ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2007年3号
特集
在庫管理白書 産業別動向を各界の識者が解説

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MARCH 2007 14 アクセンチュアの永山達也製造・流通 本部エグゼクティブ・パートナーは「産 業によって在庫の持つ意味や管理のアプ ローチは全く違う。
在庫管理システムに は、その会社の在庫に対する意識が端的 に現れる」という。
一般に組み立てメーカーは部品一つひ とつの単位で、「入」と「出」と「残」 を管理する。
一銭単位の節約が製造原 価のコスト低減の源泉だという発想に立 ち、たとえコストがかかっても単品レベ ルの管理を徹底する。
欧米流のERPシ ステムは全てこの発想に立っている。
それに対して、日本の自動車メーカー の在庫管理は、「在庫ではなくフローを 管理するという発想に立っている。
どの 時点で何がどこを通過するか。
ちょうど 電車の時刻表を管理するようなイメージ だ」と、永山エグゼクティブ・パートナ ーは指摘する。
もともとERPは日本のトヨタ生産方 式を在庫管理の手本としている。
しかし 本家のトヨタ自動車やトヨタ系列のサプ ライヤーの多くは生産管理にERPを導 入していない。
ERPよりも自社システ ムのほうが優れている。
そこが差別化の 武器だと認識しているからだ。
実際、トヨタ自動車の単独決算の在 庫は、過去一〇年にわたって一〇日程 度という驚異的な低水準を維持している。
ただし、連結ベースの在庫は別だ。
九七 年の〇・五三カ月から〇六年には〇・ 八四カ月まで増加した。
海外事業の急 速な拡大が影響していると推測される。
トヨタ生産方式の最大の特徴とされる 平準化は強力な垂直統合が前提となっ ている。
部品メーカーから販売チャネル までを系列化しトヨタの生産計画に全て を同期化させることでムダを省く。
計画 と需要に多少のズレが生じても、強力な 販売網を駆使することで吸収できる。
ただし海外市場では勝手が違う。
工場 城下町を形成する国内とは異なり、サプ ライヤーとの距離は遠く、販売チャネル のコントロールにも限界がある。
サプラ イチェーンの完成度が高いだけに、異な る環境に適応させるのにはまだ時間がか かりそうだ。
輸送用機器――海外事業拡大で在庫増加の懸念 日本の電気機器メーカーの在庫が、単 独決算ベースでは、いよいよ一カ月を切 ってきた。
連結ベースは一・四五カ月で、 単独とはまだかなりの開きがあるが、少 なくとも本社自体の管理精度はかなりの レベルに達していると考えられる。
日本の主要電気機器メーカーは八〇 年代末から在庫削減に取り組んできた。
当初は販社や物流拠点の統合が主な施 策だった。
これにより九〇年代後半は継続的に在庫回転率が向上した。
不況が 深刻化した九九年にいったん数字は悪化。
だが二〇〇〇年以降、今度は最新のI Tを活用したSCMを本格化させた。
二〇〇〇年〜〇一年は、その準備段 階の時期にあった。
家電業界のSCMに 詳しいフレームワークスの井筒幸彦取締 役は「システム導入前のこの時期には、 社内の意識改革だけで在庫が減った。
む しろ実際にシステム稼働した後に混乱は やってきた。
〇二年にいったん在庫が増 えているはその表れだろう」という。
導入当初は、営業が欠品を恐れ、需 要予測システムが実績に基づいて弾いた 計画数量に勝手に手を加えて水増ししが ちだった。
結果として在庫が膨らんだ。
その後、組織が運用に慣れてきたことで 〇三年以降の在庫削減につながっている。
電気や精密機器などのハイテク製品は 今や生鮮品に例えられるほど製品寿命が 短い。
SCP(サプライチェーン計画ソ フト)を使って市場の短期的な変動を予 測し、ERPで情報を共有。
