ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2003年9号
ケース
ロジワン―― 物流子会社

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2003 36 社名変更で脱・ダイエー 二〇〇二年七月、ダイエーの一〇〇%出資 の物流子会社である「ダイエー・ロジスティ クス・システムズ」(D ―LGS)は、「ロジ ワン」に社名変更した。
社内に公募して決め たロジワンという名称には、二つの意味が込 められている。
「ロジスティクス業界のナンバーワン企業を 目指す」、そして「オンリーワン企業として 自立していける強い企業体質を作る」――。
D ―LGS時代の同社は、あくまでもダイエ ーグループの物流部門であって「自立」を志 向してはいなかった。
親会社もまた望んでい なかった。
ロジワンへの社名変更は、こうし た状況が様変わりしたことを示している。
ロジワンの経営環境が近年、いかに激変し たかは売上高の推移を見るとよく分かる。
九 〇年代後半のD ―LGSの売上高は三〇〇〇 億円以上あった。
ところが二〇〇三年二月期 の売上高は、五六六億円(二〇〇二年六月 の時点で発表した計画数値)と往時の約五分 トヨタ流の現場改善が社内に定着 ベンダー共同倉庫で流通改革狙う ロジワンは、ダイエーグループの物流管理 を計画から実行まで全面的に手掛ける物流子 会社だ。
99年にトヨタ自動車の改善指導を受 けたことが転機になって、現在ではグループ 随一と自負する改善活動が根付いた。
小売り の一括物流センターに代えて、ベンダーの共 同倉庫を設置することによって多段階流通の 改善を狙っている。
ロジワン ―― 物流子会社 ロジワンの岩田一彦社長。
ダ イエーの取締役システム物流 企画本部長と兼務している 37 SEPTEMBER 2003 の一に過ぎない。
D ―LGS時代は社名に?ロジスティク ス〞が含まれていたこともあって、同社は一 般に物流会社とみなされていた。
しかし、実 は売り上げの過半は?卸売業〞によるものだ った。
ダイエーグループのコンビニエンスス トア事業だったローソンのチルド品の商流を、 かなりの部分までD ―LGSが扱っていたた めだ。
ところが経営危機に陥ったダイエーは、有 利子負債を圧縮するためにローソン事業の大 半を手放すことになった。
そして二〇〇二年 春に三菱商事がローソンの筆頭株主になると、 三菱商事はローソンの関連事業を、商流から物流まで含めてすべてD ―LGSから引き上 げることを決定。
結果として同社の売上規模 は大幅に減ってしまった。
昨年七月のロジワンへの社名変更には、こ うした過去の経緯を乗り越えて再出発しよう という意気込みが反映されている。
そして、 過去にほとんど情報を開示してこなかったロ ジワンが、最近になって積極的に自社の強み を対外的にアピールし始めたことも経営スタ ンスの変化を表している。
しかし、過去にそれなりの実績のある物流 子会社ならまだしも、売り上げの大部分をグ ループ会社に頼ってきた同社が物流会 社として自立し?ナンバーワンかつオ ンリーワン〞を実現するのは容易なこ とではない。
彼ら自身、十分それは承 知している。
そのための手も打ってきた。
九九年から推進してきた「改善活動」 がその一つだ。
ダイエーは九九年五月 から、約一年間にわたってトヨタ自動 車のコンサルティングを受けた。
要冷 品を扱う「川崎プロセスセンター」を 舞台に、物流業務や生鮮三品のオペレ ーション業務などについて、考え方か ら具体的な手法に至るまでトヨタ流の 改善を徹底的に叩き込まれた(本誌二 〇〇一年七月号既報)。
トヨタとのコンサル契約が終了した 二〇〇〇年四月以降は、ロジワンの社 内に設置された改善チームが中心になって自 主的な活動に取り組んできた。
その結果、現 在では、「ロジワンは恐らくダイエーグループ のなかで最も改善が進んでいる。
生産性や品 質に対する意識が格段に高い」と、ダイエー の物流部門トップとロジワンの社長を兼務す る岩田一彦ダイエー取締役物流システム物流 企画本部長が胸を張るほどのレベルになって いる。
