ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年4号
特集
第1部 ブロック別・この春の運賃市況 《近畿》先行き不安で減車が相次ぐ

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2013  28 《近畿》先行き不安で減車が相次ぐ  荷動きは長期にわたって低迷している。
地元経済を支える家 電業界の低迷が大きく影を落としている。
先行きに明るさが見 えないことから減車に動く運送会社が相次いでいる。
その結果、 傭車の確保が難しくなっている。
スポットの依頼には驚くほど 高額な運賃が必要になることもある。
しかし、それも市況全体 に影響を与えるほどの動きにはなっていない。
解 説 の長距離は貨物情報が多く、運送業者が荷物を選 べる環境にある。
ハードな荷役作業があったり、納 期が厳しいなど、条件の悪い貨物については、荷主 や元請けが驚くような料金になることもあるようだ。
とはいえ、スポットに回る荷物はもともと絶対量が 少ないため、市況全体を動かすようなことにはな らない。
 流通系のセンターを運営する荷主の元には、いま だに運送会社から値下げを提案する営業が行われて いるとも聞く。
実勢運賃は当面上がらないと考えた ほうが良いだろう。
 運賃自体が上がらなくても、物流効率を上げるこ とができれば、運送業者は利益を確保できる。
幸 いなことに、荷主の物流コストに対する意識は変化 してきている。
先日訪れた荷主企業でも、担当役 員が「見積もり条件交渉の話をするつもりはない。
物流の仕組みを変えることで、トータルコストを下 げたい」と明言していた。
 以前は特定の荷主への依存度が高いことを背景 に「交渉」でプレッシャーを掛けて値下げを呑ませ るという傾向が、関西の荷主には特に強かった。
し かし、さすがにそのやり方では続かないという認識 が広まってきた。
 例えば今まで厳格な時間指定がされていた部分を 緩和して、二台で二回に分けて運んでいた荷物を一 台にまとめて運べば、輸送コストが半分になる。
荷 主と運送業者が協力すれば、それが可能になる。
 またPB商品の増加や季節商品の組み合わせ、計 画的な生産など、荷主の企業努力によって、季節 的な繁閑差が縮小傾向にある。
輸送需要が平準化 されるため運送会社にとってもプラスになる。
(談)  近畿圏の運賃が上がる気配はほとんど感じられな い。
このエリアの運送業者は、特定の取引先への依 存度が高い。
我々は一社への売上構成比率は一〇% 以内に抑えるのが理想だと考えているが、中小運送 業者の多くは五〇%を超えている。
荷主に足元を見 られてしまい、運賃交渉にも強気で臨めない。
 軽油価格が上昇しているが、取引打ち切りを恐れ て、サーチャージの話題を持ち出すこと自体に尻込 みしてしまっている。
それだけ荷主の力が強い。
私 自身、クライアント先の運送会社からサーチャージ の件で相談を受けることが増えているが、荷主に強 く出ろとはなかなか言いにくい。
テーブルに載せる ことができたとしても認めてはもらえないだろう。
 昨年から大手宅配会社が関西でも値上げ交渉を 始めている。
他の特積もそれに便乗するようになっ ているが、その対象は通販などのB to Cに限られて いる。
中小運送会社がメーンとする貸切まで影響が 及ぶのは、かなり先のことになる。
 足元の荷動きに関しては、悪化しているという感 覚はないが、上向いているわけでもない。
特に近畿 はパナソニックやシャープをはじめとする家電メー カーの存在感が大きく、不振の影響は深刻だ。
直近 でもテレビの大型工場が操業縮小するという報道も あり、大きな懸念材料だ。
 先行きに明るさが見えないことから、どこの運送 業者もカツカツの車両数で仕事を回すようになって きている。
そのため遊ん でいる車は少なく、傭車 を見つけにくい状況が続 いている。
 とりわけ東京方面へ 物流コンサルタントの相場観 運賃叩きはさすがに沈静化した ロジスティクス・サポート&パートナーズ 石橋岳人 常務取締役 ブロック別・この春の運賃市況 石橋岳人常務取締役 特集 29  APRIL 2013 700 600 500 400 300 200 100 0 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 30 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 特別積合せ貨物の荷動きフェリーの自動車航送台数 (千トン) (%) (台) (%) 2011年度 輸送台数 2012年度 輸送台数 2011年度 前年同月比 2011年度 2012年度 前年同月比 前年同月比2012年度 前年同月比 2011 年度 輸送トン数 2012年度 輸送トン数 出所)国土交通省出所)国土交通省 2011年4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2012年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 94.1 92.3 106.5 97.8 93.1 105.3 97.6 101.3 103.2 84.7 107.4 108.5 94.1 97.4 104.9 101.3 93.2 100.6 106.4 98.1 98.3 101.3 100.2 102.3 96.1 94.4 97.6 93.7 95.5 97.3 94.3 97.7 93.9 94.4 99.7 95.7 100.6 101.4 97.3 104.2 99.3 96.7 前月比 (%) 前年同月比 (%) 一般貨物の荷動き景況感一覧 宅配貨物 宅配以外 一般貨物 11 年 1〜3月 11 年 4〜6月 11 年 7〜9月 11 年 10〜12月 12 年 1〜3月 12 年 4〜6月 12 年 7〜9月 12 年 10〜12月 13 年 1〜3月(見通し) 特積貨物雇用関連総合計 出所)全日本トラック協会 出所)経済産業省 出所)国土交通省 判断指標 矢印 … -100 … -60 … -20 … +20 … +60 … +100 … 貨物車両数推移(両) 131,208 130,988 130,878 130,886 130,925 131,053 130,969 131,098 131,123 131,153 131,176 131,455 131,344 131,251 131,443 131,281 131,157 131,352 131,212 131,237 131,453 13,786 13,757 13,690 13,667 13,652 13,639 13,625 13,569 13,596 13,605 13,594 13,598 13,577 13,565 13,570 13,567 13,564 13,580 13,597 13,598 13,582 20,907 20,925 20,932 20,947 21,013 21,073 21,091 21,122 21,109 21,124 21,143 21,133 21,173 21,169 21,187 21,225 21,202 21,198 21,185 21,193 21,223 普通貨物小型 四輪貨物被けん引車 ※すべて営業用 出所)国土交通省 2012年1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月 2013年1〜3月見通し 22 24 15 14 10 30 26 34 42 42 48 50 51 44 48 148 143 151 153 154 △8 △2 △19 △28 △32 国内向け出荷量の実績と見通し 出所)日通総合研究所「日通総研短観」より抜粋 時期荷動き 指数回答社数 構成比(%) 増加横ばい減少 鉱工業生産指数推移(2005 年=100) 96.0 94.0 92.0 90.0 88.0 86.0 84.0 12年 1 月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 13 年1月

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