ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2008年9号
ケース
食品物流 K.U.S.ロジスティクス・サポート

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2008  50 食品物流 K.U.S.ロジスティクス・サポート 自社倉庫で食品展示会を開催し 中小メーカーの販路拡大を支援 物流会社主催で食品展示会  夏真っ盛りの七月下旬、東京江東区木場の 倉庫で食品の展示会が開かれた。
「第一回N EXT 
藤錬錬庁咫。
釘悖丕錬横娃娃検廚 銘打たれたこの展示会は、?明日のヒット商 品を首都圏の消費者に紹介する?をテーマに、 物流会社のK.U.S.ロジスティクス・サポート が本社倉庫を会場にして自ら主催したものだ。
 東京ビッグサイトや幕張メッセなどで開催 される大規模な食品展示会には千社を超える 企業が出展し、何万もの来場客が訪れる。
出 展者にとっては自社製品を広く紹介できる絶 好の機会だが、半面、出展者も来場者も数が 多すぎるために密なコミュニケーションがとり にくいという欠点がある。
加えて、首都圏に 事業所のない地方の中小メーカーにとっては 出展に伴う費用負担が重く、出展後に営業面 で充分なフォローができないことも悩みの種 になっている。
 そこでKUSは、首都圏に販路の拡大を目 指す中小のメーカーを対象に、出展の費用負 担を抑え、バイヤーとのコミュニケーションも とりやすい小規模な展示会を企画した。
同社 は百貨店向けの食品納品代行やスーパーの宅 配事業などを主に手がけている。
展示会にこ うした取引先のバイヤーを招待して来場対象 者を絞り込み、出展者がバイヤーと個別に商 談する機会を提供しようと考えたのだ。
 企画発案から二カ月後の開催を目指し短期 間で準備を進めた。
出展料は相場のおよそ四 分の一程度に抑えた。
宿泊費の負担にも配慮 して開催期間は一日限りに設定。
自社の倉庫 を会場にあて、備品の数も必要最小限にとど めるなど、低コスト化に知恵を絞った。
 出展者の募集は、過去に中小企業基盤整備 機構を通じて都道府県から新規事業などへの 助成を受けたことのある意欲的な食品メーカ ーをピックアップして、電話でアプローチし た。
物流会社からの突然の電話に、いぶかる 相手も多かった。
開催日も中元セール期間中 の繁忙期と重なっていた。
それでも全国から 三〇社を超える食品メーカーの出展を得るこ とができた。
 展示会当日、会場には近辺の大手百貨店を はじめ、食品スーパー、コンビニエンスストア、 通販会社、食品卸などさまざまな業態のバイ ヤーが訪れた。
あちらこちらの出展ブースで、 熱心に商品の試食を勧めバイヤーと名刺交換 する出展者の姿が見られた。
 黒豆の加工食品などを出展した小豆島の業 者は「四国ではよく知られている商品だが地 方の販売量には限界もある。
消費量の大きな 首都圏でなんとか販路を確保したい」と意気 込む。
東京で開かれる主要な食品の展示会に はほとんど参加しているという熊本の業者は 「地方から首都圏へ出るのはなかなか容易で ない。
バイヤーと直接コンタクトできる機会 をできるだけ活用したい」と話す。
 また群馬県から出展した業者は「大手の問 百貨店向けの食品納品代行や食品スーパーの宅 配サービスを手がける東京納品代行のグループ会社。
今年の夏、自社倉庫で食品の展示会を主催した。
地 方の中小メーカーに出展を募り、そこへ取引先のバ イヤーを招待して商談の場を提供する。
最終的な狙 いはメーカーの首都圏での販路拡大を物流面で支援 することにある。
51  SEPTEMBER 2008 屋を通じて売るのが正攻法だが、問屋は扱う 商品の数が多くて、なかなか我々の商品の販 売に力を入れてもらえない。
(小売りと)直 接取引できればと期待している。
物流会社か ら取引先を紹介してもらえるのは大変ありが たい」と率直に打ち明ける。
地方メーカー向けにベンダー機能代行  物流会社であるKUSが展示会を企画した 狙いもまさにそこにある。
出展するメーカー とバイヤーの仲立ちをして、地方の中小メー カーに販路拡大のチャンスを提供するととも に、小売りとの直接取引も可能になるよう物 流面で支援を行うことが最終的な目的だ。
 首都圏に基盤のない地方のメーカーは、進 出を果たした後も納品に伴うさまざまな物流 コスト負担が重くのしかかる。
そこで物流会 社のKUSが保管スペースや配送機能を提供 して問屋のベンダー機能を代行する。
これに よってメーカーと小売りとの直接取引を支援 する。
中間マージンを省くことで収益性の向 上や価格の引き下げにも貢献できる。
 ただし、同社がターゲットにするのは、大 手問屋の物流システムではかえって効率化が 難しいケースに限定される。
