ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2003年11号
現場改善
中堅運送会社A社の不器用な経営改革

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 代表 青木正一 NOVEMBER 2003 52 主要荷主が契約見直し 関西を地盤とする年商約十一億円の中堅運送 会社A社は、車両約一二〇台を保有し、メーカ ーの長距離輸送を中心に事業を行ってきた。
A 社の創業者でもある社長は地元の有力者であり、 各協会・組合の理事も務めている。
社外活動が 多い社長を副社長である息子がよくフォローし、 A社を支えてきた。
運送会社のトップが協会や組合等の重要ポス トにつくと、社会的な信用が高まる反面、自社 内に目が行き届かなくなりがちだ。
A社の場合 は副社長がしっかり経営の手綱を握ることで難 を逃れてきた。
ところが、そんなA社に突然の 危機が訪れた。
A社の売り上げの約半分を占め る主要荷主の自動車部品メーカーB社が、協力 物流業者との契約見直しに着手したのだ。
しかもB社が、最初に着目したのがA社との 関係であった。
「長い付き合いのA社のやりたい 放題になっているのではないか?」。
新任の物流 部長はそんな疑いを持ったようだ。
しかし私か ら見れば、メーカーB社が協力運送会社に「や りたい放題させている」というのが実状だった。
B社に限ったことではないが上場企業の物流 部長はとにかくよく異動する。
平均二年〜四年 で他部署へ異動か、あるいは定年で退職してし まう。
実際、生産畑二〇年という人材は存在し ても、物流畑二〇年という人材は希だ。
そのた め物流部門にノウハウが蓄積されない。
昔から の現場を知るものもいなくなってしまう。
一方、協力会社のA社はメーカーB社とは二 〇年来の付き合いである。
初代物流部長の名前 から、センター移転前の物流現場の隅々まで知 っている。
そんな環境では協力会社が現場の主 導権を握るのも当然といえる。
とは言え、お金 を払うのは荷主である。
荷主には逆らえない。
メーカーB社は以前から営業に来ていた中堅 物流会社C社に事情と情報を流し、提案書と見 積書を出すよう依頼した。
乗り換えの準備だっ た。
新規獲得に積極的に動いているD社もそこに加わった。
こうしてA社、C社、D社の三社 による荷物獲得競争が勃発した。
困り果てたA 社の社長から私に電話があった時には、すでに 手遅れの状態だった。
出来レースの物流コンペ メーカーB社が目論んだシナリオは以下の通 りであった。
?C社に安い運賃を提示させることで、他の二 社にも運賃交渉に参戦させる。
?C社への見返りとして全業務の半分を委託す る。
残り半分をA社とD社でバランスをとら せる。
いわば出来レースだ。
それでも私はA社の担 第11回 最大の荷主が契約の見直しに着手した。
同社向けの売り上げの半分を失った。
壊滅的な打撃だ。
経営を立て直す人材もノウハウも社内には存在しない。
そんな 中堅運送会社A社から改革の依頼が舞い込んだ。
二代目の副社長をリーダーと する不器用な改革が始まった。
中堅運送会社A社の不器用な経営改革 53 NOVEMBER 2003 􀀀マネジメントというものを教えてもらったこと がないし、覚えるつもりもない 􀀀そもそも管理職になるつもりでこの会社に入 ったのではない 関西を地盤とするA社の経営陣の目が名古屋 営業所に向いていなかったことも原因の一つで ある。
信じられないことに、経営陣は名古屋営 業所を訪れたことがないという。
中間管理職任 せだったのである。
「物流会社は所長産業」が私 の持論である。
とくに現場の運営は所長の能力 で九〇%以上が決まってしまう。
それを証明す るような現場であった。
現地調査から私は「在庫管理の徹底と情報の 数値化」を改善のテーマに据えることにした。
