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運送業で今後も生き残れますか?

 運送業大手50社のうち約半数が倒産、もしくは吸収合併で姿を消した。運賃水準は下落が続き、倒産率は5倍に跳ね上がった。それでも新規参入業者は引きも切らず、事業者数は10年で2倍以上に膨れあがった。ーーアメリカの運送業界が規制緩和によって受けた影響です。10年遅れて日本の運送業界も同じ道を歩もうとしています。

 アメリカでは1980年に運送業の規制緩和が行われました。運送業の参入条件や最低賃金などの規制が撤廃され、新規参入業者が急増。10年以上にわたって激しいダンピングと淘汰が起こりました。収益を圧迫された運送業者は業態転換を模索。そこにベンチャー企業も加わって、物流事業の新しいモデルとしてサードパーティ・ロジスティクス(3PL)が台頭しました。

 アメリカと同じように日本でも、運送業の大幅な規制緩和を打ち出した90年の「物流二法」以降、市場の混乱が続いています。運賃水準はバブル崩壊時をピークとして現在に至るまで10年にわたって下落傾向が続いています。その間に運送業者数は3万9000社から5万5000社へ、4割以上増加しました。倒産件数も増加。2001年にはその負債総額は年間約3500億円と過去最悪を更新しています。


 ただし、アメリカと違うところもあります。今のところ日本では2001年3月のフットワークエクスプレスの倒産を除き、大手運送業者の倒産がありません。そして3PLも広く普及しているとは言えません。運送業界を取り巻く環境は悪化しているけれど、業界の勢力図には大きな変化がない。変化がないまま、全体が沈んでいるという状況です。

 これをどう考えるか。日本市場では今後も、勢力図に大きな異変が起こることはない。3PLも日本には馴染まない。そう判断するのか。あるいは、近く日本も業界の勢力図が塗り替えられる。3PLも欧米並みに普及していくと考えるのか。運送業経営者の判断が分かれるところです。

 このうち後者の立場をとる運送業経営者が本誌の読者対象です。ただ運ぶだけの輸送サービスに、もはや付加価値はありません。いかに人件費や管理コストを低く抑えるかが勝負になります。必然的に単純輸送サービスの担い手は、間接費のほとんど発生しない個人事業主としてのトラックドライバー、いわゆる“一人親方”にシフトしていくはずです。

 もちろん現行の法律では、一人親方は軽トラックだけにしか許されていません。しかし、近い将来、規制緩和によって普通トラックでも認められるようになるのは必至です。その結果、最も大きなダメージを受けるのは、車両保有台数30台以上の中堅規模の運送会社です。各地域、各物流分野のトップ数社以外の運送会社は全てそこに含まれます。

 コストだけの勝負になれば中堅運送会社は生き残れません。競争の舞台を他に移す必要があります。3PLが一つの突破口になります。ただし、3PLを本格的に展開するには、ドライバーとは全く異なるタイプの人材を確保し、教育する必要があります。労務管理から評価制度まで、3PLと運送会社では全く異なってきます。業態転換には時間がかかります。

 日立物流、アルプス物流、ハマキョウレックスなど、日本市場では数少ない3PLの勝ち組とされる企業は、現在の不況下でも順調な業績を維持しています。そして、これらの強い物流業者を調べると、いずれも3PLという言葉が日本に定着するずっと以前から、その準備を重ねてきたことに気付かされます。

 今のところ日本市場の変化のスピードは欧米と比較すれば、かなり緩やかです。まだ間に合うかも知れません。しかし、3PLに本格的に取り組む物流業者が増えるほどに、市場変化のスピードは加速していきます。企業間格差がどんどん拡がっていく。乗り遅れることは許されません。

 日本市場に3PLを普及させること。そこから日本市場の新たなスターを誕生させること。それを本誌はロジスティクス専門誌としての一つの使命だと考えています。欧米のモデルをそのまま踏襲するだけでは、成功は望めません。日本の市場に適合した「日本型3PL」を、本誌は読者とともに探っていきます。市場の最前線で戦っている運送業経営者の方々に、ご指示いただければ幸いです。

LOGI-BIZ 編集長 大矢昌浩


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