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JULY 2006 24
ヤマトは変わった
――ここ一年のヤマトの動きをどう評価すれば良いか。
昨年六月に小倉昌男元会長が亡くなった時に、株価は
ほとんど動かなかった。 それまでヤマトの株価には?小
倉プレミアム〞が付いていると言われていたけれど、そ
れは無かったことになる。
A
そうだね。 しかし少なくとも生前はヤマトという組
織に?小倉イズム〞が引き継がれている感じはあった。
それが亡くなった後、少し違ってきているように見える。
経営陣の人事のゴタゴタを見ても求心力が失われてい
る感は否めない。
B
確かに人事面の波乱は外から
見ても明らかだし、経
営の方向性もかなり変わってきた。 よく言えば動き出
した。
C
小倉さん時代の、いわゆる自前主義を離れたのと、
小倉さんが亡くなった時期は、タイミング的には合っ
ている。 一つの制約条件が取り払われて一歩踏み出し
た状態にあるのではないか。 ただし、それが吉と出るか
凶と出るかは、まだ分からない。
A
個人的には、小倉さんが亡くなったのを機に、有
富(慶二)会長がそれまで遠慮していたものを、一気
に吐き出したと見ている。
B
その点は僕も同
じ。
C
それと昨年、みずほコーポレート銀行からヤマト
に来た木川真常務も大きな役割を果たしている。 小倉
さん時代と比べて銀行の発言力が大きくなった。
――その意味では小倉さんが亡くなって以降、ヤマト
は変わったと言える。 これはプラスなのか。
A
まだ判断は難しい。
B
株価自体は上がっていない。 僕自身、投資判断も
今のところ中立で「買い」にはしていない。
――この一年、ヤマトはいくつも新機軸を打ち出して
いる。 しかし株価は反応していない。
B
一連の提携については、中身がよく分か
らない。 国
際進出についても、これまで投資家が注目していたと
ころではあるけれど、しかしそれが収益にどう結びつく
のかが見えていない。 また短期的には、メール便を再
構築することでコストがどこまで膨らむのか、それによ
って業績の下方修正もあるのではないか、といった不
安感がある。 実際、今期の会社の業績予想も低めに抑
えられている。 郵政との確執もしこり玉として残って
いる。 そうした短期的な問題が、中長期的なポテンシ
ャルより大きいために株価が冴えない。
C
ヤマトは自前主義から抜けようとして、ネタ探し
をずっとやっている状態。 その結果、ボックスチャータ
ーも含めて、大丈夫か?という領域まで手を伸ばし
始
めている。 彼らの力の及ばないところを彼らのブランド
で売ろうとしている。 それに対する懸念がある。 もっと
も株価が上がらないことについては、Bさんと同じ意
見で、メール便の問題が大きい。 投資家は(信書便問
題で失敗した)嫌な記憶を呼び起こされている。 もと
もとヤマトのメール便事業のスキームには無理がある。
今回、メール便の翌日配達の看板を下げることになっ
たが、それにしても八〇円であそこまでのサービスをする必要が本当にあるのか。 それで儲かるのか、という疑
問がある。
――メール便事業の勝算は薄い?
