ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年6号
特集
消える物流子会社 生き残りかけ全国ネット構築

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JUNE 2001 36 揃って地域別子会社を統合 先陣を切ったのはサッポロビールだった。
九八年一 月、同社は東部サッポロ物流、西部サッポロ物流、北 海道サッポロ物流の物流子会社三社を合併、サッポ ロ流通システムを発足させた。
続いてキリンビールが 二〇〇〇年一月、青葉運輸、名麟運輸など物流子会 社七社をキリン物流に統合した。
さらに、今年三月にはアサヒビールが事業持ち株会 社アサヒロジスティクスを設立、傘下にアサヒカーゴ サービス東京など四社を従えるかたちで物流子会社を 束ねた。
これによって、もともと物流子会社がサント リーロジスティクス一社のみだったサントリーを含め、 ビール四社すべてが物流子会社を一本化したことにな った。
四社の売り上げ 規模はそれぞれキリン物流約七〇 〇億円、アサヒロジスティクス約七〇〇億円、サッポ ロ流通システム約三〇〇億円、サントリーロジスティ クス約一三〇億円。
物流業界全体としてみても屈指 の規模を誇る全国クラスの物流子会社群が、わずか数 年の間に突如として誕生した。
ビール各社がこのタイミングで物流子会社の合併・ 統合に動いたのは、一つはもちろん連結決算への移行 が原因だ。
それに加えて、ビール業界の場合、「販売 チャネルの中心が従来の一般酒販店からチェーン小売 業へシフトしたことが、物流子会社再編の直接的な引 き金になっている」とキリン物流の中田協三社長は説 明する。
ビールは大手四社で市場 のほとんどのシェアを占め る寡占化の進んだ産業だ。
それだけに、これまではメ ーカーによる系列化のきつい業界として知られてきた。
各メーカーは専売契約を結ぶ特約卸を各地域に配置。
末端の酒販店に至るまで、メーカー系列の影響力を及 ぼしていた。
物流面でも完全なメーカー主導でインフラが整備さ れてきた。
需給が逼迫して特約卸の物流がパンクすれ ば、メーカーが卸に代わって小売りの店舗配送まで手 掛ける。
そのために最新のマテハン設備をセンターに 導入し、コスト不問の手厚い物流サービスを惜しげも なく展開してきた。
ビール物流から総合食品物流へ ところが今日、この重装備のサプライチェーンに大 きな亀裂が生じている。
かつては販売先として売り上 げの大半を占めていた個人商店が急激な勢いで減少し、 代わって圧倒的な販売力を持つスーパーなどの量販店 やコンビニエンスストアが台頭してきた。
さらに二〇 〇三年には酒販免許の完全自由化が予定されている。
販売チャネルが拡散し、メーカーの支配力が益々低下 するのは必至だ。
こうした流通構造の変化がメーカーの物流インフラ を直撃する。
これまで各メーカーは地域ブロックごと に生産、物流、販売機能を完結させる「ブロック需 給」を基本としてきた。
小規模小売業者を対象とす る 以上、各地域特性に合った体制を組むほうが競争上、 有利だったからだ。
これに対して、現在のチェーン小売りは店舗の全国 展開と商談の本部集中を特徴としている。
しかも物流 面では卸による従来の店舗納品に代わり、工場から小 売業の専用センターへの直送までを要請し始めている。
ビールメーカーのきめ細かいブロック別物流網は全く 必要としない。
その代わり、小売りチェーンは価格の 引き下げを要求してくる。
メーカーはチェーン小売業の要請を無視できない。
ここ数年、ビール系物流子会社の合併・統合劇が相次いだ。
連結決 算への移行とSCMが、ビールメーカーを子会社統合に走らせた。
従 来の地域別物流網を全国ネットワークに組み替えることで、チェーン 小売業の要請に対応する。
同時に今後予想される市場規模の縮小を、 外部荷主の獲得で穴埋めすることで、既存の物流チャネルの維持を図 ろうとしている。
解説 生き残りかけ全国ネット構築 第3部 ケーススタディ:ビール業界 37 JUNE 2001 サプライチェーンの主導権は、もはやメーカーからチ ェーン小売りに移っている。
