2005年1号 |
CLIP 流通の門外漢が見聞きしたイオンの素顔 |
*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。 69 JANUARY 2005産業再生機構によるダイエ の再建策が具体化してきた 支援先がどこになるかは未定だが 流通業界にと ては予断を許さない状況が続く このダイエ の穴を埋めるかのように 小売業の勝ち組として躍り出てきたのがイオンだ た イオンの大躍進の秘密 という本は いま同社が何を考え どのように事業を展開しようとしているのかを探 た書物だ 著者の菊地正憲氏は小売業の専門家ではない 経済誌や北海道新聞の記者を経て独立し 現在では アエラ などを舞台に 時事問題からポピ ラ 音楽まで幅広い分野の記事を執筆している実力派のライタ である イオンの大躍進 のなかでも 門外漢であることを敢えて活かしながら イオンを軸に大手ス パ の展望と課題を浮き彫りにしていく と本書の狙いを説明している こうした取材スタンスのためか 本書の内容からは 執筆にあた て当のイオンがあまり協力的ではなか たことが伺える それによる情報不足を埋める狙いもあ たのだろうが 著者は全国各地のイオンの店舗を訪れて来店客のコメントなどを丹念に拾い集めている 結果として 本書は 流通の専門家や一般のビジネス誌とは異なる角度から イオンの実態を掘り下げることに成功している この本に興味を持たれた方には いま本誌で 日本の流通 進化のゆくえ を連載中の流通アナリスト 鈴木孝之氏が二〇〇二年八月に上梓した イオングル プの大変革 日本実業出版社 と併せて読むことをお薦めしたい この二冊は 書き手が流通の素人と専門家であることも違えば イオンの動向を少し距離をおいて眺めるのか 肯定的にエ ルを送るのかというスタンスでも異なる ま たく別々の視角から書かれた二冊の本を読むことによ て イオンに対する理解がぐ と深まるはずだ 流通の門外漢が見聞きしたイオンの素顔専門的でないことが入門書として好都合 イオン大躍進の秘密 菊地正憲 ぱる出版 税別価格一五〇〇円 |