ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年1号
特集
トラック輸送 プラスロジスティクス ──配送協力会社ごとに分析資料を作成

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

39  JANUARY 2013  通販物流と家具配送をメーンとするプラスロジス ティクスでは、全国一〇〇社近くに上る家具配送 の協力運送会社に対して、それぞれ定期的に研修 会を行っている。
協力会社各社の配送クレームの 傾向をプラスロジが分析して個別に詳細な資料を作 成。
本社品質管理部門のスタッフが協力会社の現 場に出向き、経営陣だけでなくドライバーたちも集 めてその会社のクレーム実績の推移や全体との乖離 を説明し、他社の改善事例を紹介するなどして品 質向上を促している。
 クレーム情報とは別に協力会社各社の顧客満足 度も調べている。
納品時に顧客にアンケート用紙 を配布。
ウェブでも回答を依頼し、「作業員のマナ ー」や「施行時間」などを採点してもらう。
その 評価やコメント欄のメッセージも、各社に対する提 案資料に反映させる。
 評価の高かったドライバーや作業アシスタントに 対しては、半期に一回のペースで個人表彰を行って いる。
表彰式にはプラスロジの経営陣に加え、プラ スやアスクルなど、 荷主の物流責任者 も出席し、感謝状 と金一封が授与さ れる。
 一方で再三の改 善要請にも関わらず、クレーム率が下がらない協 力会社は、管理能力不十分と判断して配送担当エ リアの縮小などを検討する。
品質の良い他の協力 会社の配送担当エリアを拡大することでその分を 埋める。
各社のクレーム率や実績は、協力会社間 で常にオープンされているので文句は言えない。
 従来からプラスロジでは親会社のプラスがオフィ ス家具の新製品を発売する際に、その設置・組み 立て作業を協力会社に指導する研修会を開いてい た。
その枠組みを二〇一〇年から輸送品質の向上 に重点を置いた活動へと進化させた。
同社に家具 類の配送を委託するグループ外の荷主が増えている ことがその背景だ。
 一連の活動で家具の配送や庫内作業に起因する クレーム率は、それまでの約〇・四%から〇・二 二%に半減した。
当面の目標にしている〇・一九% が見えてきた。
「それでも通常サイズの宅配便の改 善に比べればまだまだ」と、プラスロジの鈴木俊 一取締役経営企画室長は満足していない。
 通常サイズの宅配便では家具配送より一足早く、 〇四年頃から本格的な品質向上活動をスタートさせ ている。
その結果、クレーム率は活動前の約〇・〇 五%から〇・〇〇八%に大きく改善された。
その絶 対値を単純に比較することはできないが、家具配送 の改善の余地は依然として大きいと判断している。
 「当社は情報をできるだけオープンにすることを 基本方針としている」と鈴木取締役。
品質向上の 鍵も情報活用にあると考えている。
「どのような情 報を現場から吸い上げて、それをどう現場にフィー ドバックするのか。
本部が強い意志を持ってメッセ ージを発信し続ければ着実に品質は向上する。
逆 に本部が放っておけば、確実に品質は悪化してい く」と言う。
 同社の各センターでは、日々の損益とともに、品 質についても目標値を設定し日別の管理を行って いる。
センター長の日報のフォーマットに、その日 に発生した「誤出荷」「庫内欠品」「商品クレーム」 「伝票クレーム」「誤ピッキング」の件数と、その原 因を入力する欄を設けて、毎日データベースに登録 させている。
各センターの日々の実績とサマリーは 全社員がいつでもパソコンで確認できる。
 プラスや、アスクル、ビズネットなどのグループ 企業のコールセンター部門とは、定期的に「CRM 研修」を開いている。
コールセンターに入ったクレ ームの録音を、荷主とプラスロジの担当者が一緒に 聞いて改善策を練る。
あるいは、コールセンターの スタッフを物流センターに招いてオペレーションに 対する理解を促すといった連携を図っている。
 今後は同様の取り組みを一般の外部荷主にも呼び 掛けていく方針だ。
「品質について明確な目標を持 っている荷主は多くない。
そして品質改善活動に は当然ながら手間もコストも掛かる。
しかし、クレ ームが減れば、顧客満足度が向上するだけでなく、 リカバリーコストが不要になる。
掛けた手間以上の 効果がある。
それぞれの荷主の管理方法を尊重しな がらも、当社の品質管理のノウハウをどんどん提案 していきたい」と鈴木取締役は言う。
(大矢昌浩) ──配送協力会社ごとに分析資料を作成 プラスロジスティクストラック輸送 鈴木俊一取締役 経営企画室長 特集

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