巨費を投じて築き上げて きた既存の物流インフラは販売チャネルの多様化によ って稼働効率を悪化させていく。
このまま手をこまぬ いているわけにはいかない。
それが物流子会社統合の 背景だった。
加えて国内のビール市場自体、今後は縮小すること が予想されている。
飲酒人口の減少に伴い、ビールの 総需要は年に一〜二%ずつ落ち込んでいく見込みだ。
その穴を埋めるためビールメーカーは「総合酒類・飲 料メーカーへの転換」を打ち出している。
つまり、ビ ール、酒類、清涼飲料水、さらには加工食品までを含 め た総合食品メーカーに転換することで生き残りを図 ろうというわけだ。
その際、サプライチェーンの現業部分、つまり商品 の受発注、在庫管理、配送といった日々のオペレーシ ョンの受け皿がどうしても必要になる。
それを全国統 合した物流子会社に担わせようと考えている。
「今後、 ビール各社は食品という大きな括りのマーケットで競 争していくことになる。
その中で物流子会社はロジス ティクスという側面からこの競争を支える役割を期待 されている」とサントリーロジスティクスの中島茂社 長は説明する。
共通する課題・異なる戦術 少品種大量輸送に長年馴染んできたビールの物流 機能を、多頻度小口化の進んだ一般の食品業界に転 用するのは容易ではない。
しかし、それに失敗すれば 物流子会社は行き場を失う。
親会社の期待に応えられないとなれば「物流子会社 不要論が叫ばれるのは必至だ。
かつて物流子会社は本 体の余剰人員の受け皿という役割があったが、今は簡 単にリストラできる時代。
親会社としても受け皿を用 意しておく必要がない。
わざわざ子会社でなくても、 良い条件だったら物流専業者に仕事を任せてもいいと 親会社は考えるだろう」と、アサヒロジスティクスの 飯塚茂社長は見る 。
こうした共通の課題を抱え、ビール系物流子会社は 揃って外販の拡大に力を注いでいる。
しかし、その具 体的な戦術は各社によって異なっている。
キリン物流 は物流センターの運営までを含めたトータル物流サー ビスの提供を開始。
総合食品市場における3PLと しての自立を目指している。
サッポロ流通システムは外販拡大策として同業種や 隣接業種との共同配送に力を入れている。
昨年一〇 月に宝酒造と北海道地区で開始したのを皮切りに、今 年三月までに二社と共同配送を立ち上げた。
さらに今 年の夏までにはもう一社 増える予定だ。
アサヒロジスティクスは持ち株会社制度を使って、 従来の地域別組織の強みを残したまま統合を行い、傘下企業同士の競争意識の維持に努めている。
物流専 業者と全く同じ土俵で外販の獲得競争に挑むつもり だ。
またサントリーロジスティクスは、従来から飲料全 般を扱ってきた経験を活かし、独自に開発した「統合 配車システム」の全国展開による混載ノウハウの事業 化に踏み切る。
これらの戦術がどのような結果をもたらすのか、ま だ予想はつかない。
しかし親会社のSCMへの貢献 、 そして外販拡大による自立という二つの難題を、四社 全てがクリアできるとは考えにくい。
遠からず各社の 勝ち負けは鮮明になる。
その先には、メーカー系列を 超え、ビール業界という括りも超えた再編が待ち構え ている。
特集 ビール系物流子会社は合併・統合で 全国ネットを手に入れた JUNE 2001 38 ジレンマは感じていませんね。
子会社である以上、 親会社に貢献することが一番の役目ですよ。
ビールの市場は縮小傾向にありますので、親会社か らの収入が年々減っていくことが予想されます。
それ を外販で穴埋めしていかなければならない。
キリンビールに限らず、どの企業もSCMによるコ スト削減に必死です。
SCMを進めていくうえで物流 子会社が役に立たないのであれば、いつでも物流専業 者に切り替える。
親会社はすでにそういう厳しい視点 で物流子会社のことを見ていますよ。
親会社にとって、 物流子会社は「ワン・オブ・物流業者」という位置 付けです。
グループ会社だから、それなりに仕事をこ なし ていればいいという甘えは許されなくなってきま した。
二〇〇〇年一月に地域物流子会社七社を合併した のもSCMの一環です。
その目的の一つは物流業務の 受付窓口を一本化することでした。