市場変動 に柔軟に対応することで、ムダな在庫の 発生を抑えるという、SCMの典型的な アプローチが、最も大きな成果を発揮し た業界だといえる。
しかし、「ITツールの導入効果は既 に一段落した。
今後は横ばい。
あるいは 反転の可能性もある。
冷蔵庫や洗濯機 などの白物家電で輸入対応が増えていく からだ。
輸送費の問題から従来は国内生 産をしていた製品まで今後は海外にシフ トする。
当然、リードタイムが長くなる。
細かい改善の努力を続けないと、結果と して在庫は増えるかも知れない」と井筒 取締役は懸念している。
電気・精密機器――一〇年越しSCM導入が成果上げ アクセンチュアの 永山達也エグゼクテ ィブ・パートナー フレームワークス の井筒幸彦取締役 分析産業別動向を各界の識者が解説 15 MARCH 2007 ここ数年、医薬品業界ではメーカーと 卸の再編が加速している。
メーカー各社 の在庫回転率は合従連衡の動きに歩調 を合わせるかたちで、緩やかに改善が進 んでいる。
製品の供給先である卸のプレ ーヤー数が、相次ぐ再編劇などを通じて 一〇年前に比べほぼ半減したのを受けて、 メーカー各社は物流拠点の統廃合に乗り 出した。
従来はエリアごとに拠点を用意 していたが、それが近年は「首都圏と関 西圏の東西二拠点で全国をカバーする体 制が主流になりつつある」(サカタロジ ックスの田中孝明社長)。
さらに工場か ら卸への製品直送化などに取り組んでい ることも在庫削減に結びついている。
もっとも、医薬品のサプライチェーン 全体を捉えた場合、効率化が進んでいる のはメーカー〜卸間の川上部分が中心で、 川下部分には依然として課題が山積して いる。
病院は医療行為に専念し、薬局が 医薬品を処方する「医薬分業」の進展 によって薬局やドラッグストアの数が急 増している。
もともと卸は病院に対する 大量一括での納品を前提とした物流シス テムを構築していたが、こうした新たな 供給先からは短いリードタイム、しかも 多頻度小口での納品を求められるように なった。
それによって各地に配送デポを 用意しなければならなくなるなど卸サイ ドの在庫増のリスクは高まっている。
これに対してライバル企業との経営統 合に伴う物流共同化や、営業マン自らが 得意先に製品を供給する物流体制から 「商物分離」への移行など、卸各社は 様々な対応策を講じてきた。
しかし、依 然として発注後即日納品を要求するなど 供給先である薬局の在庫管理レベルが向上しないため、思うような成果を上げら れていないのが実情だ。
「医薬品はそもそも生命に関わる製品 であるため、絶対に欠品が許されない。
そのため、食品や日雑品のように思い切 った在庫削減策を打ち出せないでいる」 (サカタインフォの吉井宏治シニアマネ ジャー)。
こうした業界の特殊性も川下 での在庫削減を阻害する要因の一つとな っている。
医薬品――卸の集約で東西二拠点体制へ移行 サカタインフォの 吉井宏治シニア マネジャー 日持ちがしないという製品の特質上、 食料品の在庫回転期間は全業種の中で もっとも短い水準で推移している。
九七 年時点で〇・九三カ月と既に一カ月を 切っていた。
一〇年間で更に〇・〇五カ 月縮まった。
緩やかながらも長期的に回 転率が高まっている。
グローサリーの流通事情に詳しいシー コムスの関口壽一代表はその理由を「I T活用がこなれてきたことに加え、近年 は流通側からメーカーに対して日付管理 の要求が厳しくなってきている。
それが 在庫管理体制の強化とも結びついてい る」と説明する。
この一〇年でグローサリーの流通寡占 化は一気に進んだ。
食品卸は国分と菱 食の二強に集約された。
同様に日用雑 貨品卸もメーカー直販を基本とする花王 を除くと、「あらた」とメディセオ・パ ルタックHD傘下のパルタックの二強体 制が明らかになっている。
そして小売市 場ではイオンをはじめとした巨大チェー ンストアのシェアが拡大している。