久保伸一社長は 「いい商品を持っていながら(問屋の)セン ターフィーを負担できないような中小のメー カーを、我々がお手伝いするという考え方だ。
場合によってはその方がメーカーと問屋の両 方にとってコスト負担の軽減になるはず」と 強調する。
同社にとって食品問屋は顧客でも ある。
顧客と正面から競合関係になるような 事業展開は決して望ましくないという判断だ。
 同社は今後も展示会を開催していく計画だ。
参加メーカーから「次回もあれば是非参加し たい」と予想以上の反響があったからだ。
今 回出展したメーカーの要望をとりまとめたう えで、バイヤー側が来場しやすいようカテゴ リーを絞るなど、より踏み込んだ商談の場を 提供するための工夫を凝らす。
 さらに久保社長は「次の展開では出展者 の商品をどうやって消費につなげていくかが、 もう一つの課題になる。
商品によってB to B がいいのか、あるいはB to Cに向いているの かをわれわれから提案できるようにしたい」 とも言う。
メーカーの販路拡大を支援するに は、メーカーを消費者に直接つなぐB to Cの 方が比較的スムーズにいくと見ている。
 実は既に同社では、B to Cの分野で新しい 取り組みに向け動き始めている。
高齢者や単 身者を対象に水や米などの買い物を代行する サービスだ。
インターネット販売などB to Cの 物流は、全国にネットワークを持つ大手宅配 業者の独壇場となっている。
だがエリアを絞 って大手宅配業者にはできない差別化をする ことで、同社のような物流会社にもビジネス チャンスはあるとにらみ、新規事業に取り組 んでいる。
 もともと個人向け宅配は同社の中核事業の 一つでもある。
東京都内を中心に店舗展開す る複数の中堅スーパーから、客が購入した商 品の宅配業務を受託している。
今回、新規に 手がけようとしているのは、同社がコールセ ンターで消費者から直接注文を受けて店舗に K.U.S.ロジスティクス・サポ ートの久保伸一社長 最小限の備品を展示 小規模で密なコミュニ ケーションを狙う SEPTEMBER 2008  52 発注を行い、商品を店からピックアップして 配送するサービスだ。
 このサービスのセールスポイントは、配達す るドライバーやコールセンターがメーカーのマ ーケティング機能を代行することにある。
?御 用聞き?の考え方で、新商品や客のリクエス トに合う商品を紹介したり、商品の正確な情 報を伝える役割を果たす。
ドライバー教育な ど課題は多いが、エリアを限定すればこのよ うなきめ細かいサービスの提供も決して不可 能ではないと見ている。
 「コストだけで評価される立場に甘んじてい たら、運送会社はいつまでたっても適正な利 益を確保できない。
単に運ぶだけでなく、付 加価値を認めてもらえるようなサービスのア イディアを出していかないと企業として存続 できなくなる」と久保社長は危機感を強める。
百貨店の調達改革で転機  同社の設立は五年前。
負債を抱え倒産した 運送会社の従業員たちが、食品プラントのエン ジニアだった久保氏を社長に迎えて再建した。
倒産前の会社が主に東京納品代行(東納)か らの受託業務を手がけていた関係で、設立後 まもなく東納から五〇%の資本参加を受け事 業の立て直しを図った。
東納が得意とするア パレル製品の百貨店向け納品代行サービスの 一端を担い、そのシェアを拡大する一方、食 品スーパーの宅配サービスで新規顧客開拓を 進めた。
務だけでなく、食品メーカーに対する営業活 動も東納からKUSに出向したスタッフが行 っている。
東納を窓口としながらも、事業運 営はKUSが主体となっている。
 ただし、事業収益面では厳しい状況が続い ている。
指定納品代行業者への集約が期待し たほど進んでいないためだ。
制度の導入には、 ほとんどの百貨店が足並みを揃えている。
関 東百貨店協会名で、具体的な期限まで設けて、 食品を含めた指定納品代行制の実施も宣言し た。
 四年前に三越の日本橋本店が新装オープン した際には、徹底した集約によって車両数を  設立から一年ほどたった頃に、都内の百貨 店が食品分野で指定納品代行制の導入を開始 したことで転機が訪れる。
東京都の指導など もあり、近年、百貨店業界では環境対策の重 点課題として都心の大型店舗へ納品する車両 の台数削減に取り組んでいる。
各社ともまず アパレル製品を対象に調達方法の見直しに着 手し、指定納品代行制度を導入して車両の集 約を行った。
そして次の集約のターゲットが 百貨店向け納品車両の七割以上を占めている 食品分野だった。
 こうした動きのなかで、池袋に大型店舗を 構える東武百貨店が食品で指定納品代行制度 の導入を決め、アパレルの納品で取引のある 東納に対し、食品納品代行の専業者数社に続 く指定業者として声をかけた。
