ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年2号
デジロジ
LOGI-BIZ攻略のキーワード

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

FEBRUARY 2002 72 クロスドッキングの意味 今回は「二〇〇二年:ロジスティクス・ビジネス攻略のキーワードと戦略的展開」と 題して、主要要素について解説してみよう。
コンセプトを伝えるのが苦手な我々日本人 にとって英語は実に便利である。
簡単な意 味の言葉もカタカナ表記にすると、何やらオ ーラを発してくる。
三文字熟語に至っては枚 挙に暇がないほどだ。
しかし、なかには安易な言葉の使い方から、 混乱や誤解を招いているものも少なくない。
そこで今回は今後のロジスティクス・ビジネ スの要となるモジュールとして、「Cross Dock(ing) 」と「VMI」および「CPFR」 を取り上げてみたい。
「クロスドック(交差)」もしくは「クロスド ッキング」という言葉が日本の物流業界で も一般化してきた。
しかし、「フロースルー (通過)」との区別がなされていないケースが よく見られる。
まあ、単なる「仕組み」の名 前なので、基本的にはどう呼ぼうと目くじら 立てることもないのであるが整理しておいた ほうがいい。
物流センターの機能区分として、これまで DCやTCという言葉がよく使われてきた。
DCは ディストリビューション・センター ( Distribution Center )の略語で保管・引き 当て中心の物流センターを指している。
一方 のTC ( Transfer Center )は仕分け・小 口配送といった荷捌き中心のセンターである。
(ちなみに物流センターに名前を付けるに当 田中純夫フレームワークス社長 LOGI-BIZ攻略のキーワード 第11回  日本でも「クロスドッキング」という言葉がよく使われる ようになってきた。
しかし、そこには混乱や誤解も多い。
そ こで今回は「クロスドッキング」をはじめ「TC/DC」「VMI」 「CPFR」など、物流センターと馴染みの深い関連キーワー ドについて解説する。
たって、物流系でDC色が強いものを「○ ○物流センター」、また流通系やTCを意識している場合に「○△流通センター」と称し ていることが多いようだ) 従来、DCとTCの区分は運用方式やそ の業界の商慣行に基づいているだけだった。
つまりセンターの構造自体には、それほど明 確な差がなかった。
それが近年ではエンジニ アリング会社やゼネコンがこれらの分野に着 目し、設計レベルからDC/TCに適した 構造のものが建設されるようになっている。
それだけ使い勝手も良くなっている。
しかしながら、機能を特化した構造のセン ターは柔軟性や汎用性に乏しいという欠点 がある。
環境の変化に対応しにくいのである。
このことは物流センターの所有者である「家 主」という立場からすると、新しい荷主を見 SCMを構成するシステム要素 Forecasting 需要予測・計画 Transportation 輸配送 EC 電子商取引 SFA 営業支援 Logistics Management 物流管理 Manufacturing Management 生産管理 Order Management 受発注管理 APS 計画スケジュール Internet インターネット Vendor Management ベンダー・サプライヤー管理 VMI 73 FEBRUARY 2002 「VMI(Vendor M a n a g e d Inventory )」や 「 C P F R ( Collaborative P l a n n i n g , Forecasting and Replenishment )」 の実現では必須 となる機能なので、 キッチリ理解の上、 ポイントを押さえ ておこう。
1 フロースルー 工場と小売の 間の中継拠点に おいて、到着した 商品を在庫する ことなく、方面別 に仕分け、トラッ クに積み替えて配 送する仕組みのこ と。
日本のチェー ンストアが多く採 用してきた方式で、 こうした拠点を 「通過型センター」 と呼んでいる。
日 本で一般に「クロ スドック」と呼ん つけるのが難しいという意味になり、資産運 用上のリスクになってしまう。
そこで実際の落とし所としては、建物やマ テハン機器には凝りすぎず、まずまずの汎用 性を維持しておき、後は「人とシステムの運 用」でニーズを吸収するというアプローチが とられるようになっている。
加えて、既存施 設の付加価値を高めるという観点からも、I Tの有効活用に期待がもたれている。