発言力を強めた勝ち組流通業者は、メ ーカーに対してサプライチェーンの再編 を突きつけている。
メーカー特約店から 二次卸を経由する従来の多段階流通に 食料品・日用雑貨――流通業の寡占化が効率化を牽引 代えて、メーカー倉庫から大手流通業の 大規模センターを経由し、店舗に一括納 品する新たなネットワークの構築が進ん でいる。
理論上、複数メーカーの工場と複数の 店舗を結ぶ物流は、フルラインの品揃え を持つ仕分けセンターを一カ所だけ経由 したときにトータルコストが最小になる。
その意味で大手流通業による一括物流 センターの設置は理に適っている。
しか し、現実にはベンダーに対するセンター フィーや在庫リスクの理不尽な押しつけ が横行し、必ずしも全体最適化に向けて 進んでいるとは言い難い。
それでも「卸の寡占化には在庫を減ら す効果がある」と関口代表は指摘する。
集約によって一つにまとまった口座の取 引金額は、それまでの足し算にはならな い。
資金繰りの問題もあるため、一度に 仕入れる量は従来よりも減る。
それを補 うために、流通業者は商品の回転率を上 げるなどの工夫をするようになる。
顧客数の集約はメーカー側にも影響を 与える。
集約が一定のレベルを超えると、 メーカーは工場や物流拠点の統合などの インフラの見直しに動く。
現在、日本に は日雑だけでも一〇〇〇社近くのメーカ ーが存在するという。
今後はメーカー同 士の集約も議題に上ってくる。
さらには 欧米市場のように、ドライ食品と日雑を 一つのカテゴリーにまとめる動きが本格 化してくることが予測される。
流通再編 はまだ途上にある。
シーコムスの 関口壽一代表 MARCH 2007 16 繊維業界の棚卸資産回転期間は九九 年から、ほぼ一貫して改善に向かってい る。
オンワード樫山やワールドなど、同 業界のSCMを意味する「QR(クイッ クレスポンス)」に早い段階から力を入 れてきたメーカーほど在庫削減の効果も 大きく出ている。
その他のメーカーに関しても、「折か らの不況と流通環境の変化で各社の経 営層の意識が変わった。
販売戦略の見 直しやIT高度化による情報の活用を 進めてきた効果が、二〇〇〇年以降の 回転率向上というかたちで表れている」 と、住金物産の山内秀樹繊維カンパニー SCM推進部部長は分析する。
イオンモールをはじめとするショッピ ングセンター(SC)の台頭に合わせ、 アパレル各社はここ五〜一〇年でSC向 けの出店を増やしてきている。
百貨店へ の委託販売とは異なり、SC内に直接 店舗を構えて販売まで手がける。
SCの 売り場は百貨店よりも圧倒的に広い。
百 貨店の一テナント当たりの売り場面積が 一〇坪程度であるのに対し、SCでは八 〇〜一〇〇坪となる。
それだけ大量の商 品を、しかもアイテム数を増やしたうえ で品揃えする必要がある。
さらに、SCはスーパーマーケットと 隣接しているケースが多く、日常の買い 物ついでに来店する顧客が少なくない。
百貨店に構える店舗に比べ顧客の来店 頻度が高いため、目新しさを失わないよ う新商品を相次いで投入しなければなら ない。
商品のライフサイクルが短くなり、在 庫を抱えることのリスクが高まっている のはSC以外の店舗でも同様だ。
従来な ら都市部で売れ残った商品を地方に回し たり、翌シーズンに持ち越したりするな どして在庫をさばいていた。
しかし今で は都市部と地方に情報の時差がない。
前 シーズンの商品は、いくら値段を下げて も、賢くなった消費者は手を出さない。
今後の見通しについて山内部長は、「出 来上がった製品を効率よく回すというか たちの在庫削減では、おそらくこれ以上 の効果は見込めないだろう。
これからは 生産を市場に同期化することで在庫を減 らす時代になる。