B
僕はそう思わ
ない。 サービス過剰と言われれば、そ
うかも知れないが、彼らの戦略は元々クオリティーが
ベースになっている。 クオリティーを武器にして値段を
下げない、というのが基本スタンス。 その姿勢は支持
できる。
――メール便事業の収益性については。
B
公表はされていない。
C
幹線にかかっているコストを適正にメール便に振
り分けてしまえばキツイだろう。
A
実質的には儲かっていないはずだ。 だから、(メー
ル便事業は)やる必要はないというのが僕の考え。 宅
急便のインフラを有効活用するというのは分かるけれ
小倉イズムは受け継がれたか
路線便市場への再参入、国際物流への本格進出、自前主
義からの脱却など、この1年の間にヤマトは次々と新機軸を
打ち出している。 しかし株価はほとんど反応していない。 一
連の動きを株式市場はどう評価しているのか。 運輸担当ア
ナリストに本音をぶつけてもらった。 (司会:本誌編集部)
証券会社運輸担当アナリスト覆面座談会
25 JULY 2006
ど、具体的なオペレーションのやり方が見えていない。
基本的にはメール便も含め、ヤマトはこれ以上、手を
広げないほうがいい。 宅急便で利益が出せるのだから、
それで充分ではないか。
――ヤマトは宅急便と同じように、メール便でも商品
力によって新たな需要を作れると考えている。 最初は
先行投資になって赤字でも、荷物の量が一定のレベル
に達した後は加速度的に儲かる事業にできる、と見込
んでいる。
B
ヤマトが考えているほど、新しい需要が生まれる
のかは疑問だね。 郵便は減る一方だし
。
ファイナンス事業に期待
――ファインクレジットの買収については。
B
今のところ買収によって、新商品や何か出てきた
ということがない。 ずいぶん時間がかかっている。 ファ
イナンスの分野に可能性があることは理解できるけれ
ど、具体化しているものは何もない。
C
荷物を手渡しするタイミングで運賃以外の手数料
収入が追加的に得られるのであれば、大きなチャンス
だ。 しかし、これまでのところはファインクレジットを
身綺麗にするのに手がかかっていて、それがようやく終
わったという段階だろう。 今後は何か面白いことができるかも知れないと期待はしている。 その意味では、国
際物流やメール便やロールボックスパレットよりも、中
長期的にはファイナンス事業が最も面白い。
――ボックスチャーターは。
C
ボックスチャーターはヤマトが品質
を管理できな
い。 それをヤマトの名前で売ってしまう。 それで本当に
いいのか。 ブランド価値を毀損する恐れがある。
A
そもそもボックスチャーターの市場が伸びるとは思
えない。 余っているインフラを使う面ではいいけれど、
他の特積みを見ても儲かっていない領域になぜ今さら
出ていくのか分からない。
――逆に日通や西濃は、なぜボックスチャーターに乗っ
たのだろう。
C
物流業界の中でヤマトのポジションはやはり高い。
それがあるのでは。
――どういう意味?
C
組む相手がヤマトならまあいいか、提携のニュー
スも悪くない印象を与える、と経営者レベルでは考え
ているのでは。 一方で現
場は危機感を持っているはず。
ボックスチャーターでヤマトが自分たちのお客さんと繋
がってしまって、間を抜かれたらマズイという気持ちは
あるだろう。 でも上のほうで決まったことなので現場で
はどうにもならない。
基本的にヤマトが持っているネットワークはボックス
チャーターには合っていない。 細かく考えれば、六〇〇
キロの荷物を積み下ろしするにはリフター付きの車両
が必要になる。 バースの問題もある。 ヤマトはそういう
インフラの作り方をしていない。 そこにこれから本気で
投資してくるとも思えない。 どこにヤマトの本音がある
のか、今ひとつ見えない。
A
それでも西濃は幹線輸送の仕事がもらえるので参
加したメリットもあるかも知れない。 しかし日通が参加
したのは別の
理由で、やはり日通が入らないと他の特
積みも参加しないから、という受け身的な考え方なの
ではないか。 数千万円ぐらいの出資なら失敗してもダ
メージにもならない。 つまり日通は本気でやる気はない。
アロー便ともかぶるし、やってもしょうがない。 実際、
積極的にPRもしていない。
むしろ僕がボックスチャーターに期待したいのは、こ
こに中堅の特積みがどんどん参加していって、横の連
携をとるようになることで、これまでのようなダンピン
グは止めようという機運が出てくること。 これは株価
とは直接、関係ないけれど業界にとってはいい話。
――郵政との確執は今後どの程度の影響を与えるのだ
