ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2003年12号
特集
日本の3PL 2003年度3PL実態調査

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

DECEMBER 2003 14 調査の目的と概要 3PL実態調査は二〇〇三年度で第八回目を迎え た。
毎回、調査の目的や狙いは少しずつ修正を加えて いる。
今回の調査の目的は大きく分けて三つある。
一 つは企業が3PLサービスを利用することを戦略的に どう評価しているのかを知ることだ。
北米、西欧、ア ジア太平洋、そして南アフリカに拠点を構える自動車、 化学、ハイテク企業などを調査対象とした。
二つ目は3PLユーザーの視点をきちんと理解、整 理すること。
ユーザーがどのような基準で3PL業者 を選択し、どう管理しているのか。
3PL業者に対す るユーザーのニーズとは何か。
3PL業者にどのよう なレスポンスを望んでいるのか、などが主なテーマだ。
そして三つ目が3PLの最新トピックスを把握する ことだ。
3PLの潜在能力や将来性、サービスのトレ ンド。
3PLのパフォーマンスや価値。
実際に3PL が展開される場合のパターンなどを押さえることを目 的とした。
最初に今回の調査の概要を簡単に説明しておこう。
調査は北米、西欧、アジア太平洋、南アフリカの四地 域に拠点を置き、自動車、コンピュータ、薬品、流通 などの分野で活躍する二一六四社を対象とした。
二 〇〇三年の春から夏にかけて、各社のCLE(Chief Logistics Executive )に電子メールでアンケート用紙 を送付した。
その結果、四〇〇の回答が得られた。
回 答率は約一八%だった。
回答者は各社のバイスプレジデント、ディレクター、 またはロジスティクス部門やサプライチェーン部門の マネージャーだ。
地域的な内訳は北米二二一人、西 欧五三人、アジア太平洋一一八人、南アフリカ八人。
業種別では組み立てメーカー六五〜八五%、卸・小 今号から再スタートする米CLM報告の第1回目は毎年恒 例の「3PL実態調査」。
世界のトップ企業のロジスティク ス部門責任者がアンケートに答えている。
現在、3PL業者 にはサービスの質的向上やカバー領域の拡大、そして新しい 情報技術への対応力が求められているという。
2003年度3PL実態調査 売り一〇〜一五%、原材料メーカー三〜五%。
売上 規模別では北米の六五%が一〇億ドル超、西欧の三 八%が一〇億ユーロ超、アジア太平洋の九五%が一 〇億ドル以下となっている。
まず調査では会社として現在どのような課題に直面 しているかについて尋ねた。
寄せられた回答を割合の 高い順から列挙していくと、「サプライチェーンマネ ジメントの見直し」(九五%)、「コスト削減」(九四%)、 「新製品の投入」(九〇%)、「新しい市場の開拓」(八 九%)、「ロジスティクス面でのサービスレベルの向上」 (八七%)、「最新の情報技術の導入」(八六%)――と いう結果になった。
企業の上層部がSCMやロジステ ィクスといったテーマに高い関心を示していることが 分かった。
3PL事業の成長性 われわれは九六年以降、3PLサービスの利用状 況について毎年統計をまとめている。
九六年度、北米 における3PL利用の割合は全体の七一%を占めて いた。
その後はその割合が徐々に高まっていくものと 予想していたが、二〇〇一年度までは数%の範囲内 で上下動を繰り返す結果となった。
しかし、二〇〇二 年度、そして今回調査の二〇〇三年度には七八%と 過去最高の水準を記録している(図1)。
何故、北米における3PL利用の割合が再び上昇 に転じたのか。
その理由はこの報告の後半部分で明ら かになってくるだろう。
続いて、具体的にロジスティクス業務のどの部分を 3PLにアウトソーシングしているのか、という問い に対する回答を見ていこう。
この質問では北米、西欧、 アジア太平洋で地域的な違いが顕著に現れた。
例えば 「販売輸送」。