受付窓口が分散 している状態はキリンビール、得意先の双方にとって 使い勝手が悪かったはずです。
それが合併によってキ リンビールとキリン物流、キリン物流と得意先を結ぶ 線がシンプルになりました。
業務の簡素化につながり、 コスト削減に直結しているの ではないでしょうか。
物流子会社が親会社のSC Mで関与するのは受発注業務 など現業部分まででしょう。
需給調整といったビール事業 の心臓部の機能は本体に残す べきです。
子会社ですから親会社のSCMによる収入減はや むを得ないでしょう。
もっとも、SCMを進めていく うえで、子会社が足を引っ張るようだったら、他社を 使おうという話になりますよ。
アサヒビールに限らず、 どの会社でも親と子はシビアな関係になりつつあるん じゃないですか。
アサヒロジスティクスが元請けとしてグループ関係 の物流の仕事を一手に引き受け、それを傘下のカーゴ 四社に割り振る体制に変わり、親会社と物流子会社 の業務上のやり取りはすごくシンプルになりました。
キリン物流さんと同様、業務の簡素化という意味では 親 会社のSCMに貢献していると自負しています。
アサヒビールは今回の組織改革によって、もう一歩 進んだ親会社と子会社の関係を構築しようと考えてい ます。
親会社が売上高の数%を物流費としてアサヒロ ジスティクスに支払い、アサヒロジスティクスはその 範囲内でオペレーションを提供する契約を結ぶことを 検討しています。
親会社やグループ会社はこれまで、 カーゴ四社に対しトラックの使用量に応じて料金を支 払ってきました。
それに比べると、新しい契約のルー ルは物流子会社にとって厳しい条件です。
決まった運賃テーブルがあって、一定の 料金を自動的にもらえるとな ると 、物流子会社は何もしな くなってしまう。
しかし、もら えるパイがあらかじめ決められ ていれば、物流子会社はその 中でどうやって利益を出そう か努力するわけです。
キリン物流 中田協三 社長 「ジレンマは感じない」 アサヒロジスティクス 飯塚茂 社長 「親と子の契約のあり方が変わる」 ビール系物流子会社4社の 経営トップが語る SCM 39 JUNE 2001 ジレンマがまったくないと言 えば嘘になりますね。
九八年一 月に東部サッポロ物流、西部 サッポロ物流、北海道サッポロ 物流の三社が合併してサッポロ 流通システムが誕生したのです が、その時親会社から与えられ たミッションは、サッポログル ープ全体の物流コスト削減に寄与することでした。
そ れは現在でも変わっていません。
しかし、ミッションの遂行、つまり親会社のコスト 削減に貢献すれば、当然、自分たちの収入は減ってい くわけです。
それを外販で補うのが子会社の使命です。
二〇〇〇年度の売上高は約三〇〇億円で、このう ち七九%がグループ関係の仕事、残 りの二一%が外 販による収入でした。
これを将来は三〇〜四〇%まで 高めていくのが目標です。
「物流コストを下げろ」と いう親会社からのミッションは、「ベースカーゴを当 てにせずに、外販で稼いで自立しろ」というメッセー ジが含まれていると受け止めています。
物流子会社がどこまで親会社のSCMに関与すべ きか、それの線引きは非常に難しい。
私個人としては 需給調整や戦略立案といった会社の根幹に関わる部 分の機能は本体のほうに残しておいたほうが得策だと 考えています。
最終的にはロジスティクス事業部を分社化して、サ ッポロ流通システムと一体 化させる計画がありますが、 それでもロジスティクス事業部と子会社はオペレーシ ョンの部分に特化すべきでしょう。
サントリーに限らず、かつて の親会社と物流子会社は対等 な関係ではありませんでした。
親会社の得は物流子会社の損、 親会社の損は物流子会社の得。
このように親会社と物流子会社 はトレードオフの関係にありま したから。
しかし、いつまでも この関係を続けていていたのでは本当の意味での改善 なんて進まない。
世間でいうところのサプライチェー ンマネジメント(SCM)なんて実現できませんよ。
徐々にですが、こうした親会社と物流子会社のトレ ードオフ関係は改善される方向に進んでいると思いま す よ。
引き金となったのは連結決算です。
