ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年2号
SOLE
インターネット・コマースにおけるロジスティクスの役割

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

81 FEBRUARY 2002 ロ ジ ス テ ィ ク ス 学 会 ( S O L E - T h e International Society of Logistics )では技 術専門の季刊誌「LOGISTICS SPECTRUM 」 を発行している。
今号では同誌の二〇〇一年 秋号(一〇月〜十二月)から論文を紹介する。
著者はコロラド州ピーターソン空軍基地車 両・機器司令部のマネジャーで特務曹長の AMOS CECIL WILLIAMS, JR. 。
原 題 は 「 The Role of Logistics in Internet Commerce 」 である。
過去 10 年で激変した ロジスティクス 世界の歴史を振り返ると、軍隊と戦争はロ ジスティクスの発展に大きな影響を与えてき た。
ロジスティクスの起源は、一七世紀末の 仏軍にさかのぼる。
当時のロジスティクスは、 軍行動を支える必要設備や必需品の供給活動 に関するものだった。
これに対して今日のモダン・ロジスティク スは、供給源から生産、生産から市場までの 資材や製品の動きであると定義されている。
ロジスティクス・マネジメント協議会(CL M)では、「ロジスティクスは、顧客要求を 満たすために、原材料、半製品、完成品、な らびにその関連情報の、産出地点から消費地 点への効率的かつ経済的なフローと保管を計 画、実施し、管理するプロセスである」と定 義している。
現代社会では、ロジスティクスは社会生活 の水準に重大な影響を及ぼす広範な機能とさ れている。
消費者は、優れたロジスティク ス・サービスを期待し、品物・サービスの配 送に問題が生じた場合にのみロジスティクス を重要視する。
常に要求される効率性のため、 企業は無数のハードルを乗り越え懸命に努力 を重ねながら、ロジスティクスを改善してき た。
この改善の成果はサプライチェーンや流 通マネジメントの中で見ることができるが、 ロジスティクスの全体目標は最小コストで顧客サービスの向上を図ることである。
グローバル経済において多国籍企業は、消 費者が個人か企業かにかかわらず、彼らへの 品物の配送とそのサービスレベルをより一層 効率化することを目標としている。
これまで ロジスティクスに対して、企業は国家と同様 に非常な貢献をし進歩させてきたが、このプ ロセスをさらに最適化させるためのビジネス チャンスはまだまだ残されている。
その理由は、?消費者はより高度な顧客サ ービスを求め期待している、?インターネッ トの出現により消費者とメーカー間の線引き が不明確になった、?インターネットによる 情報の自由な流出により消費者間の情報フロ ーが加速されている――ためである。
世界的 に消費者(特に米国人)は、企業に対して品 第11回 インターネット・コマースにおける ロジスティクスの役割 FEBRUARY 2002 82 物やサービス提供以上のものを求める。
サプ ライヤーに対しては、製品使用の技術的な専 門知識やアドバイスに加えて、付加価値サー ビスの提供をも期待している。
この付加価値 サービスとは、顧客重視、販売促進重視、製 造重視、または時間重視ということである。
産業革命以来、ここ一〇年間の変化ほどロ ジスティクスのプロセスが変化したことはな かった。
ロジスティクスがサプライチェーン・ プロセスの改善と、改善への重要な機会をも たらし、それによって企業はコア・コンピテ ンスに容易に集中できるようになる。
伝統的なサプライチェーンは、サプライヤ ー、メーカー、流通業者、小売業者、消費者 の五つに区分されていた。
しかし、今日のサ プライチェーンの区分は変わりつつある。
あ る業界では、電子商取引とコンピュータ技術 を組み合わせることで、サプライヤーもしく はメーカーから消費者への直接取引が促進さ れつつある。
企業が競争優位に立ちそれを継続したいな らば、オーダー処理、輸送、在庫管理といっ た領域におけるロジスティクスのやり方、手 続きを改善する努力をすべきなのである。
オーダー処理を 電子化するメリット 「顧客オーダーサイクル」とは、注文から製 品受領までの経過時間である。
顧客から受注 したら、オーダー状況を確認して顧客に伝え、 オーダー手続きをして顧客へ製品を提供する。
一連の作業の中には在庫状況の確認や、顧客 のクレジット、インボイス、支払いの確認業務も含んでいる。
以前は、顧客が注文伝票に 書いてセールスマンに手渡すか、もしくはメ ーカーへ郵送か電話で注文するといった方法 しかなかった。
それが技術の進歩によって、 顧客はオーダー処理システムを使い、サプラ イヤーの顧客サービス担当者へ電話やファッ クスで直接、注文できるように変わった。
