ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年7号
SCC報告
松下電器産業のSCM

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2001 68 昨年、松下電器産業はSCCの提唱する 「SCOR」を活用したサプライチェーン改 革に着手した。
まずサプライチェーンの実態 を把握し、それをベストインクラスと比較す る本格的なベンチマーキングを行った。
過去 一年にわたる活動の内容を、改革の事務局を 務めた同社のSCM担当者が報告する。
中村社長のSCMビジョン 当社(松下電器産業)におけるサプライチ ェーン改革の取り組みは、一九九八年末に始 まった。
当時、AVC社(AV商品を扱う事 業部を束ねた社内分社)社長を務めていた中 村邦夫(現・松下電器産業社長、以下敬称 略)は、米国・欧州でのビジネス経験をもと に、帰国後すぐ「スピードある顧客本位の高 収益企業」の実現に向け、自らがリーダーと なって改革に着手した。
中村は「5S」を改革の基本方針に据えた。
「Speed」「Simplicity」「Str ategy」「Sincerity」「Smile」 の頭文字の5つの「S」を取ったものだ。
実 際、その後の中村の言動、行動から一貫して 感じられるのは、「スピード」に対する強い執 着・こだわりである。
その中村が松下電器産業社長に就任した昨 年六月から、「5S」は全社の新行動指針に 格上げされた。
さらに二〇〇〇年末には、『創 生 21 計画?破壊と創造〞』を旗印に、 20 世紀 型の製造業から 21 世紀型「超・製造業」に脱 皮するため、経営改革を断行する と明言(図 表1)。
「経営理念・方針は不変だが、実現方 法にタブーはない」と、事業部制の解体も含 め、抜本的な経営改革に着手した。
従来の「遅くて、重たい松下」から「速く て、軽い松下」に転換するための具体的な実 行手段として、中村は「IT革新」と「エン パワーメント」をあげている(図表2)。
とく にIT関連 投資につい ては、二〇〇三年まで に一四〇〇 億円を投じ ると発表し て い る 。
「 速 く て 、 軽い松下」 を実現する た め に は 、 「ITを駆 使した経営 改革」が必要不可欠であるのと判断からであ る。
当然のことながら、巨額の投資をただの 「ムダ遣い」に終わらせることはできない。
投 資額に見合った経営成果を挙げることが当社 第4回 松下電器産業のSCM SCOR―Metricsを活用したサプライチェーン改革 松下電器産業 コーポレート情報システム社 ビジネスプロセスソリューショングループ ビジネスコンサルティングチーム 奥村文隆 69 JULY 2001 の必須課題であ る。
そのために は、実際にこの 投資が、経営成 果にどのように 結びついていく のかを見極め、 評価(効果測 定)する必要が ある。
すなわち 評価尺度として の「ものさし」 が必要となって くるのである。
もちろん当社にも、従来から投資効果を測 る尺度としての評価指標やその定義の類はあ った。
しかし、それらは必ずしもグローバル スタンダードと合致していなかったり、最終 的に財務諸表に与えるインパクトまでを含ま ない、ごく一部の評価、もしくは効果測定に 留まっていて、全社で採用するレベルには至 っていないのが実情だった。
そんな時、当社はSC M分野で唯一オープ ンになっている評価ツール「SCOR」(S upply ―Chain 
錬陦紕鬘瓧遙蕋 ns 
劭紕罍紕鬘紕遑磽 ―model)と 出会ったのである。
サプライチェーンの性能を評価 当社が考える「ITを駆使した経営改革」 には、二つの大きな軸がある。
一つは商品開 発プロセスに関する「商品化軸」。
そして、も う一つがサプライヤーから顧客までに至る 「SCM軸」だ。
SCORは、この二つ目の 「SCM軸」の評価において有効であると考 えた(図表3)。
SCMの評価ツールとしての「SCOR」 の特徴は、「ビジネスプロセスのモデリング手 法」、「Metrics(SCM評価指標)を 活用したベンチマーキング」、「ベストプラク ティスの分析」という三つの概念を統合した ところにある。
自社のサプライチェーン改革 を推進するにあたって、各段階でこの三つの 概念を適宜有効に活用することができる。
参考までにSCORを活用したサプライ チ ェーン改革の一般的な手順を紹介する。
ま ずSCORの中で定義されている「Met rics(SCM評価指標)」に基づくベン チマーキングを実施する。