そして、システムと運用で価値を高めるこ とができる手法のひとつがクロスドックなの である。
クロスドックはデジタルの助けを借 りることにより、物流を戦略的ロジスティク スに変身させるためのキーワードともいえる。
ただし、日本でクロスドックと呼ばれてい るセンターの大半は、実はTC的な荷物の 通過を意味するフロースルーのことを指して いる。
欧米ではクロスドックとフロースルー の二つが明確に区分されている。
このうち本 来の意味でのクロスドックを日本で運用して いるというケースはまだ少ない。
(余談ではあるが、フロースルーと称すると、 なにか空気が抜けたような発音なので締まり がない。
日本語というのはおもしろいもので、 日本で何でもクロスドックと称してしまう背 景には、発音のし易さ、語感に漂う少しば かり高級なイメージなどがある。
専門用語の 普及にはこのような側面もあるのだ) ● Cross Docking 以下はクロスドックのタイプ別分類である。
合 みとなる。
FEBRUARY 2002 74 流通業者にとってVMIの目的は、販売 効率を向上させ、機会損失を低減させるこ とによる利益の極大化にある。
VMIによ って在庫管理をベンダーに任せ、自らは店舗 開拓や商品開発など本業に専念することを 目指す。
具体的には、まず商品群を定番商品と特 販向けの先日付け商品に大別する。
そして 定番商品に関して、在庫の適正水準の管理 と補充をベンダーに依頼する。
製造業・卸 などのベンダーサイドは流通業からの情報に 基づき、完成品の状況はもとより、.仕掛か り製品のスケジュール、調達状況などを判断 して納期回答やJIT納品等を行うという 流れになる。
このように理屈としてはキレイなのだが、 実際に日本市場で有効に機能している事例を私はほとんど見たことがない。
VMIの運 用はマーケットの需要予測から始まる。
しか し予測に基づく調達について誰が責任をと るのか、流通業なのか、それともベンダーな のか。
責任所在が不明確になりがちである。
その結果、店舗での欠品責任を誰も取らな いというケースまで散見される。
一般にVMIは「ベンダー主導型在庫管 理」と訳されるが、実はカギを握るのはベン ダーではく、消費者に最も近いところにいる 流通業者のほうだ。
流通業者がマーケット に対して情報を発信し、イニシアティブを持 つことがVMIを成功させるポイントになる。
コントロールされつつコントロールする妙、 といったところであろうか。
ラック到着の予定時間をあらかじめ受け、到 着する少し前に在庫から一部の引き当てと ピッキングを開始する。
到着した商品の一部は適正在庫として補充。
他の在庫は方面別 に仕分け、前もってピッキングした在庫と合 流させて、トラックに積み替えて配送する、 という仕組み。
理論上、拡張クロスドックは調達先から のリードタイム相当の在庫だけを持てば、欠 品を起こすことはあり得ない。
受発注、生産、 および輸配送と在庫が文字通り、一体とな って動く。
「クロスドック」の中でもまさに 究極と呼べるシステムと言える(七三ページ 図1〜4参照)。
VMIとCPFR 「VMI(Vendor Managed Inventory: ベンダー主導型在庫管理)」や「CPFR ( Collaborative Planning, Forecasting and Replenishment: 計画・需要予測・在庫補 充の協働化)」についての解説は、本誌二〇 〇一年十一月号でも特集が組まれているの でそちらに譲るとして、ロジスティクスの観 点から、この二つの手法の問題点にふれてお きたい。
●VMI VMIはサプライチェーン&デマンドチェ ーンの構築プロセスにおける避けられない通 過点のひとつである。
そこには常に小売り、 製造業・ベンダーおよび物流各社といった プレーヤーの様々な思惑が交錯する。
でいるのは、この「フロースルー」を指すと 考えたほうがいい。
2 静的クロスドック 受注生産品や定番品が、静的クロスドッ クの主な対象になる。
製品が物流センターに 納品された時点で、その製品の出荷が決定 されている。
ということは、入荷予定段階で、 どの出荷指示データ用の商品なのかが、デー タ処理されていなければならない。
3 動的クロスドック 動的クロスドックは、欠品したバックログ オーダーが対象になる。
ある出荷が行われた とき欠品したものを「入荷待ち」の状態にし、 入荷時に出荷作業へ自動展開する。
4 拡張クロスドック 工場と小売の間の中継拠点において、ト VICS 