ろうか。
B
今のところマスコミがはやし立てるほど、ヤマトの
業績には影響が出ていない。 そのためにヤマト自身、金
をかけて色々と準備してきたからね。 そもそも郵政公
社が物流市場に進出するというのは、宅急便がシンボ
リックに扱われているだけで、全ての物流企業がマイ
ナスの影響を受ける。 今のところ郵政公社に物流業の競争力はないけれど、大きな攪乱要因だ。 物流企業に
とっては嫌な存在だろう。
もっとも郵政自体もきつい。 この間の決算を見ても
そう。 このままいけば来期は赤字になる恐れがある。 郵
政は国際に出る前にまずは足元を固める必要がある。 リ
ストラを断行してキャッシュフローを改善
しなければ海
外に進出しても何も進まない。
C
振り返ってみれば、ヤマトは郵政の嫌がらせを放
って置くべきだったのだろう。 なんで正面から喧嘩して
しまったのか。 とりわけ一昨年の春にヤマトが全国の
新聞に信書便に関する意見広告を出したあたりから、郵
政とがっぷり四つに組むことに対し、僕は疑問に思う
気持ちが強まった。 その後、コンビニを郵政にとられ
たのはさすがに単価を維持する意味では嫌な話だけれ
ども、実際には大きな影響はない。 むしろ先々怖いの
特 集
取引値
発行済株式数
時価総額
配当利回り
1株配当
株価収益率
1,827円
457,067,616株
835,063百万円
1.09%
20.00円
(連) −34.17倍
図2 ヤマトホールディングス株式関連データ
図1 ヤマトホールディングス株価推移(96年基準)
(2006年6月20日現在)
1株利益
純資産倍率
1株株主資本
株主資本比率
株主資本利益率
総資産利益率
(連) −53.47円
(連) 1.92倍
(連) 951.08円
(連) 53.4%
(連) −5.43%
(連)−3.26%
ヤマトHD
日経平均
JULY 2006 26
は、地方部における郵政の認知度、そして台風が来て
も倒産しないだけの図体、しかも郵政は自分で台風を
起こす。 この二点が怖い。
――台風と言うのは?
C
郵政は民営化前から既に暴れているけれど、民営
化すればもう一段激しく暴れてくるだろう。 それが例
え郵政自身の首を絞めることになっても、結果として
郵政は倒れない。 倒産はしない。 そこにヤマトが巻き
込まれるリスクがある。
――具体的には?
C
買収やダンピングなどだね。 それによって郵政は
二〜三年収益が悪化しても、過ぎてしまえば何てこと
はない、ということになる。 そんなことよりも、ヤマト
は表で喧嘩しておいて裏で
はチャッカリ手を繋ぐよう
な大人のつき合いを考えたほうがいい。 ヤマトが十数
万、郵政が二十数万の人間を抱えている。 これは他産
業から見てもパワーになる。 公然の秘密という形で、水
面下で手を握ることができればインパクトは大きい。
郵政&日通はどう動く
――今のところ郵政はヤマトより日通や西濃に近い。
C
郵政と日通が本当に有機的に連携できるようであ
れば僕も見方も変えるけれど、これまでを見ている限
り期待薄。
――日通自体はどう見てる?
C
変わりきれないね。 個人的には株として見たとき
にヤマトより、むしろ日通を推したいところなのだけれ
どね。 日通はずっと寝ていた。 それに対してヤマトは起
きてがんばってここまで実績を上げてきた。 これから環
境がきつくなるなかで、これまで寝ていた人が起きたほ
うがインパクトは大きい。
しかし、いまだに日通は熟睡中。 ちょっとやそっと
では起きなそう。 色々、新機軸は打ち
出しているけれ
ど末端まで神経が行き届いていない。 昨年の転身支援
措置(早期退職制度)など、ずいぶん思い切った策だ
ったし、その前のブロック制もこれで神経が届くように
なるかと期待したのだけれど、なぜか出てくる数字は期
待と違う。 聞こえて来る話も違う。
――ペリカン便やアロー便はどうすべきと考えるか?
C
名前だけを残して売る。 自分ではやらない。 さっ
さと郵政と一緒になって、リスクを郵政に投げる。 日
通自身その方向で動いてはいると思うけどね。
A
郵政と日通の連
携はある。 今のところ郵政は郵便
事業会社のトップに誰がつくのか決まっていないため
に動きがとれないようだけど、先日は日通の山崎勝英
前副社長が郵政に移るなど外堀も埋まってきた。 郵政
は過剰な土地を保有している。 都市計画のど真ん中の
ような一等地も少なくない。 それを売り払うなど見直
しをかければ投資余力も生まれる。 また過疎地のネッ
トワークは過剰だ。 中長期的にはそこにもメスが入る
のは間違いない。
――ヤマトの国際物流への進出は?
