ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2001年9号
特集
マテハン機器/トラック車両 ユーザー満足度調査 トラックメーカー満足度調査

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

購入判断では価格、燃費などの経済性を重視 する。
ただし、メーカーの好き嫌いは別。
やはり 性能が大事――。
それがトラックユーザーの本 音のようだ。
本誌がトラボックスと共同で実施 したトラックユーザーアンケートの調査から明ら かになった。
SEPTEMBER 2001 34 本誌はこのほど、物流ポータルサイト「Tr@Bo x」を運営するトラボックス(本社・東京、藤倉泰徳 社長)の全面協力の下、トラックメーカー各社の実力 を客観的に評価することを目的に「2001トラック ユーザーアンケート調査」を実施した。
同サイトの登 録会員約二〇〇〇社のうち、日常的にトラックを使 用している会員を対象に、トラックに関する次の五つ の項目について意見を求めた。
?好きなトラックメーカーと、その理由 ?嫌いなトラックメーカーと、その理由 ?トラックを購入する際に重視していること ?現在使用しているトラックに対する評価 ?故障発生時、リコール時のエピソード及びメーカ ーやディーラーへの要望 Tr@Boxのサイト上に質問内容を盛り込んだ テキストを用意し、トラックユーザーに直接書き込ん でもらうという調査方法を採用した。
調査の実施期間 は今年八月一〜一〇日の一〇日間。
中小トラック運 送事業者を中心に八一社から回答が寄せられた。
シェア通りの人気順位 質問1「好きなトラックメーカー」の第一位は四二 票を獲得した日野自動車だった。
二位は一票差で三 菱自動車工業が選ばれた。
以下、いすゞ自動車、ボ ルボ、日産ディーゼル工業、ベンツ、トヨタ自動車と 続く(次ページ参照)。
上位三社までは二〇〇〇年普 通トラック(積載重量四トン以上)国内シェア通りの 順番となった。
日野を選んだユーザーの多くはその理由として「故 障が少ない」(T運輸)、「足回りが強く、多少多めの 荷物でもローリングが少ない」(Y運送)など車両性 能の高さを挙げている。
耐久性に優れている点も集票 に結びついているようで、質問4「現在使用している トラックに対する評価」の「耐久性」の項目でも国産 メーカー四社中、トップの評価を受けた。
こうした性 能面での充実が、「トラックの製造、販売の歴史が長 く、安心して購入できる」(M運輸)という意見にも つながっている。
三菱自動車工業で多かったのは「パワーがある」(W 運輸)、「登りに強いような気がする」(S梱包運輸) など馬力を高く評価する声だった。
質問4の「パワ ー」に対する評価でも国産メーカー四社中トップだっ た。
内装についての満足度も高く、「寝台が広い」(T 商事)、「内装が充実している」(H運送)、「体にしっ くり馴染むシートで、疲れ方が軽くて済む」(M運輸) などの声が寄せられた。
三位のいすゞ自動車はエンジンやブレーキの性能が 高く評価された。
「エンジンの粘りがあり、耐久性も 高い」(K流通)、「エンジンが強い」(M商事)、「ブレ ーキが強い」(Y運送)など。
質問4の「ブレーキの効 き」に対する評価は国産メーカー四社中トップだった。
「カッコイイ」(U商事)という外国車への純粋な憧 れが票につながったのはボルボ。
日本での普及台数が 少なく、まだ運転経験がないというドライバーが多か ったが、イメージ先行で今回四位に躍り出た。
乗車経 験のあるユーザーからは「ドライバーを大事に考えて 設計している」(Mサービス)という具体的なコメン トもあった。
嫌われる理由 質問2「嫌いなトラックメーカー」で、第一位とい う不名誉な結果に終わったのは日産ディーゼル工業だ った。