詳 しくは以下の通りである。
『在庫管理の徹底と情報の数値化』 􀀀ロケーション管理 ?棚番地の整備 ?ピッキング方法の見直し ?ピッキングリストの変更 ?棚卸し方法の見直し 􀀀出荷ミスの撲滅 ?出荷ミスの徹底分析 (原因の究明)(対応策の検討) ?作業員評価制度の再点検 ?作業マニュアルの作成 􀀀作業効率の向上 ?在庫ABC分析の実施 ?ロケーションの変更 ? ピッキングリストの変更 􀀀物流情報サービスの実施 ?需要予測(営業所〜ユーザー) ・ 欠品の防止 ・ 当日中継貨物の削減 ・ 在庫削減 ・ 出荷調整(工場から営業所) ?在庫ABC分析 ・ デットストックの削減 ・ 補給部品の一括管理 ・ 効率的ロケーションの設計 最初に「在 庫管理」に注 力した。
右のア プローチで徹底 的に改善した結 果、出荷ミスは 六五%減少し た。
この活動を 通して、寡黙に リフトに乗り続 けていた所長か ら指示・命令 が出るようにな ったことも嬉し い変化だった。
さらに名古屋営 業所の今後の 展開として副社 長に「改善イメ ージ」(図1) を提示すること 当者と提案書を作成。
競争できる見積書を提出 し、二回におよぶ交渉を行った。
しかし、奇跡 は起こらなかった。
引き継ぎ期間は一カ月。
シ ナリオ通り、西日本以西の配送はA社からC社 に移管されることになった。
A社はメーカーB社の売り上げの半分を失う ことになり、壊滅的打撃を受けた。
そこからA 社の本格的なコンサルティングが始まった。
副 社長が陣頭指揮をとることになったものの、社 内にはこれといった人材もなくテクニックもない。
不器用な経営改革の始まりだった。
第一弾はA社名古屋営業所の業務改善だ。
B 社は自動車部品メーカーとして、トヨタ自動車 の地元である名古屋地域の輸送ではトヨタ式の ジャスト・イン・タイム物流が求められていた。
調査開始から三〇分も経たないうちに驚くべ き事実が発覚した。
日報がないのである。
運行 日報も作業日報も、誰も書いていない。
問題は 所長にあった。
現場を管理する立場にある所長 が自分でフォークリフトを運転している。
結局、 その所長は午前中の出荷が終了する九時まで無 言でリフトを乗り続けていた。
その間、所長の口から指示命令の言葉は一切、 出ない。
朝の点呼やミーティングもない。
社歴 の長いこの所長は、昔からこのスタイルであっ たそうだ。
「俺の背中を見て仕事を覚えろ」の典 型的な?職人型所長〞であった。
同社に限らず 社歴の長い所長には、こうした職人型が多い。
そ の理由は以下の通りである。
􀀀会社の成長スピードに自己の成長が追いつか ない 図1 改善イメージ 在庫管理の徹底 (差異の撲滅) 物流サービスレベルの向上による 顧客満足度のアップ 顧客の固定客化(イコールパートナーとしてのA社運送) コスト対応力強化 作業効率のアップ 名古屋営業所のコストダウンの実現 在庫管理レベル のアップ 3次的効果 2次的効果 1次的効果 ロケーション 誤配の撲滅 管理の徹底 NOVEMBER 2003 54 ができた。
荷主に却下された改善活動 改革の第二弾はメーカーB社の物流に精通し ているA社が主導して、B社の物流改善を実施 するというものであった。
まず「共同改善提案書」の作成に取り掛かっ た。
提案書の作成自体はスムーズに運んだ。
し かし、改善を具体的に実施するのは容易ではな かった。
改革の着手から一週間すると荷主から ストップがかかった。
B社の物流担当者が「こ れはA社の仕事ではない、改善書は自社で作成 する」と我々に伝えてきた。
協力物流会社に主 導権を取られることを嫌ったのだ。
珍しいことではない。
能力や経験のない荷主 の物流担当者からすれば、協力会社にアイデア としての提案はして欲しい。
しかし、口と手は 出して欲しくない。