北米では販売輸送をアウトソーシングし 米CLM報告 ジョージア工科大学 
叩Ε献腑鵝Ε薀鵐哀譟Jr. 博士 キャップジェミニアーンスト&ヤングギャリー・R・アレン フェデックス・サプライチェーン・サービスウェイン・A・クランペル 日本の3PL 成功事例に学ぶ上手な活用法 特集 15 DECEMBER 2003 ていると回答したのは七一%だった。
これに対して西 欧は九五%、アジア・太平洋は八七%という結果と なった。
「倉庫業務」に関しても三地域で大きな違いが見ら れた。
倉庫の外注化に積極的なのは西欧で、その割合 は九一%に達した。
一方、北米は七三%。
アジア太 平洋は四六%にすぎなかった。
依然として北米、アジ ア太平洋の企業は自社で倉庫を保有し、自社戦力で オペレーションする傾向が強いことが明らかになった (表1)。
とはいえ各社とも将来的にロジスティクスをアウト ソーシングする動きは加速すると見ている。
三地域と も二〇〇六〜二〇〇八年度には二〇〇三年度の水準 よりも一〇ポイントほど「ロジスティクスの一括委託 に踏み切る」企業の割合が高まると予想している(図 2)。
今回の調査では3PLを利用していない企業の回 答も分析した。
アンケートでは何故3PLサービスを 利用しないのか。
その理由を尋ねた。
その結果、もっ とも多かったのは「ロジスティクスは自社のコアコン ピタンスであるから」という回答で、北米では実に四 五%に上った(アジア・太平洋では四〇%)。
次に割合が高かったのは「ロジスティクスは外注化 するには重要すぎる」で北米では四〇%(同三九%)。
「コスト削減に結びつかない」、「コントロールを失う」、 「自分たちのほうが3PL業者よりも専門性が高い」、 「(3PL業者が提供する)サービスのレベルに満足で きない」、「顧客の不満が増す可能性があるから」と続 いた。
特筆すべきはアジア太平洋で「自分たちのほうが3 PL業者よりも専門性が高い」、「(3PL業者が提供 する)サービスのレベルに満足できない」、「顧客の不 満が増す可能性があるから」と回答する企業が多かっ た点だ。
このことは同地域で活動する3PL業者のサ ービスが成熟していないということを物語っている (図3)。
このように中には3PLに不満を持っている回答者 もいたが、全体的には回答を寄せた企業の多くが現在 の3PLサービスに満足しているようだ。
そして3P Lが将来、輸送管理や倉庫管理、出荷トラッキング やトレーシングといった業務の中心的な委託先になる とも予測している。
さらに一括サービスの提供や機能 拡張によって3PLが自社のサプライチェーンに深く関与するようになると見ている。
3PLに必要なIT機能とは 続いて3PLに対してIT面では、どのようなこと を期待しているかについて尋ねた。
現在、回答企業が 利用しているITをベースにした3PLサービスは 「倉庫・物流センター管理」、「出荷管理」、「輸出入・ フレートフォワーディング・通関の手続き」など。
い わゆる販売物流の部分に関するサービスが圧倒的に多 かった。
これに対して、将来どのようなITベースの3PL サービスを期待しているか、という問いでは、調達物 流に関する回答の比率が高かった。
「サプライヤー管 理システム」を筆頭に、「製品のバーチャル電子市場」、 図1 3PLの利用状況の推移(1996〜2003年) (%) 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 100 80 60 40 20 0 71% 71% 68% 73% 73% 71% 78% 78%7 9% 94% 58% 北米 西欧 中国・アジア太平洋 表1 アウトソーシングされる業務 北米 西欧 アジア太平洋 倉庫 73% 91% 46% 販売輸送 71% 95% 87% 関税手続き 66% 57% ― 調達輸送 62% 71% 62% 通関手続き 62% 67% 33% フレートフォワーディング 57% 67% 41% 請求書のチェック・支払い 54% 24% 8% クロスドッキング 37% 43% 33% 荷物の混載・流通 37% 62% 16% ジョージア工科大学 C・ジョン・ラングレーJr. 博士 DECEMBER 2003 16 「サプライチェーン計画システム」、「輸送・ロジステ ィクス電子市場」と続いた。