「故障が多い」(M運輸)、「馬力がない」(T商 事)、「シャーシ、エンジンとも耐久性に難ありとの評 トラックメーカー満足度調査 Part ? トラック車両Research 35 SEPTEMBER 2001 特集 マテハン機器/トラック車両 ユーザー満足度調査 Q1 好きなトラックメーカーと    その理由(複数回答可)回 答数136 日野自動車 三菱自動車工業 いすゞ自動車 ボルボ 日産ディーゼル工業 ベンツ トヨタ自動車 マツダ その他 42 41 29 9 8 6 2 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 Q2 嫌いなトラックメーカーと    その理由(複数回答可) 回答数99 日産ディーゼル工業 マツダ トヨタ自動車 三菱自動車工業 日野自動車 いすゞ自動車 ボルボ ベンツ その他 28 22 10 10 9 9 5 5 1 1 2 3 3 5 5 7 7 整 備 価 格 修理代 故障対応 ディーラー 整 備 整 備 価 格 修理代 故障対応 ディーラー 4 3 2 整 備 価 格 修理代 故障対応 ディーラー 4 3 2 価 格 修理代 故障対応 ディーラー 4 3 2 4 3 2 三菱自動車工業 日産ディーゼル工業 日野自動車 いすゞ自動車 トラックユーザーアンケート調査 2001 Q4 現在使用しているトラックの評価           (詳細は37ページ参照) ●ユーザーから見た国産メーカー4社の  「サービス」比較 (優) (普通) (劣) (優) (普通) (劣) (優) (普通) (劣) (優) (普通) (劣) ●好きな理由 日野自動車 ・ラリー等に出場しており、安全性、耐久性に 優れているというイメージがある(K運送) ・ランニングコストが他社より低い(F運送) ・足廻りが強く、多少多めの荷物でもローリン グが少ない(Y運送) ・クレーム処理が早く、ある程度の故障ならク レーム扱いで修理してく れる( I ) ・メーカーサービス工場が 各地にあるので安心でき る(H運送) 三菱自動車工業 ・馬力があって壊れにくい(W) ・寝台が広い(T商事) ・登りに強い気がする(S梱包運輸) ・地域性もあるが故障時の 対応が他社より早い(Y 運輸) ・耐久年数が長い(S商運) いすゞ自動車 ・故障が少ない。
技術が最先端(K運輸) ・オイル交換等の整備がしやすい(S運送) ・エンジンの粘りと耐久性が良い(K流通) ・内装が他車より豪華(M商 事) ・ブレーキが強い(Y運送) ボルボ ・ドライバーを大事に考えて設計している(M サービス) ・外車に関心がある(H) ・カッコイイ(U商事) 日産ディーゼル工業 ・顧客に対する営業マンの熱意と、サービス内 容が他社と比べてはるか に違う(Y運輸) ・イメージが変わってから 対応がよくなった(K通商) ベンツ ・キャブスタイルがいい (K運輸) ・あこがれ(T運輸) トヨタ自動車 ・車内外の装備、エンジン、 足回りがいい (Mネッ トワーク) ●嫌いな理由 日産ディーゼル工業 ・40〜50万キロ走るといっきにガタがくる (U運送) ・日祭日の修理対応が悪い。
(M運輸) ・営業マンがたまに来社するが車の知識が全然 ない(H) ・修理でずいぶん待たされて嫌な思いをした (I産業) ・シャーシ、エンジンともに耐久性に難あり。
信頼感が低い(K運輸) ・他社と比べて同じ馬力、トルクが弱い気がす る。
買い替え時の下取り価格が異常に安くな るのも気になる(H運送) マツダ ・カッコワルイ(U商事) ・馬力が弱い。
故障が多い(N運輸) ・壊れやすい。
燃費が悪い(M運輸) ・エンジンに粘りがない(M商事) トヨタ自動車 ・トラックとしては馬力が足りない気がする (S梱包運輸) ・旧モデルのダイナはハンドルの切れ角が少な かった(S運送) ・年数が経つと燃費が悪くなり、排ガスも多く なる(H運送店) ・部品供給に時間が掛かる。
何故か日野より安 く買える(I産業) 三菱自動車工業 ・故障が多い。
今日も噴射ポンプの不具合発生 の恐れがあることが判明したので国土交通省 へ通知したとの案内が届いた(H) ・あのクレーム隠し事件以来(H) ・以前のキャンター車でセルのリングギア破損 とエアコンの故障が続いた(K急配) ・値段が他のメーカーより割高。
新車時から電 気系統のトラブルが多い(U運送) 日野自動車 ・営業マンがあまりこない(I運送) ・ギアーの入りが悪い。
使用台数が少ないせい か、営業のフォローがない(K運輸倉庫) ・長く乗っているとブレーキの効きが悪くなる (Mネットワーク) ・価格が高い(Aカーゴ) ・欲しいなら売ってやるぞ!そんな感じがする (Lライン) ・ミッションが年に1回は壊れ、修理は部品が 無いから約1カ月掛かる(O運送) いすゞ自動車 ・故障&リコールが多い(U商事) ・一番最初に購入したのが半年でつぶれたので、 それから嫌いになった(S商運) ・故障率が高い。