「改善案さえあれば、後は自 力でどうにでも実行できる」というプライドが 見え隠れしていた。
こうして結局、第二弾の改 善は頓挫することになってしまった。
改善を実 施すれば大きな成果を上げる自信があっただけ に悔やまれる。
ところが、その直後、A社とメーカーB社の 関係は突然の好転を見せた。
西日本以西のメーカー配送 を出来レースで獲得した中 堅物流会社C社が「この料 金では運営できない」と音 を上げてきたのだ。
C社に 移管前、A社は荷捌きと保 管作業の負担を運賃の中で 吸収していた。
しかしC社 は六カ月間にわたって試行 錯誤したものの採算を合わ すことができなかった。
慣れは財産である。
A社 が長年培った業務の慣れと ノウハウをC社が短期間で 真似することは不可能であ った。
このような状況から、 荷主のB社もC社への委託 は無理と判断した。
結局、 B社の配送の大半はA社に 戻った。
決して自力とは言えなかったが、結果 としてA社はピンチを脱することができた。
ちなみにB社では、会社幹部へコストダウン の報告をしていた物流担当者が、改革のヒーロ ーから一転して責任を問われる立場に追い込ま れてしまった。
「物流会社を料金だけで決めては いけない」。
これは改善屋の鉄則だ。
無謀な値下 げには必ずリバウンドがくる。
しかも当初の二 〜三カ月は影をひそめているが、六カ月〜一年 が経過した頃に発症するからたちが悪い。
さて、A社。
業績好転の波に乗ったところで 着手した改善第三弾は、地元関西営業所の業務 改善であった。
関西営業所のセンター内はパー ト・アルバイトを含め六人。
主要荷主二社の保 管・流通加工・入出庫を行っていた。
A社は二 年前にも自力で業務改善を行っており、その検 B社自社改善実施テーマ A社改善テーマ 1 ロケーション管理/在庫差異の撲滅 1 構内作業の標準化/在庫差異の撲滅 具体的施策 (1)棚番地の整備 (3)ピッキングリストの変更 (2)ピッキング方法の見直し (4)棚卸し方法の見直し 2 誤配の撲滅 2 配送レベルの向上 具体的施策 (1)誤配事故の徹底分析→原因の究明 →対応策の検討 (4)配送指示の再点検 (2)配送ルートの再点検 (5)配送員評価制度の再点検 (3)積載状態の再点検 (6)配送マニュアルの作成 3 作業効率の向上 3 構内作業レベルの向上 具体的施策 (1)在庫ABC分析の実施 (3)ピッキングリストの変更 (2)ロケーションの変更 4   物流情報サービスの実施 4 物流情報サービスの活用 具体的施策 (1)需要予測(営業所〜ユーザー) ?欠品の防止 ?当日中継貨物の削減 ?在庫削減 ?出荷調整(工場〜営業所) (2)在庫ABC分析 ?デッドストックの削減 ?補充部品の一括管理 ?効率的ロケーションの設計 5   コスト対応力の強化 5 コストダウン 具体的施策 (1)B社物流コスト算出 (3)運賃形態の変更提案 (2)B社との共同改善項目抽出 図2 物流作業の位置づけと改善の方向性 ハイスピード対応 作業:TC機能 対策:マテハンなどの 自動化・機械化 パートナーシップ対応 作業:多種複合業務 対策:運営管理ノウハウ コストダウン対応 作業:入出荷・保管 対策:徹底合理化のみ エンジニア対応 作業:流通加工 対策:作業人員のスキル アップ 作業内容 利益 大 小 レディーメイド オーダーメイド 55 NOVEMBER 2003 証作業から入った。
業務の役割分担は明確化さ れ、重複業務の発生などは減少し、業務効率は 向上していた。
人員の見直し等によるコストダウンは既に限 界に達していた。
次善の策は熟練スタッフの能 力が活かせる付加価値のある流通加工業務を受 託し、固定費を吸収していくことであった。
つ まり営業強化である。
センタースタッフと個人面談し、現状のヒア リングを行うことから着手した。
二人の役職者 は共に職人型であった。
一般社員とパート・ア ルバイトは従順な指示待ち作業員であった。