現場に根付いた事例発表会 一般に企業の改善活動は、トップの指示で 開始しても日が経つにつれて尻すぼみになっ てしまうことが少なくない。
形としてQCサ ークルの活動は続いているが、実態は惰性に 陥っているケースも目立つ。
ましてや、その 取り組みがトヨタ流の緻密な改善活動ともな ると、ほとんどの企業は定着する前に挫折し てしまう。
しかしロジワンの場合、トヨタのコンサル を受けてから五年を経て、改善活動が着実に 社内に根付いてきた。
物流現場で作業を委託 している協力物流業者にまで、日常的に改善 を進めようという意識が浸透しつつある。
ト ヨタ流の改善活動が予想以上に体質に合って いたようだ。
毎月一回、ロジワンの各地の物流センター では「現場事例発表会」が開催される。
この ほかにも同社は定期的に社員による改善事例 発表会や全国大会などを実施しているが、セ ?協力事業者を巻き込んだ現場 の現場事例大会を毎月開催 7月22日に「ロジワン横浜配送センター」で催された現場事例発表会 ?改善発表のツールもトヨタ譲 り。
図表と数字で成果発表 ?協力事業者のパートさんも改 善事例をプレゼンテーション ?発表は現場で。
関係者の厳し い視線が発表者に集中する SEPTEMBER 2003 38 ンターで催される現場事例発表会は他の会と は少し趣が異なる。
ロジワンがセンター内作 業などを委ねている協力物流業者を対象とす る事例発表会なのである。
七月二二日には「ロジワン横浜配送センタ ー」で現場事例発表会が開かれた。
この日は たまたま、ロジワンが全国に配置している改 善担当者の会議も午後から予定されていた。
定刻の九時三〇分になると、ロジワンの担当 者を含む三〇人近い関係者がセンター内の会 議室に集まってきた(写真?)。
横浜配送センターの現場責任者が開会を宣 言すると、すぐに一行は現場に移動した。
こ の発表会で特筆すべき点は徹底的に現場にこ だわっているところだ。
発表場所にはセンタ ー内の作業現場の一画を使う。
発表者も現場 の若手やパートタイマーの女性が中心だ。
横浜配送センターにとって六回目となるこ の日の発表会では、「荷受部門」や「小分け 部門」などのセクションごとに全部で五つの 事例が報告された。
いずれの発表者も「集中 改善事例ボード」と銘打ったホワイトボード に貼り付けた、実績の推移を示すグラフや、 改善ポイントが分かる図や写真を駆使して、 手際よくプレゼンテーションを行っていた。
発表者の持ち時間は一人当たり約一五分。
どんな課題に取り組み、結果はどうで、今後 さらに改善を進めるためにどのような施策に 取り組むのかを手短に発表する。
その後の五 分間ほどの質疑応答では、ロジワンの改善担 当者から厳しい質問や指摘が飛んだ。
発表場所が現場の一画のため、周囲にはソ ーターの駆動音などが常に響いている。
その なかで真剣な眼差しで改善事例の発表に耳を 傾ける、参加者たちの姿が印象的だった(写 真?〜?)。
一時間半ほどして五つの現場発表すべてが 終ると、一行は再び会議室へと戻ってきた。
そして改めて講評と総括が行われた。
まず最 初に、センター内で「荷受け」や「出荷業務」 を請け負っている三新物流の赤城公二課長が、 「まだまだ足りない部分も少なくないが、現 場が綺麗になり明るくなったことは評価した い」と講評した。
これに呼応するように、「検査部門」や「小 分け業務」を担う山村倉庫の小島実常務が、 「六回目の発表なのに写真や図表が分かりに くい。
三新物流さんの現場が変わったことを 見習って欲しい」と自社の社員向けに苦言を 呈した。
持ち場こそ違うが、共にセンター内 作業を請け負う二社が競い合いながら改善活 動に取り組んでいる様子が窺えた。
最後に全体のまとめとして、ロジワンで改 善活動を主導してきた雨宮路男取締役が総括 した。
「発表会は人材育成の場でもある。
ど んどん新しい人に発表してもらいたい。
発表 するのも勉強なら、これに対して質問するの も勉強だ。
ぜひ、みんなで現場作業の品質を 作り込んでいって欲しい」 郵便局とトヨタを橋渡し 周知のように、いまダイエーグループは経 営再建の真っ直中にある。