サントリー は違いますが、一般的に物流子会社というのは決算対 策に利用されてきたという側面がありましたよね。
親 会社はその期の業績によって、ものすごく安い運賃で 子会社が商品を運んだことにするとか。
物流子会社が連結対象に加わったことで、親会社 の物流に対する見方や考え方が少しずつ変わりつつあ ります。
物流子会社は完全に親会社の物流部門とし て位置付けられている。
片方だけが成績優秀であれば いいというわけにはいかなくなりました。
親会社と物流子会社の関係をもう一歩進化させる ためには取引条件の見直しが必要 でしょうね。
互いに 知恵を出し合って問題点を改善していくわけですから、 浮いた分のコストは親会社と物流子会社でゲインシェ アリングすべきですよ。
そうすれば、ジレンマなんて なくなるのではないでしょうか。
特集 物流子会社の役目は親会社が展開するサプ ライチェーンマネジメント(SCM)に対し て物流コスト削減というかたちで貢献するこ とにほかならない。
しかし、それは物流子会 社にしてみれば、売り上げ減を意味する。
ビ ール系物流子会社4社はこのジレンマをどう 克服していくのか。
サントリーロジスティクス 中島茂 社長 「トレードオフ関係を解消する」 サッポロ流通システム 谷直人 社長 「オペレーションに特化する」 JUNE 2001 40 配送しかできない単機能の物流子会社では生き残 れないでしょう。
キリン物流は配送はもちろん、受発 注業務や物流センターの運営などトータルな物流サー ビスを提供できる3PL業者を目指しています。
主な ターゲットは酒類、清涼飲料水、食品といったビール の業態に近い分野になるでしょう。
外販を進めていく際にキリンという名前が足かせに なることはまったくないと言えば嘘になりますが、キ リンの物流子会社であるがゆえに他社の仕事を受注で きないということはほとんどありません。
当社にはキ リングループの商品というベースカーゴがあります。
「これに相乗りするかたちで、仕事を任せてもらえれ ば、安いコストでサービスを提供できます」と営業で きる 点は、逆に物流子会社ならではの強みでしょう。
外販比率は高いに越したことはないですが、まずは 親会社やグループ会社の仕事がきちんとできないと、 闇雲に外販を強化しても結局うまくいかないのではな いでしょうか。
物流子会社で「外販比率は三〇〜四 〇%が妥当」とおっしゃる方はまだまだ親会社やグル ープ会社の仕事が満足にできていないと認識している からでしょう。
親会社の仕事を通じてノウハウを蓄積 してから外販に力を入れる。
この順番が正しいと思い ます。
ビール系の物流子会社はこれまで単品大量の商品 をいかに効率的にオペレーションするかということに 特化してきました。
こうした歴史的な背景 もあって、 残念ながらキリン物流は現在の主流である多頻度小 口物流への対応が同業他社に比べ遅れています。
それ が外販拡大への課題でしょうね。
外販を進めていくうえで、ビールの物流のノウハウ だけでは通用しませんよ。
物流専業者は一〇〇%外 販なわけですよね。
しかも、色々な物流のノウハウを 持っている。
その専業者と競争していくわけですから、 外販拡大は口で言うほど簡単なことではないと認識し ています。
物流子会社は明らかに経験不足です。
一般に荷主 企業から値下げ要請があった場合、物流企業はいろい ろと工夫して何とか利益を出そうとしますよね。
しか し 、物流子会社の場合、親会社との間に決まった運 賃テーブルがあるから、苦労もせずに収益を上げるこ とができた。
育ってきた環境の差を埋めるのには相当 時間が掛かりますよ。
レベルの高い一般の仕事をとってノウハウを蓄積す る。
そして、そのノウハウを十分に活かすことができ れば、親会社への貢献にもつながるのではないでしょ うか。
現在、メーカーは卸や小売りといったお客さんに自 分たちで商品を届けています。
しかし、これが取りに 行く物流、つまり買う側が商品を取りに行くかたちに 変わったら、メーカーの物流子会社の存在価値はなく な ります。
お客さんが付き合っている専業者のほうが、カーゴ 四社よりも安い運賃で取りに行ってくれるのであれば、 そちらに頼むのは当然でしょう。
