ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2006年2号
ケース
コープこうべ――アウトソーシング

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

FEBRUARY 2006 54物流拠点を四年間で全面刷新日本最大の生活協同組合 コ プこうべの物流はここ数年で一変した 以前は自ら物流センタ のための土地・建物を保有し 現場運営まで手掛けていた これを抜本的に改めて 全面的なアウトソ シングに踏み切 た 同時に 地域単位で分散していた物流拠点を二カ所・四拠点に集約 店舗事業と宅配事業の物流拠点整備にほぼメドをつけた コ プこうべの二〇〇四年度の供給高 売上高に相当 は二八〇六億円 このうち店舗事業の扱いが一九〇一億円で 他に無店舗事業 グル プによる協同購入と個人宅配 が七九二億円あ た 物品販売だけでも約二七〇〇億円を扱 ているわけだが この売上規模を取扱品目の似通 ている食品ス パ と比べると ヨ クベニマルやマルエツに匹敵する大手ということになる 物流業務を請け負 ている大阪北生協の実績まで含めると この取り扱い規模はさらに増える 兵庫県内だけでも大小一五〇余りの店舗を運営するオペレ シ ンでは 大手チ ンストアと同様の高度な物流機能が欠かせない さらに無店舗事業では これとはまた異なる物流機能も求められる 商品調達のための物流をどうや て効率化するか 近年著しく伸びている個人宅配の物流をどう高度化していくか こうした課題に対処していくために コ プこうべが下した決断が 自社物流から物流センター運営の自前主義を転換個配事業の拠点に菱食と国分が併存物流の自前主義を続けてきたコープこうべが、アウトソーシングへと方針を転換した。
最近2年間で3カ所の大型物流センターを立ち上げたが、いずれも運営は大手食品卸に委託。
なかでも個人宅配事業の分野では、食品卸の二強である国分と菱食が、同じ敷地内で温度帯の異なる物流センターを構えて効率化を競い合っている。
コープこうべ――アウトソーシング 55 FEBRUARY 2006アウトソ シングへ という方針転換だ た 自社物流と決別した理由は大きく三つあ た まず一つは 本業である店舗事業や無店舗事業に経営資源を集中するという狙いがあ た 二つ目は 費用をできるだけ変動費化して資金を流動化させるため さらに3PL事業者が高度化してきたという環境の変化も大きか た 最近では 自分たちでや ていてはとても実現できないような物流技術を持つ事業者が出てきている 我々としてもアウトソ シングに取り組まざるを得ない状況が生まれていた とコ プこうべ・物流部の尾野裕統括部長は説明する 物流の全面的なアウトソ シングを考えはじめたのは五年以上前に溯る コ プこうべは二〇〇一年十一月に 店舗事業を支える常温物流拠点 鳴尾浜配送センタ の機能を大幅に刷新している 本誌二〇〇二年一〇月号既報 この時点ですでにアウトソ シングの構想を持 ていたのだが この案件では 土地・建物を保有する既存物件の内部をリニ アルしたという事情もあ て 庫内作業を関係会社に委託するだけに止めた これに対して 最近二年間で相次いで立ち上げた三つのセンタ では 施設の建設から現場管理までをすべて大手食品卸にアウトソ シングしている 案件ごとに物流コンペを開き その結果として菱食 国分 日本アクセスという当代一流の中間流通業者に各センタ の運営を委ねた これら三つの拠点のうち 本稿では無店舗事業を支える二つの物流センタ について見ていくことにする 御用聞き→グル プ購入→個配前掲した通り 生協の無店舗事業は 協同購入 グル プ購入 と 個人宅配 個配 の二種類からなる 協同購入 では五人程度の組合員グル プが商品をまとめて購入し 代表者のところに一括して届ける商品をグル プ内で仕分けてもらう これに対して 個配 では 一人の組合員から発注のあ た商品を その組合員の自宅に届ける 