東納はこれを 受諾し、食品という新規分野の納品代行事業 に参入を果たした。
ただし東納には食品配送 の経験がない。
そこで、グループ企業のなか で唯一この分野に実績のあるKUSが実務を 引き受けることになったのだ。
 東納はこのあと、眦膕亜大丸、三越など の百貨店からも次々に食品納品代行業者の指 定を受けた。
その実務が全てKUSに任され た。
江東区砂町にあるKUSの拠点で首都圏 の食品メーカーから集荷を行い、各百貨店の 指定する時間帯に一括納品している。
 
烹妝咾録品の納品代行を新たな事業の柱 とするため、これまでに専用の車両を二〇台 新規に導入するなど体制を強化してきた。
実 催事会場のロケーション番号 などを記したラベルを貼付 出展者別に事前に仕分けて 店舗へ搬入 53  SEPTEMBER 2008 半分に減らすなど、一部で成果の上がったと ころもある。
だが大半の店舗は食品の納品車 両の集約には苦戦している。
現状では食品納 品車両全体の、せいぜい一〇%程度しか集約 は進んでいないとも言われる。
 百貨店に納品される食品には、売り場の 商品のほかにレストラン街のテナントが仕入 れる食材なども含まれる。
調達先が多岐に渡 り、数も多いだけに集約の必要性はより大き い。
しかし、テナントの仕入先まで取り組み に巻き込むのは容易ではない。
多くの百貨店 が、食品売り場のキーテナントについては何 とか納品車両を集約できても、そこから先は 手をつけられないでいるのが実態のようだ。
 
烹妝咾遼楝娠兌取締役営業本部長は「現 状では非効率な面も多く、エリアを絞って複 数店舗へ共同配送するなど、そろそろ次のス テップに進む時期に来ている。
集約の方法に ついて物流会社から百貨店側に提案していく ことも必要だ」と見ている。
催事車両の削減に着目  
烹妝咾郎Gの夏、納品車両を減らす対策 の一つとして食品以外の分野で日本橋の眦 屋にある提案をした。
催事向け商品の納品を 同社が代行するというものだ。
百貨店では集 客のため店内に特設会場を設け、週替わりで さまざまな催しを行っている。
眦膕案本橋 店を例にとると、八月は「ガラス細工の世界」 「手作りで楽しむペーパークラフトとビーズア クセサリー展」「飛騨の家具フェア」「防災グ ッズ特集」など大小の催し物が目白押しだ。
 こうした催事には全国各地の多くの業者が 商品を出展する。
それぞれが自家用車や路線 便、宅配便、軽貨物便などで搬入している。
このため催事の開催される前後には、店舗周 辺がたくさんの納品車両でごった返し、納品 場は大混乱に陥る。
 売り場に出す通常商品の場合、各売り場ま での搬入は百貨店の館内搬送サービスによっ て行われる。
それに対して催事品は、出展者 が納品場で商品を揃えて指定された展示スペ ースまで持ち込むケースが多い。
方々から商 品が集まる納品場で自社の商品を探すだけで も一苦労だ。
 そこで新たな納品方法を提案した。
商品を 店舗へ直接納めるのではなく、日本橋店か らほど近いKUSの拠点にいったん搬入する。
あるいはKUSが集荷に回る。
それを拠点で 出展者別に仕分けて、大型車で店に一括納品 する。
この方法を七月に開催された、ある催 事で試みた。
 事前に眦膕阿ら入手した催事会場のスペ ース割りをもとにして、出展者名や出展場所 のロケーション番号、個数などを記したラベル を作成し、拠点に搬入された商品に貼付。
そ の後、商品を出展者別にロールボックスパレッ トに仕分けて店に納品した。
 納品場での作業を事前に済ませておくこと で、出展者の負荷は大幅に軽減された。
店舗 側の協力で、催事会場への搬送のためにエレ ベーターを一台専用で利用できたこともあっ て、通常なら荷受けから検収・館内搬送まで に三時間もかかるところを三〇分程度に短縮 することができた。
 催事の最終日も通常は、出展者が別々に車 両を仕立てて商品を引き取りに来るため店舗 周辺が混雑する。
だが今回は、梱包の済んだ 商品を会場からKUSの拠点へまとめて回収 し出展者別に整理して送り届ける、あるいは 引き取ってもらう方法をとったことで、閉店 前の混雑を回避できた。
 催事には六〇社近い企業が出展し、その八 割が同社のサービスを利用した。
本多取締役 は「出展者は負荷軽減のメリットを認めてコ スト負担を受け入れてくれた。
ほかの百貨店 にも提案し、新サービスとして展開していき たい」と意欲を見せる。
車両台数の削減の考 え方や手法は食品の場合と基本的に変わらな いが、食品よりもむしろ効果を上げやすいと 見て積極的にアピールしていく考えだ。
(フリージャーナリスト・内田三知代) K.U.S.ロジスティクス・サポ ートの本多英樹取締役営業本 部長

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