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SEPTEMBER 2013　　108 　国際物流の解説などで本誌に度々登 場している商船三井出身の森隆行流 通科学大学教授らが、コールドチェー ンの入門書を上梓した。
日本における 誕生・発展の歴史と現状、アジアで拡 大している実態まで横断的に言及して いるのが特徴だ。
　著者らの「コールドチェーンの実務 書はいくつかあるが、理論書は見当た らない。
関係する方々のための入門書 が必要だ」との思いから生まれた本書 は、低温物流に関わる全ての人にとっ て有益な内容となっている。
　本書は森氏と石田信博同志社大教 授、横見宗樹大阪商業大准教授の三 氏による共著。
タイのタマサート大学、 チェンマイ大学の准教授と三氏の共同 研究を通じて得た成果が内容に反映さ れている。
　冒頭、コールドチェーンの明確な定 義や構成する施設・機器、扱われる商 品の特性などを説明。
読者が最初に基 　双日ロジスティクスは伊勢湾海運な どとインドネシアに物流会社「アイ・エ ス・ジャヤ・ロジスティク（以下、Ｉ ＳＪＬ）」を設立し、七月から営業を 開始した。
成長著しい同国の自動車関 連貨物を当面のターゲットに据え、三 年後に売上高一〇億円および単年度 黒字の達成を目指している。
　双日ロジは以前から現地代理店を活 用し、主に日本からの輸入貨物に対応 してきた。
しかし近年では同国への生 産シフトが進み、日系企業の進出が急 増。
それに伴い、同国発の貨物が爆発 的に伸びている。
その荷物を取り込む ためには、現地子会社の存在が必須と 判断した。
　ただし、インドネシアには大手日系 物流企業の多くが早くから現地法人を 構え、既にネットワークを整備しつつ ある。
双日ロジは後発だ。
そのロスを 覆し、ライバルと渡り合うためには独 自の戦略が不可欠になる。
　商社グループとしての強みを前面に 押し出す。
ＩＳＪＬが立地するのは、 本的な情報を頭に入れられるよう配慮 している。
　低温管理の前史として、「日本書紀」 の時代に食品の保存法として既に氷が 用いられていたことや、日本では一九 五八年に福岡県の福岡運輸が日本で初 めて冷凍車を作り、冷凍・冷蔵での食 品運搬を事業化したことなど、興味深 いエピソードも盛り込まれている。
　コールドチェーンの運営に不可欠な、 食品の安全性に関する国際標準「ＨＡ ＣＣＰ」や食品鮮度の表示に関する法 令、トレーサビリティの概念などをき め細かく説明。
　さらに実例として、ニチレイフーズ によるタイから日本への鳥肉加工食品 の輸入を紹介。
タイで生鳥の処理から 加工・包装まで完全密閉された工場で 行われ、同国のレムチャバン港から日 本へ船便で送られる過程を時系列で追 っている。
コールドチェーンが新興国 で急速に広がっている実態の一端を伺 える貴重な情報だ。
　低温物流は食品にとどまらず、医薬 品や化学品、精密機器、生花など幅広 い分野に拡大しており、著者は「二一 世紀はコールドチェーンの時代」と断 言する。
コールドチェーンの全体像を 分かりやすく描き出した本書が、日本 の低温物流業界の健全な発展を後押し していくことを祈りたい。
　（藤原） 双日がインドネシア最大の華僑財閥と 共同で設立した工業団地「グリーンラ ンドインターナショナルインダストリ アルセンター（以下、ＧＩＩＣ）」内 だ。
同工業団地に誘致する企業の物流 を取り込む。
誘致企業の生産拠点が立 ち上がるまでの設備輸送に始まり、調 達物流、保管業務、保税業務、製品 輸送、国際輸送などをトータルで支援 する。
　双日ロジの粕井哲治営業本部国際 事業部部長は「インドネシアは交通渋 滞が激しく、物流オペレーションを安 定させることが難しい。
生産拠点のす ぐ近くにＩＳＪＬが立地することで、 緊急対応や日々の業務連携などが円滑 に行える。
荷主にとっては安心感につ ながる」と説明する。
　進出前の物流コンサルティングも手 掛ける。
インドネシアに初めて進出す る企業の多くは、物流に関する現地の 法律や税制に明るくない。
その現状や 対策を踏まえた上で、同国での最適な 在庫拠点や物流ネットワークを顧客に 提案する。
進出の?入り口?から荷主 を囲い込む戦略だ。
　粕井部長は「単純な機能ごとの勝負 ではアセットを豊富に持つ大手物流企 業に分がある面もあるが、商社系とし ての特長を生かせば十分勝負できる」 と自信をのぞかせる。
　　　　（石鍋） コールドチェーンの歴史から現状まで横断的に解説 流通科学大・森隆行氏らが入門書を出版 双日ロジがインドネシアに新会社 商社系の強み生かして大手を追撃 『コールドチェーン』 二二〇〇円（税別）晃洋書房 双日ロジの粕井哲治 営業本部国際事業部部長