ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年4号
米3PL研究
アウトソーシングの概要

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2002 62 全体的な傾向 アンケート調査の回答(有効回答数は九三) によると、七一%の企業が、現在3PLサー ビスを利用、もしくは利用を検討している。
図 1 にあるように、3PLサービスを利用して いると答えた回答者の割合はこの研究が始ま って以来、比較的コンスタントな状態を保っ ている。
過去六年間、3PLの利用率は一九 九九年の六八%を最低値、九七年と二〇〇〇 年の七三%を最高値としたレンジにある。
二 〇〇一年には、回答者の二九%のみが3PL を利用していないと答えている。
3PLサービスの利用率は業界によって様々 である。
3PLサービスの利用率が高い傾向 にある業界はコンピュータとその周辺機器、そ して一般消費財の二つの業界である(それぞ れ九〇%、八五%)。
逆に対象となった業界の うち3PLサービスの利用率が低いのは自動 車、化学、そして小売りとなっている。
この 研究では、これら業界の企業の五〇%〜六〇% が、3PLを利用していると答えている。
二〇〇一年の研究では、直接的なアウトソ ーシング費用に含まれる支払い物流費の割合 についても尋ねた。
平均支出は三五%で、回 答者はこの五年間にこれは五〇%まで上昇す ると見積もっている。
もしこの上昇が実現す れば、3PL業界全体の収益の大きな伸びに つながる。
アウトソーシングされる ロジスティクス業務 表1 は、二〇〇一年と二〇〇〇年の調査の 回答者が、どういったロジスティクスサービス ジョージア工科大学のC・ジョン・ラングレー Jr. 博士、キャップジェミニ・アー ンスト&ヤングのギャリー・R・アレン、ライダー・システムのジーン・R・ティ ンドールの三氏がまとめた、米国3PLの研究報告書を紹介する。
主要米国企業 の自動車、化学、コンピュータとその周辺機器、一般消費財、エレクトロニクス、医療品と装置、小売り、電気通信業界のロジスティクス/サプライチェーン・エグ ゼクティブを対象にアンケート調査を実施。
その結果から3PLサービスのトレン ドを分析した。
なお同調査は九六年から毎年、定点観測されている。
アウトソーシングの概要 《第一回》  80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%) 1996 1997 1998 1999 2000 2001 (年) 71 73 71 68 73 71 利用者 非利用者 安定している 図1 3PLの利用者と非利用者の推移 回答者の率 C・ジョン・ラングレー Jr. ギャリー・R・アレン ジーン・R・ティンドール 63 APRIL 2002 をアウトソーシングしているのか。
それを要約 したものである。
全体的にみて、二〇〇一年 の利用率はほとんどの業務において二〇〇〇 年のそれを上回っている。
3PLサービスの 利用が進む中で、慎重なアプローチをとって いる企業は3PLへのシフトの完結を翌年ま で待っていると予測される。
二〇〇一年の調 査に回答した企業は、より熱心な3PLサー ビスの利用者であったかもしれない。
いずれに しろ、何がより起こりやすい状況なのか見極 めるために、これらの結果と将来的な調査の 結果とを比較することは興味深い。
二〇〇一年の調査では、アウトソーシング 率が高い業務は倉庫(七三・七%)、販売輸送 (六八・四%)、運賃請求書監査・支払い(六 一・四%)、調達輸送(五六・一%)、混載・ 配送(四〇・四%)、そしてクロスドッキング (三八・六%)となっている。
割合は少々高め だが、これら業務の内訳と順序は二〇〇〇年 の調査と同じである。
対照的に、アウトソーシング率の低い業務 には、商品返品と修理(二二・八%)、在庫管 理(二一・〇%)、運送管理・配車管理(一 九・三%)、IT(一七・五%)、商品組立・ 設備(一七・五%)、注文充足(一五・八%)、 注文入力と受注処理(五・三%)、そして顧客 サービス(三・五%)が含まれる。
この率は、 これら業務がアウトソーシングされにくいこと を示しているが、二〇〇〇年から二〇〇一年 にかけて伸びを示しているものが多少ある。
注 文入力と受注処理、商品組立・設備、IT、注 文充足と在庫管理である。
また、これらの割合は企業が、ITに深く 関連した業務と同様に、戦略と顧客にフォー カスした業務をアウトソーシングすることに大 きく傾いていることを示している。
二〇〇〇 年の調査では、これらの業務のほとんどが.将 来アウトソーシングされるだろうとの結果が出 ていたが、これは二〇〇一年の調査の結果で も裏付けられたようだ。
二〇〇一年の調査では直接的なかたちで調 べてはいないが、重要なものとして、どういっ た3PLサービスが3PL業者によって「統 合」、もしくは「組み合わせ」られたかという 点がある。
二〇〇〇年の調査では、3PLサ ービスの六〇%から七〇%が提供者によって 統合されているとなっている。
このことから 我々は、統合はこれからも引き続き行われて いく中で、さらに進歩すると勧告する。
二〇 〇〇年の回答者もまた、このような統合は望 ましいと指摘している。
我々はこのエリアにお いてはまだ発達が見込まれると予想する。
3PL業者がサービス提供の深さと幅とい う意味において彼ら自身をどのポジションにお くべきかに対し、顧客がどのように感じている のかというのが戦略の議論である。
