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47 AUGUST 2005
大手食品メーカー、キユーピーの高山
勇氏は、加工食品のトレーサビリティ
(履歴管理)に関する日本の第一人者だ。
手作りのITを駆使してキユーピーの生
産現場を高度化した実績を持ち、二〇
〇〇年には同社のベビーフードの分野に
本格的なトレーサビリティシステムを導
入した。 本誌二〇〇三年八月号特集で
はインタビュー取材にも応じてもらった
が、現在はキユーピーの技術本部で主席
技術員を務める傍ら、「食品トレーサビ
リティシステム標準化推進協議会」の幹
事などをこなしている。
その高山氏が、このほど『現場改善か
ら生まれたトレーサビリティシステム』
(日本工業出版)という本を上梓した。
「わくわくする現場改善三八年の歴史」
と副題にある通り、同氏がキユーピーの
現場で、パート作業者などから寄せられ
る切実な訴えに応えてきた経緯がつぶさ
に記録されている。 八〇年代のキユーピ
ーは、事務部門のスタッフはコンピュー
タに強いけれども生産現場に弱く、現場
技術者は自動制御などに詳しいがコンピ
ュータと連動させた作業管理は苦手、と
いう状況にあったという。 現場管理のほ
とんどは紙の伝票を使っていて、資材管
理も?勘と度胸〞に依存していた。
当然、管理精度は甘くなりがちで、原
資材の在庫がどうしても減らないという
悩みを解消できずにいた。 これを改善す
るため高山氏は、FA(ファクトリー・
オートメーション)システムを独自開発
し、その延長線上でトレーサビリティシ
ステムも実現させた。 このような実体験
を持つだけに、「現場の改善なくしてト
レーサビリティを先行させるのは本末転
倒」と、昨今のIT主導のシステム構築
には手厳しい。
技術者の著書らしくシステム開発の具
体的な経緯が詳細に記されているが、注
目して欲しいのはICタグに対する評価
だ。 利幅の薄い食品分野でICタグを採
用するのは費用的に無理だと思う、とい
う著者の指摘は、自ら試行錯誤を重ねて
二次元コードによるトレーサビリティシ
ステムに行き着いた人物の言葉だけに説
得力がある。 加工食品のトレーサビリテ
ィについて勉強したい人には、必読の一
冊といえるだろう。
キユーピー社員がトレーサビリティ解説書を上梓
副題は「わくわくする現場改善三八年の歴史」
物流施設専門の米系不動産開発会社
プロロジスが、横浜市鶴見に二五〇億
円を投じて建設していた「プロロジス
パーク横浜」がこのほど完成、七月十
一日に竣工式が行われた。 同社の物件
のなかでも最大級のマルチテナント型
物流施設だが、すでに日立物流、ニコ
ン、ブリヂストンスポーツ、エステーエスの四社が入居し、稼働率は一〇〇%
と順調なすべり出しである。
その理由のひとつとして考えられる
のが立地条件の良さ。 道一本を隔てて
港湾地区に接する臨港地区にあるため、
港湾地区特有の規制を受けず、しかも
港に近いというメリットが享受できる。
道路も東京大師横浜線(鶴見産業道路)
に接し、首都高速横羽線生麦ICへは
一キロメートルとアクセスは良好だ。 京
浜急行生麦駅も歩いて十三分ほどの距
離である。
八七億円で購入した土地の敷地面積
は五万一〇〇〇平米、五階建て(倉庫
部分四階建て)の建物は延床面積が十
二万平米ある。 二八〇メートルある間
口は、日本一の超高層ビルである横浜
ランドマークタワーの高さに匹敵する
のだという。
複数のテナントが同居するマルチテ
ナント型施設であるため、四〇フィー
トコンテナトレーラーが直接各階へ乗
り入れができるよう、一方通行のラン
プウェイを二基(上り用・下り用)備
え、一階には五三台、二〜四階にはそ
れぞれ三一〜三三台の大型車両が乗り
付けることができるトラックバースが設
置されている。 また、天井高は五・五
メートル超で、フォークリフトがトラッ
クの荷台に直接乗り入れることができ
るドックレベラーも標準装備されてい
る。
プロロジスは世界一六カ国に二〇四
〇棟(二九〇〇万平米)の物流施設を
所有・運営しており、日本では二〇〇
二年より事業を展開。 開発中のもの含
め、現在全国に計二五の施設を運用し
ている。 マルチテナント型としては、二
〇〇六年にも江東区新砂や浦安などで
の開業を予定している。
マルチテナント型の大型物流施設(
12
万平米)を
プロロジスが横浜の臨港地区にオープン
『現場改善から生まれた
トレーサビリティシステム』
(日本工業出版、税別価格二四〇〇円)
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