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MAY 2002 42
顧客はITをベースとしたどんなサービスを必要と
しているのか。 それに3PL業者はどのように対応し
ているのか。 その答えを探ることが本年の研究の主な
目的の一つだった。 前回説明した通り、IT関連のサ
ービスは、今後アウトソーシングの対象となる最も重
要な領域の一つとして3PL関係者に認識されている。
そこで今回は、特定のテクノロジーをベースとした
サービスに対しての現在そして将来にわたる顧客ニー
ズを検証することで、インターネットとeコマースが
顧客企業にどのように作用しているのか、また3PL
業者は顧客が重要視しているニーズに対応しているの
か、といったテーマを掘り下げた。
荷主は満足していない
二〇〇〇年の研究結果と同様、二〇〇一年の調査
でもアンケート回答者は、3PL業者によるITサー
ビスの利用に対して大きな期待を抱いているという結
果が出た。 このことは、二〇〇一年の回答者は3P
L業者がこの領域において十分なリーダーシップを発
揮していないと感じていることの裏返しとも言える。
ITにおいてのリーダーシップを3PL提供者にた
くしているかという問いに対して、六六%は「はい」、
もしくは「多少」と答えている。 また、七二%が「e
コマース能力は3PLの専門的技術(知識)の必要
要因である」と答えている。 しかし「3PL業者はe
コマースに関してリーダーシップの役割を果たしてい
る」と感じているのは四〇%のみだった。 ITは3P
L業者がいち早く改善しなければならない領域なのは
明らかだ。
3PLのITサービス
表1は、3PL業者が現在提供しているITサー
ビスと、将来求められるサービスの要約である。 現状
で最も利用されているサービスは「倉庫・配送センタ
ー管理(七〇・三%)」であり、「配送トラッキング・トラッキング(六八・五%)」「輸送管理(六六・
七%)」「輸出入貨物フォワーディング(六六・七%)」
そして「ウェブ上でのコミュニケーション(四八・
一%)」と続く。 このうち「ウェブ上でのコミュニケ
ーションの利用」は、将来求められるサービスとして
も三五・二%を集めている。
この表には現在は利用されていないが、将来3PL
に求められることになるだろうITサービスも指摘さ
れている。 二つの例として、「サプライチェーン計画」
と「サプライヤー管理システム・テクノロジー」(そ
れぞれ三三・三%と四四・四%)が挙げられている。
また「顧客注文管理」、「輸送・ロジスティクスeマー
ケットプレース」、そして「商品特定産業eマーケッ
ト」などの重要な伸びも予想される。
米国3PL研究 2001年アンケート調査より《第2回》
ITの戦略的役割
ジョージア工科大学のC・ジョン・ラングレーJr.博士、キ
ャップジェミニ・アーンスト&ヤングのギャリー・R・アレ
ン、ライダー・システムのジーン・R・ティンドールの3氏
がまとめた、米国3PLの研究報告書を紹介する。 集中連載
第2回目の今回は、3PLにおけるITの役割についての結果
報告をまとめた。
短期集中連載
表1 ITに基づいたサービス:現在 vs 将来
倉庫、配送センター管理
配送トラッキング/トラッキング
輸送管理
輸出入貨物フォワーディング
ウェブ上でのコミュニケーション
顧客注文管理
輸送―ロジスティクスeマーケット
サプライヤー管理システム
サプライチェーン計画(予測など)
商品特定産業eマーケット
70.3%
68.5%
66.7%
66.7%
48.1%
20.4%
20.4%
9.3%
1.9%
0.0%
現在利用可
7.4%
18.5%
11.1%
9.3%
35.2%
27.8%
37.0%
44.4%
33.3%
18.5%
将来求め
られる
43 MAY 2002
先進企業は ココが違う
特 集
ITベンダーに軍配
二〇〇一年の研究には、「あなたはITの活用を向
上するために3PL業者を利用しますか、それともI
Tプロバイダーに直接、頼みますか」という興味深い
質問も含まれている。 マニュジスティックス、i2テ
クノロジーズ、マンハッタン・アソシエイツ、オプタ
ム、EXEテクノロジーズ、そしてインサイトなどが
ITプロバイダーの候補である。
図1は、そのアンケート結果を表している。 3PL
が二〇%、ITプロバイダーが六九%、そして社内が
十一%となっている。
eマーケットの利用
二〇〇〇年と二〇〇一年はIT分野の企業にとっ