全 体的に売り上げに対する意識や改善意欲は全く 見られなかった。
以下は診断結果の一部である。
1 . 企業力評価(定性診断) ◎非常に良い 〇良い △普通 ▲やや難あり ×劣る 􀀀ビジネスモデル 他社がまねできない商売の仕組み ……(▲) 􀀀情報 量・質・ネットワーク(お客様の役に立つ) …………………………………………(▲) 􀀀社員 社員自身(が持つ技術・人間性)……(△) 􀀀社内体制 安定経営・役割・組織・評価制度等 …(〇) 􀀀経験・歴史 長い期間で培った経験則、失敗成功体験 …………………………………………(◎) 打開策として以下の通り提示した。
?社内環境の変革 ?自社の置かれている環境の継続的な理解  ??に基づく短期的な目標設定と追跡  ?実行が評価される制度づくり ?荷主・ネットワーク企業との緊密な現場交流現場ノウハウでは以下のような結果となった。
2 . ノウハウ評価(定性判断) 􀀀ローコスト 他社と同じ仕事をさせたら、明らかにその 運営コストが安価である………………(△) 􀀀技術の特殊性 他社にはおいそれと真似ができない技術上 の特殊性が、提供するサービスを実現する 上で必要である…………………………(▲) 􀀀企画展開力 他社と同じ情報を持っていても、それを社 内で変換し、役に立つ情報に加工・展開す ることができる…………………………(▲) 􀀀安定力 定型化・汎用化された業務内容である提供 品質が一定している……………………(〇) 􀀀危機回避力 経営上、もしくはお客様にとってリスクの 高い行為を察知し、回避することができる …………………………………………(▲) 診断結果を総括すれば、関西営業所には「目 的なき多忙感」が出ていた。
A社は「優秀な人 材とそれを受け入れる体制(制度)がない」物 流会社の典型だった。
人材か体制、どちらか一 方にでも力を入れなければ必ず負け組に入って しまう。
これに対する改善策として、私が提示 してものは以下の二つである。
?経営幹部自らが方向性と目標を示す ?次世代リーダーを育成する意識で現場を動か す最 終 的 に 、「 改 善 実 施 項 目 と 優 先 順 位 」 を 次 の ようにまとめた(図3)。
STEP1の実務手順は「?経理・財務デー タを収集、分析を行う」、「?管理者を招集し、現 在トップ幹部が感じている問題点、課題を把握 する」、「?現場業務内容、営業活動の再評価」、 「?現状を正確に把握した上で三カ年計画の素案 を作成する」というものだ。
そしてSTEP2は、「?人事評価制度の見直 し」、「?業務管理方法の変更」、「?人員の再配 図3 改善実施項目と優先順位 Step1:事業戦略の再構築 経営者:3カ年計画の作成 管理者:現在持つ情報の収集と計画作成への参加 現 場:業務内容の再評価 営 業:営業活動の再評価 Step2:各種資源の再配置 経営者:人事評価制度の見直し 管理者:管理方法の検討 現 場:人員再配置 営 業:活動拠点変更(本社→西宮支店) Step3:組織力の強化 経営者:リーダー、中堅幹部の選定と育成 管理者:各種制度の運用 現 場:仕事に人がつく環境作り 営 業:提案営業の実践 NOVEMBER 2003 56 置」、「?営業担当者の活動拠点変更(本社→関 西営業所)」。
さらにSTEP3として、「?リー ダー、中堅幹部の選定と育成」、「?各種制度の 運用」、「?仕事に人がつく環境づくり」、「?提 案営業の実施」という手順を踏んだ。
我々は二 年間でSTEP1〜STEP3の七〇%を具現 化できれば合格と見込んでいた。
そして二年後、私は改めてA社を訪問した。
ほ ぼ目標に近いかたちで改善は進行していた。
し かし、目標はあくまで最低ラインである。
私の 満足には達していなかった。
同社の飛躍を妨げ ていたのは社内の対立だった。
副社長である社 長息子と古参役員の意見がしばしば対立し、経 営幹部が一枚岩になっていない。