部外者が考えれば ロジワンが悲観的な雰囲気に包まれていたと しても何ら不思議はない。
だが前述したよう な現場レベルでの改善活動への意識の高まり が、ロジワンの社内に好影響をもたらしてい る。
同社改善推進部の田村隆一郎課長は、あ るセンターの事例発表会に参加したときの感 想を、こう述べる。
図1 99年にトヨタの指導を仰いで以降、改善を担う組織も大きく変わった 作業改善タスク オペレーション改善チーム 改善統括部 改善統括 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 9名 9名 10名 45名 横浜西口店:3名 改善推進部(8名) 運輸企画部(13名) 施設開発管理部(6名) 支店改善推進課(11名) 業態改善推進課(7名) 7月 ★ (株)ロジワン に社名変更 半年間地域に 直轄で改善担 当を配置 39 SEPTEMBER 2003 「あるパートさんの発表のあとに何気なく 彼女の話を聞いていたら、『発表の順番を心 待ちにしている』と言われて驚いた。
これを 聞いたとき、私は本当に凄いと思った。
現 場のパートさんにまで改善活動が定着してい ることを実感することができた。
自分の会社 をこんな風に言うのも変なのだが、感動モノ の経験だった」 二〇〇〇年二月以降、ロジワンは自主的に 改善活動を進めてきた。
まずはトヨタとの取 り組みで中心的な役割を担った九人が、その 経験を社内に横展開することから始めた(図 1)。
当初はトヨタ流の改善活動に対する社 内の反発も少なくなかった。
一年間に四回の 改善事例大会を実施した二〇〇〇年には、「発 表のための発表になってしまっているのでは ないか」という声も社内でささやかれた。
しかし、当時のロジワンにとって改善活動 は必須のテーマだった。
すでにダイエーの経 営危機は公然のものになっていた。
物流の効 率化によるコスト競争力の強化は、ダイエー が生き残るために是非とも成し遂げなければ ならない課題だった。
トヨタの指導で川崎プロセスセンターの生 産性が大幅に改善したという実績は、ロジワ ンが改善活動に取り組む原動力になった。
さ らに効果的だったのは、「二年目から改善の 成果が明らかな数値で表れ始めた」(田村課 長)ことだった。
努力が報われたという確か な手応えは、ロジワンにとっての改善活動の 位置づけを確固たるものに変えた。
改善による生産性の向上は、その後も確実 に表れている。
同社の生産性の推移を追いか けてみるとそれがよく分かる。
九七年の商品 一ケース当たりの処理コストを一〇〇とする と、二〇〇二年には「配送費」が六九・二、 「労務費」が五九・四と、それぞれ大幅に減 っている(図2)。
同社の改善活動は社外でも認知されている。
ある講演会で雨宮取締役がロジワンの改善に ついて話したところ、それを聞いた郵政省 (現郵政事業庁)の関係者がアプローチして きた。
後日あらためて雨宮取締役が話をする と、「ぜひ郵政もトヨタの力を借りたい」と 言い出し、これがトヨタが郵政のコンサルテ ィングを引き受けるきっかけとなった。
当初、トヨタは、郵政へのコンサルに消極 的だったという。
だが九九年の時点でロジワ ンの川崎プロセスセンターを指導してくれた トヨタの幹部が、直接、張富士夫トヨタ社長 に掛け合い、OKが出たことで一気に話が具 体化した。
そして昨年十一月には越谷郵便局 を舞台に、トヨタによる改善指導がスタート。
すでに越谷での成果を横展開する段階に入っ ている。
ロジワンと郵政の付き合いは、その後もさ まざまな形で続いている。
今年三月には九州 地方のある郵便局の小包み配達事業をロジワ ンが受託し、カゴ車の導入などによる業務改 善をコンサルから実務まで包括的に請け負っ た。
六月には郵政公社の関係者三五人が、ロジ ワンの川崎プロセスセンターの見学にきた。
トヨタ流の改善を郵政公社に全面展開してい くに当たって、参考事例としてロジワンの現 場を視察するという趣旨だった。