近年は消費者の意識の変化もあ て 全国的に個配事業が伸びており グル プ購入から個配へのシフトも目立 ている 生協の店舗事業が全国どこでも苦戦を強いられている一方で 個配事業の伸びは目覚ましい チ ンストアとの競合が激化するばかりの店舗事業とは違 て 無店舗事業では生協のブランド力が消費者の信頼獲得につながり支持を増やしているようだ この傾向はとくに関東地区で顕著で 店舗事業から撤退した中小規模の生協が 個配事業でみるみる業績を伸ばしている事例もある その点 コ プこうべの場合は 単一生協として日本最大の規模を誇り 誕生から八〇年以上の長い歴史を持つことが かえ て時流に乗るのを難しくしてきた面がある 兵庫県における生協の存在感は 全国水準と比較すると極めて大きい コ プこうべの組合員数は一二三万人で これは兵庫県の総人口の二二%に相当する 全国平均の一五%と比べると組織率がかなり高い 組合員一人当たりの年間利用高も全国平均より五割ほど多い それだけ生協が地域に浸透している証なのだが だからこそ小回りがきかない そもそもコ プこうべは 個配の原型ともいえる 御用聞き制度 を八〇年前の一九二一年から手掛けていた 御用聞き係 が組合員宅を一軒一軒回 て注文を聞き 商品を届ける制度で これがコ プこうべの発展を支える基盤にもな た だがシステム化の裏付けのない 御用聞き による個配は 徐々にコ プこうべの負担にな てい た このため一九七〇年代末になると 個配からグル プ購入へのシフトを意識的に進め 業務の効率化を図りはじめた そして九〇年代末になると 無店舗事業による訪問件数の約九割はグル プ購入とな ていた しかし 皮肉なことに 一般的な消費者の購買活動は この間に逆に個配志向へと変わ ていた これを受けてコ プこうべも 遅ればせながら九八年以降は再び個配事業に注コープこうべ物流部の尾野裕統括部長 力しはじめたのだが 時間をかけて培 た習慣は簡単には変わらない 個配事業そのものの取り扱いは急伸しているが 現在に至 ても訪問件数の約七割 供給高にして約六割はいまだにグル プ購入とな ている オペレ シ ンの仕組みとしては 個配を効率よく処理できるインフラであれば グル プ購入にも対応できる 既存の物流施設が老朽化し 処理能力が限界に達していたという事情もあ て コ プこうべは無店舗事業の物流を全面的に見直すことを決めた それまで無店舗事業の物流拠点は四カ所に分散していた 常温品は四カ所それぞれから 要冷品はこのうち三カ所から出荷するという体制だ た これを温度帯別に集約し それぞれに外部委託して高度化することにした パ トナ を選ぶための物流コンペを催した結果 要冷品の拠点を菱食に ドライの拠点を国分に任せる現在の体制が生まれた 菱食が冷凍品から農産品まで管理無店舗事業の定温物流拠点 魚崎浜要冷集配センタ のためのコンペを二〇〇二年一〇月に催した 当時は 食品の安心・安全に対する組合員の要望が高ま ており 最大の課題でもある品質管理を強化するためまず要冷センタ の整備から着手した 尾野部長 将来 商流から物流まで含めてアウトソ シングできる可能性を見込んで食品卸だけに声を掛けた そして 物流センタ の開発力と運営力において最も優れていると評価した菱食をパ トナ に選んだ も とも菱食にと ては コ プこうべとの仕事は初めてづくしだ た 店舗向け一括物流センタ の運営では豊富な実績を持つ同社だが 生協の無店舗事業の経験は皆無 個人ごとに商品を仕分ける宅配センタ を手掛けるのも初めてなら 農産品や日配品 冷凍食品などを扱う経験も決して豊富ではなか た だからこそ この案件でも 野菜の加工については施設内に全農 全国農業協同組合連合会 を誘致する体制を組んだ 約二年近くを費やして施設を構築したのだが ここでの技術開発は菱食自身にと ても大きな意味を持つものだ た 菱食は当時 物流ネ トワ クをフルライン化 当面は食品分野だけが対象 する計画を温めていた そのために まずケ ス商品をフルラインで扱える技術を自社の 横須賀フルライン物流センタ 〇四年五月稼働 で確立した さらにコ プこうべとの案件を通じてフルラインでピ スピ キングできる技術を開発し これを菱食自身の 九州フルライン物流センタ 〇五年四月稼働 に流用した しかも同社は ここでのピ スピ キングの仕組みを 生協の個配事業ですでに豊富な実績を持 ていたト ヨ カネツとではなく FEBRUARY 2006 56菱食・魚崎浜専用物流事業所の広瀬文雄所長袋掛け機
