ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2012年7号
特集
物流主導の包装改革 第1部 運賃の半減を即座に実現する

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

JULY 2012  14 特集 コスト構造は設計段階で決まる  ロジスティクスのコスト構造の七割は製品の設計 段階で決まってしまうと言われる。
ところが、企 業のロジスティクス部門の多くが、製品の設計プロ セスにタッチしていない。
流通業ともなればなお さらだ。
製品の仕様やサイズを所与の条件として、 残り三割のコストだけを対象に効率化の余地を探し ている。
 一方の開発部門は、製品や包装の設計がロジス ティクスに与える影響を理解していない。
調達コ ストや生産コストには敏感でも、製品輸送や保管、 ハンドリングの効率は管理の対象から外れている。
設計とロジスティクスが乖離している。
これを統合 すればコスト構造自体が変わる。
 スウェーデンに本社を置く家具チェーン世界最大 手のイケアは、商品のデザインから販売方式まで の全てのプロセスを物流のコスト効率に基づいて設 計している。
同社は組み立て式の自社企画製品を、 相場より二、三割安い価格で販売することを武器 にしている。
 その製品設計におけるキーワードは「Air Out, Product In(空気を抜いて、製品を詰めろ)」。
家 具のパーツを段ボール箱に梱包した時に、ムダな空 間ができないようにデザインしている。
段ボール箱 のサイズは欧州の標準パレット(一二〇〇?×八〇 〇?)に基づいて規格化されている。
「フラットパ ック」と呼んでいる。
 フラットパックを積んだパレットを工場からハブ 拠点、消費地の物流センター、さらには店頭にも そのまま持ち込む。
パレット貨物を格納した高層ラ ックが並ぶ店内は倉庫そのものだ(写真)。
通常の 運賃の半減を即座に実現する  運賃は荷物の重量と容積を基に計算する。
また荷姿は 輸送や保管の効率を規定する制約条件だ。
しかし、多く の企業が製品の設計に、運賃への影響や物流の効率を反 映していない。
そこにメスを入れることで、劇的なコス ト削減が可能になる。
環境負荷も大きく低減される。
先 進企業は既にそれを実現している。
    (大矢昌浩) 15  JULY 2012 に、東芝では設計プロセスに物流子会社を参画さ せて製品や包装のデザインにロジスティクスの視点 を反映させている。
 三菱電機では製品自体の強度を高めることで包 装コストを抑制する取り組みを進めている。
カシ オ計算機は製品に同梱する取扱説明書や付属品を なくしてしまうことに成功した。
内需型産業でも、 カルビーは包装のムダを指摘する現場作業員の声 をきっかけに、全社的な包装改善チームを組織し、 全商品について外箱のサイズを見直した。
包装改善のノウハウを開発  こうした包装改善はその効果の大きさに反して、 これまで物流改革のテーマとして注目されること が少なかった。
包装の専門知識を持たない部外者 にとっては敷居の高いテーマだった。
そのため先進 企業が包装改善に精力的に取り組む一方で、その 他の多くの企業は長年にわたって包装のムダに目を 瞑ってきた。
 これに対して物流コンサルタントの酒井路朗LD C研究所所長は、精密機械メーカーの物流マネジャ ーとして包装改善を成功させた自らの実務経験を 元に、物流管理の視点に立った独自の改革手法を 開発し、その啓蒙に当たっている。
本特集の第2 部〜第5部で、そのノウハウを解説する。
 「物流センターで大量の緩衝材を使っている場合 は疑ってみたほうがいい。
荷物の天地・左右・縦 横に相当の空間がある。
それぞれ数センチ圧縮で きれば荷物の体積が大幅に減る。
即座に運賃が半 減することもある」と酒井所長はいう。
物流部門 の主導によって、これまで放置された過剰包装に メスを入れる時がきた。
ロジスティクスの対象領域を超えてユニットロード を徹底することでローコストオペレーションを実現 している。
 設計とロジスティクスの統合は、生産地から消費 地までの距離が長く、国境をまたいだ分業体制を 敷いているグローバル企業にとっては、とりわけ重 要なテーマになる。
それを米ヒューレット・パッカ ード(HP)は「デザイン・フォー・サプライチェ ーン(DfSC)」と呼び、一九九〇年代から管理 手法の構築に取り組んできた。
 
硲个錬庁罍咤辰寮賁腑繊璽爐鯀反イ靴董▲汽 ライチェーンコストの視点から設計プロセスを見直 すことで、二〇〇〇年代中盤に約一〇億ドルのコ スト削減を実現した。
そのアプローチはまず、次の 四つのステップで実態を調査することから始まる。
?どの製品特性がサプライチェーンのコストに影 響を与えているのか? ?その製品特性は何を設計した結果として決ま っているのか? ?その設計は何に基づいて判断されているのか? ?その判断を改善するためには何が必要なのか?  そして具体的な改善策を見つけ出す切り口を「S ix─
丕瓧磽襦廚噺討崙伴のポートフォリオに整理 している(図1)。
このうち「?ロジスティクス改 善」においては、製品サイズの圧縮、包装デザイン の変更、同梱する付属物の削減などによって、輸 送費や保管費、ハンドリングコストの削減を目指す。
 日本でもハイテクや自動車産業のグローバルメー カーでは従来からHPと同様の切り口からコスト削 減に取り組んできた。
この後、本特集で見るよう IKEAの店内。
店舗から本部への補充発注は輸 送効率を重視して40フィートコンテナ単位で行 っているという 図1 米HP社の「Six-Pack」  サプライチェーンコストと販売 機会損失のトレードオフを分析し、 マージン、ブランド価値、あるい は販売チャネルの要求という点で 適切な製品バリエーションを決定 する。
通常、マーケティング部 門、販売部門、流通業者は、 より多くのSKUを求める。
設計 部門、製造部門、物流部門は SKUの削減を主張する。
 物流コストと製品デザイン、材 料費を比較検討する。
例えば、 製品の軽量化・小型化によって、 輸送費や在庫コストの削減、応 答性の向上が期待できる。
製品 強度の向上は、包装資材の削 減と製品ダメージによる返品の抑 制につながる。
 独自規格の内製部品を、汎 用品、リユース品、業界標準品 と比較する。
内製部品はしばし ば原材料費を抑制し製品の差別 化を可能にする。
これに対して 汎用品には在庫コストの削減が 期待できる。
またリユース品と業 界標準品の利用は市場への投 入スピードを速める効果がある。
?アイテム数の適正化?ロジスティクス改善?共通化とリユース  最終顧客の需要を十分に把 握できる時点まで、分化/カスタ マイゼーションの工程が後ろにな るように製品と製造プロセスを設 計する。
 どこから部品を調達し、どこで 組み立てるのかを決める。
コン ポーネント、サブアッセンブリ、 完成品への課税はその原産国に よって異なってくる。
 製品と包装の変更によるリ バースサプライチェーンコストおよ び環境コストの削減を検討する。
保証期間、企業ポリシー、政府 規制によって、HPは製品回収に よるコストと便益を経験することに なる。
?延期?税金最適化?リサイクルの推進 資料:「Hewlett-Packard's Design for Supply Chain Program」Brain Cargille, Stephen Bear, and Jason Amara(l 2005)

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