ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年9号
特集
Interview 「アセットも人材も自前主義を進める」ハマキョウレックス 大須賀秀徳 社長

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

SEPTEMBER 2010  40 「アセットも人材も自前主義を進める」  世間の不景気をよそに3PL事業は順調に拡大。
2004 年に買収した路線会社の近物レックスもようやく黒字 化した。
現場感覚を備えた中堅人材の育成も進んでい る。
倉庫、輸送、人材のリソースを全てグループ内で 所有するアセット型への志向をいっそう強めている。
路線便のインフラを3PLに活用 ──
械丕未了埔豕模拡大がストップしています。
 「3PLはこれからの産業です。
市場はまだまだ拡 大途上にあると見ています。
不況の影響も、少なく とも当社はほとんど受けていません。
今は食品、繊 維・アパレル、メディカル・雑貨を、それぞれ約三割 ずつの比率で取り扱っていますが、どの分野もリーマ ンショック後に物量が大きく落ちたということはない。
円高の影響もあってアパレルなどは逆に物量が増えて います。
引き合いの数も減っていません。
常時四〇 〜五〇件を抱えている状態で、リーマンショック前と 変わりません」 ──引き合いの数はどうやってカウントしているので すか。
 「守秘義務契約を結んで、情報を開示してもらった 案件を数えています。
そのうちコンペ案件が半分ぐら い。
残りは指名で当社に持ち込まれて、現状の分析 調査を行っている案件です。
ただし、指名といって も受託が決まっているわけではありません。
分析の結 果、アウトソーシングせずにしばらく様子を見たいと 言われることも多い。
事実上のコンサルティングです が、それでも当社の場合は提案営業の一貫ですので、 基本的に分析自体は無償で行っています」 ──ここ数年のハマキョウの決算は、〇四年に買収し た中堅路線会社の近物レックス(旧・近鉄物流)の 業績に大きく左右されてきました。
一〇年三月期に 近物レックスは、大幅な減収ながら黒字化を遂げま した。
再建できたと考えて良いですか。
 「まだ軌道に乗ったとは言えません。
黒字化と言っ ても売上高が三五〇億円近くもあって利益は三〇〇 〇万円あまりですから、何かあれば、例えばまた燃 料費が高騰するようなことがあれば、すぐにすっ飛ん でしまう程度の利益です。
それでも大きく前進したの は確かです」  「路線会社は世間では構造不況のように言われてい ますが、地方のローカルな路線会社には元気なところ も多い。
事業規模は小さくても、そのエリアで圧倒的 な集配密度がある会社には、大手の路線会社でも皆、 集配を委託しています。
一方、全国規模の路線便も 何とか現状は維持できている。
近物レックスのような 中堅が一番厳しい」  「そこで近物レックスの再建ではまず、不採算の地 域から撤退して強い地域に集中するという改革を行い ました。
予想していた以上に時間がかかりましたが、 その整理をようやく何とかつけて、路線便事業だけ でもトントンまでこぎ着けた。
今後は路線便のインフ ラを3PLと組み合わせることで新しい付加価値を生 んでいきます」  「近物レックスは一〇〇カ所近くの路線便のターミ ナルを持っていますが、基本的に夜しか使っていませ ん。
空いている昼間の時間を利用して、それを仕分 け作業などを処理する通過型センターとして機能させ ます。
既に二つのセンターで業務を開始して手応えを 得ています。
また3PL事業では受発注機能まで含 めてアウトソーシングを請け負っているので、配車計 画にも効率化の余地がある。
車両を一日に何回転も させて稼働率を上げて行きます」 ──それはもはや路線便事業とは言えませんね。
近 物レックスの買収は路線便という事業自体に将来性 を感じたからではないのですか。
 「路線便がこれからも必要だという認識は持ってい ます。
しかし、全体の貨物輸送量は減っていくでしょ う。
それでも近物レックスを買収したのは、一つは輸 ハマキョウレックス 大須賀秀徳 社長 Interview 41  SEPTEMBER 2010 送力の安定確保です。
長距離ドライバーの平均年齢は 今や五〇代にもなっています。
あと一〇年もすればド ライバー不足が深刻化するのは明らかです。
それとも う一つ、それまで当社は配送を外部に委託していたわ けですから、配送品質に責任を持つことができませ んでした。
