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JUNE 2003 98
Q1 内生変数に関する説明で正しいのはどれか。
a.ロジスティシアンが制御できないシステム内の要素である。
b.ロジスティシアンが制御できるシステム内の要素である。
c.ロジスティシアンが制御できないシステム外の要素である。
d.ロジスティシアンが制御できるシステム外の要素である。
Q2 設計審査と評価によってもたらされるものは次のどれか。
a.正式チェック、共通ベースライン、正式記録、成熟した設計、
インターフェイス問題への解決
b.正式チェック、正式記録、成熟した設計、インターフェイス問
題への解決
c.正式チェック、共通ベースライン、正式記録、インターフェイ
ス問題への解決
d.正式チェック、共通ベースライン、正式記録、成熟した設計
先月号で紹介したCPL模擬試験の問題は「システムズマネジメ
ント」からの設問でした。 いかがでしたか。
Q1の正解は[b]。 内生変数(endogenous variable)とはOR
(オペレーションズ・リサーチ)、計量経済学などで、経済モデルや
企業モデルなどを考えていく際にモデルの中で定まる変数のこと。
これに対して外部で定まり管理不可能な変数を外生変数と呼ぶ。
外生変数とは、モデルによって説明されない変数、すなわちモデ
ルの方程式体系によってその値が決定されるのではなく、内生変数
の説明に当たって所与とみなされる変数。 時の遅れをもった内生変
数とともに先決変数とも呼ばれる。 (『ロジスティクス用語辞典』白
桃書房より)
Q2の正解は[a]。 「TQC用語辞典」(日本規格協会)による
と、デザインレビュー(設計審査)は「アイテムの設計段階で、性
能・機能・信頼性などを価格、納期などを考慮しながら設計につい
て審査し、改善すること。 審査には設計・製造・検査・運用など各
分野の専門家が参加する。 Z8115」とあります。
[b]〜[d]は[a]と比べると、おのおの「共通ベースライ
ン」、「成熟した設計」、「インターフェイス問題への解決」が欠けて
います。 「共通ベースライン」は設計・製造・検査・運用など各分
野からの要求であり、「成熟した設計」は定義中の改善の結果であり、
「インターフェイス問題への解決」は関係者との調整によるものであ
り、いずれも設計審査の重要な目的です。
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティ
クス技術、マネジメントに関する活発な意見交換、議論を行い、会
員相互の啓発に努めています。
2002〜2003年度の第5回目となるフォーラムを4月17日に開催し
ました。 テーマは「TOC−LOG:TOCによるロジスティクス改革」
ということで、日本能率協会コンサルティング(JMAC)のシニ
アコンサルタント、小林俊一執行役員に以下のような講演をしてい
ただきました。
TOCはTheory of Constraintsの略で、「制約理論」、「制約条件の
理論」と訳されているが、“TOC−LOG”は従来のロジスティクス
技術とTOCを融合させたJMACのロジスティクス改革プログラム
である。
TOCの基本的な考え方は、企業の目的(ゴール)である「現在か
ら将来にわたって儲け続ける」ために?スループットの向上、?在
庫の低減、?業務費用の低減――を図ることである。 スループット
は鎖の強度にたとえられる。 鎖全体の強度は一番弱い鎖(輪)の強
度で決まると考え、その“輪”すなわち制約条件(ボトルネック)
を見出して、そこを改善する。 従来は会社を良くするために、会社
RAMS研究会について
「CPL試験問題に挑戦」は今回で終了します。 これに代わ
って次号からはSOLE東京支部で開催中の「RAMS研究会」
の内容、あるいはSOLE東京支部が入手したロジスティクス
に関するトピックスなどをご紹介していきます。
「RAMS」とはロジスティクスを評価する重要な指標であ
る「信頼性(Reliability)」、「即応性(Availability)」、「保全性
(Maintainability」)、「支援性(Supportability)」の頭文字を
とったものです。 当研究会では、複雑な構造を有し、長期にわ
たって運用支援を必要とする製品に関するロジスティクスを研
究します。
The International Society of Logistics
前回のおさらいの悪いところ全てを徹底的に調べたが、ここでは問題を絞り込む。
改善のために5つの重点化ステップがあり、それは、?制約条件
を見つける、?制約条件を徹底活用する、?制約条件以外を制約条
件に従わせる、?制約条件を強化する、?惰性に注意しながら繰り
返す――となっている。
TOCでは制約条件を、物理的制約、市場制約、方針制約の3つに
分けている。 物理的制約はキャパシティ(生産資源)の制約、原材
料(資材調達)の制約、ユーティリティの制約など。 市場制約は市
場規模、地域性、成長性、製品ライフサイクルなど。 方針制約は原
価計算方式や業績評価尺度、ものの見方、価値観、方式、手順や分
担、組織体制などである。
よく見られるロジスティクス上の課題としては、顧客の要望する
変化、仕様に対応できないとか、顧客の要求する納期に間に合わな
い、欠品、誤出荷、顧客へのタイムリーな情報提供が出来ない、不
要在庫が多く顧客に新しいものが提供できない、コスト高で顧客の
要望に応えられないなど、顧客基点の課題が多くある。
TOC−LOGのコンセプトは、サプライチェーン上のボトルネツク
を改善し、お客様への物の供給を、早く、確実に、無駄なく行うこ
とである。 そのために次のような取り組みを進める。
?スループット最大化が図れる製品・商品の供給プロセスを構築し、
?事業戦略上のボトルネツクに重点を絞り、供給プロセスを改革し、
?全体最適化の観点で、在庫・仕掛を集中管理し、大幅に削減し、
?市場制約を追求し、売上向上に直結する物流サービスを確立し、
?方針制約を打破し、大幅な物流コストを削減する。
TOC−LOGの改革手順は3段階に分かれており、フェーズ―1:
課題の発掘、フェーズ―2:課題解決の推進、フェーズ―3:成果の
確認、となっている。
フェーズ―1:課題の発掘は事業をセグメント化し、スループッ
ト分析を行い、改善対象とする事業、製品、顧客を明確にする。 重
点対象に対して「思考プロセス」を適用して課題を抽出、整理、設
定する。 「思考プロセス」は関係する人々が共通認識を持ち、変化
を起こし、全体最適を実現する系統的な手法である。
フェーズ―2:課題解決の推進は、DBR(ドラム、バッファー、
ロープ)の考え方をサプライチェーン上に適用して進める。 Dはボ
トルネツク、制約工程、Bは制約工程を各種変動から守る仕掛かり、
RはDのペースに同期させて材料を先頭工程に投入する仕組みを意
味している。
フェーズ―3:成果の確認は、調達、生産、在庫、物流、顧客と
いったロジスティクスのプロセスごとに管理指標、たとえば納期達
成率、計画変更率、在庫回転率、返品率などをとらえていく。
講演後、参加者から活発な質問・意見が出され、有意義なフォー
ラムとなりました。 5月のフォーラムはロジスティクス現場見学会
で、ハピネット東日本ロジスティクスセンターを訪問。
このフォーラムはSOLE東京支部会員を対象としたものですが、
特定月のフォーラムのみの参加も可能ですので、ご希望の方は事務
局までお問合せください。 SOLE東京支部についてのお問合せ、
ご意見などはsole_consult@jmac.co.jpまで。
SOLE東京支部フォーラム報告
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