ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年3号
特集
物流資産は誰が持つ ファンド乱立後の物流市場

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2005 10物流不動産ファンドの乱立をきっかけに倉庫用地が高騰し始めた。
減損会計の強制適用を控え、老舗企業の資産売却も本格化している。
サプライチェーンのインフラを誰が資産として所有すべきなのか。
物流不動産市場の活性化によって改めて問い直されている。
(大矢昌浩)過熱する物流用地の入札日本国内の物流用不動産が高騰し始めた 東京都大田区東海 横浜市・生麦 千葉県・舞浜など 物流アクセスの良い大規模産業用地の競争入札では 付近の相場を二倍近く上回る高額落札が珍しくなくな ている 落札者はいずれも物流施設の開発に特化した外資系不動産フ ンドだ 同分野世界最大手のプロロジスが二〇〇二年に東京・新木場にDHLジ パンの専用センタ を建設したのを皮切りに AMBブラ クパインやラサ ルインベストメントマネジメントなど 海外の有力フ ンドが相次いで日本の物流不動産市場に参入している 三井物産や三菱商事 オリ クスとい た国内組も名乗りを上げた これらのフ ンドが国内の物流施設に投資した総額は二〇〇四年時点で既に三〇〇〇億円以上に上 たと推測される プロロジスが一七六〇億円 AMBが五五〇億円 ラサ ルと三井物産も既に三〇〇億 四〇〇億円の投資を行 た模様だ 着工面積もプロロジスだけで一〇三万平方メ トル 全体では二〇〇万平方メ トル規模に達している計算になる 実に東京ド ム四〇個分もの物流施設がフ ンドによ て新設あるいは買収された格好だ 今後も国内の物流不動産を対象にした投資フ ンドの設立は続く 生駒シ ビ ・リチ ドエリスで物流不動産市場を担当する小林麿氏は 当面 現在の拡大基調は続く 各社の投資計画を多少割り引いて考えたとしても投資総額は五〇〇〇億円規模にまで達するだろう という 私募債あるいはREIT リ ト と呼ばれる不動産証券化手法を使 て資金を調達し そこに銀行ロファンド乱立後の物流市場ファンド乱立後の物流市場第1部 物流資産は誰が持つ 特集 
隠 MARCH 2005 ンを加えて 数百億円 二〇〇〇億円もの運用資金を確保 物流施設を新設もしくは既存施設を買収し 賃料収入でリタ ンを得る それが不動産フ ンドの基本的なスキ ムだ 世界的な低金利から投資資金はダブついている 銀行も新たな貸出先の確保に汲々としている 二〇〇五年度から日本の上場企業に減損会計が強制適用になることで 既存資産の売却によるオフバランス化のニ ズも高ま ている それもオフ スビルや商業施設の証券化は既に一巡し 有望な投資物件は枯渇気味 物流不動産がブ ムになる条件は揃 ている も とも国内倉庫の賃料相場はバブル崩壊以降 ほぼ一貫して下がり続けている それに反して土地価格だけが高騰する現状を ミニバブル だと指摘する声もある 実際 当初は年率一〇%以上あ た物流不動産フ ンドの利回りが現在では六 七%まで下が てきている それでもAMBブラ クパインの松波秀明在日代表は 一般の不動産フ ンドのリタ ンが五%そこそこであることを考えれば充分に魅力はある しかも物流不動産は通常一〇年以上の長期契約になるため オフ スビルや商業施設よりも収益は安定している 日本では企業の物流合理化の余地もまだまだ残されている 一部の物件に関しては確かに過熱感があり これから多少揺り戻す局面もあるかも知れないが 大きな流れ自体は変わらないだろう という 当初 物流不動産フ ンドの利回りが高か たのはリスクプレミアムが乗せられていたためだ オフ スビルや商業施設と比較して 物流施設は流動性や価格の透明性に課題がある それが二倍近い利回りの差として現れていた これに対して物流不動産市場の確立した欧米では既に利回りの差がほとんどなくな ている 今後 日本も同じ展開になるとすれば プレミアムのある今のうちに参入したほうが旨味も大きい そんな投資家の 読み がブ ムに拍車をかけている ラサ ルの中嶋康雄投資執行役員物流施設担当は 米国では現在 機関投資家の不動産ポ トフ リオのうち約一五%を物流不動産が占めている これに対して日本の機関投資家が物流不動産に向けている資金はほぼゼロに近い 一方で日本のバブル時代に建設された物流拠点の中でそろそろ償却時期を迎えるものが出てくる オフバランス化のニ ズも旺盛だ 市場規模拡大の余地は大きい という 新しいマ ケ トの誕生これまで日本の物流不動産市場には大手と呼べるリ ダ が存在しなか た 自ら土地を購入して自社仕様で建設し使い続けるのであれば 物流不動産開発の専門家も必要ない 