特に電気系統。
フロントガラ スも少し圧迫感がある(K通商) ボルボ ・メンテナンスは国産のほうがよい(K運送) ベンツ ・整備しにくい(T宅配) ・パワーだけ(A物流) SEPTEMBER 2001 36 価がドライバーの間にあり、信頼感が低い」(K運輸) といった性能面への不満の声が特に多かった。
また、「買い替え時の下取り価格が安い」(H運送) 点も人気を落とす要因の一つになっている。
質問4 「価格」に関する評価では国産四社でトップだったが、 それが人気を押し上げることにはつながらなかった。
二位・マツダも同じく性能面での評価が低かった。
「馬力が弱いうえに、故障が多い」(N運輸)、「エンジ ンに粘りがない」(M商事)、「燃費が悪い」(M運輸) など。
「格好が悪い」(K運輸)といったデザインに対 する不満もかなりあった。
トヨタ自動車には「自家用車を扱うメーカーでトラ ックメーカーではない」(I産業)という皮肉交じり のコメントが寄せられた。
「馬力が足りない」(S梱包 運輸)との意見には「トラックとしては」という前置 きの言葉がついていたし、営業マンへの不満も「トラ ックの知識はない」と、常に乗用車と比較されるかた ちで評価されている。
販社再編でサービス低下 三菱自動車工業は昨年七月に発覚した「リコール 隠し問題」以来、ユーザーの信頼を回復できていない。
不具合発生の報告を怠り、ドライバーを危険に晒した ことが、ドライバーはもとより、購入決定権を持つト ラック運送会社の経営者たちの怒りを買っているよう だ。
性能面では「電気系統のトラブルが多い」(U運 送)との指摘が多い。
また、価格の割高感もあるよう で、質問4の「価格」に関する評価では国産メーカー 四社の中で、最も点数が低かった。
日野自動車に対する性能面での不満はミッション (ギアボックス)関連に集中している。
「ギアの入りが 悪い」(K運輸倉庫)、「ミッションが年に一回は壊れ るうえに、修理に時間が掛かる」(O運送)という意 見が多かった。
いすゞ自動車は「リコールの多さと故障率の高さが 不満」(U商事)のタネ。
ボルボ、ベンツの外国勢に 対しては、メンテナンスサービスが充実していない点 や整備のしにくさを指摘する回答が寄せられた。
質問3「トラックを購入する際に重視しているこ と」は十三項目の中から三つを選択するかたちで回答 してもらった。
回答数は二七一だった。
最も票が集ま ったのは「価格」と「耐久性」で共に四一票。
これに 続いたのが「燃費」で三一票だった。
「価格」「耐久 性」「燃費」の経済性を示す三つの指標が上位を独占 する結果となった。
これも長引く不況の影響なのか、 トラック運送会社がコストパフォーマンスに重点を置 いて車両を選んでいる様子が窺える。
一方、サービス面を測る指標である「故障時の対 応」、「ディーラ担当者の対応」を挙げる声も多かった。
得票数は「燃費」と同じく三一票だった。
ユーザーは 購入後のメーカー、およびディーラーの対応を細かく チェックしており、その満足度によって次回購入する かどうかを見極めているようだ。
サービスの現状については、「営業マンの来社頻度 が減った」「サービスの質が落ちた」など不満の声が 目立った。
近年、国内メーカー各社は国内販売台数 の低迷を受けて、ディーラーの統廃合などリストラ策 を進めてきたが、逆にそれによって「呼べば、すぐに 駆けつける」体制が崩れ、ユーザーの満足度低下を招 いている。
また、「トラック事業者は三六五日体制で 営業をしているのに、ディーラーは休日の対応が悪 い」(K運輸)という厳しい意見もあった。
質問4「現在使用しているトラックに対する評価」 では、現在使用中のトラックの「メーカー名」「車種」 Q3 トラックを購入する際に重視すること(3つ選択) (回答数271) 価格 耐久性 燃費 故障時の対応 ディーラー担当者の対応 パワー 故障の多さ 操作性 整備のしやすさ デザイン ブレーキの効き 居住性 修理代の値段 その他 0 10 20 30 40 50 41 41 31 31 31 21 20 17 11 9 7 7 2 2 ・ 37 SEPTEMBER 2001 「積載重量」などを挙げてもらったうえで、「燃費」「パ ワー」など十二項目について五段階(「良い」五点「や や良い」四点「普通」三点「やや悪い」二点「悪い」 一点)で満足度を評価してもらった。