「トヨタが自身の工場や物流センターで、ト ロジワンの改善活動を牽引 する雨宮路男取締役 配送費 労務費 図2 ロジワンの生産性は5年前に比べて3〜4割向上している トヨタ生産物流方式を ベースとした改善活動 1.徹底したムダ・ムラ・ムリの排除 2.改善活動発表と改善手法共有化 3.エキスパート育成への取組み 100 ※99年にトヨタの改善指導を受けた 97年 98年 99年 00年 01年 02年 87.2 82.4 76.7 72.8 69.2 100 97年 98年 99年 00年 01年 02年 88.4 80.6 75.6 68.1 59.4 ケース単価で見る生産性改善の推移 ※97年を100として換算 SEPTEMBER 2003 40 ヨタ流の改善に取り組んでいるのは当たり前。
それを当社のような企業が取り入れて、実践 していることが参考になると考えたようだ」 とロジワンの雨宮取締役はこのときの視察の 狙いを説明する。
実際、参加者は、別にロジ ワンが手掛けてきた小包事業の改善事例など を興味深げに聞いていたという。
トヨタ流が根付いた理由 ロジワンに根付いた改善体質は、ダイエー グループ全体にも刺激を与えている。
ダイエ ーの取締役も兼ねるロジワンの岩田社長は、 「毎年、ダイエーでもQC発表会をやってい る。
ところが、ここにロジワンの改善事例大 会でナンバーワンになったチームを入れると、 圧倒的な差が出る。
ロジワンの取り組みのレ ベルは、グループ内では突出している」と手 放しで誉める。
トヨタ流の改善は多くの企業が手本とする ところだ。
しかし、それをトヨタ以外の会社 が自分のものにするのは難しい。
形は真似る ことができても、現場スタッフの意識の持ち 方まで変えるのは容易ではない。
しかしロジ ワンはそれに成功した。
過去のダイエーの活 動を振り返ると、その理由らしきものを見出 すことができる。
ロジワンの改善活動を牽引し続けている雨 宮取締役は、かつてダイエーの本体でIE ( Industrial Engineering )部に所属していた。
この部署は、店舗オペレーションを高度化す るために創業者の中内 氏の肝いりで設置されたセクションだった。
当時から標準的な納 品台車の開発など、トヨタのやり方をかなり 意識した改善を進めていたという。
少なくと も雨宮取締役にとって、トヨタ流はまったく 抵抗感のないものだった。
ただし、ダイエーのIE部時代の活動には 反省すべき点もあった。
中内氏の強力なバッ クアップがあっただけに、当時のIE部はど んどん新しいアイデアや改善手法を現場に導 入することができた。
しかし、このことが、 結果として社内に改善活動が根付かなかっ た一因となってしまった。
雨宮取締役はこう 振り返る。
「当時は現場の人たちに『こうやればいいん ですよ』とだけ言うと、次々に新しい展開を 進めていった。
でも、それでは改善活動は定 着しなかった。
だから今、私はロジワンで 『自分たちで考えるように』という言い方を 常にしている。
トヨタのやり方がそうなのだ が、自ら知恵を出すからこそ活動は定着する。
現場の人たちに自分で考えてもらい、答えま で見つけてもらう。
これは、いわば?意識改 革〞だ。
それで良い結果が出て、もっと考え るようになれば、今度はこれが?風土〞に変 わっていく」 現在、岩田社長のそれも含めてロジワンの 社員の名刺には、「一、品質はより高く、コ ストはより低く。
二、後工程がお客様」とい う文言が入っている。
二番目の言葉など、い かにもトヨタ的だが、ここまで徹底して改善 活動に取り組み、成果を出している物流企業 は珍しい。
それを可能にしたのは社内の危機 感と、確実に成果を実感できるトヨタ流の改 善手法だった。
「共同倉庫」で流通を再構築 もっとも、ロジワンの経営が抱える難題は、 改善活動だけで解消できるものではない。
高 度成長期のダイエーは、急速に売上規模を拡 大することで手にしたバイイングパワーを武 器に、メーカー主導だった既存の流通のパワ ーバランスを変えようと挑んだ。