例えば当社では取引の あるアパレルメーカーと、生地だけ用意 しておいて、売れ行きに応じて色を決め て染色したり、半袖か長袖かといったデ ザインを決めて裁断したりするといった 取り組みを進めている」と説明する。
もともと繊維産業は原料、素材加工、 縫製などのプロセスごとに専門業者が存 在する多段階生産を特徴とする。
しかも 近年は各プレーヤーが国境を越えて分散 している。
それを統合管理するグローバ ル・ロジスティクスが問われている。
繊維――商品投入サイクル短縮で売り切る 機械業界の在庫管理は、工作機械や 産業用ロボット、建機などの組み立てメ ーカーと、素材に近い重厚長大系メーカ ーに大きく二分される。
組み立てメーカ ーは日本企業としては比較的早い時期に ERPやサプライチェーン計画ソフトの 導入を進めた。
その成果は在庫回転率に 明確に表れている。
九九年をピークに七 期連続で在庫回転率が上昇している。
中国をはじめとしたBRICsの台頭で、組み立てメーカーの海外売上比率は 近年、急拡大を遂げている。
しかし自動 車メーカーとは違って、今のところグロ ーバル化の進展は在庫回転率の悪化を 引き起こしてはいない。
連結と単独の在 庫回転率の格差も小さい。
もともと機械業界の組み立てメーカー の在庫は、二カ月から三カ月以上にも及 ぶ高い水準にあった。
多品種少量生産に 加え、営業部門の販売計画をもとに見 込みで生産する傾向が強く、国内市場 中心の時代から、過剰在庫と欠品を同 時に引き起こしがちだった。
典型的な課 題を抱えていただけに、SCMが教科書 通りに機能し、その効果も大きかったよ うだ。
一方、重厚長大メーカーのビジネスは、 業務プロセスが組み立てメーカーとは全 く違う。
受注生産が基本であり、活動は プロジェクト単位。
受注から調達、納品 までのリードタイムは一年以上に及ぶこ ともザラで、製品サイクルも需要のトレ ンドも極めて長期的だ。
短期的な市場動向をサプライチェーン 活動に反映させて在庫を減らすという通 常のSCMには馴染まない。
実際、リー ドタイムの長いサプライチェーン活動、 例えば設備投資などは足下の需要とはか け離れたところで判断するしかない。
バ ッチで生産する製品の原材料調達も同 様だ。
中長期的なトレンドの予測精度を 上げることで対応するぐらいしか手段が ない。
PRTMの入江仁之パートナーは「こ うした業界では在庫管理ではなく、プロ ジェクト管理にSCMと同じ考え方が導 入されている。
『コンカレント・エンジ ニアリング』と呼ばれる。
八〇年代末に 米国防総省が兵器調達の研究レポート で提唱した手法だ」と解説する。
製品の開発段階から、生産や調達、ロ ジスティクスなどの各プロセスを担当す る部門がプロジェクトに参加し、同時並 行で作業を進める。
それによって全体の プロジェクト期間を短縮してコストを削 減する。
仕掛品を所有する期間が短くな るので在庫削減にも効果がある。
日本企 業の導入は欧米より遅れたが、これも二 〇〇〇年頃からは機能するようになった ようだ。
機械・金属――SCMが教科書通りの効果を発揮 PRTMの入江仁之 パートナー 住金物産の山内秀樹 繊維カンパニー SCM推進部部長 17 MARCH 2007 石油業界の在庫回転率は二〇〇〇年 を境に悪化している。
イラク戦争の影響 で原油価格が高騰。
それに伴い、仕入れ 価格が上昇し、棚卸資産額が膨らみ続 けていることが原因の一つだ。
現在、原 油価格は落ち着きを取り戻しつつあるも のの、依然としてその水準は高止まりの 状態にある。
そのため当面は棚卸資産の 圧縮が見込めそうにない。
もともと石油元売り各社は在庫の評 価方法として後に仕入れたものから先に 払い出されると仮定する「後入先出法」 を採用していた。
ところが、二〇〇〇年 から〇一年にかけて、これを期初の在庫 額と期中の仕入れ額を合計して平均する 「総平均法」に切り替える企業が相次い だ。