しかし配送は物流の大事な最終プロセスで す。
そこまで責任を持てる体制をとりたかった」 ──倉庫についてもハマキョウはアセット型志向です。
 「今後もセンター投資は続けていきます。
ただし、投 資には厳しい社内ルールを設けています。
借入金をゼ ロにはしない。
成長の手は緩めないけれど、借入金 の総額は二年分の設備投資の枠内に抑える。
現在の 当社の実力では、六〇億円ぐらいまでということに なります。
それ以上に投資するには事業規模を大き くするしかない」 ──先行投資もしない方針ですね。
 「荷主の決まっていないセンターは作りません」 ──汎用センターの場合は?  「複合センターを新設することは基本的に考えてい ません。
子会社のスーパーレックスまで含めると現在 当社は全国で六〇カ所のセンターを運営しています が、そのほとんどが専用センターとして出発したのも です。
そのうち半分弱は現在、複合センター化してい ますが、これは荷主の物量の変動によって結果的にそ うなったものです」 黒字と赤字を分けるもの ──荷主の物量の増減を調整するには、そのエリアで 複数の拠点を展開し、たくさんの荷主を抱えている ことが条件になりますか。
 「そうは思いません。
既存荷主に倉庫を移ってもら うより、営業で新しい案件を取ってくるほうが効率 はいい。
各センターは独立採算が基本です。
そして採 算性を決める最大の要因はやはり現場のオペレーショ ンです。
どんなセンターでも、少しでも気を緩めれば すぐに赤字になってしまう。
これまで嫌と言うほど味 わってきました」 ──いったん黒字化すれば、後は安定するように思 いますが。
 「残念ながら現実は違います。
毎日、同じ条件が続 くのならそうでしょうが、そんなことはあり得ない。
同じ荷主でも出荷傾向は常に変化するし、商品構成 自体も変わっていく。
そのためにセンター別の﹃日々 収支︵日次決算︶﹄を常にチェックして、問題があれ ば一つひとつ潰していく。
その積み重ねでセンターの 収益性が決まってくる」  「新たなスキームを提案してコスト削減を実現できれ ば、荷主からは合格点をもらえます。
荷主にとっては 後は品質の問題だけになるわけです。
しかし、3P L側で実際に発生しているコストは常に変動します。
油断すればすぐにコスト割れして赤字になるし、品質 を維持したままコストを下げることができれば、その 一部を荷主に還元しても3PLの利益は増える」 ──ハマキョウは配送も倉庫もアセットは自前主義。
現場作業も業務委託はあまり使わずパートの直接雇 用を中心に回しています。
しかし、経営幹部人材に 関してはこれまで外部からの起用もありました。
 「当社の3PL事業は歴史も浅く、また急成長した ため、これまでは中途採用に頼るしかないところがあ りました。
しかし今では社内に三〇代、四〇代のプロ パー人材が育っています。
今後は外部に頼らず、社内 のやる気のある人間たちをどんどん幹部に引っ張り上 げていきます。
現場に立脚した﹃ハマキョウイズム﹄ を徹底することで組織力を強化していきます」 おおすか・ひでのり 1967年生まれ。
東京経 済大学卒業。
92年、ハマキョウレックス入社。
2003年、取締役中部営業部長。
07年、近 物レックス副社長として同社再建の指揮をとる (現・取締役)。
08年、ハマキョウレックス副社 長。
今年1月に同社長(CEO)に就任。
同社創 業者、大須賀正孝会長(CEO)の長男。
PROFILE 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 (単位:億円) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 05 年度06 年度07 年度08 年度09 年度10 年度 (見込み) 11 年度 (計画) ハマキョウレックス 連結経常利益(右軸) 近物レックス 売上高(左軸) 近物レックス 経常利益(右軸) ハマキョウレックスの業績推移 776 462 450 437 380 347 0.81 30.58 23.02 31.3 39.45 50.23 55 60 -12.58 -5.59 -3.06 0.31 823 835 792 783 840 900 ハマキョウレックス 連結売上高(左軸) 特 集 3PL市場 2010

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