それによって自社 の能力・性能を把握した上で、目指すべき 目標を設定する。
続いて自社のサプライチェ ーンに関する業務プロセスがどのようになっ ているのかを、SCORを活用してモデル化 する。
モデルを分析した上で、より効率的な業務 プロセスを設計し、当初の目標を達成できる か評価する。
そして最後に、新たに設計した 業務プロセスを実現するため、ベストプラク ティ スを参考にして実装レベルでの設計作業 (プロセスモデリング)を進めていく、という 具合である。
SCORのメリット さて、話を当社の「SCM軸」におけるサ プライチェーン改革に戻そう。
当社では二〇 〇一年一月に行われた情報部門と社長との定 例ミーティングにおいて、SCORの「Me trics」を改革の成否を決定する評価指 標として位置付け、その指標の測定方法とし て「サプライチェーン・ベンチマーキング」 を採用することとなった。
この定例ミーティングに至るまでの過去一 年にわたって、部門レベルでSCORによる 改革実績を積み上げ てきたことで、経営 陣に全社レベルでの 評価指標・評価手法としての有効性が認 められ、正式に承認 が得ら れたわけであ る。
この一年にわた る活動の実際を、具 体的な事例を交えな がら、その時々での 「気づき」を中心に振 り返ってみることに する。
私個人が「SCO R」や「ベンチマー キング」と深く関わ ることになったのは、 昨年の春のことだっ JULY 2001 70 た。
それまでは現在の仕事とは全く関係のな い職場にいた(結果的には大いに関係するこ とになったが)。
社内公募によって職場を異 動した後、初めて取りかかった仕事がSCO Rやベンチマーキングの研究、そして社内へ の適用、その後の普及活動だった。
異動になってまず、サプライチェーン改革 におけるベンチマーキングの有効性について 考えた。
これは改革の最も基本になる部分で あり、十分に理解しておく必要があった。
サ プライチェーンを構成するプロセスには、「P lan(計画)」、「Source(調達)」、 「Make(製造 )」、「Deliver(受 注・納入)」の四つがある。
これ自体はどの ような企業にも存在する一般的なプロセスだ が、いざ以下のような質問をしてみると、意 外と答えられないものである。
・自社のサプライチェーンの全体像や特徴、 長所や短所を把握、理解しているか? ・どの部分を改革すべきか明確か? ・改革項目に妥当な優先順位をつけられる か? ・サプライチェーンの改革によって何を実現 するのか。
その目標はあるか? 実はこうした「問い」に対する「解」がベ ンチマーキングをすることによって得られる のである。
ベンチマーキングの方法 ベンチマーキングを利用した改革のサイク ルは、図表4のように、大きく四つのフェー ズに分かれる。
実施の順序で並べると、?現 状分析、?目標設定/位置付け、?変革活動実施、?評価となる。
このうちまず、?現状分析のフェーズで、 改革の前の実態を把握するためにベンチマー キングを行う。
?目標設定/位置付けのフェ ーズでは、現状分析をした際に得られた「ベ スト・イン・クラス:各指標毎の最上位企業 (上位二〇%企業)の平均値」の数値を参考 に目標値を設定する。
次に?変革活動実施のフェーズで、それぞ れの指標を向上させるために考え出された施 策、あるいはベストプラクティス情報を参考 にした施策を実施する。
そして最後の?評価 のフェーズで、仮説を立てて実施してきた施 策が実際に評価指標にどのように反映させれ たのかを再度、ベンチマーキングすることで 確認するのである。
その結果、目標を達成できていないものが あれば、改めて現状分析から行い、その原因 を明確にした上で、より効果的な施策を考え 、 実施する。
このサイクルは一度で終わりとい うものではなく、定期的かつ継続的に行われ てこそ意味がある。
地道な繰り返しが、改革 を成功に導くのである。
もうひとつ、ベンチマーキングを行う上で 欠かせないポイントがある。
それは、調査に は「共通の定義」が必要であるということだ。
「共通の定義」があることによって、業界内 における自社の位置付けや、自社を含む収集 データの信頼性が、はじめて保証される。
つ まり、客観的かつ公正な比 較ができるのだ。
今回のサプライチェー ン・ベンチマーキングでは、 米PMG(Perfor mance 
唯紕瓧鵤 rment 
韮鬘錚p) 社の提供する調査表をベー スにした。
同社の調査票が SCORに準拠しているこ とから、「共通の定義」と して相応しいと判断した。
