ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2003年7号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

79 JUNE 2003 相互の啓発に努めています。
2002〜2003年度の第6回目のフォーラムを5月13日に開催しました。
今回はロジスティクス現場見学会で株式会社ハピネットロジスティク スサービス(作田隆社長)の「ハピネット東日本ロジスティクスセン ター」(千葉県市川市二俣新町)を訪問しました。
ハピネットロジスティクスサービスは名前のとおり玩具の卸売業、 ハピネットの物流業務全般を受託する子会社です。
ハピネットはバン ダイの販売会社であり、バンダイのサプライチェーン・マネジメント の構築を担っています。
社長の作田隆氏はハピネットの副社長・CIO でもあり、物流と情報の両方の責任を負っている、まさに統合ロジス ティクス実現の中心的存在です。
見学会は14時から行われ、まずセンターの概要について以下のよう な説明を受けた後、2班に分かれて現場を見学しました。
<玩具の特性は、?短ライフサイクル、?長製造リードタイム、? 激しい季節変動、?定番商品少なし、?商品形状は多種多様であり、 求められる物流サービスは?ピース単位での細かな出荷、?個別対応 (値付け、ベンダーJAN貼付、センター納品、EDI対応)、?高い出荷 精度、?24時間受注、365日出荷、?荷物追跡、と大変厳しいもの がある。
センターではそれらに対応するために、販売店、メーカー、センタ ーを統合する受発注システムを構築し、センター内の作業は物流ラベ ル、無線LAN、デジタルピッキングシステムなどを導入してペーパー レスを実現している。
また、高速自動ソーター(仕分け能力50万ピー ス/日)を導入し、店別仕分けを効率化して翌日午前の配送に備えて いる。
さらにハピネット独自の値札自動発行・検品システムにより、 出荷精度99.999%を実現している。
波動は年ベースでは3月、4月、8 月、12月にあり、月次、日次にもあり、作業進捗管理システムによっ ていろいろ工夫している> 現場見学後、作田社長から以下のようなお話を伺いました。
<ハピネットは卸としてメーカーや小売よりも優れた物流サービス を提供するためにいろいろ投資をしてきたが、当センターもその一つ である。
玩具の特性に対応した最適物流システムを実現するために、全てを 自動化するのではなく、人間系で行った方が効率の良い工程は人間 系で展開している。
たとえば、波動対応には人海戦術も考慮に入れた り、値札付けは重い作業であるため、検品機能を持たせた値札自動 発行システムを開発した。
あるいは自動ソーターの後工程である値付 けと梱包は連続化せず、バッファを設けている。
販売、物流、情報の 3つを三位一体のシステムとしてとらえ、取引先への付加価値提供を 目指して取り組んできた。
ハピネットは効率的効果的な最適流通シス テムの実現を目指してサプライチェーンマネジメントの構築を進めて きたが、現在取り組み開始後3年経過したが、当初の設計どおりにな りつつあると判断している> 参加者の一人は見学後に次のような感想を述べた。
「玩具という多 様な商品の特性をうまく分類し、その特性に合わせたさまざまな工夫 を凝らした作業、業務、情報のシステムが渾然一体となっており、大 変すばらしい事例を見学できた」。
この言葉に代表されるような有意 義な現場見学会でありました。
6月のフォーラムは2003年6月10日(火)に開催され、日本ロジス ティクスシステム協会の首席システム研究職、大久保秀典氏が「I Tによる企業間連携とコード問題」と題して講演されました。
この内 容については8月号で報告いたします。
7月のフォーラムはロジスティ クス現場見学会で、アサヒビール神奈川工場を訪問します。
当フォーラムはSOLE東京支部会員を対象としたものですが、特 定月のフォーラムのみの参加も可能ですので、ご希望の方は事務局ま でお問合せください。
SOLE東京支部についてのお問合せ、ご意 見などはsole_consult@jmac.co.jpまで。
SOLE報告 The International Society of Logistics RAMS研究会報告 SOLLE東京支部フォーラム報告 今回から、SOLE東京支部で開催中の「RAMS研究会」の内 容をご紹介します。
この研究会は東京支部の有志が集まって、複雑 な構造を有し、長期にわたって運用支援を必要とする製品、いわゆる システム製品のロジスティクスを研究しています。
ロジスティクスは昔から「補給と整備」といわれ、対象製品の特性 によってその内容は多様です。
いわゆる消費財、食品、衣料、医薬 品、日用雑貨などは「補給」に代表される「物流サービス」が中心で あり、航空機、自動車、産業機器の類(システム製品)は、長期間 にわたって保守、整備を行わねばならず、これらは「製品支援サービ ス」と呼ばれています。
保守・整備に必要な修理部品、交換部品、消耗品などの供給は消 費財と同様、物流サービスが必要ですが、通常扱う単位が小さく、多 品種少量が特徴となります。
いずれの物流サービスについてもいろい ろ研究されていますが、「補給と整備」に代表される「物流サービス」 と「製品支援サービス」が複合したロジスティクスの研究は、これか らの領域であると考えられます。
構造が簡単な消費財、あるいはやや複雑な構造であってもメンテナ ンスフリー設計(保守・整備を必要としないように設計する)である ような家電製品の類は、いまや海外生産が主流になりつつありますが、 海外生産が可能であっても使用地域がグローバルに展開しており、か つサポートを必要としているような(システム)製品は、製品支援サ ービスをどのように提供するかは大変重要な課題となります。
しかも これらの製品は日本がこれから力を入れなければならないものであり ます。
このようなシステム製品に対するロジスティクスの特徴は、ライフ サイクルアプローチが欠かせないということ、製品の企画、設計とい うライフサイクルの初期においてライフサイクルコストが運命付けら れるということ、ロジスティクス支援要素を統合的に把握・管理しな ければならないということです。
■ロジスティクスに欠かせない4つの要素 すなわち、製品の信頼性(Reliability)を高め、可能な限り故障し ないようにすることが重要です。
しかし物理的製品は使用するうちに 磨耗したり、劣化するのは必然であるから、故障した場合には早期復 旧を可能にするように保全性(Maintainability)を高めることが要求 されます。
修理作業、整備作業を行う場合、必要とする部品がない ために作業が遅延したり、スキルマンが不在で作業着手が遅れないよ うにするために支援性(Supportability)を高めることも必要です。
そして対象システムが、必要なときに、いつでも稼動可能であり、 稼動中は停止することなく機能・性能を発揮し続け、所期のミッシ ョンを遂行する。
すなわち即応性(Availability)を保障する活動が ロジスティクスです。
これらの信頼性(R)、即応性(A)、保全性 (M)、支援性(S)の頭文字をとって“RAMS研究会”としました。
当研究会では現在、以前SOLE主催の国際ロジスティクスシン ポジウムで入手した1枚のチャート、ディフェンスシステムマネジメ ントカレッジ(DSMC)の「防衛システムの調達管理プロセス」(DSAMP) というチャートを題材に議論を展開しています。
このチャートは横軸 にシステム調達フェーズ(マイルストーンゼロ、フェーズゼロ〜フェ ーズ?)をとり、縦軸に「方針と組織マネジメント領域」、「ビジネス マネジメント領域」、「技術マネジメント領域」をとり、フェーズ別領 域別活動、要件などが網羅的に記述されています。
次回以降、順次、このチャートの中から興味深いポイント、重要と 思われる事項を紹介していきます。
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク ス技術、マネジメントに関する活発な意見交換、議論を行い、会員

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