図3 ダイエーグループの物流子会社の位置付けの変遷 ※CCC:セントラルコールドチェーン、 HUS:阪神運輸倉庫、 JCS:ジャパン・カーゴ・システム 草創期 拡大期 拡充期 発展期 '68〜 '83〜 '93〜 '00〜 ダイエー物流部 CCC HUS 物的流通本部 HUS CCC JCS 物的流通本部 SD 非冷 要冷 運輸 D ―LGS D―LGS 物流 企画室 ロジワン システム 物流企画 プ ラ ン ニ ン グ オペレーション 98年 02年 41 SEPTEMBER 2003 しかし、実質的に地価の値上がりに経営基 盤を依存していたダイエーの流通革命は、バ ブル経済が崩壊するとずるずると後退してし まった。
そして、そこには不合理なサプライ チェーンという深刻な?後遺症〞が残される ことになった。
ダイエーをはじめとする日本の大手小売り 業者は一時期、積極的に一括物流センターの設置を進めた。
ただし、その多くは、小売り の店舗オペレーションだけを効率化するもの で、サプライチェーン全体を最適化するもの ではなかった。
従来より中間流通における拠 点を一つ増やし、全体としてはコストアップ になる取り組みが大半だった。
メーカーと小売りの店舗を結ぶ中間流通で は、物流拠点の数が少ないほどサプライチェ ーンの効率は高まる。
小売りが自ら一括物流 センターを構えるからには、卸やメーカーの 物流センターが担っていた機能を肩代わりす る必要がある。
そうしなければ、卸やメーカ ーが既存の物流機能を捨てられないにもかか わらず、新たに小売り専用の一括物流センタ ーのコストだけが上乗せされることになって しまう。
かつてダイエーが全国に構築したRDCな どの一括物流センターは、まさにこうした施 設の典型だった。
そしてロジワンが現在、全 国五八カ所で管理している物流拠点の多くは、 いまだにサプライチェーン上の不合理を抱え 込んだままだ。
そこで今、同社は「共同倉庫」 という新しいコンセプトを掲げて、多段階に なっているサプライチェーンを再構築しよう としている(図4)。
ロジワンの物流拠点をメーカーや卸などの サプライヤーの在庫を置く「共同倉庫」に変 えて、そこから小売りの各店舗に配送すると いうモデルだ。
「卸さんの資産のまま『共同 倉庫』に商品在庫を置いてもらうことで、 我々と卸さんで重複していた機能を解消する。
これでサプライチェーン全体で二%程度のコ スト削減効果を見込める」(ロジワン関係者) という。
ただし、この構想にはサプライヤー側から の反発が予想される。
確かに欧米で中間流通 の効率化が、圧倒的な力を持つ大手小売り主 導で進んできたことは事実だ。
だが日本は欧 米のように小売市場の寡占化が進んでいるわ けでもない。
商習慣も異なる。
たとえ理屈に 合っている流通の効率化でも一筋縄にいかな いことは、セブン ―イレブン・ジャパンやイオ ンの取り組みからも明らかだ。
しかも欧米の中間流通の運営は通常、市場 競争を通じて小売りとメーカーの双方から選 ばれた3PL業者などが担っている。
将来的 にロジワンが卓越したコスト競争力を身に付 けられれば、こうした3PLと同様の役割を 担っていく可能性はあるが、容易なことでは あるまい。
ロジワンの社内に改善体質が定着しつつあ ることは高く評価できる。
「共同倉庫」とい う従来とは異なるコンセプトに、ビジネスモ デルを変えていこうという姿勢も間違っては いない。
そのうえで?ダイエーの子会社〞と いうアドバンテージがなくとも、中間流通を 担えるだけの実力を身に付けることが、ロジ ワンが生き残るための必須条件となる。
(岡山宏之) 現 状 共同倉庫化 パターンA パターンB 図4 「共同倉庫」の設置でサプライチェーン全体の効率化を目指す 共同倉庫展開 中間物流拠点の集約・削減によるトータルロジスティクスコスト削減 メーカー 卸 メーカー 倉庫 メーカー メーカー RDC 店 店 店 メーカー 共同 メーカー 倉庫 メーカー 店 店 店 TC TC 要冷調達物流 ベンダー毎の納品を集荷(集約)することによる納品コスト低減 ベンダー ベンダー ベンダー 要冷 DC マザー 要冷 店 DC ベンダー ベンダー ベンダー 店 店 店 要冷DC 要冷DC 要冷DC 詰め合わせ納品 集荷

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