PMG社の行うサプライ チェーン・ベンチマーキン グには、大きく四つの特長がある。
?サプライチェー ンのプロセス性能の測定に 特化していること、?SCORモデル準拠で 「共通のプロセス定義」に基づいていること、 ?自社の実力を継続的かつ 客観的に分析・評 価できること、?最上位企業のベストプラク ティス探索を可能にすること、である。
当社が測定した数値をPMG社に送ると、 PMG社ではそれを評価し、分析レポート として返してくれる。
実際のPMG社から の情報のフィードバックはWeb上で行わ れる。
データやレポート類のダウンロードも できる。
サプライチェーン改革の実際 実際に調査に入ったのは大阪、和歌山、そ 2 71 JULY 2001 して神奈川に生産拠点を構える二事業所三拠 点である。
二事業所の全ての部門を調査対象 とした。
それぞれの事業部長を総括責任者と して、事務局を我々の部隊と事業部サイドの 情報部門が務めた。
さらに、アドバイザーと してサプライチェーンカウンシル・ジャパン (SCC ―J)のベンチマーキング・コンソー シアムのメンバーを配した。
昨年四月末にキックオフ、実質五月の連休明けからスタートした。
調査は担当者への 「ヒヤリング」ベースで行い、約二カ月をか けてデータ収集を完了した。
調査に要した工 数は一事業部あたり、事務局、現場双方とも に、一人/月程度であった。
以下に、その調査期間 における「気づき」を、? トップに対するアプローチ、 ?現場への落しこみ、? 事務局のスタンス、?今 後の展開のために、とい う四つの切り口から考察 してみた。
?トップに対する アプローチ トップに対するアプロ ーチでは、従来の枠に囚 われない柔軟な発想、つ まり発想の転換を促すた めに、トップの頭の中を 解きほぐし、目から鱗状 態を作り出す「気づき」を 得てもらうことに注力す ることが大事だ。
最初にまずSCORが、 ベンチマーキング活動を 通して、BPR(ビジネ スプロセス改革)の実践 を検証するツールであることを認識してもら う必要がある。
つまり業績評価指標を、定期 的かつ継続的に測定して、改革の成果を見極 めるための道具がSCORであるということ を理解してもらうのである。
図表5は、従来の財務指標に吹き出しで、 SCORのMetrics(SCM評価指 標)を組み合わせたものだ。
この図表5でも 分かるように従来の財務指標とSCM評価指 標は切っても切れない関係にある。
ただし、 財務指標が示すものは結果である。
結果を導 き出したプロセスは財務指標にはあらわれな い。
本来、経営者はプロセスにこそ関心 を持 ち、決断すべきである。
結果はもはや覆せな い。
しかし、プロセスは修正し、改善することができるものだからである。
この前提に立った上で、ベンチマーキング 活動を通じて、本格的にSCM導入に向けた 仕掛けを作っていく。
ベンチマーキングによ って実態把握を行い、課題を抽出することで、 取り組まなければならないことを明確にし、 目標を設定するのである。
この時、トップは指標の組み合わせとバラ ンスの重要性を認識する必要がある。
Met ricsには、図表6のように大きく二つの 切り口がある。
さらには、その二つの 切り口 に対して「信頼性」・「柔軟性」・「コス ト」・「資産」といった切り口が用意させて いる。
また、この四つの切り口それぞれにも、 いくつかの指標が紐付いている。
これらの指 標の間にはトレードオフが発生する。
” JULY 2001 72 そのため、トップは予めどの指標を優先的 に改善するのかを決めておかなければならな い。
その上で、具体的な施策を考える必要が ある。
これらの指標の組み合わせとバランス こそ、事業方針になり、事業戦略となるわけ である。
こうしたアプローチは既存の事業戦 略が、目標と合致しているのかを検証する上 でも活用することができる。
?現場への落しこみ 次に現場への落し込みについて。
何より現 場に「やる気」になってもらうことが大事だ。
そのためには、やはり最初の段階でベンチマ ーキング活動の狙いや目的を明確にして、現 場のスタッフと目的を共有していなければな らない。
こまめにコミュニケーションをとり、 ベンチマーキング活動に対する一体感を醸成 していくのである。
ベンチマーキング活動を通して得られたベ ストプラクティス情報は具体的な改善事例と して現場にフィードバックされる。
トップに 対するアプローチ同様に、ここでも「気づき」 を得ることに注力する必要がある。
まず現場 の意識を変えてもらう。
意識改革なくして、 仕事など変わ りようがないからだ。