今日では、コンピュータ、電子メール、イ ンターネットによりオーダーサイクルタイム 全体が著しく短縮し、顧客と企業がスムーズ につながるペーパーレス環境が実現している。
多くの企業が、すでに「バーチャル企業」の 構築に取りかかっている。
それは、最短サイ クルタイムで最大顧客満足を獲得し、競争優 位性を確立する目的で複数組織が協同する、 対話型一貫システムの実現である。
個人や法人の消費者は、America Online, CompuServe, Earthlink, Microsoft, Sprint といったオンライン・インターネットサービ スに加入している。
手数料ベースのインター ネットサービスにより、加入者はデータソー スやサービスへのアクセス、企業への直接オ ーダー、電子メールでの世界中のインターネ ットユーザーとの会話が可能となる。
伝統的オーダーシステムの非効率性を示す ならば、従来のPC業界のオーダーシステム では、メーカーから小売販売まで通常四七日 間かかった。
これに対してデルコンピュータ の注文基準生産モデルでは、インターネット によるコンピュータ製造・販売は一日以下で ある。
あるときデルは、人々が1ギガバイト ではなく3ギガバイトのディスクモデルをオ ーダーすることに気付き、1ギガバイトディ スクドライブの購入を中止したことがある。
ディスクメーカーはその後、過剰供給品をデ ル以外のパソコンメーカーに安く出荷するこ とを申し出た。
パソコンメーカーはそれを購 入したが、四七日後には消費者がもはやその 品物を望んでないことに気がついた。
デルの 注文基準生産、ユーザーデマンド型モデルは、 非常に高額ではあるが、性能においては他の 生産モデルの追従を許さない。
紙の市場は今後も消滅しないであろう。
と いうのも紙製品は製品を顧客に配送する際にも使用されるし、消費者は新聞、本、雑誌な どの印刷物を常に当てにしている。
しかし、 上記の例のようにビジネスは情報デジタル化 の時代に入っており、顧客オーダーが電子化 され、マーケティングや通信の分野では消費 者経験に効果的な付加価値を与えている。
さ らに、従来は製造コストがサプライチェーン 全体コストの大半を占めていたが、これから ビジネスを成功させるには製造コストのみな らず輸送関連コストも削減する必要がある。
スピードが重要になった 輸送サービス 輸送はロジスティクスの重要要素であり、 GDP(国内総生産)の約二〇%を占めてい る。
現代の輸送は、鉄道、トラック、パイプ 83 FEBRUARY 2002 ライン、船舶・航空などが様々な方法を組み 合わせている。
それぞれの輸送モードには特 色がある。
歴史的に米国では、鉄道が最大量(トン・ マイル)の貨物輸送を担っていた。
トラック は戸口から戸口まで荷物輸送ができるため、 融通性が最も高い。
パイプラインは二四時間 週七日稼動が可能で、信頼性が高く、また燃 費が最も安い。
船舶輸送は最も歴史が古く、 最大の利点は一度に大量に多種多様の荷物を 安価で運べることである。
航空輸送も一度に 多種類の荷物が運べ、かつ最も短時間で輸送 できるためビジネスに柔軟性を与えている。
企業は従来、自社トラックを使って消費者 に物品を配送していた。
自社配送ができない 企業はこれまで、市場への製品輸送手段や顧 客配送にすぐ対応できる手段については、あ りきたりの関心しか示してこなかった。
どの 企業も最低コストで競争力優位に立つことに 対する努力はしてきたが、それは一般的なも のでしかなかった。
ところがインターネット の出現によってウェブベースの確立が競争力 優位になるとみなされると、企業は一気にそ れに集中し始めた。
フェデラルエクスプレス社メンフィス国際 e ―ソリューション上級副社長のトム・シュ ミットは、「多くの企業は、スピードが今後 の差別化要素であり価値を生む最前線になる と見ている」と述べている。
いま企業は、顧客満足を向上させる効率的 な供給ネットワークの確立を推進するために、 そのツールとなる輸送手段を摸索している。
フェデックス社とユナイテッドパーセルサービス社がその代表例であり、全く新しいビジ ネスサービス環境を創出することを保証する 配送を行っている。
いまや輸送サービス会社は、電子能力こそ が配送スピードと情報正確性を実現するもの だと考えている。
荷主と荷受人は、必要な時 に出荷状況を把握することが輸送の最も重要 な要素であることに同意している。
nPassage と呼ばれる企業は、メーカー、流通業者、B to B業者を接続するインフラを提供して、貨 物サービスプロバイダーと顧客が重要情報の 交換をできるようにしている。
変化もテンポも速い今日では、顧客は最新 の製品追跡やリアルタイムの電子配送といっ た流通チェーン全体における高いレベルのサ ービスを要求している。
例えば、音楽をオン ラインで小売するCDNow は Skybox.net をパ ートナーとして、ラテンアメリカやカリブの 顧客に速くて安いサービスを提供している。
