ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年7号
素朴な疑問
ITベンダーの賢い選び方

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

69 JULY 2002 これは別にソフトウェアに限った話ではありませ んが、基本的に商売の売り手側は良いことしか言い ません。
ユーザーはベンダーの演出や作られた虚像 に惑わされないでブランドを選択する必要がありま す。
ベンダーのパンフレットに掲載された実績をそ のまま信じてしまうと痛い目に遭う。
私の経験から 言えば、すぐに大手のユーザー企業の名前を出すと ころほど疑ってかかったほうがいい。
ベンダーの話 を鵜呑みにするのではなく、ユーザー自身が調査を するべきです。
実際にそのソフトを導入した現場を 見学し、話を聞いてみるのです。
それではユーザーに何を聞けば良いのか。
いくつ かポイントをお教えしましょう。
まず一つ目。
導入 した後でどんどんコンピュータハードを追加してい る場合。
これはシステム的 に欠陥があると見たほうが いい。
コンピュータのパワ ーに頼らないと、ちょっと した変更や業務の追加ができない。
そのたびにハー ドを大きくしている。
こうしたケースが意外に少な くありません。
もう一つは信頼性について。
システムが止まった ことはないか、止まった場合はどう対応したのか。
これもユーザーに聞いてみるべきです。
ただし、ユ ーザーも自分の失敗は認めたくないから、本当は止 まっているのに事実を隠してしまう場合がある。
そ こで実際に現場を歩いてみて、作業員やパートの方 にこっそり聞いてみるというのも一つの手です。
シ ステムが止まれば、誰にでも分かります。
現場スタ ッフなら必ず知っている。
ベンダー側の担当者が頻繁に変わるというのも問 題です。
ノウハウが蓄積されないし、引き継ぎのた めに何度も同じミーティングをする必要が出てくる。
こうしたケースではユーザー側からの質問や要請に 対する回答も遅くなりがちです。
さらにリピート率とリプレース率。
一つの現場で 導入されたソフトウエアが他にも水平展開されてい るか、それとも別のソフトウェアに変更になってい るか。
これも判断しやすいポイントです。
他の拠点 に水平展開されていないということは、そこに何か 問題があるからだと推測できます。
他には、予実の管理。
プロジェクトの当初の予算 と実際にかかった費用に差はないか。
また導入スケ ジュールは計画通りだったか。
納期遅れはなかった かなど、ベンダーのスケジュール管理についても聞 いてみると良いでしょう。
ベンダーから最初に提案されたスケジュールが実 際に導入を進めていくうちにだんだんとズレてくる。
そのズレが後になっても埋まらない。
ベンダーはそ れを言葉で取り繕う。
結局、小さなウソを積み重ね ることになります。
質問したときの相手の顔つきや 目線を注意深く観察していれば、たいていのことは 想像がつくはずです。
こうして、わずかな兆候を見逃さないことが、ベ ンダーの選択ではとても 大事です。
大失敗したケ ースなどはベンダーもユー ザーも隠すので、外からは なかなか分からない。
ベンダーを評価するために、コンサルティング会 社を使う場合でも、彼らの言葉をそのまま信用して よいのかは疑問です。
そうしたコンサルティング会 社の評価方法とは過去につき合いのあるベンダー数 社から資料を取り寄せ、○×式の表を作成するだけ という場合が往々にして少なくない。
あくまで机上 の評価であって、実際にコンサルタントが現地に足 を踏み入れて検証することなどまずしない。
ワープロソフトや表計算ソフトを選ぶのならとも かく、サプライチェーンのシステムはそう簡単では ありません。
システムは導入して終わりではありま せん。
その後もプロセス改革とオペレーションの改 善を継続して進めていかなければならない。
それだ けにベンダーの選択も慎重に行う必要があるのです。
(談) ITベンダーの賢い選び方 売り手側は良いことしか言わない。
真実を示すわずかな兆候を見逃すな。
たなか・すみお 物流企業系シス テムハウスを経て、91年に独立。
エ クゼを設立し、社長に就任。
製造・ 販売・物流を統合するサプライチェ ーンシステムのソリューションプロ バイダーとして活動。
2001年10月 に「フレームワークス」に社名変更 フレームワークス 田中純夫社長

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