隠安罅[篥狃孤複乾薀ぅ鵝[篥犲動補充   
乾薀ぅ鵝[篥狄品6ライン 冷凍自動補充6ライン 冷凍・冷蔵パレット        自動倉庫6基 冷蔵ジッパー段積機                
競薀ぅ鵝[簑▲院璽梗動倉庫FS冷凍ケース自動倉庫SASコープこうべの「魚崎浜要冷集配センター」(運営は菱食)  57 FEBRUARY 2006菱食の主力マテハンパ トナ であるダイフクと一緒に開発した いわばゼロに近い状態から開発に取り組み 自社の技術革新にフ ドバ クしてきたのである コ プこうべの宅配事業では 商品配達日の二週間前に注文書を組合員宅に届け これを一週間前に回収している この注文情報を本部が取りまとめて 商品をベンダ に発注 作業日の午前中に物流センタ に商品が総量入荷されると その日のうちにオ ダ ごとにピ キングして配送デポへと出荷する 出荷する シ パ 商品配達に使う通い箱 は現在の実績で一日に平均一三万七〇〇〇個 平均重量四・三キロ にも上る これだけ膨大な物量を 厳密な温度管理下で かつ迅速に処理することが菱食に求められた 冷凍・冷蔵食品 日配品 農産品の適温はそれぞれに異なる 品温を下げないように温度管理を徹底しながら その一方で作業者の肉体的な負担を軽減する必要もあ た 実際 多くの工夫を凝らしている たとえば冷凍品であれば ピ キング作業を行う数時間前にベンダ に入荷してもらい まず冷凍自動倉庫でマイナス二五度まで冷やす これを作業の進捗に合わせてケ ス単位でピ キングラインに補充していく 補充ラ ク内の温度はマイナス十一度 これと隣接するピ キングラインとの間はエアカ テンで仕切られ 作業者はマイナス五度の現場で作業をできるようにしてある 補充ラ クの中に冷凍食品が滞留する時間は 最長でも四五分間 これだけのリ ドタイムでピ キング作業を終えれば 冷凍食品の品温はマイナス二十一度より高くならない このセンタ には 作業環境の改善と品質維持を両立するための工夫を随所に施してある と 同センタ の責任者を務める菱食・ロジステ クス本部の広瀬文雄魚崎浜専用物流事業所長は胸を張る 一般的な一括物流センタ では カテゴリ 納品などのために使われることが多いケ ス自動倉庫も ここではま たく異なる使われ方をしている パレ ト自動倉庫から必要に応じてピ キングラインに自動補充するための時間調整がその役割だ このように菱食の自動化技術をふんだんに活かした結果 組合員に届けた商品の作業履歴まで個別に把握できる体制が整 た この施設では掛値なしに最先端の定温物流が行われている 国分が住関・衣料品まで管理二〇〇五年一〇月に本格稼働した 魚崎浜ドライ集配センタ は コ プこうべの無店舗事業を支えるもう一つの拠点だ 常温食品のほか 住居関連商品 衣料品などを幅広く扱う施設で 菱食のセンタ と同じ敷地内に建 ている ただし こちらの物流パ トナ は食品卸最大手の国分 コ プこうべが あえて菱食以外の食品卸に声をかけて物流コンペを催した結果だ 国分にと ても この仕事は未知の領域に足を踏み入れるものだ た 同社が個配事業を手掛けるのはま たく初めてだ たし 生協の仕事という意味でも店舗事業のごく一部食料品エリア 出荷エリア 住関・衣料集品エリア 酒類センター 酒類受付 グロス集品エリア 入荷エリア ドライ受付 コープこうべの「魚崎浜ドライ集配センター」(運営は国分)  FEBRUARY 2006 58を手伝 た経験しかなか た