所有が固定化し取引事例が少ないため市場規模や賃料相場 空き倉庫率なども不透明で大まかな傾向しか分からなか た それが近く大きく変わろうとしている 大量の資金が流れ込み 取引が活性化することで日本の物流不動産市場は否応なく整備される 勝ち組のフ ンドは今後 日本の物流不動産市場のオピニオンリ ダ になる可能性がある 日本でも商業用不動産では三菱地所や森ビルなどがリ ダ になり賃貸相場に大きな影響力を持 ている 同様にフ ンドが今の勢いで投資規模を拡大していけば 物流不動産市場において同じような存在にな てもおかしくはない と生駒CBREの小林氏はいう 既に米国では倉庫施設の六〇 七〇%が機関投資家の所有にな ている 日本でも用地の取得では今や物流不動産フ ンドが最大の買い手だ フ ンドが土●AMBブラックパインの国内所有施設 【既存施設買収】 埼玉DC1 埼玉DC2 船橋DC1 船橋DC2 船橋DC3 船橋DC4  
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隠供ぃ苅牽粥  .曠鵐澄Ε┘スプレス、ブリヂストンスポーツ パイオニアシェアードサービス   ユニ・フードとユーエフ倉庫から2棟を計24億円で取得。
   テナントは東急エアカーゴとSBS若洲 ナカノ商会 市川塩浜 日通 柏 マルチテナント 
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隠隠亜ぃ娃娃哀淵ノ商会。
20年の長期賃貸契約 日本通運専用拠点。
投資総額約100億円 日立グループから用地を買収。
投資総額約170億円。
 名 称  名 称  名 称  買収時期  敷地面積(m2) 延床面積(m2) 敷地面積(m2)   延床面積(m2)  敷地面積(m2)   延床面積(m2)  成田エアカーゴセンター 尼崎DC 太田DC2005年2月 
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沓掘ぃ坑僑亜   敲数テナント新設】   竣工時期   2007年完成時の投資総額165億円を予定 ロジワンが半分を賃貸。
投資総額約100億円 土地取得額106億円。
投資総額は185億円 投資規模等  竣工時期  投資規模等  テナント等  ●ラサール インベストメント マネジメントの国内所有施設   MARCH 2005 12地の価格を決めている 今後 それが賃料相場にまで波及すれば フ ンドは物流不動産市場の完全なプライスリ ダ と化す そして彼らの施設を利用するメ ンのテナントが3PLだ 荷主企業の専用拠点の新設が必要とされる案件でも フ ンドを利用することで3PLは自社資産を持たずに事業を展開することが可能になる 新たな倉庫施設の買い手が現れたことで塩漬けにな ていた既存施設の売却も容易になる 売却後にそのまま賃貸で施設を使い続ける セ ルス&リ スバ ク という選択肢も生まれた 呑み込まれる倉庫業フ ンドの参入によ て日本の物流不動産市場は活性化し 物流拠点の所有とオペレ シ ンの分離が進む この動きを脅威と感じているのが既存の倉庫業者だ 簿価の低い 償却の済んだ施設を賃貸することで労せずに高い収益を得る それが従来の倉庫業者の一般的なビジネスモデルだ た 物流不動産の流動性が低い環境では 資産を持 ていることが事業活動の条件になる 新規参入は難しく 市場競争も限定的だ ほとんどの拠点は自己資産として所有し 先行投資や見知らぬ地域に出ていくリスクはできる限り避けてきた そんな市場に突如として青い目の機関投資家が参入した その姿は倉庫業者の目には 黒船 として映 ている 不動産フ ンドはテナントも決ま ていない段階から先行投資で大型拠点の建設に動く しかも最近では これまで関係者以外の入り込むことなどなか た港湾エリアにまで進出している 影響は避けられない と大手倉庫会社の経営幹部は打ち明ける かつて倉庫業者が主業としてきた荷物の保管業は 企業が在庫を持たなくな てきたことで長期的に縮小する傾向にある これに伴い倉庫業者も事業の中心を純粋な不動産業に近い 坪貸し にシフトさせてきた しかし その坪貸し業もまた新たな壁に直面している 荷主企業の多くは現在 地域別に分散させていた在庫を中央倉庫に集約する拠点再編を進めている これによ て地方の小規模倉庫から荷物が消える 一方の中央拠点には一定の規模と通過型拠点として使用するための機能が求められる しかし倉庫業者が所有する古い施設では構造的に対応できない 倉庫業界の実情に詳しいイ ソ コの河田榮司社長は もともと日本は土地が高いことから 古い倉庫でも四 五階建てが珍しくない ところがそうした倉庫は保管スペ スを確保する目的で作られているため 上層階に保管した荷物を出荷するのに手間がかかる 