また社長が経 営実務を副社長に任せっきりにしていることも 問題として残ってしまっている。
元々、社内に 危機意識が薄いうえに、一度は失ったメーカー B社の業務が戻ってきたことで、いらぬ安心感 が社内にはびこってしまった感もあった。
物流会社は今日、トップの「率先垂範」の力 量が問われる時代を迎えている。
規模の大小に かかわらず、トップの努力と能力が会社の生死 を決める。
経営陣の意識が変わらなければ会社 は変わらない。
そのことをA社の副社長は一年 後に肌身に染みて感じることになった。
それから約一年が経過した段階で改めてA社 から私に声がかかった。
依頼内容は荷主別対応 策の抽出と営業人員の教育であった。
関西営業 所の改善時に入社したK氏とベテランM氏を営 業担当とし、営業力の底上げを行うことによっ て全社的な活性化を狙うというものだ。
二人と もに副社長期待の人材である。
この二人と定期的に会い、状況報告と対応策 の決定を行うこととなった。
キックオフから大 きな課題があった。
彼ら二人は営業担当ながら 現場で欠員が出たときのピンチヒッターとして 現場業務にもあたっていた。
営業専属として機 能してはいなかった。
そのために担当荷主の情 報収集が全くできていない状態にあった。
営業担当二人には営業に注力してもらう。
そ れが副社長の意向だった。
そこで私はまず􀀀現 場社員定着に向けた人員の棚卸しと一部業務の ロケーション化、􀀀「カスタマーカード」による 主要荷主の情報収集に注力した。
これを徹底す るのに二カ月強を要した。
その後、ようやく本 テーマに入ることができた。
しかし、いっこうに成果が出ない。
それどこ ろか、決めたことが前に進まない。
考えた末、副 社長に了解をとって営業担当二人を会食に誘う ことにした。
ところが、楽しいはずの宴は悲劇 の舞台となった。
腹を割って話したことで分か った。
二人はA社における自分の将来を描けず にいた。
そして二人の言葉からは目標や向上心 のかけらも感じられなかった。
期待の人材だっただけに、話を聞いた副社長 は愕然としていた。
営業には「企て」ができる 人材が必要だ。
また改善には目標達成意欲と、そ れを「やりがい」と感じる人材が重要になる。
そ して彼らに方向を指し示すのが経営陣の方針や、 将来ビジョンだ。
経営者のビジョンと人材の育 成があれば、どんな会社でも勝ち組に入れると 私は信じている。
しかしA社の場合、社長の経営関与の低さ、副 社長と古参役員の社内対立などによってA社全 体の力が内に向いてしまっていた。
中間管理職 社員や現場の社員にA社の進むべき方向を明確 に指し示してやれなかったことが、改善策を講 じても思うような成果をあげられなかった原因 であった。
もう一つの反省点として、問題が発覚してか ら、場当たり的に我々のような外部スタッフを 活用したことで、改善が後手に回ってしまった ことも上げられる。
外部スタッフの継続的な活 用によって課題を一気に改善しまえば、問題が 大きくなって明るみになってから青い顔をして 駆け込んでくるという事態には陥らなかったは ずだ。
A社はこれまでのところ運良く売り上げを確 保することはできているが、このままでは今以 上の成長は見込めない。
A社の副社長は、その ことに自らが期待する営業担当二人の実状から 気づくことができた。
A社の改革はいまだ途上 にある。
しかし、まず改善すべきは経営陣と気 づいたことで、新しい成長の芽が既に育ってき ていると私は評価している。
あおき・しょういち  1964年生まれ。
京都 産業大学経済学部卒業。
大手運送業者のセールス ドライバーを経て、89年 に船井総合研究所入社。
物流開発チーム・トラッ クチームチーフを務める。
96年、独立。
日本ロジフ ァクトリーを設立し代表 に就任。
現在に至る。

購読案内広告案内