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37 JULY 2012
特集
専門部隊より横断組織を
包装改善を企業の一部門だけで推進することは
難しい。 開発、設計、営業、物流、海外現地法人
など、企業の多部門が共通の土俵に立ち、コラボ
レーションすることが不可欠となる。 デンシティが
その時の共通言語となる。
ただし、包装改善専門の「重い」組織は必要な
いと筆者は考えている。 それよりも組織横断的な
委員会もしくは会議体を設置し、定期的、計画的
に包装改善を進める仕組みを定着させていったほ
うが機能する。
もちろん、活動の中核となる部門は必要である。
それはロジスティクス部や物流部、あるいは物流子
会社の管理部でも良い。 そこに「全社包装改善委
員会」を招集する役割と権限を付与することであ
る。 そして関連組織すべてを委員会のメンバーに
巻き込むことが重要である。
次頁の資料1は包装改善委員会を運営するに当
たって必要になるツールの一つである。 A4サイズ
で上半分が「計画書」、下半分が「結果報告書」と
なっている。 改善対象・手段・参画部門などがチ
ェック項目として網羅されているため、改善手段
漏れや報告漏れを防いでくれる。
改善活動に先立ち、必ずこの計画書を委員会に
提出し、改善終了後には結果を報告する。 そして
結果には、運賃の削減額を始めとする改善効果の
ほかに、工数減、材料費減、さらにはCO2削減
量を記載する。 委員会ではこれらの報告書を蓄積
し、効果額を合計して経営トップに定期的に報告
する。 合わせて環境部門に報告を行うことも忘れ
てはならない。
このような計画書をキー・ドキュメントとして包
装改善を進めることで、それまではお互いに交流
のなかった事業部門間や部署間でノウハウの共有
が進み、相乗的に取り組みが拡大していく。 その
結果、積み上げられた効果金額が、大きなインパ
クトをもって経営トップを突き動かしていくことに
なる。
包装改善委員会の活動が軌道に乗ったら、次は
グローバル展開である。 全世界の関連部門に活動
の効果金額や経緯を流布して、水平展開を促すこ
とになる。 ロジスティクス先進企業では、他のロジ
スティクス関連会議に相乗りするかたちで年一〜二
回の頻度で包装改善の報告会議を設け、優秀事例
を表彰している例がある。 このような国際会議に
は、センター長はもちろん意欲的な現場従業員を
同行して成果を発表させることを推奨する。 海外
研修等の機会が少ない部署だけに良い刺激になる
はずである。
包装改善の最も大きな課題は「サプライチェーン
全体最適の思想」である。 内装を最低限の強度に
して低コストを実現しても、次工程の物流センタ
ーにおける外装でそれ以上のコストが発生すれば
意味がない。 またFOB契約あるいはFCA契約
の国際取引においては、包装改善によって運賃を
削減しても、自社の物流費は下がらない。 しかし、
得意先の輸入運賃が下がれば、製品を購入するト
ータルコストが減り、実質的な価格競争力が増す。
得意先の利益は拡大し、より多くの購買を期待で
きる。 廃棄物の減量で環境にも好影響が出る。 グ
ローバルに拡大したサプライチェーン全体を視野に
おいた全体最適の思想に基づくマネジメントが求め
られている。
改善活動を組織に定着させる
包装改善は組織横断的な取り組みだ。 専門部隊任せにはで
きない。 その重要性を社内に啓蒙し、改善活動を組織に定着
させるには、関係部署を巻き込むための組織作りと運営の工
夫が必要だ。 ロジスティクス担当者がそれをリードするべきだ。
(LDC研究所 酒井路朗 所長)
JULY 2012 38
特集
包装改善計画書
包装改善結果報告書
運賃削減額計算基礎データ(運賃削減額計算等で不明の点は、全社包装改善委員会に問合せください。 )
輸出運賃削減額計算
輸出先都市名
出荷数
/ 1 年
運賃単価
/ Kg
1pc 当り
重量差*
削減金額(千円)
発 行全社包装改善委員会 印
*重量差は上表「体積重量」差となる
(1)L/W/Hをは0.5Kg 単位で切上げる。
(2)体積重量は自動計算される。
(3)実重量は計測重量をそのまま記入。
(4)Densityは自動計算される。
包装サイズ
改善前
包装サイズ
運賃外削減額
計算内容
外装箱材質削減:500万円
包装工数削減額:350万円
受付2012年04月22日
全社包装改善委員会受付2012年01月15日 管理No.12-005
改善対象名記入日
起案部署
担当者
事業分野
Abcde 2012 年01月10日
Aカンパニー
Cカンパニー
Bカンパニー
その他
営業
個装内装外装
廃止包装縮小共通化
材質 緩衝材 工数 輸送 保管 その他( )
購入先変更 値引き 製品設計変更 モジュール化 その他
国内工場
物流センター国際物流その他
海外工場品質保証
開発生産技術包装設計
個装
輸送保管その他( )
内装
廃止
製品設計変更
共通化
モジュール化その他
包装縮小 購入先変更 値引き
対象 外装 材質 緩衝材 工数
手段
対象
手段
改善の概要
課題
参画部署
実施予定2012 年 04 月 初旬
添付枚数
削減効果
予測額
投資予想額
?内外装一体化
?物流センターでの外装廃止 ⇒ 外装工数の削減
?ベンダーでの段ボール強化+新コーナーパットの検討
?海外航空輸送費の削減
?コーナーパットの費用増
?内装箱の費用増
結果環境対応効果
・CO2 減:15t/ 年
応用可能性予測
L(cm)W(cm)H(cm) 体積重量実重量Density
120.0
100.0
90.0
80.0
100.0
100.0
180.0
133.3
46.7
100
95
5
1.800
1.404
差 22%
削減金額(単位:千円)
8,500
108,033
8,500
116,533
New York
Paris
Singapore
Beijin
3,000
2,000
1,500
1,200
300
400
250
200
46.7
46.7
46.7
46.7
42,000
37,333
17,500
11,200
00
運賃削減額
(年間千円)
運賃外削減
額(年間)
年間合計
削減額
資料1
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