販売物流から調達物流 へ――。
各社が3PLにカバーしてもらいたいと考え ている領域は拡がりつつあることが分かった。
ロジスティクス関連の情報システムをどこから提供 してもらっているかについても調査した。
その結果、 北米では「内製化」しているケースがもっとも多く、 「情報システム会社」、「3PL業者」という順番にな ったが、西欧およびアジア太平洋では「内製化」、「3 PL」、「情報システム会社」となった(図4)。
「3PL業者にIT機能は必要か」という問いに対 して、北米、西欧では九割以上が「必要」だと回答し た。
ただし、「ITに関するリーダーシップを3PL 業者に依存するか」という質問では「そうしたい」と いう回答各エリアとも過半数以下にとどまった。
あく までもITの主導権は自社で握っておきたいという意 向が強いようだ。
「3PL業者のIT機能に対する満足度」もさほど 高くない。
「満足している」という回答は北米で七五%、 西欧で五六%、アジア太平洋で二七%だった。
満足 していない西欧、アジア太平洋では当然、情報システ ムを「内製化」している割合も高かった。
3PL業者の評価基準 3PLを利用している企業がどのような基準で3P Lプロジェクトが成功したと判断しているのか。
具体 的な数字を聞いた。
質問項目は「ロジスティクスコス トの削減」、「ロジスティクス関連の固定資産の削減」、 「オーダーサイクル平均日数の短縮」、「在庫総量の削 減」、「キャッシュ・トゥー・キャッシュサイクル日数 の削減」の五つだ。
その結果、北米と西欧では評価基準に数字的な開 きのあることが判明した。
北米の企業は「ロジスティ クスコスト」や「ロジスティクスの固定資産」に関す る要求が厳しい。
西欧に比べ目標とする削減率が大き かった。
一方、西欧の企業はコストや拠点数の削減よ りも「在庫量の削減」のほうに重点を置いているよう だ。
3PL業者に対する?ダメ出し〞もしてもらった。
「サービスレベルをコミットしない」、「3PLプロジェ クトが動き出した後にコストや料金が上昇する」、「グ ローバルに対応する能力が欠けている」、「最新の情報 技術に追いついていない」、「改善への取り組みが継続 されない」など3PLのユーザーからは厳しい意見が 相次いだ。
3PLの管理面や、3PL業者とユーザーの協力 関係のあり方に関する問題点についても調査した。
事 前に次のような五つの仮説を立てた。
?ユーザーはおおよそ3PL業者には満足している。
にもかかわらず、3PL業者は顧客との関係をより よくしたり、3PLサービスを継続的に利用しても らうことにプレッシャーに感じている。
?コアサービスの提供は欠かせないものになっている。
しかも他社のサービスと差別化するために付加価値 サービスや関係をよりよくする技術などプラスしよ うとしている。
?ユーザーは3PL業者が先進的なサービスを提供す ることを望んでいる。
しかし、そうしたユーザーた ちはまだ3PL業者を、戦略的な「リソースマネー ジャー」というよりも「リソースプロバイダー」と 見なしている。
?3PL業者とユーザーが良好な関係を維持するため には公平な取引・契約形態、相互投資、継続的な 図2 ロジスティクスの一括委託は    今後も拡大すると予想されている (%) 北米 49% 56% 65% 81% 50% 60% 西欧 アジア太平洋 100 80 60 40 20 0 2006― 2008 2003 図3 3PLサービスを利用しない理由 ロジスティクスが コア事業であるため 外注化するには 重要すぎるため コスト削減に つながらないため コントロール力を 失ってしまうため 自分たちのほうが 専門知識が豊富なため サービズレベルに 満足できないため 顧客企業の 不満が増すため 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 45% 40% 40% 39% 34% 26% 34% 25% 21% 36% 18% 26% 8% 24% (%) 北米 アジア太平洋 日本の3PL 成功事例に学ぶ上手な活用法 特集 17 DECEMBER 2003 改善活動、協力して創造力を働かせることが求めら れる。
