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55　　JULY 2010 　日通総合研究所のコンサルタント 七人が、物流コスト削減のための実務 書を刊行した。
現場で実際にコスト削 減に取り組んだ経験とノウハウに基づ き、コストの把握、分析から課題の着 眼点、削減の手法、評価に至るまで を網羅的に解説している。
　主な対象読者は荷主企業の物流実 務担当者。
「物流分野では多くの書籍 が刊行されているが、実務担当者の 拠り所となる基本的知識、手法がい まだ確立されているとは言い難い」と いう考えから、理論的な完璧さより も実際に現場で使えること、効果を 上げることを重視して執筆・編集し たという。
　削減手法の紹介に当たって、財務 会計の視点が織り込まれているのも 特徴だ。
物流コストは管理会計の分 野として位置付けられるが、「コスト 削減に取り組んだ結果が企業経営の 最終的な『成績表』である財務会計 に反映されなければ意味がない」と して、計算上のコスト削減がいかにし て実際のコスト削減に連動していくの か、そのステップを具体的に解説、評 価するようにしたという。
　内容は大きく三部に分かれている。
第一部では「物流コストとその捉え 方」をテーマに物流コストの構造、把 握するための考え方、物流コスト削減 のアプローチや作業別にみた物流コス トの原価計算方法、業態別物流コス トの特徴と課題といった前提知識を解 説。
第二部「物流コスト削減の切り口 と評価」では、商慣行の是正や物流 ネットワークの効率化など、具体的な 削減手法とその評価の仕方を紹介し ている。
第三部はケーススタディ。
素 材メーカー、資材メーカー、消費財メ ーカーの事例を説明する。
　コストダウンの裏付けのない値下げ を物流事業者に要求し、それを受け 入れさせても、いずれは物流機能と 品質の低下というしっぺ返しがくる。
生産性の向上やモノの流れ、仕組み を変えることを通じて合理的なコスト 削減を実践していくためには使える 一冊だ。
　　　　　　　　　（梶原） 「物流コスト削減の実務」日通総研・編 コンサルタントが実務者向けに解説 「物流コスト削減の実務」 編・日通総合研究所　発行・中央経済社 Ａ五判　三三二ページ 定価三八〇〇円（税別） ￥ ￥￥