通過型倉庫としては敬遠されてしまう という これに対して不動産フ ンドは一万平方メ トル以上の規模を持 た大型拠点に投資対象を絞 ている 構造面でも通過型に対応して大型トレ ラ で上層階まで直接 搬入できるよう設計を工夫している 同じ立地 同じ規模の施設でも使い勝手は全く違う 多少賃料が高くてもテナントはつく コスト負担力のある 付加価値の高い荷物を持つ有力企業から順に 既存倉庫から逃げていく しかし 既存の倉庫業者の多くは これまで営業に力を入れてこなか たため どうしていいのか分からない やむを得ず倉庫料を下げてみるが それでも荷物が埋まらない ジリ貧状態にある と河田社長は分析する そうした倉庫業者に対して イ ソ コでは既存施設の証券化や物流不動産事業の運営方法 さらには3PL事業への業態転換などを支援している しかし償却の終わ た施設を持つ老舗の倉庫業者は いざとAMBブラックパインの松波秀明在日代表ラサールの中嶋康雄投資執行役員物流施設担当 物流資産は誰が持つ 特集 
隠 MARCH 2005なれば資産を売却し事業から撤退することで大金が転がりこんでくるため危機感も薄いという 一方 財閥系を始めとした有力倉庫業者は既に伝統的な保管業や坪貸し業に見切りをつけ 3PLビジネスへの転換を進めている とりわけ世界に三〇〇万平方メ トル以上の倉庫施設を運用し 日本最大の営業倉庫業者という顔を持つ日本通運では もはや倉庫事業を単独で運営しようという発想はない ロジステ クス・サ ビスを構成する一つの機能として倉庫を運営しているに過ぎない 同社 という バブル期をピ クに同社が国内で運営する倉庫施設の規模は年々 減少する傾向にある 図1 グロ バル化の進展によ て海外の倉庫運用面積は増加しているが その大部分は不動産フ ンドからの賃貸物件だ 実際 日通はプロロジスにと てグロ バルでも五本の指に入る主要顧客の一つとな ている ロジステ クス機能の 分化 企業が新たな物流拠点を建設する場合には通常 三つの選択肢がある 自己資本や銀行からの借り入れで資金を調達し自己資産として所有するという従来の方法が一つ 二つ目がフ イナンスリ ス リ ス会社が施設を所有 あるいは定期借地権で確保し 物流企業がリ ス料を支払う ただし これは完全なオフバランス化という面では微妙だ 会計上はオフバランスにな ても財務諸表には長期リ スしているという表記が残る つまり実質的に所有していることを明示しなければならない これに対して不動産フ ンド資金を活用した賃貸であれば純粋なコストとして処理できる 完全にオフバランス化できる とラサ ルの中嶋執行役員は説明する 歴史を振り返ると これまで日本では主にメ カ がサプライチ ンのインフラを資産として所有してきた しかし不動産神話が崩壊して将来の値上がり益が期待できなくな た今日 物流拠点を資産として新たに購入しようという荷主企業は希にな た 荷主に代わり資産の所有者とな たのが物流企業だ その物流企業も不動産フ ンドが新たなスキ ムを持ち込んだことで資産を持たない事業展開が可能にな ている 物流施設の所有とオペレ シ ンの分離が進む さらにはフ ンド運営自体にも開発と所有の 分化 が起こ ている 欧州に本拠地を置くユ リンプロは 土地の取得から施設の建設 テナントの確保まで実現した上で 完成した物流施設を他のフ ンドに転売するというモデルで事業を拡大している 同社日本法人のロブ・ヴ ン・ナイレン代表は 当初は自社でフ ンドを組んだこともあ たが 最も当社が得意とする不動産開発事業に特化したほうが得策だと判断した 同じように物流企業も土地や建物などの不動産にリソ スを割くより 本業であるソフトや情報システムに投資を集中したほうがいいはずだ という とはいえ 不動産フ ンドからの賃貸で倉庫を新設すれば当然マ ジンが発生する 物流企業が自社で調達した時に比べてそれだけ割高になる 物価の変動によ て将来 賃料が上昇するリスクもある 一五年以上の長期賃貸契約を結ぶぐらいなら 購入したほうが得策という判断も成り立つ ただし その場合には資産が膨らみ 資本効率の足カセになる 土地相場の値下がりや運営事業の低迷によ て 資産を減損処理しなければならない恐れも出てくる 物流資産を誰が持つべきかという問題が 日本の物流不動産市場が活性化したことで 改めて突きつけられている ユーリンプロのロブ・ヴァン・ナイレン代表300 
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3図1 日本通運の運営する営業倉庫面積 単位:万平方メートル 国内倉庫面積 海外倉庫面積 

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