達丕藤劼離廛蹈札      ステップ 1. ビジネスについて合意 2. ジョイントビジネスプラン作成 3.販売予測 4.例外処理の定義 5.例外処理の解決 6.発注予測 7.例外処理の定義 8.例外処理の解決 9.確定発注 Collaboration      フェーズ Phase 1.最適化 施設・配送など Phase 2.情報の同期 リアルタイム化 インターネット イントラネット エクストラネット Phase 3. コラボレーション 75 FEBRUARY 2002 ともすれば、VMIはセンターフィーと同 様、小売りからベンダーへの押しつけにもな りがちである。
実際、VMIの導入には、過 去の商慣習、帳合の見直しなどの厳しい選択 を余儀なくされる。
VMIの仕組みはシンプ ルでも、その導入は容易ではありえない。
全 体最適であるという観点から経営者はメリハ リのある大鉈を振わざるを得ないのである。
●CPFR VMIと合わせて考える必要のあるCPF Rとは、とかく議論が先送りにされがちなS CMの諸問題に対して、最初から流通業者と ベンダーおよび物流企業等が同じテーブルを 囲むことで、実践的にコラボレーションして いこうとするところに特徴がある。
VMIが小売りからの押しつけだとすれば、CPFR はその対抗圧力と言えるかも知れない。
実際、 VMIではベンダーの苦労話が実に多い。
や られっぱなしなのだ。
これに対して、CPFRにおけるベンダー サイドの言い分とは、こうだ。
すなわち、V MIではベンダーの負荷がキツクなる一方だ。
流通業者は販売予測や計画をもっとしっかり として欲しい。
本当に正確な予測・予約・確 定情報を流通業者が提示してくれるのであれ ば、ベンダーとしても流 通業者から押しつけられ て、いやいやVMIに応 じるのではなく、共に先 行計画を立て、リスクを 回避していきたい――。
CPFRで話し合われ るテーマには、調達、物 流の合理化、事務コスト の低減、システム標準化 要件など、すべての要素 が盛り込まれている。
こ の取り組みが日本の商慣 行にいかに根付いていく のか、興味は尽きない。
他の仕組みと同様、海外 の仕組みをそのまま日本 に取り込んでうまくいく とは到底、思えない。
要 は、CPFRというシステムを導入(インプ リメンテーション)することではい。
商売 (あきない)の考え方を変えていくということ なのである。
米国でもCPFRは九〇年代末になって、 ようやくガイドラインができたという段階で あり、実態はまだEDIもどきとも聞く。
過 去にそうだったように、CPFRもまた最初 は一方的な日本市場への取り込みによる失敗 と挫折があるかも知れない。
しかし、その後 の反省と改善により、我が国にとって最も良 い形に発展していくことが期待される。
まとめ 以上、今年のロジスティクス戦略の要とな る要素について解説した。
そこには業界内部 の慣習や業界同士のすりあわせなど、企業内のシステム導入だけでは解決しない課題が並 んでいる。
マーケットや業界の動向をウォッ チしながら、安易な言葉に惑わされず、本質 を見抜く目を養い、地に足をつけて戦略を策 定していくべきである。
そのための第一歩が物流実務の掌握である。
WMSの活用等でまずは既存のDC/TCセ ンターの仕組みをリアルタイムに把握する。
同時に、「クロスドック」に代表されるよう な情報連携による運用の仕組みを正しく理解 することが必要である。
現状のVMIの実態と問題の把握、そして 真のCPFRへの展開。
まだ取り組みは始ま ったばかりだ。
上図で進め方の簡単なチャー トを示すので参考にされたい。
2002ロジスティクスと経営戦略チャート 単独で着手できる業務 改善を実行系の強化に より実現し、管理デー タや実績データを収集 する ベンダーを含め契約形 態、在庫責任のあり方 を見直す 情報の提供 戦略同盟の確立 SCE : Supply Chain Execution / SCP : Supply Chain Planning VMI : Vendor Managed Inventory WMS: Warehouse Management System CPFR : Collaborative Planning, Forecasting and Replenishment VMI CPFR SCE/WMS SCP 在庫の回転率向上と在庫圧縮によるキャッシュフロー改善 センター作業の 生産性向上 計数(データ)の モニタリング 物流拠点の 最適配置 物流業務の3PL化 センター処理 負荷の軽減 2002 2003 2004〜2005

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