C
郵船と一緒にやるICタグは、いけるかも知れな
い。 ロールボックスパレットの荷主や工
場単位でIC
タグを使って管理しようという荷主などに対して、末
端の配送まで含めた国際物流サービスを提供するとい
うのはアリだ。 ただし郵船が単独でやればいいのに、な
んでヤマトと組んだのかは分からない。 ヤマト側から見
れば、上手く乗ったなという印象。
A
前も言ったけど、手を広げ過ぎだろう。 ファイナ
ンスはいいけれど国際まで手を広げることはない。
――しかし、株式市場はこれまでヤマトに対し、早く
海外に進出しろとけしかけてきた。 それで実際に進出
したのに評価されないというのは、どういうことか。
B
評価していないわけではない。 国内市場はもう伸
びないわけだから、成長分野に出ていくという経営戦
略
は正しい。 足りないところを補うという意味で郵船
との提携も理解できる。 しかし具体的ではないんだ。 国
内に関しては盤石といえる。 宅急便に関してはキャッ
シュをジャンジャン生む体制ができ上がっている。 むし
ろ今後はキャッシュが余ってしまう。 それをどう使って
いくかが課題になるわけだが、今の方向性としてはい
いと思う。 その果実がどうなるかだけ。 C ヤマトと郵船の荷主はバッティングしない。 その
意味では良い組み合わせ。 この提携にマイナス要素は
ない。 後はどこまでプラスを出せるか。 果たして郵船か
らヤマト、あるいはヤマトから郵船に流れる貨物が本
当にあるのか、ということ。 この組み合
わせのマイナス
面をあえて挙げるとすれば、双方ともミドルレベル以上
のサービスをミドルレベル以上の価格で提供している
事業者であって、それをくっつけるとトータルのネット
ワークが非常に高コストになりはしないか。 もっと価格
的に競争力のある要素も必要になるのではないか。 あ
えて懸念材料をあげればそこだけだろう。
和製インテグレーター最右翼は郵船
――結論的にはヤマトは今後も成長するのか。 それと
も既に成熟してしまったのか。
'94 '95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
図3 ヤマトホールディングス業績推移
売上高(百万円) 経常利益(百万円)
(年度)
売上高
経常利益
27 JULY 2006
A
宅急便は既に飽和している。 安定成長はあっても、
急成長はありえない。 期待感は薄い。
B
そうかな。 だからこそ、色々なことにチャレンジし
ているわけだろ。 このまま行ったら、どこかで業績が頭
打ちになるということが、全てのベースとなっている。
それを脱却するために色々手を打っているのは評価で
きる。 日本の物流会社の提携は過去にほとんど成功例
がないけれど、今回は単なる提携ではなく、資本を入
れてジョイントベンチャーまで作るわけだから決意は感
じる。
C
宅急便のベースはしっかりしている。 お金もある。
そこに安住するのか、それとももう一回チャレンジする
のかという話。 やはりもう一回頑張るべきだし、そうす
べき時期であることは確か。 ただし、我々が聞いてす
ぐに
膝を叩いてアグリーできる話が、もともとこの業界
には少ない。 そのために株価もそういう材料に反応し
ない。 ヤマト自身もいくつか手は打ったが、そのうちど
れかが成功すればいいという感覚なのではないか。 これ
までの宅急便の歴史を見ても、ヤマトはまずインフラ
を作り、そして数字を作ってきた。 やれる会社だとは
思う。
――ヤマトは和製国際インテグレーターになり得るだろ
うか。
C
ヤマトがそうなるかはともかく、日本からも国際
インテグレーターが出てきて欲しい。 このまま行くと、
日本をタッチしない、日本抜きのモノの流れがどんど
ん出来上がってしまう。 日本の産業経済自体が危うい。
――和製国際インテグレーターとして現状で有望なの
は?