それでも将来の可能性を考えれば 先行した菱食を射程に捉えておくためにも 国分としては是が非でも受注したい案件だ たと思われる 二〇〇四年二月以降 国分とコ プこうべは 毎週定期的な会議を開いて仕組みを練り上げてきた コ プこうべとしても 過去の実績をイレギ ラ も含めて洗いざらい提供することでバ クア プした 国分は この案件のマテハンパ トナ として 生協の個配事業の経験を豊富に持つト ヨ カネツを選んだ そして個配分野で先行した生協が採用しているのと同じデジタルピ キングの仕組みを導入 多くの現場では高頻度の商品にしか使われていないこのマテハンを 低頻度品にも適用することにした 施設の内部は 従来の国分の物流センタ と比べると かなりマテハンを多用した作りにな ている ここでは一日に平均三万件のピ キングを行 ている 毎日が時間との戦いだ オ ダ ピ チ シ パ 一個を処理するスピ ド が〇・〇何秒遅れるだけで 全体としては一時間の残業とい た結果を招いてしまう まだ本格稼働から間がないため作業者をかなり多めに配置しているが これを徐々に適正化していくのが当面の課題だ と コ プこうべ魚崎浜ドライ集配センタ で責任者を務める国分の荻野司所長は語る 最初の正念場とな た二〇〇五年の年末は 大雪による影響こそ若干出たが それ以外は目立 た混乱もなく乗り切ることができた ここを足がかりに各地の生協からの受託を拡大しようとしている国分にと ては上々の滑り出しといえる 住居関連品や衣料品を扱うオペレ シ ンにも慣れてきた ここで扱 ているのは常温品だけだが 要冷品と同じく品質へのこだわりは強い いまや加工食品といえども 賞味期限の厳密な管理は欠かせない 実際 このセンタ でも 賞味期限の入荷期限を三〇%未満としている 入荷時にすべてチ クして登録しており それより古い商品は受け取らない仕組みにな ている コ プこうべ物流部の池澤康裕物流運用管理担当課長 世界一品質に厳しいと言われる日本人のなかでも 生協の組合員の意識はとくに高い その中でもシンボル的な存在であるコ プこうべの業務で実績を積むことは 食品卸にと て将来の可能性に直結するはずだ こうした事業者サイドの状況を巧みに活用して 複数の食品卸を使い分けるコ プこうべの運用手法は心憎いばかりだ それぞれに一〇年契約を交わした物流アウトソ シングは今後 どのような展開を見せるのか しばらく目を離せない状況が続きそうだ 岡山宏之 コープこうべ物流部の池澤康裕物流運用管理担当課長4年間で大型物流センター4カ所を立ち上げた 施設名称ほか  運営  機能など 鳴尾浜配送センター (2001年11月本格稼働)              【店舗事業を支える常温拠点】 約5。
5万アイテムの取扱商品を店舗別・カテゴリー別に仕分け、出荷する。
コープこうべがトーヨーカネツなどと庫内の仕組みを構築した 【無店舗事業を支える定温拠点】 従来は3カ所(深江・玉津・稲美)に分散していた拠点を集約した。
生鮮3品から日配品、パン、惣菜まで約550アイテムを、組合員の要望に応じて仕分ける 【店舗事業を支える定温拠点】 生鮮3品、惣菜、日配品、アイス、冷凍食品など約3000アイテムを店舗別に仕分ける。
年間通過額は約300億円で、全品にカート配送を採用している 【無店舗事業を支える常温拠点】 従来は4カ所(深江・玉津・稲美・新港)に分散していた拠点を集約。
ドライ食品(加食、米、酒、菓子)の他、生活用品、住居関連、衣料品まで扱う 日本アクセス  コープこうべの物流部が管理し、庫 内 作 業 は 関係会社に委託 菱 食 (一部を全農)  国 分 魚崎浜ドライ集配センター (2005年10月本格稼働) 鳴尾浜低温物流センター (2005年4月本格稼働) 魚崎浜要冷集配センター (2004年6月本格稼働)   
隠横械換駟・コープこうべ魚崎浜ドライ集配センターの荻野司所長

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