ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年12号
メディア批評
八兆円の負担増が家計を直撃する稀代の悪政国民をバカにした消費増税を亀井静香が断罪

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

佐高 信 経済評論家 DECEMBER 2013  88  『月刊日本』十一月号の特集は「『貧困大国』 ニッポンへの道」。
私もアベノミクス批判で 加わったが、巻頭の亀井静香の発言がわか りやすく、適切である。
 まず、消費増税と法人税減税について。
 「今の政治というのは絶望的だ。
まったく おかしな事になっている。
庶民の寂しいフト コロに手を突っ込んで、儲かっている企業に は減税をするなんて、日本の歴史上まれに 見る悪政だ。
江戸時代の悪代官だってこん な無慈悲なことはしなかった。
こんなこと をすればどんな結果になるかわかりきって いるからね。
消費は必ず冷え込むし、そう なれば経済全体も下がっていく。
国民生活 の水準はどんどん落ちていくよ」  各種世論調査では消費増税賛成が過半数 だが、と問われるや、  「それは国民がおかしくなっているという ことだ」  とバッサリ斬り捨てた上で、  「消費増税という痛みに耐えて財政規律を、 という議論もあるが、消費税率を三%から 五%に上げた九七年橋本内閣の失敗から何 も学んでいない。
国民の所得が落ちていく 中で税率だけ上げたって、税収は増えるわ けがない。
消費が冷え込めばますます税収 は落ちていく。
小学生でも分かる話だよ」  と指摘し、  「経済を冷え込まさないように法人税減 税をするというが、今の企業は内需を掘り 起こすことなんか考えていないじゃないか。
外国に投資し、外国で物を売ろうとばかり している。
結局、いくら法人税を下げても、 企業の資金は日本に還流せず、外国に出て 行くだけだ。
今は一部の富裕層の消費が増 えているという話もあるが、たかだか国民 の二%程度の富裕層の消費効果なんて微々 たるものだ。
その他の九〇%の国民の需要 を刺激しなければ経済は好転しない。
その 九〇%というのは、地方の中小、零細企業 だよ。
そこに金が回るようにしなければ意 味が無い。
だが今の公共事業の構造はスーパ ーゼネコンが独占し、地方零細企業にまで資 金が回らなくなっている」  と断罪する。
この主張に私はまったく異 論がない。
 「増税といえば、本当は大手メガバンクな んかに真っ先に課税すべきなんだ。
かつて 国から支援を受けておきながら、今、メガ バンクは利益を出しても税金は払っていない からね。
それに、相続人のいない老人が資 産を銀行に残したまま亡くなると、その資 産は銀行の利益になる。
こんなふざけたこ とが横行している」  と亀井は怒り、  「福島では原発処理もできていない、放射 能汚染水も全部垂れ流しだ。
にもかかわらず、 地震大国のトルコに原発を売り込もうとして いる。
これは完全にモラルハザードだよ。
カ ネさえあればという精神がこんな事態を生 み出してしまう」  と嘆きながら、消費増税されようが社会 保障を削減されようが、「痛い」と声も出さ ない日本国民は生体反応を失ってしまった、 と続ける。
だから、政治家からバカにされ るというのである。
 産経新聞編集委員兼論説委員の田村秀男 の消費増税にはデメリットがあるという主張 も示唆に富む。
 「消費税によって物価があがり、消費が落 ちこめば景気は低迷する。
その結果、企業 は萎縮し、雇用拡大・賃金引き上げ・設備 投資を控えるようになる。
そうすると益々 消費がおちこみ、景気が低迷するという悪 循環に陥る」  消費増税はGDPの六割を占める家計消 費を押さえつける。
三%のそれは家計消費 にとって八・一兆円の負担増になるというこ の指摘はまったく無視されてしまっている。
八兆円の負担増が家計を直撃する稀代の悪政 国民をバカにした消費増税を亀井静香が断罪

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