遠からずそういう時 代がやってくると見ています。
外販も大切ですが、既 存の仕事を守っていくことだって難しくなります。
も ちろん、当社も取りに行く物流の担い手として名乗り を上げたいと思っています。
キリン物流 中田協三 社長 「食品市場の3PL業者を目指す」 アサヒロジスティクス 飯塚茂 社長 「?取りに行く物流〞にも切り込む」 ビール系物流子会社4社の 経営トップが語る 外販拡大 41 JUNE 2001 サントリーグループの物流を効率化することに軸足 を置いてきましたから、外販比率をあまり気にしてこな かったんです。
でも最近は外販への意識も強いですよ。
ただし、すぐにグループ外の顧客を取り込めるとは 思っていません。
直近の課題は貨物の拠点間輸送情 報や車両情報をベースに最適な配車の組み合わせを弾 き出す「統合配車システム」に他社貨物をできるだけ 多く載せられるようにすることですね。
まずは帰り荷 の確保に力を入れて、全国を走るトラックの積載率を 一〇〇%に近づけることです。
幸か不幸か、サントリーの場合、ビール、洋酒、清 涼飲料水、食品の各工場が全国に分散しているんで す。
そのため、例えばビールをお客さんに届けた帰り に、食品の工場に立ち寄って商品を積んでビール工場 がある地域のお客さんに配送するというかたちの配車 が組みやすい。
しかし、それでも往復率は六〇〜七 〇%くらい。
残りの三〇〜四〇%を埋めるにはどうし ても他社貨物が必要なのです。
しかし、「サントリーのスペックに合わせてくださ い」って営業するわけにはいかないでしょう。
他社の スペックにどう対応するかが課題です。
また、貨物の 種類という意味では、さすがにビールを運ぶトラック で精密機械を運ぶことはできない。
白物家電は品質管 理 の面で問題がないので取り込んでいますが。
そうな ると、ターゲットは自然と業態や商品特性の似ている 食品がメインとなるでしょう。
他社さんが外販として取り組んでいる共同配送やセ ンター運営は、「統合配車システム」の次のステップ だと思っています。
特集 ビール系の物流子会社に限って言えば、親会社の仕 事だけで生きていこうというのは無理でしょうね。
ビ ールの総需要は今後毎年一〜二%ずつ減っていくとい う見方がある。
単純に本体からの収入が毎年一〜二% ずつ自動的に落ちていくわけです。
収益性を維持し、 自立していくためには外販は欠かせないでしょう。
現在、当社は外販拡大の手段の一つとして共同配 送に力を入れています。
昨年一〇月に宝酒造さんと北 海道地区で開始したのを皮切りに、今年三月には三 和酒類さんと九州地区で、黒川商事さんと中京地区 で共同配送を立ち上 げました。
今年の夏までにはもう 一社増えそうです。
当面は共同配送を中心に外販拡 大を狙っていきたい。
ただし、臭いが移ってしまうなど共同配送できない 商品の組み合わせもありますからね。
どうしても清涼 飲料水や酒類のようなビールと似た業態との取り組み が多くなってしまうという意味では確かに共同配送に よる外販拡大には限界があるのでしょう。
そもそも、共同配送は積載率の向上によるコスト削 減が主目的で、大きな利益を生み出すような仕事では ありません。
そこで共同配送と並行して帰り荷の確保 に取り組 んでいます。
例えば、工場から得意先にビー ルを届けた帰り便を使って、資材や原材料を工場まで 運んでいます。
外販獲得の際に、「サッポロビール」という看板が 信用力につながっています。
「サッポロ流通システム でございます」と挨拶しても「北海道の運送屋さん?」 と言われるだけですから。
サッポロビールのブランド 力を活かさない手はないと考えています。
4社の経営トップはいずれも親会社への 貢献の具体策として外販比率の拡大を挙げ ている。
ただし、キリンの3PL、アサヒ の取りに行く物流、サッポロの共同配送、 サントリーの統合配車システムなどそのア プローチは異なっている。
サントリーロジスティクス 中島茂 社長 「統合配車システムを軸に」 サッポロ流通システム 谷直人 社長 「まずは共同配送に全力」

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