幸い提供したベストプラクティス情報は予 想していた以上に、現場では注目された。
実 際に調査を行って分かったのだが、現場では 日々目の前の業務に追われて、なかなか外部 からの情報に触れる機会がない。
ベンチマー キングで得られるような外部との比較情報に は非常に飢えているというのが実 態である。
さらに、現場への落とし込みで、 最も大事なポイントがある。
現場 レベルで現在進行中、あるいは計 画中のプロジェクトの具体的推進 施策を、各SCMの目標と評価指 標に紐づけ、業界のベストプラク ティス情報を含めて体系的にまと め、一目で鳥瞰できるようにする ことである。
これを行うことによって、現場 は自らの取り組みに対して、誇り と自信を持ち、かつ経営者層から の正当な評価を受けることができ る。
実際、この部分は今回 のベン チマーキング活動をまとめる際に、 事務局が最も時間を割かれた部分 だったが、それだけに現場からは 大変喜ばれた。
同様に今回の調査でかなりの時 間を費やしたのが、SCM総コス トの把握である。
この時、コストの調査項目 を比較的詳細に分割したおかげで、収集した データをもとに、簡易的なABC(活動基準 原価計算)分析を行うことができた。
この分 析結果を現場にフィードバックすることで、 自らの業務の見直しを促すきっかけとなった。
また今回の調査は、二事業場三拠点を同 時に行ったため、新たな切り口とし て、同じ 職能どうしの事業場間、あるいは拠点間の 比較を行うことが可能となった。
横並びで 見た時の違いなどが明らかになったことで、 現場にいくつかの「気づき」を与えることが できた。
なお、SCM総コストの把握には、実にさ まざまな方法がある。
その際、大切なのは、 その把握方法が今後、繰り返しベンチマーキ ングを行っていく上で、常に適切に数値が取 り出せるかどうかだ。
つまり、定期的継続的 73 JULY 2001 にデータ収集できるレベルのものかどうかが ポイントになる。
参考までに、当社が実施した調査方法を述 べると、大きく三段階で作業を進めた。
まず 最初に調査項目を縦軸にとり、横軸にSCM に関連する部門を列挙した。
そして調査項目 ごとに関連する部門をプロットしていった。
その結果、一枚のマトリクスが完成する。
こ れによって部門ごとに調査する項目が特定で きたわけだ。
続いて、部門ごとに特定された調査項目に 対して、一体どれだけの業務を行っているの かを調査した。
年間労働時間を一〇〇とした 時に、調査項目ごとに割いて いる時間のウェ イトを担当者に記入してもらった。
アルバイ トや定時社員を含めた全社員を対象にした。
部門ごと調査項目ごとの業務のウェイトが 確定できたところで、調査対象部門すべての 用紙を回収し、最後に部門別の総固定費を、 業務ウェイトをベースに按分して、調査項目 別のSCMコストをおさえた。
SCM総コストの内訳は、「オーダー管理 コスト」・「資材調達コスト」・「在庫維持 コスト」・「財務/計画コスト」・「MIS コスト」の五つに分かれている。
コストによ ってはその調査項目が、さらに二〜一〇程度 の定義で分割されている。
その結果を調査 項目ごとに精査していく。
金額ベースであれば金額の大きなものから順 に、工数ベースであれば工数のかかっている 順におさえ、ひとつひとつ詰めていく。
これ によって初めてコストダウンが可能となる。
コストダウンとは本当に地道な活動の積み重ねなのである。
?事務局のスタンス 事務局の役割・スタンスとして大事なのは、 やはり「裏方に徹する」ことである。
その際、 ポイントは三点ある。
一点目は、ベンチマー キング活動の初期段階で、経営トップ、現場 管理責任者への意識づけ、および啓蒙活動を 行うこと。
まずベンチマーキングの基本的な 理解度の向上を図り、さらにサプライチェー ン改革には欠かせない手法であることを強調 して承認を得る。
二点目は、調査活動がスムーズに進められ るように事前準備を徹底して行うこと。
まず 調査対象となる部門の選定、確定は事前に行 っておく。
また、調査内容についても、予め 自社版の調査内容に関する定義書を作 成して おく。
調査表に書かれている単語の意味や定 義されている内容が理解できないと調査の進 行を妨げることになるうえ、部門ごとに違っ た解釈で捉えられると、統一性が保てなくな る。
三点目は、事務局は、いつでもどこでも相 談できる良きパートナーであること。
今回の 調査は拠点が複数あったこと、地理的に距離 があったことから週に一度のコミュニケーシ ョンを取ってきたが、できる限り事務局は現 場の近くにデスクを構え、質問には誠意を持 って速やかに回答する。