顧客は、オンラインでオーダーする時のシッ プアドレスとしてMiami Skybox のアドレス を使用する。
顧客のオーダーはマイアミで受 信され、それはSkybox によって再パックされ、 通関手続きを経て配送業者から顧客の宛先ア ドレスへ送られる。
顧客は関税の支払いを事 前に了承しているため、関税と送料がマイア ミから請求される。
新しい経済社会ではスピードの必要性が全 業界、特にインターネット使用の業界に求め られている。
必要とする製品を、必要とする 場所に、必要とする時に届けることが原点に なる。
いつでも輸送はロジスティクスの重要 な統合要素である。
Eコマース革命以来、輸 送の持つイメージは、倉庫から小売店先まで の物の単純な動きのようなゆったりした流れ から、ロジスティクスの速い流れの中で新生 活を創りだすものへと変化している。
米国国防総省も認めた カンバン方式 在庫もまたロジスティクスの重要要素であ るが、輸送とは違ってビジネスにおける傾向 としては低く見られがちだった。
企業が、完 璧なビジネスモデルとそれを実現する配送システムを構築したとしても、出荷する製品が なければ何もならない。
多くの企業では、在 庫が資産のかなりの部分を占めている。
スム ーズな業務と良い顧客サービスのために在庫 は必要ではあるが、いくつかのコスト(品目 管理コスト、メーカーオーダー費、売り損じ コストなど)は削減するべきである。
しかし ながら、在庫が多すぎることがメーカーの運 用コスト(保管費、荷役費、税金、保険な ど)を増加させているケースが多い。
日本の製造業者トヨタ自動車は『世界を変 えたマシン』の中で、低在庫で、高在庫回転 率企業として紹介されている。
トヨタのやり 方は運用在庫を非常に少なくして、製品を生 産サイクル内で素早く動かすというものであ る。
今日の情報管理システムは、全ての在庫 ビジネスはコアコンピテンスに集中しながら 協同化を成功させ、その結果として消費者ニ ーズを満たし、消費者への付加価値サービス の提供において競合他社を凌駕することも可 能になる。
日本企業のマネジメントをモデルとして、 米国はジャストインタイムの製造手法を導入 した。
日本企業をベンチマークとすることで、 米国の企業は在庫削減に成功し競争力優位 を獲得した。
企業が自動化システムの導入と ビジネスパートナーシップの確立のために、 絶え間なく努力を続けることで、顧客も成果 に関係していると感じるようになる。
こうし て、いったん顧客のプロセスへの参加を認め ると、彼らは戦略方向の策定に対しても自分達の発言を必ず要求することになるであろう。
FEBRUARY 2002 84 比率を購買・消費の正確な時間に同期調整 しており、それはトヨタが導入し完成させた ジャストインタイム手法「カンバンシステム」 と呼ばれるものと同じである。
全世界の企業はトヨタをモデルにベンチマ ーキングを行い、在庫を低水準に抑えて競争 優位を獲得しようとしてきた。
米国国防総省 でもこの戦略を採り入れている。
在庫運用費 が増加しても、情報・輸送・倉庫費を削減で きればいいと考え、今日の戦争の実態に合わ せるためにロジスティクスアプローチを転換 した。
サプライチェーンを統合し、巨大な在 庫の山を情報と配送に置き換えた。
現在の国 防総省は、ロジスティクスチェーンを稼動さ せるためにジャストインタイム、ジャストイ ンケース在庫に代わる?ジャスト・イナフ〞 在庫の方向に向かっている。
在庫はコストがかかるため、企業では、特 にインターネットをもつ企業は、競争優位に 立ちそれを継続するために、在庫をリアルタ イムに管理する手段を設定する必要がある。
「カンバンシステム」を実施すれば、サプライ ヤーに需要に応じた配送をさせ、在庫と保管 スペースを削減させることが可能になる。
例えば、e ―コマース書籍小売業者では、ビ ジネスマンはウィークデイには本屋に行く時 間が取れないので、ある本が日曜日に多く売 れることを知るならば、月曜日に彼らのオー ダーのすべてが出荷できるのに十分な在庫が あればよく、週末を越えて在庫を持つ必要は なくなる。
企業はワゴンが空では販売はでき ないが、ジャストインタイムの世界において ジャストインケース在庫の備蓄はしないというのは事実かもしれない。
結論:戦略策定に顧客を巻き込む 本稿ではロジスティクスの三つの重要要素、 オーダー処理、輸送、在庫管理――の分析と 考察を行ってきた。
これらは電子商取引の世 界でのサプライチェーン・マネジメントを効 率的に行うための重要機能である。
さらに本稿は、主要ロジスティクス・プロ セスの最適化を目指す企業に対して、特にイ ンターネットが機会を与えることを確認し強 調した。
すでにインターネットは消費者の要 求を促進し、顧客満足への期待を高め続けて いる。
インターネットの能力、信頼性、使い やすさは、消費者とメーカー間、さらにはメ ーカーとサプライヤー間をシームレスに統合 する。
