとえチェーン小売りであっても、 各店ごとに異なったルールで業務を行ってい るようでは、LSPも各店ごとに作らなけれ ばならず、手間ばかりかかって採算が合わな い。
ITを活用する効率化手法ではあるが、 それ以前の標準化こそがカギになる。
LSPの理屈は簡単だが、実際に作業を標 準化してルールとして守り続けたり、地道に 標準作業の時間を割り出すのは容易ではない。
とりわけ売り場の管理を職人芸に依存しがち のSMでは難しい。
「導入から二、三年は生 産性が上がらないことを覚悟すべきだ。
LS Pに適した企業風土というのがあるし、トッ プがそうした考えをもっていて、しっかりと 推進しなければ根付かせるのは難しい」と高 橋マネージャーは強調する。
完全な外注化で物流部を廃止 サミットにとって物流業務は「店舗の後方 支援部隊」という位置づけで、「物流部」と いう部署は存在しない。
すべての仕組みを店 頭を起点に構築してきた。
物流も例外ではな い。
店舗作業をLSPで効率化してきたのと同様の考え方で、バックヤードや物流センタ ーの作業を高度化してきた。
サミットの物流効率化の取り組みは、日本 のチェーンストアのなかでも早い方だ。
一貫 してドミナント戦略をとり、出店エリアを国 道一六号線の内側にほぼ限定。
八〇年代のは じめには、加工食品、菓子、家庭用品の店舗 への一括配送に取り組み店舗配送の車両台数 を減らそうとした。
今でこそ当たり前になっ た店内まで持ち込めるカートラックによる店 舗納品も八五年にスタートしている。
サミットにもかつては「物流部」が存在し ていた。
八九年に埼玉県の所沢に初の本格的 な一括物流センターを作ったときには、マテ ハンメーカーの助けを借りながら、物流部の 社員が自らセンターを構築。
店舗でのノー検 品をスタートさせた。
このとき庫内実務や店 舗配送こそキユーソー流通システムに委託し たが、サミットの物流部員が物流センターに 常駐し、センターの運営責任はあくまでもサ ミットの物流部が担っていた。
九八年に川崎市に二つ目の一括物流センタ ーを構築したとき、この方針を改めた。
「八 九年当時はキユーソーさんも小売りの物流に 不慣れだった。
当社の物流部員が、小売りの 店舗作業について教えたり、サミットの方針 に基づく管理になるように物流現場を見る必 要があった。
ところが川崎センターを建てる 頃になると、あらかじめ我々の考え方をきち っと伝えておけば、物流センターの運営ごと アウトソーシングしても大丈夫ではないかと なった」と高橋マネージャーは振り返る。
九〇年代末になると物流業者の側でも、す でに一括物流の現場運営の経験を豊富に積ん でいた。
結局、川崎センターでは庫内作業と 配送を雪印アクセス(現日本アクセス)に全 面的に任せることを決定。
所沢センターでの 研修などを経て、稼動時からサミットの常駐 社員は置かない体制を組んだ。
商品を納入し てもらう取引先との調整業務も、サミットの 代わりにアクセスが手掛ける。
? ? ? ? ? 4 5 98 2 3 6 7 社員A 社員B 社員C 社員D 社員E 8:00 8:00 8:00 8:00 8:00 13:00 17:00 16:00 17:00 17:00 17:00 5:00 7:00 8:00 8:00 8:00 ?計画M.H ?実働M.H  M.H過不足 作業区分名 デイリー品出し 定番品品出し 変動作業小計 発注 検収 定番残品出し 特売品品出し 46:10 28:10 74:20 4:00 1:00 4:30 12:10 基準M.H 46:10 28:10 74:20 4:00 1:00 4:30 12:10 計画M.H +1.00 +0:50 +1:50 +0:00 +15:20 119:30 137:30 +18:00 18:00 18:00 101:30 119:30 +18:00 10:00 10:00 +2:00 +2:00 差異 第1時間帯 36:10 28:10 64:20 1:30 1:00 0:30 10:00 28:10 64:20 1:30 1:00 0:30 1:30 1:00 第2時間帯 図2 LSPでは作業者ごとに細かく計画を立てる (LSPの画面のイメージ) OCTOBER 2004 30 幸い川崎センターでの業務は稼動から半年 ほどすると軌道に乗った。
このためサミット の社内では、所沢センターも完全にアウトソ ーシングしても良いのではないかという意見 が主流になっていった。
そこで同社は所沢セ ンターの資産を手離し、物流業務を全面的に キユーソーに任せることを決定。
現在、所沢 センターの建物などは、キユーソー流通の親 会社であるキユーピーの関連会社が保有して いるのだという。
以降、サミットの物流管理は、サービスレ ベルの要求は同社が出すが、それを実現する ための工夫は協力物流業者に一任するように なった。
九九年になるとサミットは物流部を 完全に廃止し、同部に所属していた人間を 「グロサリー業務」に異動。
この部署が後に 生鮮の物流センターや、店内の物流効率化も 手掛けるようになった関係で「店舗サポート 部」へと名称を変えて現在に至っている ITやマテハンは追求しない 現在のサミットにとって、キユーソーとア クセスは完全に3PLとして機能している。
両センターともサミットの常駐社員はゼロ。
すべてを協力物流業者が管理している。
サミ ットとの日常的な連絡は、電子メールによる 日報のやりとりがメーンで、運営状況が安定 している現状では「とくに問題が発生しなけ れば電話をすることもほとんどない」と、川 崎センターの運営を任されている日本アクセ スの宇都宮一万センター長は言う。