C
現状では日本郵船だろう。
B
ヤマトとの提携も郵船側から見れば、和製インテ
グレーターになるために足りないものを補ったと評価で
きる。
――欧米のインテグレーターはUPS、フェデックス、
ドイツポストとも本業はエクスプレスだ。 郵船とは業態
が違う。
C
それでも実績を見る限り郵船が一番近いのでは。 こ
れは日本の航空行政とも絡んできてしまうが、日通を
はじめ他はフォワーダーだからね。 A 近いという意味では郵船かも知れないが、郵船を
少し引いて見ると、来る者は拒まずというスタンスで
あって、自分から仕掛けて
いく感じは受けない。 国際
物流のどこで儲けようとしているのか分からない。 もっ
と的をフォーカスしてもらわないと。 それでも、郵政公
社に比べれば可能性はある。
――中長期的には郵船が「買い」ということ?
A
そうはいっても実際には海運のウエートがまだま
だ高いからね。
B
相対的には近い、というレベルだよね。 他にない
から。 製造業では日本にはトヨタがあり、松下がある
わけだけど、物流業にはそれがない。 郵船も日本最大
といっても世界のコンテナ業界ではワン・オブ・ゼム。
中位集団の、その他大勢に過ぎないからね。
特積み運賃は上がらない
――郵船の業績は結局、海運次第。 ヤマトは安定成長
するとして、他の特積みはどうなってしまうのか。
B
老舗の特積みは生かさず殺さずといった感じでこ
のまま行くのではないか。 これだけ赤字を出し続けても、
経営自体は破綻していないし、社内に危機感もない。
A
西濃は去年、毒薬条項を盛り込んで投資家をずい
ぶんガッカリさせたからね。 株価も下がった。 西濃が買
収されることを期待して買っていた海外投資家が、あ
れで株を手放した。 あそこをはじめ特積みは上場して
いる意味のない会社がほとんど。
C
個人的にはヤマトが西濃を買
収することに期待し
ていた。 今回のボックスチャーターで提携したことで、
それが現実化するかとも思った。 ところが結局、郵船
と一緒に頑張りますという話になって国際に話が行っ
ちゃった。 その前にヤマトには国内をやって欲しかった。
A
恐らく今の特積みの経営陣のままで状況が変わる
ことはない。 運賃に関しても改めて行政や経済団体の
後押しを受ける形でないと是正はされない。 ただし最
近は荷主側も、配送のクオリティーを気にし始めてい
る。 あまり安過ぎる運賃は、品質も下がり問題が発生
するという意識
が出てきた。 そういう形で客側が変わ
ることで変化が出てくることはあるかも知れない。 しか
し、老舗の特積みが自ら変わるとは考えられない。 体
力が続く限り、ダンピングし続ける。
C
確かに今の特積み全般に言える最大の問題は、運
賃水準だ。 しかし、上げてくださいとお願いして上が
るものでもない。 運賃を上げるには、商品ミックスを変
えるか、あるいは倒産が増えて供給が減るかしかない。
しかしそこまで特積みは追い込まれていない。 体力的
に生き残ってしまう。
B
尻に火が付
いていないよね。 中堅でも老舗は土地
持っているからね。 経営陣と話していても切迫感が全
くない。
C
そういえば、ロジビズの四月号で運賃が上がると
いう特集を組んでたな。 あれどうなの。 ――上がってきたとは言えないまでも潮目は変わってき
た。 去年までは下げ止まったというのが、運賃動向の
最も強気の表現だったけれど、今は値上げが拡がって
きたとは言える。 そうしないと、もはや人件費を吸収
できない。 今後はもっと上がるというのが本誌の見方。
A
それはどうかなあ。 中堅以下の運送会社は、顧客
の顔ぶれも限られているので、上がっているところも出
てきたのかも知れないけれど、西濃
・福通クラス以上
は、一部の荷主で上がっても他で下げてしまって全体
としては上がらない。 実際、そのクラスのある経営者
は、運賃はもう上がらないと断言していた。
B
逆に運賃を上げられるということが今後の勝ち組
の条件の一つになる。
A
それは言える。
――なるほどね。
特 集
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