これは自由な情報の流れをもたらし、 消費者間での情報交換を加速させる。
最近、ロジスティクスが一躍、注目を集め るようになった。
NAFTA(北米自由貿易 協定)のような貿易協定、コンピュータと情 報技術の爆発的な増加、グローバル市場の開 発が世界中に多数のグローバル企業もたらし たこと、企業が品質と顧客満足を重要視した こと――などの結果である。
消費者は、ビジ ネス(メーカー、小売、サプライヤー)に対 し顧客重視、販売促進重視、製造重視、時 間重視といった付加価値サービスの提供を期 待している。
輸送の役割とその柔軟性により、 SOLE東京支部フォーラム報告 SOLE東京支部では毎月「フォーラ ム」を開催し、ロジスティクス技術、 マネジメントに関する会員相互の情報 交換に努めている。
同フォーラムはS OLE東京支部会員を対象としたもの だが、特定月のフォーラムのみの参加 も可能。
ご希望の方は事務局までお問 い合せください。
SOLE東京支部に ついてのお問い合せ、ご意見などは、 sole_consult@jmac.co.jp まで。
85 FEBRUARY 2002 Q1 ロジスティクス支援の主要要素は次のどれが適切か? a.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保管・ 輸送、要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資源 b.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・荷役・保管・ 輸送、要員と訓練、施設、コンピュータ資源 c.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、データ、コンピュータ資源 d.保全計画、供給支援、試験支援機器、包装・保管・輸送、 要員と訓練、施設、データ、コンピュータ資源 Q2 データ通信システムの説明として適切なものはどれか? a.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交換を 高速で行うことを本来の目的とした機械群である。
b.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交換を 高信頼度で行うことを本来の目的とした機械群である。
c.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交換を 高信頼度で行うことを本来の目的とした人と機械の組合 せである。
d.2ないしそれ以上のターミナル間のデジタルデータ交換を 高速で行うことを本来の目的とした人と機械の組合せで ある。
前月号でご紹介したCPL模擬試験問題は「システムマネ ジメント」からの出題でした。
いかがでしたか。
Q1の正解は「a.」です。
みな似たような事項の列挙です が、比べてみますと「b.」には「データ」が欠けており、「c.」 には「荷役」と「施設」がありません。
「d.」にはやはり「荷 役」がありません。
いずれもロングライフ製品に対する製品支 援要素として欠かせないものです。
Q2の正解は「c.」です。
機械だけのシステムというもの はほとんど存在せず、通常システムは人と機械の組合せで成り 立っています。
データ通信システムの本来の目的が「高速度」 か「高信頼度」か、と問われれば、やはり「高信頼度」という ことになるでしょう。
第11回 
達丕未了邯殻簑蠅膨戦 今回は第2領域「システム設計と開発」からの問題です。
Q1 システムのMTBMが1000、MDTが50のと き、Operational 
腺ailability (Ao)はいくつか? a. 0.95 b. 1.05 c. 0.59 d. 3つとも該当せず Q2 
味咤繊淵蹈献好謄クス支援解析)はシステム開発 の過程で繰り返し使用されるプロセスですが、その主要な目 的は以下のどれか。
CPL(Certified Professional Logistician)の試験問題に挑戦 前回のおさらい ※今回の設問の答えと解説は、本誌2002年3月号の当コーナーでお読みいただけます a.支援性要求の初期設定、システム/機器の設計コンフ ィギュレーションの評価、与えられた設計コンフィギ ュレーションの評価に役立てる b.要員に関する初期設定、システム/機器の設計コンフ ィギュレーションの評価、与えられた設計コンフィギ ュレーションの評価、運用システムの測定と評価に役 立てる c.支援性要求の初期設定、システム/機器の設計コンフ ィギュレーションの評価、与えられた設計コンフィギ ュレーションの評価、運用システムの測定と評価に役 立てる d.支援性要求の初期設定、システム/機器の設計コンフ ィギュレーションの評価、保全性特性の評価、運用シ ステムの測定と評価に役立てる

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