寄せられた七七件の有効回答を基に、国産メーカー 四社に対する項目ごとの評価を平均点として算出し、 「サービス」「性能」の二種類のレーダーチャートを作 成した。
「サービス」に関する四社のレーダーチャー ト(三五頁参照)は「価格」「整備のしやすさ」「故障 時の対応」「修理代の値段」「ディーラー担当者の対 応」の五項目で、「性能」に関するチャートは「燃費」 「パワー」「操作性」「ブレーキの効き」「故障の多さ」 「耐久性」「居住性」の七項目で構成されている。
性能の評価が人気を左右 特筆すべきはこの評価チャートと質問3の調査結果 が必ずしも質問1、質問2のランキングとはリンクし ない点であろう。
「嫌いなトラックメーカー」第一位 になった日産ディーゼル工業のケースがそのことを如 実に物語っている。
同社は質問4の「価格」に対する評価で平均点三・ 二五点を獲得し、四社中トップだった。
「故障時の対 応」「修理代の値段」「燃費」でも最高点をマークし た。
このうち、「価格」「故障時の対応」「燃費」はい ずれも、質問3「トラック購入時に重視すること」の 上位五項目に入っている。
それを勘案すると、同社 が人気ランキングで上位にエントリーされてもおかし くない。
ところが、実際には「好き」という支持はほとんど 得られなかった。
同社の場合、「パワー」「ブレーキの 効き」「耐久性」「居住性」といった「性能」面の評価 が低いことが足かせとなった。
上記の四つはいずれも 四社中最下位だった。
因みに「性能」面で高い評価 を受けたメーカーは人気ランキングでもトップクラス に位置している。
つまり、トラックユーザーは「価格」や「燃費」と いった経済性や「故障時の対応」などサービスの充実 度で購入先を決定する傾向にあるが、好き嫌いについ ては購入後の日々の運用実績で評価を下しているとい うのが実態なのだ。
不透明な修理代 最後の質問5はリコール発生時の各社の対応を探 ろうという主旨で設けた。
併せて、メーカーやディー ラーへの要望などを自由に書いてもらった。
ユーザーの生の声を集めたことで分かったのは、三 菱自動車工業の組織ぐるみでのリコール隠し問題が明 るみになったが、それは氷山の一角にすぎないという ことだった。
「民間工場でエンジン部分の故障を発見 し、ディーラーに問い合わせたところ、無償でエンジンを交換してくれた。
その際、このことは内緒にして おいてくれとディーラーに懇願された」(Y運送)と いう背筋の凍るような情報が届いたし、そのほかにも 「三菱だけではない。
メーカーはどこもリコールを隠 そうとする体質があると思う」(T運輸)という悲観 論もあった。
メンテナンス関連で多かったのは修理代金の不透明 さを指摘する声だった。
「修理明細書に難しい用語が 多く使われており、無条件に信頼して良いものか判断 に苦しむ」(Nカーゴ)、「車検時に頼んでもいないの に、言いがかりをつけて部品を新品に交換して高い請 求書を送りつけてくる」(M運輸)などユーザーの無 知につけこむメーカー、ディーラーの横暴な一面が報 告された。
特集 マテハン機器/トラック車両 ユーザー満足度調査 燃 費 パワー 操作性 ブレーキ 故障多 耐久性 居住性 整 備 価 格 故障対応 修理代 ディーラー 日 野 3.19 3.63 4.13 3.69 3.56 3.63 3.81 3.63 2.94 4.13 2.44 4.06 三 菱 3.36 3.93 4.21 3.07 2.93 3.57 3.64 3.50 2.57 3.14 2.29 3.86 いすゞ 3.19 3.31 3.81 3.81 3.19 3.50 3.94 3.69 2.94 3.81 2.75 4.00 日 産 3.38 3.13 3.88 3.00 3.13 3.13 3.38 2.88 3.25 4.25 2.88 3.13 Q4 現在使用しているトラックの評価 (回答数77) ※合計得点を各社ごとの回答数で割って平均点を算出 燃費 パワー 操作性 故障多 ブレーキ 居住性 耐久性 日産ディーゼル工業 日野自動車 いすゞ自動車 三菱自動車工業 4 3 2 ●ユーザーから見た国産メーカー大手4社の「性能」比較

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