全体的に 見て、また前回の調査の結果と一致するよう に、二〇〇一年の回答者も「3PL業者は広 く、包括的なセットされたサービスを提供すべ きだ」との考えに同意している。
また、かれら は「3PL業者は制限されたサービスの提供にフォーカスすべきだ」との意見には反対して いる。
見たところ、回答者は統合されたロジ スティクスのサービスに対し、シングル・ソー ス・ソリューションか、もしくはリード・ロジ スティクス・マネジャーの役割に対する欲求 を高めているのかもしれない。
3PL業者に 求められる特性 3PLを理解し、それを定義付けるため、二 〇〇一年の調査では初めて、回答者に3PL 利用の際に何の特性を考慮するかについて尋 ねた。
図2 では、我々が提示した特性と、3 PLサービスの利用にあたってそれら特性を 連想した回答者の割合を示した。
この中で「多 倉 庫 販売輸送 運賃請求書監査・支払い 調達輸送 混載/配送 クロスドッキング 商品マーキング、ラベリング、梱包 セレクトされた製造業務 商品返品と修理 在庫管理 運送管理/配車管理 I T 商品組立/設備 注文充足 注文入力/受注処理 顧客サービス 73.7% 68.4% 61.4% 56.1% 40.4% 38.6% 33.3% 29.8% 22.8% 21.0% 19.3% 17.5% 17.5% 15.8% 5.3% 3.5% 63.3% 60.7% 59.8% 44.6% 32.1% 25.0% 19.6% 39.3% 17.9% 10.7% 21.4% 8.9% 8.9% 10.7% 2.7% 4.5% 表1 アウトソーシングされるサービス 2001vs2000 2001 2000 APRIL 2002 64 様な業務」、「業務の統合」、そして「ロジステ ィクス、サプライチェーン問題へのソリューシ ョンの提供」の三つの特性が際だっている。
少 数の回答だが、それでも3PL利用者の半数 以上が「ロジスティクス業務の計画と管理」と、 「最低一年の契約」が重要だと答えている。
二〇〇一年の調査では、どういうタイプの 3PL業者が最も頻繁に利用されたかについ ては尋ねていない。
二〇〇〇年の調査の選択 肢が、機能的な部分をベースにした(例えば、 倉庫・配送、トラックの積み荷、小口混載、フ ォワーダー・ ブローカー、 そして統合 された提供 者)ことと、 多くの3P L企業が今 日、以前の コア・ビジ ネスを超え たサービス提 供を拡張し ていることを 考慮すると、 3PL業者 を分類する ためのこのア プローチは、 現行のロジ スティクスと サプライチェーンの環境において適切ではなく なりつつある。
将来的には、3PL業者がど のように顧客に対しての価値を構築したかを 特徴付けすることが、提供者のタイプを区別 するよりよい根拠となるはずだ。
ノン・ユーザーの見解 同調査では、なぜ回答者の一部が3PLサ ービスを利用していないのかについて理解する ために相当数の質問を投げかけている。
今年 は、 図3 にも示したように、なぜ企業がアウト ソーシングしないことを選択したのかという問 いに対して、「アウトソーシングした機能に対 するコントロール力の縮小」、「コスト削減にな らない」という二つの理由が抜きん出た形と なった。
興味深いことに、また前年にも報告 されたように、既存する3PLの顧客の多く は(縮小するよりむしろ)、アウトソーシング した業務に対するコントロールの改善の助け になったため、このような関係に満足している。
3PLを利用しない他のいくつかの理由と して、「サービス責務が合致しない」、「ロジス ティクスはコアの能力」、「自分たちの方が熟 練している」、そして「ロジスティクスはアウ トソーシングするには重要すぎる」といったも のが報告されている。
加えて、多くの企業が、 これらのサービスを社内で、少なくとも3P Lに期待するぐらい有効的に、遂行すること ができると信じている。
もしこの主張が真実で あるなら、3PLを利用しないという選択は 理解できる。
だが繰り返すが、利用している 企業からの結 果は、改善の 余地はあるが、 利用者は歴 史的にみてコ ストとサービ スの両点にお いて3PLに 満足している と立証してい る。
こうした3 PLを利用 していない回 答者の意見にも関わらず、 質の高いロジ スティクス・ マネジメント の存在が、非 利用者に3 PLを研究すべきだと示唆している。
なお、回 答者の3PLを利用しない理由はしばしば、他 の回答者のサービスを利用する理由と同じだ ということも指摘される。
現在3PLを利用 していないこれらの企業のうち、五九%は将 来的にも利用する計画はないと答えている。
対 照的に約三六%はロジスティクス業務をアウ トソーシングする機会を研究しており、また 五%はこの方向に移行することを決定してい るという。
コントロール力の減少 コスト削減にならない サービス責務が合致しない ロジスティクスはコアの能力 自分たちの方が熟練している ロジスティクスはアウトソーシング するには重要すぎる 0 10 20 30 40 50 60 70 80% 63 63 48 44 44 44 図3 非利用者の回答:3PLサービスを利用しない論理的根拠 多様な業務 業務の統合 ロジスティクス/サプライチェーン 問題へのソリューションの提供 ロジスティクス業務の計画と管理 最低1年の契約 0 10 20 30 40 50 60 70 80% 73 62 67 44 39 図2 3PLの特性

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