川崎では、アクセスの敷地のなかにサミッ ト専用の物流センターが建っている。
同じ敷 地内には、一括物流を請け負っているイトー ヨーカ堂の生鮮センターがあり、また隣に構 築中の汎用物流センターはアクセスの関東の 施設のなかでも最大級のものだ。
アクセスに とっては、小売りの一括物流センター事業の ための最先端の現場である。
管理をアクセスが担っているとはいえ、セ ンター内の実務と配送業務はギオンというア クセスの協力物流業者がすべてを手掛けてい る。
年間数百億円の商品が通過するセンター に常住するアクセスの正社員は五人。
ほかに 三人のパート社員が事務処理を担っているが、 あとはギオンの関係者が運営している。
まさ にサミットの物流部門が手掛けていた管理業 務を、アクセスが代行している格好だ。
自動仕分け機(ソーター)で店別に仕分 けてカートラックに積載していく 2階にはサミットのPB商品と、アクセス の帳合い分の商品在庫がある 85年から使っているカートラックは閉店 時に店舗内まで持ち込める形状 フォークリフトを使い2階でピッキング した商品を垂直搬送機で1階へ 在庫商品のピッキングは人手で、最後に まとめてスキャン検品を施す サミット川崎物流センターの現場 在庫してある一部のケース商品を店別の カートラックに直接、積み込む 31 OCTOBER 2004 サミットの物流はシンプルだ。
一括物流セ ンターは原則として通過型(TC)で、ソー ターで店舗別に仕分けている。
ケース出荷品 についてはITFコードを利用して仕分ける。
バラ出荷品については、事前に取引先が店舗 別にピッキングして折りコンに入れた状態で 納品してくるものを、同じソーターで店別に 仕分ける。
一つの建物内を温度調整して、午 前は日配品・惣菜のチルド、午後はドライグ ロサリーと二通りに使っている。
ベンダーはサミットに物流センターを通過 した商品金額に一定の料率を掛けた使用量 (センターフィー)を支払い、この中からサミ ットが物流業者に個建て契約で作業量を支払 っている。
小売りのTCでは法外に高いセン ターフィーなどが社会問題化することも少な くないが、サミットの高橋マネージャーは 「センターフィーを高く設定すれば、商品の 仕入れ金額が高くなるだけ」と、そのような 行為の無意味さを指摘する。
同社の一括物流で注目すべきは、取引先の 納入スケジュールなどを徹底的に管理してい る点だ。
アクセスの宇都宮センター長は次のように語る。
「ここには苦労した。
特売など で物量が通常の二倍あったりすると、いつも 通りのスケジュールでは作業が追いつかない。
我々の方からベンダーさんに『今日は特売だ から、いつもより一時間早くきて先卸をお願 いします』といった調整をしている」 物流センターの仕組みそのものは、基本的 に所沢センターで培ったノウハウを引き継い でいる。
「サミットの物流システムは最新鋭 の機械とかITを使っているわけではない。
ただ店舗のことを考えて全体の仕組みを作り、 動かしているという意味では最先端だと自負 している」(高橋マネージャー)という言葉 通り、理詰めの管理が施されている。
川崎センターは最近、増床工事を行なった。
従来は約四〇店までしかまかなえなかったの を五〇店に引き上げ、現在の出店ペースを続 けても向こう七、八年は既存施設で対応でき るメドをつけた。
もっとも、その先まで考え ると、そろそろ次の段階について検討する必 要がある。
「従来通り五〇店ごとに物流セン ターを増やしていっていいのか。
在庫併用型 のセンターも選択肢の一つ」としながら、さ まざまな構想を練っているところだ。
現在のサミットのオペレーションは、物流 も含めて効率的に機能している。
将来に向け て不安定な要因をあえて挙げるとすれば、親 会社である住友商事の出方がある。
過去のサ ミットは荒井氏の強いリーダーシップもあっ て、住商と付かず離れずの関係を保ってきた。
だが、その荒井氏は二〇〇四年六月に最高顧 問を退任。
サミットの経営からは完全に退い た格好になっている。
その一方で住商は、二〇〇〇年に資本参加 した西友と米ウォルマートの業務提携を橋渡 しするなど、流通分野で活発な動きを見せて いる。
サミットを軸にして首都圏に売上二兆 円規模のスーパーマーケット連合を形成する という野心的な構想も打ち出している。
この 動きの中でサミットは、従来のように自ら主 導して効率化を進めることが可能なのか。
同 社の次世代の物流構想にとっても、無視でき ない要因といえるだろう。
(岡山宏之) 川崎物流センターの運営を任さ れている日本アクセスの宇都宮 一万センター長 全部で4カ所あるサミットの物流拠点の役割分担   2003年度実績 ※比率は当該部門の全仕入原価に占める当該センター経由商品の仕入原価の割合 青果 鮮魚 精肉 総菜 加工食品 菓子 家庭用品 デイリー ベーカリー 3.1% 2.1% ― ― 94.8% ― ― 100.0% ― ― 0.04% 0.03% 96.8% ― 3.2% 23.4% 13.2% 11.3% 32.8% 19.1% 48.9% 34.8% ― ― 16.3% 57.7% 41.7% ― ― 0.6% 44.2% 36.7% ― ― 19.1% 38.3% 26.0% ― ― 22.6% 4.4% 2.5% 8.0% 6.4% 78.7% 99.8% 0.2% ― ― ― 部門 生鮮 その他 衣料リビング 所沢物流 センター 川崎物流 センター 大井物流 センター 所沢冷食 センター その他

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