?ユーザーは先進的なサービス、サプライチェーンに 関する専門的な知識、リスクと報酬を共有するとい う取り決めを交わすことを3PL業者に求めている。
それを満たすためには今後3PL業者とユーザーの 関係は4PLへと進化していく。
実際、調査を進めていくとこれらの仮説が見事に的 中していることが分かった。
3PL業者が現在どのよ うな役割を果たしているか、という質問でもっとも回 答が多かったのは「リソースプロバイダー」だった。
次いで「リソースマネジャー」。
「問題解決人」、「輸送 ストラテジスト」、「流通ストラテジスト」、「サプライ チェーンストラテジスト」と続いた。
取引・契約形態の実態も明らかになった。
「コスト の共有」、「リスクと報酬の共有」に踏み切っているケ ースは比較的増えているが、「ジョイントベンチャー 形式での取り組み」や「収益の共有」にまで至ってい るケースは皆無に等しいと言えるだろう。
4PLに相応しい企業とは ご存じの通り、ロジスティクスサービスはここ数年 で急激な進化を遂げてきた。
もともと市場にはベーシ ックなロジスティクスサービスを提供する「ロジステ ィクス・サービス・プロバイダー(LSP)」しか存 在しなかった。
しかしその後、より付加価値の高いロ ジスティクスサービスを提供する「サードパーティ ー・ロジスティクス(3PL)」が登場。
さらに、し ばらくすると複数の3PLを一括して管理する「リー ド・ロジスティクス・プロバイダー(LLP)」が出 現した。
そして現在では「フォースパーティー・ロジスティ クス(4PL)」という新たなプレーヤーが活躍の場 を拡げようとしている。
この4PLはサプライチェー ンの広い範囲をカバーできる能力、先進的な情報技術 を活用できる機能などを有し、さらにユーザーのビジ ネス全般について戦略的な提案が行える力を兼ね備え ているという。
「4PLにもっとも相応しい企業とは?」この質問 では非常に興味深い回答を得られた。
二〇〇二年度 の調査で「3PLこそ4PLに相応しい」と答えたの は四七%にすぎなかったが、今回の調査では六九%に まで拡大した。
「インターネット関連企業」、「コンサ ルティング企業」も前回に比べポイントを上げたが、 「3PL」ほどの支持率の伸びはなかった。
対照的に 「ソフトウエアベンダー」が前回よりもポイントを下 げる結果となった。
最後に3PLに関する戦略がどう変化してきている のかをまとめておこう。
まずユーザーは3PLのコアサービスの複数の項目について失望感を抱いている。
コストやサービスの品質に継続的な改善が見られない こと、最新のIT技術への対応が遅れていることなど に不満を抱いているようだ。
3PLに求めるサービスのカバー領域も拡がりつつ ある。
従来は販売、調達など3PLが実務を請け負 う範囲は限定されていた。
それが現在ではサプライチ ェーン全体を管理する役割を期待されている。
もしこ うしたニーズに応えることができなければ、3PLプ ロバイダーは今後、パートナーとして指名されなくな ると考えたほうがいいだろう。
フェデックス・サプライチ ェーン・サービスのウェイ ン・A・クランペル氏 (本稿は今年九月に開かれた米CLM年次総会のセッションでの発表 内容と配布資料を基にして構成したものです。
スピーカーに誌面化 の許可を得ていますが、文責は本誌にあります) 図4 情報技術の依頼先 (%) 3PL 情報システム会社 内製化 80 70 60 50 40 30 20 10 0 16% 29% 32% 35% 6% 15% 46% 59% 56% 北米 西欧 アジア太平洋 キャップジェミニアー ンスト&ヤングのギャ リー・R・アレン氏

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