て試練の時だった。 独立系eマーケットプレースを含
むインターネットをベースにしたITは特にそうだっ
たといえる。
二〇〇〇年の同研究では初めて、現在および将来
予想される独立系eマーケットプレースの利用に関わ
る一連の質問が紹介された。 その中で最も注目され
たのは垂直型調達産業(例:ShipChem
、
Steel.com
、
Converge
、そしてCovisint
)と、輸送・ロジスティ
クスサービス(例:Nistevo
、
Elogex
、
NTE
、そして
Logistics.com
)の二つのeマーケットプレースであ
る。
図2と図3は、二〇〇〇年と二〇〇一年の研究に
含まれていた独立系eマーケットプレースの利用に関
する質問の回答結果を要約したものである。 二〇〇〇
年の調査結果では、eマーケットプレースの利用につ
いて、多くの回答者が非常に楽天的で、熱心だという
結果になっている。
ところが、図2に示されるように今回の調査では、
垂直型調達産業におけるeマーケットプレースの場合
で、報告された利用率は一四%から一一%へ減少し
ている。 また、将来の利用についても六〇%から二
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
図1 IT提供元
3PL ITプロバイダー 社内
11
69
20
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
図2 3PL顧客企業の垂直型調達市場産業の利用
2000 2001
28
60
11
14
将来予想される利用
現在利用している
先進企業は ココが違う
特 集
MAY 2002 44
八%に減少した。
輸送・ロジスティクス分野のeマーケットプレース
(図3)の場合、報告された現在の利用率は二〇〇〇
年の一〇%から二〇〇一年の一三%に増加している
が、将来予想される利用は七一%から五〇%に減少
している。
これを評価すると、輸送・ロジスティクス分野にお
けるeマーケットプレースの利用は二〇〇〇年から二
〇〇一年にかけては比較的安定していたが、将来の利
用について荷主は意欲的ではないと言うことができる。
回答者のほとんどはおそらく今も「SCMによる継
続的な競争優位を確立する力を、インターネットが飛
躍的に高める」という二〇〇〇年の観測に同意するだ
ろう。 しかし、その実現の方法は一年前よりも、もっ
と方法論的、構造的に確立されたものでなくてはなら
なくなっているようだ。
3PLによるITサービスの顧客満足度
全般的に回答者はITにおける3PL業者のリー
ダーシップを認めていない。 それは回答者が、3PL
業者がこの分野にITプロバイダーと同じくらい深く
関与している、もしくは強みを持っていることに気付
いていないからなのかもしれない。
それが事実であるなら、多くの3PL業者は競合と
の差別化のためにテクノロジーを使っているのだ。 3
PLによって提供される能力の高い輸送管理ソフトウ
ェア、もしくはWMS(倉庫管理システム)、あるい
はその両方が顧客に期待され、それが3PL業者を選
別する要素になっているのかも知れない。
実際、二〇〇一年の回答者の八四%は「正しいソ
フトウェアを保有すること」が3PL業者にとって大
きな競争力を持つ優位性であると感じている。 同時に
回答者に、「3PL業者のソフトウェアに満足してい
るか」を尋ねたところ、「はい」と返答したのは十二%
のみで、五〇%の回答者は「多少は」と答えている。
そして残りの三八%は、3PL業者のソフトウェアに
は「満足していない」と答えている。
まとめ
しかし、3PL業者とITプロバイダーによる戦略
的提携を考慮すると、3PL業者のITサービスは、
それが3PL業者自身によって開発されたものであろ
うとなかろうと、顧客に大きな利益をもたらすことが
できる。 それが顧客への最終的結論になる。
3PL業者が彼らの使うソフトウェアの能力をうま
く市場に引き出すことに成功するかも知れないという
アイデアは、どこか「インテル・インサイド(本来は
パソコンを構成する部品に過ぎないインテルのブラン
ドが製品自体のPRに使われている)」を思わせる。 そ
れはとても望ましいことなのかも知れない。
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
図3 3PL顧客企業の
輸送/ロジスティクスeマーケットの利用
2000 2001
50
71
13
10
将来予想される利用
現在利用している
|