*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。
81 AUGUST 2003
研究職の大久保秀典氏に「ITによる企業間連携とコード問題」と
題して、以下のような講演をしていただいた。
次回7月のフォーラムはロジスティクス現場見学会で、アサヒビ
ール神奈川工場を訪問する。 当フォーラムはSOLE東京支部会員
を対象としたものだが、特定月のみの参加も可能。 ご希望の方は事
務局まで。 SOLE東京支部についてのお問合せ、ご意見などは
sole_consult@jmac.co.jpまで。
SOLE報告
The International Society of Logistics
RAMS研究会報告〈 第2回〉
SOLLE東京支部フォーラム報告
SOLE東京支部では「RAMS研究会」を開催し、米国国防総
省(DoD)の調達管理プロセスの研究を行っている。 研究素材の
「防衛システム調達管理プロセスチャート(DSAMP)」はDSMC(防
衛システム管理学校)の調達基礎コースの教材。 調達ライフサイク
ルにかかわる機能的活動のロードマップとして役立つように構成さ
れており、国防総省の各種の調達指針やマニュアルに準拠している。
SOLE東京支部では、このチャートを詳細に研究しようとして
いる。 ここにはシステム製品取得にかかわる全ての活動が網羅的に
記述されており、調達プロセスの全体を概観するのに適しているた
めだ。 今回はこのDSAMPの「調達方針(AP)」を題材に、以下のよ
うな議論を行った。
「調達方針(AP)」は次のように述べている。
?防衛システムは最先端の科学技術との関係が強く、今後ますます
その傾向は強まる
?システムの取得は要求の明確化に始まり、設計、試験、製造、運
用と支援、変更/修正、さらに廃棄にいたる全てのプロセスを包含
する
?防衛システム調達管理の最終目標は、適切なコストでニーズを満
たすシステムを適時適切に展開し、維持することである
?新たな防衛システムは、製造システムの要件が実証され、技術上、
製造上、運用上のリスクが最小化された後にはじめてフルスケー
ル生産に移行すべきである
?運用上の要求が明確になった際、直ちに新しい防衛システムを製
造するのではなく、確立された技術を用いて、既存の防衛システ
ムを改良するのが望ましい
?防衛システム調達管理の目標を達成するためには、コスト、スケ
ジュール、システム運用・支援パフォーマンスとのバランスを保
つようにプログラムマネジメントを行う必要がある
?防衛システム調達プロセスは以下のような独自の要求、法令、規
則に縛られており、通常の商取引慣行に比較して非効率である。
契約条項、競争制限、複数供給元、片務的、双務的契約変更手続
き、社会経済的要求(アメリカ製品優先、余剰労働力地域、使用
差止め等)、監視機能(防衛契約監査庁、議会調査委員会など)
?きわめて流動的な調達環境下で成功するには、対象システムなら
びに関係者について熟知し、変化の最先端に遅れないことである。
この中の?について、製造システムの要件が実証されたら直ちに
量産に入るのではなく、再度運用支援(ロジスティクス)について
再計画している事例が研究会メンバーから紹介された。 もともとラ
イフサイクルアプローチにおいては製品の企画段階で運用支援段階
の諸要求を考慮しているはずであるが、この段階で再計画するとい
うのは、量産化を急がないということで、製品をより高度なものに
しようということであろう。
新製品の量産化を急がないということは、現有製品が競争力を保
持しているということで、脅威となる製品が具体的に見えてきた段
階で量産化し、競合製品を圧倒しようということであろう。 競合製
品が目に入ってきた段階でも、?の既存製品の延命策をとり、可能
な限りコストダウンを図っていくのである。 いずれにせよ、これは
最強製品を保有する国(企業)ならではの選択かもしれない。
次回は軍の調達組織(「調達方針(AP)」における「関係者(キー
パーソン」)についての議論を紹介したい。
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク
ス技術、マネジメントに関する意見交換を行い、会員相互の啓発に努
めている。 今年度第7回目となるフォーラムを6月10日に開催した。
今回はロジスティクス技術の研究として日本ロジスティクスシス
テム協会(JILS)ロジスティクス情報化推進会議首席システム
1、物流プロセスの捉え方
物流プロセスの情報化や企業間連携を考える場合、物流プロセ
スをどのように捉えるかが問題である。 原材料産出地から最終消費
地までの全物流プロセスを一括して捉えるのは適当ではない。
物流過程を生産・消費・廃棄の3段階に分類し、おのおの生産財
物流プロセス、消費財物流プロセス、廃棄物流プロセスとする。 生産
財物流プロセスは、ある生産財が生産されてから次の生産に供され
るまでを1つの物流サイクルとし、多段階のサイクルから構成されてい
る。
ひとつの物流サイクルは、「出荷→輸送→輸送中継→荷受け」と
いう一連のプロセスとなっている。 このサイクルには複数の企業が関
わるが、出荷元で貼付された共通の輸送単位(荷札)ラベルで流し
たい。
2、物流プロセスの課題
物流サイクルの最初である出荷時点で「製品識別情報」と「輸送
単位情報」が貼付されていることが望ましい。 それらの情報はバーコ
ードなど電子的に読み取り可能な形で表示されるならば、物流品質
の向上、検品・仕分けなどの作業効率化が図られ、同時にトレーサビ
リティ情報(誰が、何を、何時やったかの記録)が確実に把握できる。
また、出荷元から「事前出荷明細情報(顧客の発注データに基づ
いて品揃えした結果情報)」を荷受先に、荷物が到着する前にEDI
で送信することが望ましい。 この情報により、荷受先は到着予定のト
ラックに積み込まれている商品の明細を知り、到着予定の商品が発
注したものであることを事前に確認すると共に、荷量に対応した荷役
体制や保管スペースの確保など事前段取りが可能となる。
3、物流EDI標準メッセージ
事前出荷明細情報をEDI送信するために物流EDI標準メッセージ
が開発されており、運送関係メッセージが運送計画情報、運送依頼
情報、集荷情報など14種類、倉庫関係メッセージが出荷依頼、出庫
報告、在庫引当通知など19種類、共通関係メッセージとして着荷予
定の1種類が設定されている。 標準メッセージ、データ項目に該当し
ない場合は申請すればよい。
4、物流のためのラベル
ラベルが荷物に貼付されていない場合の荷扱い(仕分け・検品)は、
現品と伝票などを目視でチェックしなければならず、探す時間がかかり
ミスの多発につながっている。 小売店POSや路線トラック運送事業
者の中継拠点(輸送単位ラベル)などにはラベルが使用されている。
商品ラベル、物流ラベルを貼付することにより、効率的な低コスト
の業務運営が可能となっている。 ラベルの必要性が高いにもかかわ
らず、抵抗があるのは誰がラベル貼付に要するコストを負担するかの
問題があるからである。
輸送単位ラベルは出荷、輸送および荷受用のラベル(STARラベ
ル)、製品包装用のラベルの2種類があるが、いずれもバーコード、二
次元シンボルなどを取り入れ、電子的に読み取り可能なものである。
さらにはRFID(電子タグ)の技術進歩、コスト低下に伴いいよいよ用
途が拡大しつつある。
ロジスティクス情報化の要点は、物資の受け渡しに必要な情報を
企業間で共通化し、物資が荷受先に届く前にその明細データが受け
渡されており、物資自体にもコンピュータ処理可能な識別情報が表
示されていることである。 実現のためには、大手企業経営トップの理
解とリーダーシップが期待される。
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