また常に現場の視覚 に入ることで、意識を活動に向けさせるなど が大切だ。
SCOR準拠のメリット 最後に課題を含め、今後の展開について述 べてみたい。
当社におけるベンチマーキング活動は、ま だその緒に着いたばかりである。
しかしなが ら、今回の経験は非常に示唆に富むものだっ た。
これを「モデルケース」と位置付け、活 動の中で蓄積したノウハウや知識をテンプレ ート化し、全社展開に活用していきたいと考 えている。
とくにSCOR準拠のメリットは今後、最 大限活用していきたい。
当社の情報部門では現在、中村の大号令のもと計画系ソフトや実 行系ソフトパッケージを世界各国の拠点に導 入している最中である。
このうち実行系ソフ トベンダーが現在、SCORを標 準ビジネス モデルとして検討している。
具体的にはMe tricsをベースに評価指標を定義する計 画だという。
これによって近い将来、ベンチ マーキングに関する工数は格段に減少するこ とになるだろう。
さらにSCORとベンチマーキングの併用 が、サプライチェーンの改革には効果的であ ることを証明したいと考えている。
SCCの 中でも、SCMで世界の先端を行くインテル やシーメンスなどは、早くからSCORとベ ンチマーキングの併用をサプライチェーン改 革に取り入れ、成果を出している。
当社の場 JULY 2001 74 合、残念ながら現在はベンチマーキング手法 のみのアプローチとなっている。
前述したように当社においては、IT革新 に対する評価手法として、Metricsが その評価基準に採用され、ベンチマーキング 手法がその測定手段として取り入れられ、全 社的に認知されたという段階である。
「 SCM革新ポイント集」の活用 今年はこのIT革新評価手法のモデル事業 場への適用という活動を中心に取り組んでい きたいと考えている。
その際のポイントは 「IT革新評価手法を活用した体系図づくり」 と「SCM革新ポイント集」の作成である。
「IT革新評価手法を活用した体系図づく り」は、事業方針に沿ったIT革新施策案が 確実に経営成果に結びつくことを可視化し、 トップマネジメントにおける効率的な経営判 断の一助となる手法を構築することが狙いで ある。
さらに、その成果物として記述される「I T革新検討構造図」を、経営トップ層を含め、 プロジェクト関連 者全員が共通認識として持 ち、議論する際のたたき台(鳥瞰できる台紙) として作り上げたい。
実際の活用(作成手 順)については、左から右に流れていくチャ ート図で、取り組みテーマごとにターゲット とする目標を決め、次にどんな革新ポイント で改革を行うのかを記述する。
この際、業務施策とIT施策の双方を記述 する。
この二つの施策は車の両輪の如く常に 一対のものであると考えている。
「IT革新」 という響きからは一見、ITによる改革施策のみを連想しがちであるが、プロセス(業務) 面の改革施策もキッチリ織り込んでいくこと を重視している。
抜本的な業務の見直し(A BC/ABM)によるムダ・ムラの排除ある いは新たな組織化案の提言などは、これに該 当する施策である。
そして次に中間効果としてどんな項目で改 善が見られるのかを記入し、それがSCM評 価指標にどのように紐付くのかを、仮説を立 てて記述し、最終的に経営指標に対してどれ だけのインパクトがあったのかを、半年後な いし一年後に検 証するというものである。
もう一つの「SCM革新ポイント集」につ いては、当社内において、SCMに関するプ ロジェクトは、すでにいくつも起こっている。
そうしたプロジェクトには必ず優れた推進施 策がいくつも含まれているはずだ。
個々の優 れた推進施策を吸い上げ、全社的に活用して いきたい。
SCORモデルあるいはMetricsを 活用したサプライチェーン・ベンチマーキン グというものは、必ずしも万能なメソドロジ ーではない。
実際、SCORはビジネス環境 の変化に合わせて常にバージョンアップを繰 り返している。
しかしながら、SCM改革を進めていく上 で、SCORが有効性を発揮し、経営トッ プを含め、プロジェクトに関わるすべての 人々に刺激と方向性を与え、さまざまな「気 づき」を得させてくれることは間違いない。
そして、使えば使うほど味が出るメソドロジ ーであるとも確信している。
まず自らが率先 して「使ってみる」ことをお勧めして、結び としたい。

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