原油高が続く局面、つまり仕入れ価 格が上昇している場合、総平均法だと会 計上の原価が下がり、その分利益をかさ 上げできるからだ。
元売り各社は〇六年三月期に過去最 高益を記録した。
二〇〇〇年以前には 一%台で推移していた同業界の連結R OAは、〇六年に七%台後半まで回復 している(図参照)。
ただし、利益率の 向上は在庫評価益の恩恵にほかならず、 実質的には営業利益ベースで赤字を余 儀なくされている企業も少なくない。
一方、ゴム製品業界の棚卸資産回転 率は過去一〇年間、ほぼ横ばいで推移し てきた。
ここ数年、原材料となる天然ゴ ムや合成ゴムの価格は上昇傾向にあり、 その影響もあって各社とも棚卸資産が膨 らみつつある。
しかし、「自動車産業向 けを中心に製品需要が旺盛で、各社の 出荷量、売り上げが着実に伸びている」 (日本ゴム工業会)ため、七回転台の在 庫回転率を維持できている。
化学業界の棚卸資産回転率は〇二年 以降、回復基調に転じている。
原油高に 伴い原材料費の高騰が続いているものの、 販売価格への転嫁が順調に進んでおり、 売上高も拡大している。
そのため回転率 は当面、現状水準を維持できそうだ。
物流拠点の集約化など在庫削減に向 けた対策にも余念がない。
住友化学では 今年四月一日付けで東西二社の物流子 会社を合併し、新たに住化ロジスティク スを発足させる。
物流拠点の統廃合など に着手して在庫削減を進めていく計画だ という。
石油・化学・ゴム――原油高で在庫は増加傾向に 九〇年代以降、パルプ・紙業界では M&Aが活発化している。
王子製紙は 九三年に神崎製紙、九六年には本州製 紙と合併。
日本製紙は〇一年に大昭和 製紙などと持ち株会社「日本ユニパック ホールディング」(現・日本製紙グルー プ本社)を設立した。
さらに〇六年には王子製紙が北越製 紙に敵対的TOB(株式公開買い付け) を実施。
最終的にこのTOBは成立しな かったものの、これを機に北越製紙は日 本製紙および大王製紙と業務・資本提 携を締結するなど、この十数年で業界の 勢力図は大きく塗り変わった。
再編劇が進んでいくにつれ、主要プレ ーヤーたちの在庫は減少していった。
在 庫回転率は九九年を境にして緩やかでは あるが、着実に改善が進んでいる(図参 照)。
M&A実施後に各社で展開された 生産合理化、そして物流体制の見直し が在庫削減に大きく寄与しているようだ。
王子製紙は〇一年に傘下の物流子会 社五社を統合。
新たに発足させた王子 物流に本社の物流管理機能を移管し、同 社がサプライチェーン全体をコントロー ルする仕組みに改めた。
従来は生産部門 や販売部門が需給調整を主導していたが、 これを王子物流が一元管理する体制に 切り替えるとともに、ピーク時には全国 で二五〇カ所を超えていた物流拠点を統 廃合して在庫削減に成功した。
今後も同業界では物流子会社の統合 を軸としたSCM改革が在庫削減に向 けた有効な手段の一つとなりそうだ。
実 際、日本製紙グループでは今年四月一 日付けで日本製紙物流、大昭和ロジス ティクス、日本板紙物流の物流子会社 三社を統合する方針を明らかにしている。
地域で重複する物流拠点の集約などを 通じてさらなる在庫削減を目指す。
もっとも、各社の在庫がこの先も順調 に減っていくかどうかは未知数だ。
パル プ・紙業界には、需要拡大時に各社が設備投資を積極化して生産能力を高め て出荷量を引き上げた結果、市場が供 給過剰に陥ってしまうという悪循環を繰 り返してきた歴史がある。
大王製紙や日 本製紙グループは二〇〇七年後半にかけ て大型設備を相次いで稼働させる計画だ。
それによって「市場への供給量が需要を 上回る環境になれば、各社の在庫回転 率は悪化する可能性もある」(日系証券 会社アナリスト)という。
パルプ・紙――業界再編と物流子会社の統合進む

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